ドラゴンボールIF〜実現することのなかった戦い〜 作:星メガネ
自分が書きたくなったシーンが浮かんで、それが書き終えたら投稿します。今回に限っては既にストックがあるので全編投稿します。
そして今回のifはドラゴンボール超〜宇宙サバイバル編〜からになります。
まずは本編とは違う点をいくつか提示しておきます。
①フリーザは破壊神トッポに敗北して脱落。
②ベジータはフュージョンの流れをトランクスから聞いている。
以上になります。それではどうぞ!
究極の聖戦!其の壱
宇宙の命運を賭けた「力の大会」は、ついにクライマックスを迎えた。残る宇宙は第7宇宙と第11宇宙の二つとなり、武舞台に立つ戦士は残すところ4人。第7宇宙に孫悟空、ベジータ、人造人間17号の三人に対し、第11宇宙はジレンただ一人。
何も知らない人がこの状況を目にすれば、全員が第7宇宙の圧勝だと口にするだろう。だがこの場にいる者達のほとんどは全く逆の答えを発するだろう。
「はぁぁぁぁッ!」
「でああああッ!」
「……」
悟空とベジータ。二人のサイヤ人がジレンへ突撃し、人造人間17号が後方から援護射撃。第7宇宙が誇る最強二人を同時に相手にしても、ジレンは表情一つ崩さない。それどころか二人の連携に存在する小さな隙を突き、呼吸やリズムを狂わせながら、的確にダメージを与えていく。
痺れを切らした悟空が肉体に纏う蒼炎に紅炎を重ねる。界王拳、本来であれば超サイヤ人との併用を困難なのだが、気のコントロールを極めた超サイヤ人ブルーにのみ許された戦闘力を倍化させる技だ。
「だりゃあああああッ!!!」
「ちっ…!」
悟空は界王拳の出力を全力の20倍にまで引き上げ、ベジータとの連携攻撃を放棄し、単身でジレンへ肉薄する。17号はそのまま援護射撃を続行し、ベジータも納得出来ない表情を見せながらも、勝つためにと悟空とジレンから一度距離を取る。
武舞台に次々と起こる衝撃波、それによって砕ける瓦礫、破壊神トッポの“破壊”によって分裂してしまった武舞台を駆け抜ける悟空とジレン。そしてその二人を追いかけるように動くベジータと、絶えずエネルギー弾を撃ち続ける17号。
「フンッ!」
「がっ…!?くっ、でりゃあああ!!」
「……ッ、しつこい奴だ…」
ジレンの攻撃を正面から受け、衝撃と共にドッと気力を削がれる悟空。それでも変身を解くことなく、不屈の闘志を燃やすようにジレンへカウンター。だがその不意を突いた攻撃ですら届かない。当然のように捌かれ、戦況は確実にジレンが支配している。
「へへっ……おめぇも同じなのは知ってっけど、オラ達だって負けられねぇんだ!」
「その通りだ……カカロットッ!!」
悟空とジレンしかいなかった場に、突如として響いたベジータの声。二人がその姿を捉えると、ベジータは両手を前に向け、膨大なエネルギーを溜め込んでいた。ファイナルフラッシュ────サイヤ人の王子である彼が
ベジータのやることを瞬時に理解した悟空はジレンの“目の前”から瞬間移動で姿を消して“背後”へまわり、羽交い締めにした。その後ろには17号もおり、彼もまた同じようにエネルギーを蓄積させている。
「くっ……17号、ベジータ、撃てぇ!!」
「ファイナル…フラァァッシュ!!!!」
「くらえぇぇぇぇッ!!!!」
「……!」
悟空の声に呼応するように、放たれるベジータと17号の一撃。目前に迫った瞬間に悟空は瞬間移動で回避。3人、そして第7宇宙の面々は直撃を確信した。
だが────それでも
「フンッ!!」
「なっ……!?」
「くっ……化け物が!かあああああッ!!!」
