1週間後
明日は「ヴィジョン地下鉄爆破事件」の公判日。
明日は猫又も含め、邪兎屋全員が飛行船へと搭乗し、裁判所に向かう。
よって、猫又は前泊及び用意のために邪兎屋の事務所にいる。
久しぶりに1人となった俺は…
「せやぁ!!!」
「はっ!!」
雅と模擬戦をしていた。
数時間前
「は?模擬戦がしたい???」
「あぁ。受けてくれぬだろうか。」
柳と話していた「定期メンテナンス」をしている最中、俺は雅にいきなりそう言われ、困惑していた。
「待て待て、模擬戦するのは構わん。」
「だが、俺は多少刀が使える程度だぞ!?」
「お前の相手になるとは思えないんだが…。」
俺が言うと
「そんなことは無いですよ、空さん。」
「あなたは、あの白祇重工の事件から生きのびているんですから。」
そう柳ににっこにこの笑顔で言われた。
…これ、俺生贄にされたやつだ。
「あは、あははは…。」
そう言いながら悠真の方を見ると…
「あー忙しい忙しい!?結構休んだから書類が溜まってるなぁ!?」
と、悠真とは思えないスピードで仕事をしていた。
…薄情者めぇ…!
「ダメ、だろうか?」
そう、しゅんとした顔と耳で言ってくる雅。
うぐ。それ弱いんだって…。
「わかった、わかったから…。」
俺が了承すると雅はどうだと言わんばかりのドヤ顔で柳の方を向いた。
もちろん耳はピクピクしていた。
…子供かな?
「はぁ…じゃあ、移動するぞ。」
「あぁ。」
そして今に至る。
「チィ、もう木刀にヒビ入りやがった!脆すぎ!!」
俺はそう言いながら蓄積されていたエーテルエネルギーを足に流す。
懐に入って、腹パンを決めた。
「かはっ…なんの!」
一瞬雅が固まるが、すぐに体制を立て直し、刀を振ってくる。
「ふん!!」
それを俺は掴んでへし折った。
「まだやるか?」
俺はボクシングの構えを取ってそう聞く。
「…いや、やめておこう。私は今のお前に勝てる気がしていない。」
「ん、分かった。」
…まぁ実際なんでか知らんけど筋力上がってるし。
「…どうした?お前たち。」
雅は他の6課を見てそう言い出す。
…確かに、なんか固まってるんだよな。
「い、いえ、なんでもありません。」
「まさか空さんがここまで強いとは思っていなくて…。」
「そうそう、どこでそんな技術身に付けたんだい?」
「どこでって…独学だけど。」
悠真に聞かれた俺はすぐにそう答えた。
「「「「独学!?」」」」
4人から一斉にそう驚かれた。
「お、おう…逆に道場とかがないのにどうやって誰かに習うんだよ。」
いや、まぁただただエーテリアスと戦ってたら身についただけなんだけどね。
それに雅の戦闘動画は出回ってるし。
「とりあえず、メンテナンスは終わったし、俺は帰るわ。」
「お疲れさーん。」
俺がそう言うと
「あっ、はい。ありがとうございました、空さん。金額倍で振り込んでおきますね。」
「おう、頼むわ。」
「またな、空。」
「ういうい。」
そう言って俺は家に帰る。
…なんか企んでそうなんだよなぁ…。
ま、気にしたとこでしゃあないか。
柳視点
空さんが来る数時間前、私はある計画を立てていました。
それは、「彼の実力を測る」というものです。
ただの一般人があの大きな重機を纏ったエーテリアスを耐えられるとは思えません。
それに…雅に聞いたところ、彼は特異的な高いエーテル適性を持っているそうでした。
その彼が、少しとはいえ侵蝕を受けるようなことがあったのです。
それ程までに激しく動くというのは…まるで彼が1人で重機のエーテリアスを抑えたような。
そんな気がしてならなかったのです。
それを雅に話すと
「構わん。私も、彼とは1度戦ってみたかった。」
「お願いは私に任せろ。彼に言うことを聞かせるのは、特段難しいことでは無い。」
そう言ってくる雅を信じて、私達は空さんを迎えました。
そして…彼は、雅に勝ちました。
いくら、木刀とはいえ、彼女は「虚狩り」です。
その人を、負かす力を持っているのです。
信じられません。
「…浅羽隊員。」
「分かってますよ、調査ですよね。やっておきます。」
「お願いします。」
一体彼は…なんなのでしょうか。
空視点
次の日
俺が鍛冶屋で既製品の補充をしていると、アキラから電話がかかってきた。
「…今度はどこだ?」
『バレエツインズだよ。邪兎屋のみんながいるから、状況はそっちに聞いてくれ。』
「わかった。すぐに出るよ。」
俺はすぐに店を閉めて、家で装備を整え出発した。
バレエツインズの目の前
「うっすお前ら。」
『おぉ銀狐、お疲れさん!』
「銀狐も招集がかかったのか?」
そうビリーと猫又に声をかけられる。
「まぁな。さて、さっさと行こうぜ。道中で依頼内容は教えてくれや。」
そう言って俺たちはバレエツインズの中に入った。
バレエツインズ内
『…着いたね。』
「ここがバレエツインズ…。」
『立派なもんだぜ。』
いやあ…薄気味悪。
『うぅ…なんかここ寒くね?』
「確かに…中はピカピカなのに、みょーに居心地悪いぞ…。」
そうビリーと猫又が話していると
「ん…警戒して。霧が濃い。何か潜んでいるかも。」
と、アンビーが言い出した。
その時、後ろにあったボンプの銅像?が倒れた。
…んー…?
