ドラゴンボールIF〜実現することのなかった戦い〜   作:星メガネ

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あらすじにもありますが、完全不定期の作品です。
自分が書きたくなったシーンが浮かんで、それが書き終えたら投稿します。

今回のifはスーパードラゴンボールヒーローズ〜時の界王神編〜からになります。本来であれば孫悟飯と戦うのはトランクスでしたが、アイオスの好奇心から悟空に変化しています。


スーパードラゴンボールヒーローズ〜時の界王神編IF〜
時空を超えた親子対決!前編


 先代時の界王神アイオスによって、突如として開催された超時空トーナメント。それは様々な時空から選定された戦士達が集い、一番強い戦士(ヤツ)を決める大会。だがその真の目論見はアイオスによる時空そのものの選定であり、敗北した時空は即座に消滅してしまうというものだった。

 

 第一回戦を突破した悟空、ベジータ、悟飯、ピッコロ、ジレン、ヒット、ヤムチャの7人と二つの時空の戦士達は、アイオスによって集められた黒衣の戦士よりこの真実を告げられた。そしてそのまま第二回戦へ突入するかと思われたが────

 

 

「本当に時空を…!大勢の人を消し去ってしまうなんて!アイオスはどこだ!?時の巻き物は返してもらうっ!」

 

 

 ────時空の消滅を防ぐために戦士として参加していたタイムパトローラーであるトランクスが、超サイヤ人ゴッドへ変身して動き出した。

 

 

「……相変わらずせっかちだな…」

 

 

 そしてそれを鎮圧するために一人の黒衣の戦士が漆黒の気を放つ。その会場に広がる気はトランクスの超サイヤ人ゴッドにも劣らない凄まじいもので、壮絶な打ち合いが始まった。

 

 

「この気……違和感はあっけど、間違いねぇ…!」

 

「お前も気づいたか。奴の動き……あれは、まるで…!」

 

「なんで…おめぇが……っ!!」

 

 

『ふふふ。二人…いや三人か。悪いけど、場外乱闘はここまでだよ?』

 

 

 二人の戦いに割り込む形でアイオスが会場へ降り立ち、そのまま指パッチン。その瞬間、戦っていたはずの黒衣の戦士とトランクスは元いた場所に転送された。“三人”というワードに疑問を持ったトランクスが周りを見渡すと、悟空が鋭い目つきで黒衣の戦士を見つめている姿があった。

 

 事態を鎮圧させ、自らの名を名乗ったアイオスが第二回戦の始まりを宣言すると、戦士達は各エリアへ転送された。

 

 

「このままトランクスとぶつけるのもいいけれど、僕が君の望みを叶えてあげよう。孫悟空……」

 

 

───

 

 

 悟空、そして“隻腕”の黒衣の戦士が飛ばされた場所はパオズ山を模したエリア。空、清流、木々といった自然が構築されているが、存在している生命(いのち)は二人のみ。これも存分に戦えというアイオスからの善意なのだろう。

 

 第二回戦の突破条件は各エリアにいる黒衣の戦士を倒して金色の妖精を奪還し、中央の選定の間にいるアイオスに渡す事だ。

 

 

「まさか、ここに飛ばされっとはな。これもオラとおめぇだからってことか」

 

「……」

 

「時空は違ぇけどよ。オラもチチも、悪ぃ奴に手を貸すような奴に育てた覚えはねぇぞ?

 

 

 

 

 

 悟飯!」

 

 

 正体が見破られると、黒衣の戦士はその黒いオーブを脱ぎ捨てる。そこには灰色のインナーの上にゴクウブラックのような黒い武道着を着た“隻腕”の孫悟飯が立っていた。

 

 

「俺もまさかあなたと戦うことになるとは思わなかった。だけど俺の強さを証明する相手として、あなた以上の相手はいないのかもしれない」

 

「何……?」

 

「俺は、弱かったが故に全てを失った。あなた達が守ってきた世界、仲間、家族、そして戦う意味さえも……!!」

 

 

 悟空のいる世界線に未来からトランクスが来たのは、孫悟飯が人造人間から守りながら鍛え抜いたからだ。だが今ここにいる孫悟飯はそれ等を守り抜く事が出来ず、自分だけが生き残った。自身の原動力となっていた守るべき存在を失い、悟飯は真の意味で孤独となったのだ。