ジレンは眼力と自身の圧倒的な気の壁で、二人の技を受け止めたのだ。負けじとエネルギーを高めるベジータと17号だが、その双璧を崩すまでには至らない。
「いいぞ、ジレン!そのまま第7宇宙の奴等を叩き落とせェ!!!」
「まだだ…!!」
勝利を確信する第11宇宙の面々。渾身の一撃が通じない事実に敗北を予期する第7宇宙。だが、武舞台にいるあの男は一切諦めを感じさせない勇敢な声を発した。
それは誰もが知る男────
「オラ達は、絶対に負けねぇ!!」
「孫悟空……!」
「波ァァァッ!!!!」
回避していた悟空が、再び瞬間移動でジレンの眼前に現れた。構えに入り溜めているのは“かめはめ波”、数多の強敵と渡り合ってきた悟空の不動の必殺技だ。20倍界王拳、そして超サイヤ人ブルーでの全力のかめはめ波が、ジレンへ放たれた。
「……!」
『はァァァッ!!!』
3人の咆哮と共に勢いを上げるエネルギーが、ジレンの双璧へ圧力をかける。それでもヒビすら入らないどころか、ジレンの気が更に膨れ上がっていく。
そして────
「こんな攻撃で、俺は倒せんッ!!はあああああああッ!!!!!!」
獰猛な雄叫びと共に、ジレンの気が爆ぜた。強烈な光が3人の技を掻き消し、そのまま3人を呑み込んでいく。
「悟空!ベジータ!」
「17号!」
破壊神ビルス、そして18号が呼び掛けるも時既に遅し。ジレンは既にその場から動き出し、悟空をベジータのいる方向へ殴り飛ばした。
この瞬間、ベジータは選択を迫られる。避ければ自分は無事だが、悟空はそのまま武舞台の外へ。受け止めれば、確実にジレンと打ち合うことになる。
「ちっ……クソッタレが!!」
「いい加減諦めろ。お前達に勝ち目などない」
「ごあっ!?」
ベジータは咄嗟に悟空を受け止め、そのまま近くの武舞台へ弾くが、その間を逃すジレンではない。ジレンの拳がベジータを捉え、悟空が落ちた武舞台へ吹っ飛ばした。
武舞台へ落ちた悟空も、たった今殴り飛ばされたベジータもついに限界を迎えてしまったようで、変身が解けてしまった。ジレンは冷酷な表情で武舞台の柱に降り立ち、両手を前に構え、自身の力を形として形成する。
「お前達が武舞台から落ちれば、もう全てが終わったと言ってもいいだろう。もう一人はどこかに行方をくらましているが、勝ち目はない」
「くっ……!力が…」
「ここ、までか……!」
「己の力の無さを恨め。サイヤ人よ」
ジレンは獄炎とも言える赤黒い光球を放った。その小さくも膨大なエネルギーを内包した気弾が少しずつ悟空とベジータへ迫る。二人がいる地面のすぐ下は奈落の底。落ちれば瞬く間に観覧席へと一直線。そして第7宇宙の戦士は17号のみとなり、事実上の敗北を意味する。
悟空とベジータはその場で立ち上がるも、既に満身創痍。超サイヤ人ブルーどころか、変身する気力すらない状態だ。だがそれでも二人のサイヤ人に諦めるという文字はない。向かってくるエネルギー弾へ手を伸ばす直前────
「はぁぁぁぁッ!!!」
────17号が間に入り、自分自身とエネルギー弾の間にバリアを張った。絶対に止めると言わんばかりに、更にバリアを何重にも張る17号。
「その諦めない姿勢だけは褒めてやる。だが無駄な抵抗だ!!!」
「…!?ぐぅぅぅッ!!」
ジレンが力を込めると、バリアがあっという間に一枚二枚と割られていく。それに対抗するように17号はバリアを再設置。だがジレンのエネルギー弾の勢いは止まることを知らない。無限なのかと錯覚するくらいに上がり続ける。
「17号。おめぇ……」
「時間稼ぎ、のつもりか……」