なーんか気配すんなぁ…。
『ふぅ…ビビったぜ。』
『先を急ごっか…ここにいちゃまずいかも。』
そうパエトーンの進言で、俺たちは早足で先に進むことになった。
数分後
『なんか、普通のホロウよりもしんどくねぇか?ここ…迷路みたいに入り組んでるし、寒くてジメジメしてるしよ…。』
『替えたばかりの膝関節が錆びちまわねぇか心配になってきたぜ。』
「ビリー、得体の知れないB級品には手を出さない方がいいぞ。やけに安い店でご飯を食べたらお腹を壊すのと一緒だ!」
と、猫又とビリーが話していると
「…ん?」
とアンビーが声を上げた。
『どうかしたか?アンビー。』
「建物に入ってからずっと視線を感じる。」
あー…
「そうだなぁ…。確かにいるな。後方右斜め後ろの柱の裏。」
俺はそう言ってuziを構える。
すると
「あらあら、バレてしまいましたか。」
「申し訳ありませんわ、皆様。」
とメイド服の女性が出てきた。
…あぁ。「あの人」の関係者か。
「ですが…正体のしれないお客様をお通しすることは出来ませんの。」
「それが、あんたのボスの大事な人でもか?」
俺はそう言い放つ。
『銀狐!?何を…!』
「あんたの名前は知らねぇけど…連絡取れるだろ?」
「ライカン…フォン・ライカンにこう言いな。」
「『鍛冶屋が来た』ってな。」
その言葉を聞いてその女性は驚いた顔をして俺に近づいてきた。
「わかりましたわ…。」
そう言って、少し下がり女性は連絡を取りに行った。
『おい、銀狐!あいつ誰なんだよ!?』
「そうだぞ!あんな大人な女性、うちに来たことないぞ!」
そうビリーと猫又に問い詰められる。
「さぁ?俺も知らねぇよ。」
「でもボスと知り合いなんだよ。」
俺がそう言うと
「失礼しました、夜月様。ライカンが『何か理由があるのでしょう。今から向かいますので、そこでお待ちください。要件をお聞かせください。』との事でしたわ。」
そう女性が言ってくる。
「はいよ、じゃあここでま…つ前に、エーテリアスの処理だな。」
俺はそう言って刀を構える。
そして、他の4人と協力してエーテリアスを処理した。
「んー、やったぞ。」.
そう言って、猫又が伸びをする。
!
その時飛んできたハサミを俺は刀で弾いた。
「大丈夫か?猫又。」
「だ、大丈夫だぞ…!ありがとう、銀狐!」
するとその場に足音が響き始めた。
「誰!?」
アンビーが警戒態勢に移るが…。
「相変わらず、お見事でございます。夜月様。」
「お前もな、ライカン。」
俺とライカンはそう話して笑う。
おっと、仮面を着けたままは無礼か。
「ですが夜月様。ここは私有地でして、来客はお断りしております。」
「手短にご用件をお願」
ライカンがそう言いかけた時、ノコギリの刃が転がってきた。
…この武器の持ち主、手入れしてなかったな…???
俺はそのままノコギリの刃を持ち上げる。
その時、奥から金属音が聞こえた。
「…言ったはずです。武器の手入れと床磨きは毎日欠かさずと。」
「す、すみません、ライカンさん。」
そう謝る緑髪の女の子。
はっ?可愛いんだが。
「ふわぁ…ねむ…。」
「エレン、勤務中ですよ、姿勢よく!」
「ちぇっ…はいはい。」
そう言って奥で真っ直ぐ経つ女性。
すると猫又が
「ん?カリンちゃん…?カリンちゃんだ!?」
と言い出した。
えっ知り合いなの!?
「え?あっ、猫又様!それに、調査員様!」
????
あー、もしや俺らのことホロウ調査員だと勘違いしてる?
「カリン、面識が?」
「はい、そうなんです!ホロウで迷子になってたカリンを助けてくださった方々なんです!」
ライカンがカリンに聞くと、そうカリンは答えた。
猫又、パエトーン…あぁ!
地下鉄爆破事件の時の別行動の時かぁ!
そら俺知らないわけだわ…。
「改めまして、自己紹介をさせて頂きます。」
「私共は、『ヴィクトリア家政』です。」
ライカンはそう俺たちに向かって挨拶をした。
「『ヴィクトリア家政』?聞いたことの無い名前ね。」
「ちょっとアンビー!正直、あたしもカリンちゃんと会うまで知らなかったけど…言い方ってのがあるでしょ!」
そう2人は言い合っているが…。
「あー…お前らが知らないのも当たり前だぞ?」
「ヴィクトリア家政っつぅのはエリー都のエリート…まぁ言わば名家や金持ち共しか雇えない超高級家事代行サービスだ。」
「パエトーンの依頼料の10倍はくだらない金額を取るが、その分仕事は一流。どんな事でもそつなくこなす。」
「…まぁ、武器の手入れをしていなかったのはいただけないけどね。」
俺はそうイラッとしながら言った。
「…申し訳ございません、夜月様。」
「ライカンが謝る必要ねぇよ。その武器の持ち主だよ持ち主。」
「カリンって子と…奥のエレンって子だよな?」
俺がそうライカンに聞くと
「えぇ、その通りでございます。」
「よし。ちょっと借りるわ。その間、俺らの要件をそいつらから聞いてくれ。」
俺はそう言って2人を呼び寄せた。
カリンは申し訳なさそうに、エレンはだるそうに歩いてきた。
「はい。正座して。」
「は、はい!」
「えぇ…なんで正座なんか」
「しろ。」
俺は刀をエレンの首筋に当てて脅した。
「…はいはい。」
そう言って2人は正座をした。
「いいか?俺はヴィクトリア家政が暇人だなんて思っちゃいない。そりゃ、武器の手入れだって限界があるだろう。出来ない時もある。そんなことは分かってんだ。」
「だったらそれをライカンに言え。そしたらあいつは俺のところに持ってくる。そしたらこっちでメンテナンスと手入れをしっかりして渡す。」
「なんであんたなんかに…。」
俺が説教するとそうエレンがぼやく。
「ほう?言ったな?じゃあエレン。お前立て。やってやるよ。」
そう言って俺は目の前にハサミを刺した。
「めんど…。」
「まぁ、お前みたいな手入れすらしない面倒臭がりの女の子には徒手でも負ける気しないけどな。」
俺がそう煽ると、エレンがキレた。
「ふーん、言うじゃん。じゃあお望み通り…やってあげる!」