 

 そしてそんな悟飯をアイオスは“歴史の軸から外れし者”として仲間に引き込み、暗黒ドラゴンボールを媒体に呼び出した暗黒神龍に限界を超えた力を授けるよう願ったのだ。

 

 

「アイオス様は、そんな俺に暗黒ドラゴンボールで力を授けてくれた。この力で…オレは自分の強さを証明する!!それだけが、今の俺の生きる意味だ!!」

 

 

 悟飯から黒い気が溢れ出した。それは暗黒ドラゴンボールにあった底知れぬ邪悪さを体現しているようだ。

 

 悟空は自ら強く力を渇望する悟飯の見た事も想像したこともない姿を見て、何処か複雑な表情で瞳を閉じた。一人の“武道家”としては嬉しい限りだ。だが子供の頃からの夢である学者になり、父親として家族を持って幸せに暮らしている悟飯も知っている“父親”としては、こんな未来を辿ってしまっている悟飯に悔しさを感じているのだろう。

 

 

「……そうか。だけどよ、人から貰った力で強くなった気でいるようじゃ、オラには勝てねぇぞ…っ!!」

 

 

 覚悟を決めて瞳を開けた悟空は、気を解放して超サイヤ人2へと変身した。黒髪が金色に染まり逆立ち、瞳は鮮やかな翡翠色に。黄金の気に蒼電が迸り、かつて孫悟飯が至ることのなかった超サイヤ人の壁を超えた力が目の前に顕現した。

 

 そして孫悟飯は瞬時に理解した。その力があれば、自分達を嫌というほど苦しめた人造人間を簡単に倒せただろうと。

 

 

「まさか…超サイヤ人の先にそんな力が……いや、今やそんな事はどうだっていい。俺にはこの力がある…!!時空は違えど、俺は今ここであなたを超えるっ!!」

 

「こい!悟飯っ!!」

 

 

 ついに時空を超えた親子対決が始まった。二人の姿が消え、壮絶な打ち合いへ。衝撃が木々を揺らし、大気を震わせていく。最初の打ち合いを制したのは悟空だった。悟飯を地上へ叩き落とし、瞬間移動で落下地点へ先回り。反撃を許さずに蹴り上げ、更に追撃しようと接近したところで悟飯が気を爆発させて気合砲。腕をクロスさせて防ぐも、悟空は大きく吹き飛ばされてしまった。

 

 次はこちらの番だと言わんばかりに悟飯が加速し、体勢を整えたばかりの悟空を殴り飛ばした。超スピードで追いついて足を振り上げ……るが悟空は瞬間移動で回避。悟飯の背後をとって拳を振るうが、悟飯はそれをくらいながらも反応して自身も拳をぶつけた。クロスカウンターとなり互いに吹っ飛んでいく。

 

 

「へへっ……だりゃあああ!!」

 

「ぐっ…はぁぁぁっ!!」

 

 

 間を置くことなく二人は再び動き出す。木の幹に着地したと同時に超速で姿を消し、力をぶつけ合う。黒と金の閃光が何度も弾け、パオズ山エリアの木々が消し飛んでいく。悟飯は悟空の拳を避け、手首を掴んでその体ごと引き寄せる。そしてがら空きになった腹部へ脚を突き刺して真下へ突き飛ばした。

 

 荒く着地した悟空へ肉薄して三度目の肉弾戦へ。悟空は自身の右頬すれすれを狙った悟飯の攻撃を回避してがら空きになった左側を攻撃しようとするが、伸ばした腕を戻す際の肘打ちが読めずに直撃。よろめいた悟空の胸部を悟飯の拳が強く打ち抜いた。

 

 

「ぐっ……!片腕の動きがいまいち掴めねぇな」

 

「休む時間は与えないぞっ!!」

 

「そんなつもりなんかねぇさ!」

 

 

 後退する悟空に一気に詰め寄る悟飯。衝撃波が深林を切り裂き、力の余波によって灰と化す。悟空の拳が悟飯を捉え、打ち飛ばした。続けて気弾での追撃を放つ中、悟飯は体勢を整えるために木の幹へ着地。黒い気を解放し、前に進みながら悟空の気弾を避けていく。

 

 そして再びぶつかり合う拳。超高速で動き、打ち合う二人によってパオズ山の大地はどんどんと崩れていく。だがここはあくまで数ある空間の一つであり、現実世界のパオズ山には全く影響は出ないのだが。