「第7宇宙は、生き残る。必ず……!」
17号に守られる形で立つ悟空とベジータ。17号が二人を少しでも回復させるために時間を稼いでいることを知った二人は、全く敵わないジレンを相手に自身の力の無さを悔いていた。
「……身勝手の極意さえ、発動出来れば…!」
一度目のジレンとの激戦、そしてケフラとの戦いで目覚めた身勝手の極意。それは破壊神でさえ到達することが難しいとされる神次元の極地とも言える領域。今の自分の力ではなく、その微かな可能性に頼ることになるのが、悟空としては悔しいのだ。無論、それが発動出来たとして、ジレンに勝つ事ができるかはまた別の話だが。
「……カカロット」
「!な、何だよベジータ」
「……悔しいが、今の俺達ではどうやってもジレンには勝てん。貴様もそう思うか?」
「あぁ……悔しいけど、オラ達じゃ勝てねぇ。あんなに強え奴は初めてだ。けどよ、だからって諦めるわけにはいかねぇ。今のオラ達には、第7宇宙の全てが託されてんだ」
「……その通りだ……カカロット」
ジレンの言う通り、ここで悟空とベジータが落ちると、残るは17号のみ。そうなるともう第7宇宙に勝ち目はほぼないに等しいだろう。それだけ悟空とベジータは第7宇宙の中で一線を画す強さを誇る。そんな二人が全く敵わないジレンは、もう破壊神をも超える強さに至っているのかもしれない。
悟空の回答を聞き、ベジータは何か覚悟を決めたような表情で悟空からある程度の距離を取った。その意味を瞬時に理解した悟空は、念の為とベジータに問い掛けた。
「ベジータ……おめぇ、まさか……」
「……言ったはずだ。勝つためなら何だってやってやると。
フュージョンするぞ。カカロット」
フュージョン────それは第7宇宙のメタモル星人に伝わる秘術。二人の戦士が左右対称で特定のポーズを取り続ける必要があり、体格や気の大きさがある程度同じでなければならない。そもそも悟空との合体を嫌っているベジータが、譲れない理由はあれど自分からフュージョンを悟空に伝えたのだ。それに対して悟空はベジータの覚悟の強さを感じ取った。
「……へへっ」
「何が可笑しい!さっさと準備しやがれ!」
「いや可笑しいんじゃねぇ。嬉しいんだ。こんな状況とはいえ、おめぇからフュージョンするぞなんて言葉が聞けるなんてよ」
「……フンッ」
「最高だぜ。ベジータ」
宇宙の運命、そして互いに絶対に守りたいものがある。それ等のためにベジータが合体を決意したことに、悟空は嬉しさを覚えたのだ。
悟空はそれだけ伝え、ベジータと同様に距離を取る。そして左右対称に同じポーズをした。気はすでにお互い満身創痍であることもあり、ほぼ同じだ。そしてその一連の動作を誰よりも知っているピッコロとクリリンは、二人がしようとしていることをいち早く理解した。
「まさか、あいつ等…!」
「確かに、ジレンに勝つにはもうそれしかない…!」
「ピッコロさん、クリリンさん、父さん達は一体何を…?」
「ここで口にするわけにはいかん。第11宇宙に情報を与えてしまう。だがよく見ておけ悟飯。勝負はまだ終わっていない」
第7宇宙の最後の賭けと言ってもいいこの局面。ジレンの攻撃を必死を抑える17号を前に、意を決して悟空とベジータは動き出す。
「フュー……!!」
第7宇宙で帰りを待つ仲間たちの為に。
「ジョンッ!!」
最後まで生き残り、己の望みを叶えるために。
「はっ…!!!」
二人のサイヤ人がその指を合わせ、そして心を合わせた。
放たれる極光は第7宇宙の最後の希望。幾度となく地球を守ってきた二人のサイヤ人が一つとなり、無の界に奇蹟のパワーを響かせていく。