そう言って俺に斬りかかってくるエレン。
だが…
「はい。終わり。」
その瞬間、ハサミがバラバラになった。
「な、何が…!?」
「緩んでたネジを外しただけだよ。」
手入れをしていなかったからこそ、ネジが緩んでいた。そこを俺は外しただけ。
「一応言っておくが…お前らの武器を作ったのは俺だ。」
「製作者の言うことは聞いておくもんだぞ。」
俺がそう言うと
「は、はい!すみませんでした!夜月さん!」
「…ごめん。」
そう2人とも謝った。
「よし!ならこれからはちゃんと自分でメンテナンスして、もし調子が悪いとか、メンテナンスがしばらくできなかったとかになったらライカンに言うこと!」
「戻るぞ。」
そう言って俺は2人を連れてライカンの所へ戻った。
するとちょうど話をまとめている所だった。
「今戻ったぞ。で?どういう話になった?」
俺がそうパエトーンに聞くと
『ニコがやらかして邪兎屋のみんなは戻らないといけないんだって。だからここから先はヴィクトリア家政のみんなと動くって決まったよ!』
と、話してくれた。
「わかった。なら1度ホロウから出るんだな?」
「それなら都合がいい。武器の軽いメンテナンスをやっとこう。」
俺がそう言うと
「左様ですか?ありがとうございます、夜月様。」
とライカンが深々と礼をした。
「気にするこたねぇよ。道具を入れっぱにしておいてよかった。」
儲けが増えたから出来たことよな…。猫又様々だぜ。
「では、貴方様と夜月様の御用が終わり次第、共に建物の奥へと向かいましょう。」
そう言うライカンや他のヴィクトリア家政と共に、俺達は一度バレエツインズから外へと出た。
1時間後
「ふぅ…こんなところか?」
ノコギリとハサミの刃は軽く研いだ、接続部分も調整し直した。
「カリ〜ン。エレ〜ン。」
「…なに?」
「な、なんでしょうか!」
「簡単なメンテナンスは終わったから、試しに振ってみてくれ。」
そう言って俺は武器を渡す。
それを二人は振り回し、
「…嘘でしょ、新品みたいなんだけど。」
「すごいです!夜月様!さすが制作者様です!」
と褒め称えてきた。
「大したことはしてねぇよ。ただ刃を研いで接続部分の調整をしただけだ。」
一応調整器具だけは持っていくか。
また外れたときのために。
「さて、こっちは終わったけど…。お、来た来た。」
俺が話し終えると、リンがこっちに歩いてきた。
「お疲れさん、パエトーン。イアスの調整も終わってるぞ。」
「ありがと!じゃあ私は戻るね!またホロウで!」
「はいはい、忙しねぇなぁ…。」
「夜月様。」
俺がリンを見送っていると、後ろから声をかけられた。
「ん、どうした?えーっと…。」
「アレクサンドリナ・セバスチャンと申しますわ。ご気軽に、『リナ』とお呼びください。」
「あぁ、わかった、それで、リナ。どうしたんだ?」
「ライカンさんがお呼びですわ。」
「ライカンが?わかった。」
俺はリナからの伝言を受け取り、ライカンのところへ行く。
彼のところへ着いたとき、
「夜月様。私達の本当の任務をお伝えしておきたいと思います。」
と言われた。
「ま、だろうな。設備のメンテなんぞホロウが縮小し終わってからやりゃいい。」
「で?実際はどういうことだ?」
俺がそう聞くと
「夜月様は、バレエツインズに関する噂話をご存知ですか?」
「あぁ。昔、ホロウ災害に飲み込まれた舞踏家の姉妹が〜って話か。」
「えぇ。御主人様は、その真相を判明させるために、私達をここへ派遣されたのです。」
なるほどねぇ…そういう事情が。
「ま、わかった。それならこっちの目的もしっかり明かしとかねぇとな。」
俺はそう言って、今までの経緯を説明した。
まぁ、白祇重工の事件とレインを探している目的だけだけどな。
「なるほど、そういうことでしたか。」
「ま、下手に通報なんてすんなよ。こっちも協力するわけだし。」
「もちろんでございます。何卒、よろしくお願いいたします。ほ」
「それ以上は言うな。」
俺はライカンが言おうとしたことを止めた。
「あいつらとは家族の縁を切った。」
「俺は、ただの夜月だ。それ以上でも、それ以下でもない。」
「…承りました、夜月様。」
…よし!
「じゃあ行くか。さっさと行って、さっさと終わらせよう。」
そう言って俺とヴィクトリア家政はバレエツインズの前に来た。
「プロキシ様、ご友人がB棟の屋上にとどまっていた可能性があるのなら、まずはそこを目指すのはいかがでしょう?」
『オッケー、面倒をかけちゃうかもだけど、よろしくねライカンさん!』
「とんでもございません。大切なお客様なのですから。貴方様の想いが、私共の使命です。」
「一刻も早くレイン様の足取りを掴み、貴方様とご友人方の痛心を取り除いて差し上げましょう。」
そう深々とお辞儀をするライカン。
やっぱこいつすっごい様になってるよな。
そこから少し作戦会議をして、内部に侵入。
出陣を開始した。
10分後
「ふえぇ…すごいです!銀狐様はこんなに強いんですね!」
「武器を作る者として、扱いはわかってないといけないからな。」
俺はそう言ってエーテリアスをサクッと狩り切る。
その時、電気がチカチカと点滅した。
『また明かりが点滅した…。気の所為じゃないよね?ここに来るまでに何度も同じことが起こってる気がするんだけど…。』
そうリンが言い出す。
まー…普通に気の所為ではないわな。
「そ、そうでしたか?あはは…。」
カリンがそうごまかすが
「たしかに何度もあったね。あの噂、ホントだったり。」
とエレンがぶっちゃけた。
あーあー…。
カリンが誤魔化したんだから絶対言っちゃまずいやつでしょそれ…。
ふとライカンを見ると、顔に手を当てて首を横に降っていた。
『へ?噂ってどんな?』
リンがそう聞き始める。
「なんだ、聞いたことないの?」
「コホン!エ、エレンさん!」
エレンが言おうとしたことを、カリンが止める。
あやっぱり。
「あ、これ言っちゃだめだった?ボスがブリーフィングでよこしたやつ、長すぎて読んでないから。」
おぉぉぉぉぉい!?