 

 

「神龍のやつ、とんでもなく強くしやがったな…」

 

「俺の力は、まだまだこんなものじゃない…っ!」

 

「なら、まだまだついてこれっだろ?お互いに(りき)上げて、続けようぜ…?」

 

 

 悟空の金色の気が更に激しくなる。すると髪が少しずつ伸びていき、腰の辺りで止まる。眉毛も見えなくなり、まるで悪人のような鋭い眼光が悟飯を威圧した。超サイヤ人3……超サイヤ人の壁を超え、超サイヤ人2をも超越した姿。

 

 悟空のあまりの変化に驚く悟飯だが、それもほんの一瞬。悟飯はそれに応えるようにより強く漆黒の気を解き放った。その力は、悟空の時代に生きる孫悟飯を遥かに上回っている。

 

 

「凄ぇ気だ…。だけど、おめぇまだ本気隠してんな?」

 

「それはあなたも同じでしょう?この戦いで必ず引き出せてみせる。そして、その力を俺が超える!」

 

「そいつはどうかな?オラだってそう簡単に勝たせるつもりはねぇぞ?」

 

 

 少し言葉を交わし、再び二人は動き出した。先程よりも強い力でぶつかり合い、衝撃波が吹き荒れる。片方が捉えれば、負けじともう片方が打ち抜く。互いに譲れない乱闘の果てに、悟飯が悟空を打ち飛ばした。

 

 超サイヤ人3の長髪をはためかせながら着地した悟空の前に悟飯が肉薄する。しかし悟空は追撃を簡単には許さない。瞬間移動で背後へまわって突き飛ばした。

 

 

「今度はオラの番だ…っ!」

 

「そうはさせない…!!」

 

 

 悟空が気を解放して加速。対する悟飯も体制を整えて再び臨戦態勢へ。二人は縦横無尽に駆け巡り、ぶつかり合う度に金と黒の光がパオズ山エリアへ弾けていく。

 

 ぶつかり合った拳を中心に巨大なクレーターが出来、その衝撃で二人は吹き飛ばされ、互いに態勢を整えて向かい合った。

 

 

「おめぇ、暗黒ドラゴンボールでどんだけ強くなったんだ…?変身もしねぇで超サイヤ人3についてくるなんてよ」

 

「この強さ、父さんには邪悪な力に見えますか?」

 

「あぁ…。オラもピッコロも、おめぇから邪悪な気を感じる事になるなんて思ってなかったさ」

 

「やはり二人は、俺とトランクスが戦っていた時から気づいていたんですね…?」

 

「当たりめぇだ。時空は違うけどよ、おめぇは孫悟飯だ。オラとピッコロが気づかねぇわけねぇだろ?」

 

 

 家族である悟空と、かけがえのない師であるピッコロ。二人はこのトーナメントが始まる前から、黒いオーブの男の正体が悟飯だと気づいていた。

 

 邪悪な力、悟飯の肉体から漆黒の気が再び解放される。それは暗黒ドラゴンボールによる強化が施された事で悟飯に顕現した力であり、元は人造人間17号と18号に勝てなかった悟飯をここまでに強くさせたのだ。

 

 

「俺は…決めたんだ。全てを賭けて護りたい者達のためになら、悪魔にだってなってやると…!」

 

 

 悟飯が悟空へと肉薄する。全力の一撃が振るわれるが、悟空はそれを真正面から受け止めた。衝撃波が強く吹き荒れ、クレーターとなった大地が更に抉れていく。

 

 

「それが、おめぇの体を壊す事になったとしてもか…?」

 

「それで大切なものを護りきれるならっ!はあああああッ!!!!」

 

「……っ!」

 

 

 勢いを増した悟飯の拳が、悟空を吹き飛ばす。悟飯は態勢は整えさせないと言わんばかりに加速。黒い気を激しく噴出させながら、激しい追撃を悟空へと打ち込んだ。上空へと打ち上げられた悟空は、気を周囲に放つことで勢いを殺し、迫りくる悟飯を迎撃する。再び衝突する超サイヤ人3と暗黒ドラゴンボールによる力。目にも留まらぬ攻防の末、競り勝った悟空の拳が悟飯を打ち抜いた。

 

 