「ジレン!さっさと奴等を落とせェ!!!」
「…ッ!!かあああああッ!!!」
何かを感じ取った第11宇宙の破壊神ベルモッドがジレンへ叫ぶと、ジレンは今以上の力を解放し、一瞬で17号の幾重ものバリアを消し飛ばした。
一方で極光はいつの間にか白から金へと変わっていた。それはこの果てを感じさせない光の中に、戦いの歴史を新たに塗り替える超戦士の誕生を示しているようだ。
「……!」
超戦士は認識すらさせずに17号とジレンのエネルギー弾に割り込み、気を込めた右手でそれをあっさりと受け止め、左手で深いダメージを負っている17号を優しく武舞台の外へ押し倒した。いくら永久エネルギー炉を内蔵した人造人間とはいえ、ダメージはある。その復帰にかかる時間、そしてその間に始まる超激戦に巻き込まれてしまうことを防ぐための行動だろう。
超サイヤ人に変身した事で金に輝く髪と翠の瞳、光の粒子を上げながら揺らめく黄金色の炎。フュージョンを編み出したメタモル星人の黄色の民族衣装を身につけている。
「人造人間17号さん、脱落です。そして孫悟空さんとベジータさんの合体を確認しました。よって彼の落下をお二人の脱落とします」
「あいつ等、合体なんて出来たのか……。しかし、ポタラを無しにどうやって…!」
「あれはメタモル星人のフュージョンという技ですよ。ビルス様。とはいえまさかこの土壇場で、それを成功させるとは。この勝負、まだもう一波乱ありそうですねぇ」
淡々と状況を説明する大神官。そして悟空とベジータの合体に驚きを隠せない破壊神ビルス、そして戦いの行方を楽しむ天使ウイス。第7宇宙の存亡は、一人の
睨み合うゴジータとジレン。たったそれだけで大気には稲妻が迸り、観覧席にまで異常なほどに緊張感を走らせる。
「合体か…。くだらん。お前達が何をしても、俺には勝てん」
「そいつはどうかな…?フュージョンによって生み出される力は、お前が思っているほど単純なものじゃないぜ」
そう言うとゴジータは一瞬で消え、悟空とベジータ一人一人では到底出し得ないスピードとパワーでジレンを柱から弾き飛ばした。
ジレンが初めて小細工なしの真正面からまともに攻撃をくらったという事実に驚愕する第11宇宙。対して第7宇宙は、勝利への希望を感じていた。
「な、俺の言った通りだろ?」
「……確かに想像以上のパワーとスピードだ。だが……!!」
ジレンから獄炎のような気が放たれた。それによる衝撃波が武舞台の瓦礫を吹き飛ばしながら、神々でさえ怯んでしまうような圧力と共に無の界へ襲い掛かる。
「凄まじい気が、ジレンに集中していく…!」
「当然だ!例え合体戦士が相手だとしても、ジレンに敵うはずがない!」
「ジレン…!」
ゴジータを前にしても、見劣りしないジレンの脅威的な力。確実に全宇宙でトップクラス、それも一番と言っていい程の力を内包しているだろう。だがそれを前にしてゴジータが驚くことはなかった。
「合体、信頼によって生まれた力なんぞに、俺は負けん!」
「ならその力で証明してみろよ?この力の大会、勝つのは俺達第7宇宙だ!」
最強vs究極。極限にまで鍛え上げられた個の力と、手を取り合うことで誕生した力。48分と短いようで長かった力の大会の最終戦が、ついに幕を開ける!!
というわけで、宇宙サバイバル編が放送されている当時から考察されていたゴジータvsジレンの開幕です。
かなりの駄文ですが、アニメ版や漫画版とも違う“究極の聖戦”を楽しんでいただけると幸いです。
次回は2月16日更新予定です。