それは企業のバイトとしてどうなのよ!?
一応これ違法だってことわかってらっしゃる!?
俺は驚いてライカンを見ると、がっくりしたような顔をしていた。
…どんまい。
「でもリナがいるんだし、よくない?もしプロキシが知りすぎちゃってもさ、ぱぱっと片してくれるって。」
殺る気だ!口封じだ!
「あ、そうなったらしっかりと取り押さえるぞ。模擬戦とはいえ虚狩りに勝ったやつ舐めんな?」
俺がそれを言うと
「『はい!?』」
とエレンとリンから同タイミングで言われた。
「確かにお強いとは思っていましたが、そこまでとは…。」
「バレるのも納得ですわね。」
「ふえぇ…銀狐さん、あの人に勝ってるんですか…!?」
あー。言ってなかったっけか。
「俺さ、
「あいつらが持ってる武器あるっしょ?あれ、俺が作ったり使いやすく改良してたりしててな。」
「メンテとか、改造とか、やってるのよ。」
「その影響で生贄に出された。」
「結果何故か勝った。まぁ手加減してくれてたんじゃね?」
「まぁそんなのはどうでもいいさ。」
「パエトーン、ニコからの話覚えてっか?」
「『バレエツインズでは最近心霊現象が起こる』っつう。」
俺が簡単に説明をしたあと、そう話を振ると
『確かに言ってたね…。』
「簡単に言えば、あれ関連の話なのさ。」
「ここでホロウ災害に巻き込まれた姉妹の無念がここの主となり、不届き者が来たときには電灯を点滅させて警告する。」
「それでも出ていかない場合は、暗闇を作り殺す。」
俺はここでライカンを見た。
此処から先を話していいのか確認するために。
すると、ライカンは頷いた。
じゃ、話しますか。
「んで、その心霊現象で事故物件化したらライカンたちを雇ってる金持ちは莫大な損害を受ける。」
「だからメンテと称して、真相解明にヴィクトリア家政が派遣されたっつう理由だな。」
『そ、そうなんだ…。だから最初からそれを言わなかったんだね。』
『というか、なんで銀狐がそれを知ってるの!?』
話を終えると、リンにそう聞かれた。
当たり前やんけ。
「おめぇがいないときに話してたからだよ。」
「あと、こっちだけ情報を隠すのはおかしいし、そもそもライカンは信用に値する。」
「だからこっちの目的も伝えた。」
「至極恐悦にございます、夜月様。」
俺が言うと、ライカンはそう言ってお辞儀をした。
尻尾ブンブン可愛いね。
「さて、プロキシ様、夜月様。これは新たなリスクとなります。」
「一言で言いな。」
「…急がねば通路が閉じます。」
「こういう時に一から説明しようとするのはライカンの悪い癖だな。先に行く!着いてきな!」
俺はそう言っていつも通り加速。道中のエーテリアスを切り裂きながら道を進んだ。
一気に突っ走ると、アトリウムに通じるルートのシャッターが締まりかけていた。
げ。
俺は止めようとするが、その瞬間エーテリアスに襲われた。
「邪魔!!」
一発で斬ってシャッターを見ると、止めることは無理そうだった。
「くっ!スライディング!!」
俺はスライディングでなんとかギリギリ通り抜けることができた。
…分断されたか。
「おーい、聞こえっか〜?」
…聞こえてなさそうだな。
「先に進んでおくか…。」
ただなぁ…。キャロットないねんな…。
知識としてはルートの導き出し方もわかるが、できねぇし…。
今度ホロウ内部での通信装置用意してもらうか…。
すると、スマホに着信があった。
?ホロウ内外の通信はほぼ不可能なはずだが…。
そう思いながら出ると
『もしもし銀狐?大丈夫?』
と、リンの声が聞こえた。
「あぁ。こっちは問題ない。ただ、キャロットがないから先に進もうにもって感じだな。」
『うーん…わかった!分かる範囲でキャロットを送るね!』
「お、マジか助かる。」
『先に進んでて!追いつくから!』
「わかった。」
俺はそう言って通話を切り、スマホに送られたキャロットを確認した。
ふむ…。特に裂け目なんぞはなさそうだな。道なりで大丈夫そうだ。
俺はとりあえずゆっくりと先に進む。
暫く先に進むと、アトリウムに着いた。
「…?リュックサック?」
中身を確認する。
「!?…びっくりした…。」
いきなり音楽が鳴り出した。
どうやら中に入っていたカセットテープが鳴り出したらしい。
「こっわ…。」
俺がそのまま物色に移ると、そこに影が出来た。
あー…。
「よっ。」
俺はそのままその場で回避する。
「ん〜…バレリーナ?」
それに音楽をかけてから来た…。
「ってことは!っと。あぶね〜…。」
俺が考え事をしていると、いきなり飛び込んで来た。
このエーテリアス体が尖ってんのよな…。コンパスかよ。
「コンパスバレリーナは…さっさと斬るのが吉だな!」
俺はいつも通りの戦法で刀を振り抜く。
だが、弾かれた。
「かった!?」
その隙にそいつは手の爪で突き刺そうとしてくる。
それを空中で体を捻って回避した。
だったら…!