「今度はオラの番だ…!」

 

「くっ……!」

 

 

 吹き飛んでいく悟飯の背後へ瞬間移動し、横腹へ鋭い蹴りを捩じ込む。大地へと落ちていく悟飯を追いながら、気弾による追撃。先程の悟空と同じ方法で態勢を整え、悟飯は正面から気弾を弾いていく。ある程度弾いて生まれた一瞬の余裕を見逃さず、今度は悟飯が気弾を連射する。気弾同士がぶつかり合い、爆煙が辺りへ広がる。

 

 悟飯はこの状況で動かず、あえて瞳を閉じる。それはこの戦いを諦めたわけでは一切なく、次に悟空がとる行動を予測しているのだ。悟空の瞬間移動は、点から点への移動。そしてその移動の間に、空間に微かな空気の乱れが存在する。それを一寸の間違いなく感じる事が出来れば、悟空がどの位置に現れるかを予測出来る。

 

 

「……そこだっ!!」

 

「!?がっ……!?」

 

 

 そして悟飯はそれをやってのけた。背後へと現れた悟空の腹部へ強烈な一撃を叩き込み、大きく吹き飛ばした。そこへ気弾の追撃、しかも先程よりも更に激しい勢いで。悟空の吹き飛ばされた方角が、瞬く間に爆煙で埋め尽くされた。

 

 悟飯は冷静にその場を見つめる。あの男が、孫悟空がこの程度で倒れるはずがないと確信しているのだ。孫悟飯が誰よりも強く憧れたその背中は、その存在は。

 

 

「やっじゃねぇか…。今のは効いたぞ…!」

 

 

 爆煙の中から、孫悟空は姿を現した。だがその姿は先程までの強大な気を放っていた超サイヤ人3ではなく、ただの超サイヤ人へと戻っていた。

 

 

「……?何故変身を解いているのです?」

 

「へへっ。超サイヤ人3は、どうしても体力の消耗が激しくてな。このまま()っても、ただ体力を無駄に使っちまう。だから……!」

 

「……!」

 

「もう一つ、(りき)上げっぞ!」

 

 

 悟空の体から、再び金色の気を燃え上がる。だが超サイヤ人にはならない。その炎のような気は陽炎のようにゆらりと揺れながら、徐々に金から赤へと変化していく。悟飯はその変わり様を見て、悟空がこれからなる姿を予測する。

 

 

「(あの色、トランクスが変身していた姿と同じだ…。あれも超サイヤ人なのか…?)」

 

「……はっ!!!!」

 

 

 ここに飛ばされる前、トランクスが変身していたあの姿を思い出す。煌々とした赤い髪と瞳、荒々しさを感じさせない穏やかなオーラ、そして自分には感じ取れない気。

 

 悟空が更に気合いを入れると、赤いオーラが悟空の体へと入り込んだ。赤い光の膜へと変わったそれは少しずつ崩れ落ち、変身を完了させた悟空が姿を現した。その時、悟飯は瞬時に理解する。同じ姿でも、練度がトランクスとはあまりにも別格だと。

 

 

「(気を感じない…。それなのにこのプレッシャー…!)」

 

「これが超サイヤ人ゴッドだ。神の次元に、おめぇはついてこれっかな…?」

 

「超サイヤ人、ゴッド…。どんなに姿を変えても、俺は負けない…っ!!」

 

 

 超サイヤ人ゴッドとなった悟空を前に、負けじと悟飯も漆黒の気を解放する。悟飯が挑むのは神の次元。それも自己流で練度を上げてきたトランクスとは違い、正真正銘の神の下で修行を行っている父との戦い。互いの時空は違えど、親子の戦いは次のレベルへと上がっていく。




「時空は違ぇけどよ。オラもチチも、悪ぃ奴に手を貸すような奴に育てた覚えはねぇぞ?悟飯!」

 このセリフを悟空に言わせたかった。GTのベビー編、ベビーに寄生されて敵になった悟天の背後からの攻撃を全て捌き切った後に悟空が放ったセリフのオマージュです。あのセリフ、大好きなんですよね。
 あと流石にトランクスの超サイヤ人ゴッドよりも、悟空の超サイヤ人ゴッドの方が強いよね?流石にね。

 後編に関しては書き進めてはいるものの、まだ未定です。気長にお待ち下さい。
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