俺はエーテルエネルギーを刀に集中。炎纏化させた。
1割本気出しますか…!
「狐火、乱舞!!」
俺は刀で連撃を打ち、コンパスバレリーナを処理した。
ふぅ…。
「疲れた…とか言ってる場合じゃねぇみたいだな!」
一息つく間もなく、大量のミサイルが飛んできた。
俺はリュックを確保して、加速する。
そして、そいつらの足を撃ち抜く。
「うがっ…!?」
「さーて。洗いざらい吐いてもらおうか。クソ兵士が。」
俺は頭に『拳銃』を突きつけて脅した。
例の爆破事件から対人を考えてリボルバーである『ダン・ウェッソン・リボルバーM715』を持ってきていた。
そして、話を聞き出すとどうやらまともな情報は持っていないようだった。
なんかしらの行動をスポンサーの代わりに行うため、周辺警備を任されただけのようだった。
「そうかそうか。なら…そこに寝てろ。」
俺はそのままアキレス腱を斬って動けなくした。
ここらで一旦待機するかぁ。
これ以上はキャロットもねぇし。
数時間後
『銀狐〜!大丈夫だった?』
そうリンが駆け寄ってきた。
「おう、大丈夫だったぞ。こっから先はキャロットがないから行ってないが。」
「後、情報手に入れといたぞ。」
「レインはなんかしらの犯罪の片棒を担がされてる。反乱軍のスポンサーがいるらしいな。最後に、レインはB棟の屋上にずっといるらしい。」
「流石でございます。夜月様。」
俺が説明すると、そうライカンが言ってきた。
「そんな大したことはしてねぇよ。お前ら、休憩しなくていいか?」
「えぇ、夜月様のお陰でこちらは消耗しておりませんわ。」
「アンタこそ、ずっとホロウにいっぱなしでしょ?大丈夫なの?」
リナとエレンにそう言われる。
「大丈夫だ、俺はホロウ内活動時間10年だからな。」
「「「「はい?」」」」
あー、いつものいつもの。
「何か知らんがそうなんだよ。ほら行くぞー。」
そう言って俺はさっさと先に進んだ。
するとその時
「お待ちください。夜月様。」
とライカンに止められた。
「?どうした?」
「1度この反乱軍の者共を外に出しましょう。ついで申し上げますと、私共のホロウ内活動時間にも余裕を持たせたいところでございます。」
と進言された。
「そうか、了解。なら1度出るか。」
あんましエーテル溜めるのもまずいし。
そうして、俺たちは一度出て休憩。
その後再度突入するとき、反乱軍が入口に立っていたのが見えた。
「…だっる。」
「夜月様。偵察に行ってまいります。」
ライカンはそう言ってリナを連れて偵察に向かった。
「…もどかしいねぇ。」
俺がそう呟くと
「よ、夜月様はどうしてホロウレイダーに?」
とカリンに聞かれた。
「…まぁ、色々とあってな。あんま気分のいい話でもねぇよ。」
俺はそう言って誤魔化した。
「そ、そうなんですか!?すみません…。」
「別にいいよ、気になるだろうしな。」
謝ってくるカリンをなだめていると
『今来たよ!』
とリンがホロウに入ってきた。
そしてそのタイミングでライカンとリナも戻ってきた。
「プロキシ様。先ほど私とリナでビルの出入り口をいくつか偵察してまいりました。」
「反乱軍たちは未だ警戒を続けており、立ち去る気配はありません。」
『あいつらの任務がなんであれ、達成するためにはまだ屋上が必要みたいだね。』
「せやな。」
そうなると正面突破必須なんよな…。
「まぁ、だったら正面からぶった斬ればいい話になってくるか。」
「ただ、正直時間が惜しい。最短ルートで危険性度外視、ぶっちぎるがベストか?」
俺がそう言い出すと
「今回は、それが最適解でしょう。」
『道案内は任せて!』
そうリンとライカンに同意を得たところで、イアスから更に声が聞こえた。
『マスター、お伝えします。』
『たった今、ビルを飲み込んでいるホロウのデータ分析が完了しました。』
『ビル内の熱源をリアルタイムで検知できます。』
そういうのは明らかにfairyだった。
『その言葉を待ってたよfairy!でかした!』
「パエトーン、俺が先導する。fairyでもキャロットでもどちらでも良いから、地図を寄越してくれ。」
『わかった!スマホを出して!』
俺はスマホをウエストポーチから取り出し、リンに渡した。
『はい!これで大丈夫だと思うよ!』
そう言ってスマホを返してもらったとき、スマホにはいつもの目のマークがあった。
「よろしくfairy。基本的にはルートを教えてくれ。」
「敵位置もこのあとヴィクトリア家政たちが通るタイミングで危険性がありそうなものなら外れた場所のやつを報告頼む。ルート上のものは問答無用で叩きのめすから問題ない。」
『了解しました。銀狐。』
俺とfairyはそう簡単に作戦を練った。
「うっし!じゃあぶっ飛ばしてくる。」
俺は敵のところに飛び込んで一気に頭を掴み地面に叩きつけた。
「て、敵」
「言わせるかよ。」
…よし。行くか。
「fairy、レインの位置への最短ルート。」
『エレベーターに乗り、上がれるところまで上がってください。』
「わかった!」
その数分後
「ふぅ着いた着いた。」
下手に殺されちゃかなわん。
「fairy、熱源感知による状況予想は?」
『個体名:レインは拘束中。反乱軍長官と思われる人物と数人の反乱軍により、警備がなされております。』
ほうほう…下手なことをせずにライカンたちを待ったほうが良さそうか?
『警告。反乱軍長官と思われる人物が個体名:レインを掴み上げました。』
!まずいな…!
「よう、クソ野郎共!」
俺は飛び込んで一気に兵士2人に腹パンを与えた。
そして、そのまま長官と思われる野郎にも蹴りを入れた。
「ぐあっ…!」
そう言って、暫定長官がレインから手を離す。
そのタイミングで、俺はレインを引っ張り、後ろにおろした。
「大丈夫か?レイン。」
俺はガムテープを剥がしながらそうレインに聞く。
「君…だれ?私を助けに来てくれたの?」
「あぁ。そのとおりだ。」
「貴様ぁ!!!!」
レインと話していると、暫定長官が銃を構えてきた。
「あっそ。」
俺はその瞬間リボルバーで四肢を撃ち抜いた。
「ぐあああっ…!!!」
そこに倒れる反乱軍に、俺は銃を向ける。
「こんな言葉を聞いたことがあるか?」
「撃って良いのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ。」
「た、たすけてくれ!」
…呆れた。
「女殺そうとしといて、何いってんだてめぇは。」
そのまま、脳天に銃を…
「…やめた。レイン。こいつどうする?」
「…こんなことしてる場合じゃない!早くビルの屋上に行かないと!」
なるほど了解。
「うっし。じゃあこうしておくか。」
俺はアキレス腱を斬ってそこに放置した。
「fairy、屋上へのルー」
俺が聞くタイミングで爆発音が聞こえた。
『報告。先程の爆発で屋上への最短ルートがロストしました。』
「最短じゃなくて良い、ルートを出してくれ。」
『検索中…ビルの屋上につながるホロウの出口を発見しました。所要時間およそ7分。ですが、強力なエーテリアスに出くわすおそれあり。』
「そんなもん叩き斬るから問題ねぇ。」
よっし、一気に行くか…!
俺がまた出発しようとすると
『銀狐!』
とリンの声がした。
「パエトーン。ヴィクトリア家政。状況を2言で説明する。」
「屋上に行かないとならんが最短ルート消失。戻って遠回りする。」
『わかった!』
「なんで屋上に行く必要があるかは知らんが…先に行ってるからな!」
俺はそう言って超特急でフロアを降りていった。
4分後
「ハイ到着!」
俺がそう叫ぶと、アトリウムで流れた音楽が聞こえた。
そして、電灯が点滅し始める。
「…きやがったな?コンパスバレリーナ。」
俺がそう言うと、眼の前に「2体」現れた。
「げっ…。」
その瞬間、2体が一斉に俺のところに飛び込んできた。
「あっぶぇ!?」
ギリギリ回避して、俺はuziを叩き込む。
「串刺しにされたら、溜まったもんじゃねぇな!!」
刀を振り抜き、切り込む。
「かってぇ…。刃こぼれするっての…!」
「しばらく、禁止したかったんだけどな…!」
俺はエーテル燃料2本を飲んでエネルギーを過度に流し込む。
腕に軽い痛みが走る。
「エーテル燃料2本分。味わいやがれ、クソバレリーナ。」
「九尾魂炎、乱舞!!!」
そして、その一撃でバレリーナ共は退散した。
そのタイミングで他の奴らもみんな来た。
「夜月様!」
「おう!さっさと行くぞ!」
俺とライカン、他のヴィクトリア家政と一緒に一気に駆け上がる。
そして、そのタイミングで開いたホロウの出口から俺達は屋上に出た。
ふぅ…。なんとかなった。
「で?なんで屋上…に…。」
俺が後ろを向いたとき、そこには飛行船が飛んでいた。
待て待て待て待て、ルートおかしくないか!?
このまま行けば、ホロウに…!
「もしかして、やばいってのはこれか!?」
『銀狐、聞いてなかったの!?』
「聞いてねぇわ!やばいっつったからとりあえず屋上来ただけだっての!!」
リンに驚かれたが、そんなこと言ってる場合じゃねぇだろこれ!!
『リン、聞こえるかい?飛行機がビルに近づいている。』
イアスからそうアキラの声が聞こえた。
飛行船の操縦とか、やったことねぇぞ…!?
「!ライカン、お前操縦行けるか!?」
「もちろんでございます、夜月様。」
よっしゃ、賭けるぞ…!
エーテル燃料を1本補給する。
『銀狐!?飲まないって言ってたじゃん!』
「そんなこと言ってる場合か!!」
「失礼、ライカン!」
俺はそう言って、ライカンをお姫様抱っこする。
「よ、夜月様!?」
「わーお。」
ライカンに真っ赤な顔で驚かれ、エレンにそう言われる。
ちょっと考えてる暇ないかな…!!
俺は限界まで加速する。
直ぐ側の坂のようになっている場所を駆け上がる。
「いっけ…!!」
俺は飛び上がり、飛行船に飛び乗る。
『銀狐!?』
俺の隣で、そうビリーの声が聞こえた。
「ようビリー。ライカン、頼んだ。」
「は、はい。」
そして、ライカンは運転席に向かい、ホロウから飛行船を避けたのだった。
数時間後
バレエツインズ屋上のヘリポートで飛行船内部にいる全員を降ろしていた。
さてと…。家に帰って体の調子を確かめとかねぇとな…。
『銀狐〜!行くよ〜!』
「おう。すぐ行く。」
俺はそう言ってホロウ経由で先に離脱したのだった。
数日後
俺はアキラとリンに呼び出され、RandomPlayに来ていた。
「銀狐、おはよう。」
「おはよーさん。」
「さて、2人とも。今日がなんの日か忘れていないだろうね?」
…?
「もちろん覚えてるよ、今日はレインに会うんでしょ。」
あぁ。そういやそうだった。
「…銀狐?」
「ん?あぁ、覚えてたぞ、覚えてた。記憶素子だろ?解読が早いな。」
「あぁ。さすがスーパーハッカーだ。」
「今は反乱軍の報復を警戒して、ヴィクトリア家政が用意してくれたセーフハウスにいると聞いたけれど…うまくやれてるだろうか。」
「少なくとも、お世話はちゃんと受けてるらしいな。」
実はあの事件の後、俺の店にカリンとエレンが武器を持って来店した。
あのときに話を聞いたところ、セーフハウスにとどまり、ゆっくりと過ごしているらしい。
あ、ちなみにフルメンテに6時間かかった。
本気の新品並に仕上げてやったぜ。
「でも、六分街まで私達に会いに来られるってことは、もう危ないこともないんでしょ?」
「そうだといいんだけどね。」
アキラとリンがそう言い出す。
「まぁ、何かしらあるんならヴィクトリア家政の誰かがいるだろ。ヴィクトリア家政がポンコツならこの事件解決できてねぇよ。」
「「…言えてる。」」
俺が言い出すとそう苦笑しながらそう二人が答えた。
「これで記憶素子の件についてはなんとか一段落着いたとして…。」
「パールマンが飛行船を奪って逃げてしまったから、結局ヴィジョンの裁判は延期せざるを得なくなってしまった。」
「それに、インターノットで見たんだけれど…バレエツインズの買い手は結局購入を諦めて違約金を払ったそうだ。」
「あの二体の奇妙なエーテリアスのせいか、飛行船ハイジャック事件の現場ということで無事ケチが付いてしまったからか…。どちらかはわからないけどね。」
と、アキラは冷静に状況を伝えてくる。
「まぁそんなことより、今はレインに会いに行こう。あとでクレタとグレースさんも来るからね。」
そのアキラの言葉で、俺達はレインとの集合場所に向かった。
路地裏
「おはよ、店長さんたち。約束の時間より5分早かったね。」
「元気そうだね、レイン。」
「うん。それなりに。ここ何日か、ずっと外に隠れてるんだ。でも、ヴィクトリア家政が面倒を見てくれてるから大丈夫。普通の生活に戻れるのも、そう遠くないんじゃないかな。」
「君たちのお陰で命拾いしたよ。3人とも、ほんとなんてお礼をしたら良いか…。」
「まー、レインがあの場にいたから俺達も飛行船をどうにか出来たしな。気にすることじゃねぇよ。」
レインの言葉にそう返し、それにアキラとリンは頷く。
「そういえば、今まで聞くタイミングがなかったけど…。どうしてレインはあんなことになっちゃってたの?」
「他でもない君たちに聞かれたなら、答えない理由はないね。」
「ある時はじめましての顧客から連絡があって…。提示された報酬はすごくよかったけど、具体的な仕事は中々教えてくれなかったんだよね。」
「それでしつこく聞いてたら、直接あって詳細をくれるって言うから…。」
あー、それで…。
「怪しいとは思いつつも、やっぱり報酬には逆らえなくてさ。それでついつい飛び付いちゃったってわけ。」
「なるほど…でもそれでただでは転ばないのがレインらしいな。人質になっているっていうのに、バレエツインズの屋上からSOSを出すなんて。」
そうアキラが言うと、レインは少し笑い、
「まぁ悪くない手だったかな。SOSを出したのはバレたけど…。おかげであいつらの雇い主はわたしが何を漏らしたのか知りたがった。結果的に時間稼ぎになったからね。」
と言い出した。
「あいつらの雇い主って誰だったの?」
「私もよくわからない。あの場には姿を見せないまま、電話で何度か飛行船のことを指示してたぐらい。」
「でも聞こえた限りでは…。あいつらが飛行船に手を出したのは、パールマンを消すためだったみたい。あとは『サクリファイス』がなんとかって言ってたぐらい…。」
サクリファイス…?犠牲…?なんのだ?
「『サクリファイス』?なんだい、それは?」
アキラが聞くが…。
「ごめん、それ以上のことは私も。」
と言われた。
…まぁ、つてを漁ってみるかぁ…。
「あっ、そうそうこれ…頼まれてたやつ、もう解読できたよ。」
「ありがとう、助かったよ。」
「君たちはわたしの恩人なんだから、これぐらいさせて。もちろんお金も取らないよ。」
「さっそくこの記憶素子を調べたいでしょ?今日はもう邪魔しないでおくよ。」
「またくるね。今度はビデオ屋のお客さんとして。」
「あぁ。『Random Play』はこれからも映画をお勧めしていくよ。もちろん、友達として遊びに来てくれても大歓迎だ。」
「刃物で困ったら『鍛冶屋 夜月』もご贔屓に。いくらか割り引くぞ。」
「ふふ、わかった。機会があったら行くね。」
俺とアキラの宣伝に、そう笑いながらレインは言ってくる。
「それじゃ、わたしは戻るね。」
そう言って、レインは帰っていった。
「リン、空。クレタたちがもうすぐくるはずだ。帰ろう。」
俺達はそのアキラの言葉でビデオ屋に戻った。
ビデオ屋
「プロキシ、銀狐…。お前ら、この記憶素子を解読するために、まーたとんでもねえことに巻き込まれたんだってな。」
そうクレタに詰められる。
「当ててみようか、ニコから聞いたんだろう?まぁ今回は、邪兎屋の面々も危うしといったところだったからね。」
「ま、とにかく無事で何よりだ。」
クレタがそう俺をちらっと見ながら言ってきた。
えぇ…。俺かよ。
「最近、この街もなんだかピリついてきたような気がすんだよな。あたしが四六時中あのバケモンのことを考えてるかもしんねぇけどさ。」
「ずっとこの記憶素子の中にあるモンが一刻も早く解読できたら、って思ってた。けど、いざその段になってみると緊張するもんだな。」
そうクレタはぼやく。
「大丈夫さ、おチビちゃん。この中に入っているどんなものと向き合おうとも、私達が一緒だよ。」
その言葉に、グレースがそう返す。
仲いいねぇ。
「fairy、あんたの出番だよ。記憶素子のデータを解析して。」
『かしこまりました、マスター。記憶素子内部のデータを解析中。』
『マスター、断片的な音声データが検出されました。システムのタイムスタンプは、旧都陥落前日の夜です。』
「音声データ?」
クレタがそう疑問の声で言い出す。
音声…本当にギリギリだったのか?
「fairy。その音声再生できるか?」
『肯定。』
俺の言葉にfairyはそう返し、音声データの再生が始まった。
『ふぅ…ゴホッ…。』
『どうやら…君たちを見くびっていたようだな…。ゲホッゲホッ…。』
「親父の声だ!怪我してる!」
流れた音声にクレタが反応する。
「落ち着いておチビちゃん。これはもう何年も前の録音だよ。」
『言った…ずだ。何…知らないふりを…ろと…それが、俺た…のためだと!』
『ゴホッ…。俺は父親だ…。あんな…娘の命を脅かすよう…もん…ほっとく…には…。』
『俺は…もうじき…だから、教えてくれ…。モニュメントの中のあれは一体…なんなんだ…。』
『いいだろう、そ…が最後の願い…。聞いてやる。あ…の…名前は『サクリファイス』。
俺とアキラ、リンはその言葉に驚きを隠せなかった。
「なんだって…!?」
「サクリ…ファイス…?お兄ちゃん、今、『サクリファイス』って…!?」
「言ったな。確実に。」
一体何なんだ…?
「『パエトーン』、急にどうしたんだい?3人とも…。」
そのグレースの言葉にアキラとリンが
「今日…同じ言葉を聞いたばっかりなの。」
「確かな筋から、飛行船を狙ったやつらは、パールマンの抹殺を企てていたと聞いた。」
「やつらも口にしていたそうなんだ。『サクリファイス』と…。」
と説明した。
実際何なんだ?あの重機野郎が、サクリファイス…?
確かに他のエーテリアスにはないような、取り込みを見せたが…。
まずそもそも、サクリファイスってのはなんなんだ?
「はぁ!?」
「待てよ、なんであたしたちが調べてることに、あのくそったれのパールマンが絡んできやがる!?」
クレタがそう突っ込んだ。
実際どうなってんだろうな。
「まぁパールマンに聞いてみるのが一番妥当だろ…。郊外には一応つてがある。向こうで何が起きてんのか、探ってみようぜ。」
「そうだね…!」
俺とリン、そして他の奴らもそれに同意して、今回は一度解散することになった。
深夜
「…はぁ。」
俺はパジャマをめくる。
そこには、エーテル結晶があった。
「エーテル燃料の、飲み過ぎだろうな…。」
以前の足に生えた大きなものは取り除けた。
だがこの腕の小さなもの。これに関しては取り除けなかった。
…と言うより、発見されなかった、が正しいか。
対して体に異常が見られるわけでもない…が、今回のことで、一回りサイズが大きくなった。
「…侵蝕したときの、遺書でも記録しておかないとな。」
俺はそう言いながら、少しでもそれを遅らせるため、体の中にあるエーテルエネルギーを消化するために、空へ跳ぶのだった。
空がいる世界線のゼンゼロプレイヤー掲示板
01:何あれ。
02:ほんまなにあれ。
03:重い重い。
04:空の過去がものすっごく気になるんですが。
05:分かる。
06:マジそれな。
07:運営さん、エピソードでもエージェント秘話でもどっちでもいいんで実装頼む。
08:あ、そういやまた変わってたぞ。
09:今度はなんじゃ!!
10:キレんな。今度はシステム変更だな。集結スキルを撃つ時にエネルギーがMAXだったら強化バージョン撃てるらしい。
11:例の「九尾魂炎」とかいうモード?
12:せやで。
13:空、エーテリアス化ある?
14:ありそう。
15:てかそれ前スレで話してたろ。
16:それな。というか、そんなことよりもっととんでもない事実わかったろ。
17:?
18:?
19:?
20:お前らちゃんと見てなかったな?空のホロウ内活動時間、10年っつってたろ。
21:あ。
22:言ってたなぁ。
23:すまん、ストーリースキップしてた。
24:こいつガイジだろ。
25:は?黙れガイジ。
26:ここでレスバはじめんな。スレ汚れるだろうが。とりあえず、空がエーテル燃料飲めるのはその優れた活動時間のお陰ってことか?
27:ホロウ内活動時間=エーテル耐性みたいな節あるし、そうかもな。
28:つまりエーテル燃料はひとつ飲むと大体5年分のエーテル濃度がある?それ発電に使ってるとかえぐすぎんで。
29:まぁそれなりの処理はしてんだろうさ。とは言っても、空がまさか外に繋がりがあるとは。
30:郊外の情報ってまだなかったよな?
31:一応そのはず。
32:何言ってんだてめぇら。走り屋のカリュドーンの子が郊外関係だって情報はあっただろ馬鹿。
33:うっせぇ馬鹿。じゃあ言えやくそったれ。
34:やめろっつってんだろうがガイジ共。考察勢の邪魔すんな。
35:スマソ。
36:上に同じく。
37:あとやべぇのは虚狩りに勝ってるってことだろ。
38:それな。虚狩りって確か人間の外れ値に渡される称号だろ?なんでこいつ持ってねぇんだよ。
39:隠してるからだと思われ。しかもホロウレイダーだし。
40:どーなんだろな。ただひとつ言えることは、空が自己犠牲の塊ということ。
41:周りを曇らすやつな。
42:曇らせ、いいですねぇ…。
43:うわ性癖歪んだやつがきやがった。
44:ネット民で性癖歪んでないやつとかおるん?
45:普通に考えていないだろ。
46:おい話ズレてんぞ。
47:ひとまず、空のエージェント秘話が出てきたら即視聴だな。謎が多すぎる。
48:せやな。
49:さて、キャラ育てるかー。
キャラ紹介(性能含め)欲しい?
-
欲しいに決まってんだろ!?
-
キャラ設定だけ欲しいかなぁ。
-
性能だけ欲しいわ。
-
どっちも要らねぇよばーか。
-
そんなことよりらあめん食べたい(閲覧用)