暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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4、刈り取るべき相手

あたしは手をかざして、溜まりの辺りを確認する。ついでにタオにも座標を集めて貰った。

 

いる。

 

デカイ奴が。

 

確かに、ネメドで交戦した奴と大差ない。

 

それより問題なことがある。デカイ奴と一緒にいるのは、あれは。

 

神代鎧だ。

 

数体が警護に就いているというよりも、周囲を警邏しているようだ。達人並みの武術を振るうからくりである。

 

警邏くらいは出来ると言う事だ。

 

しばし距離を取って観察する。

 

まずいな。

 

それだけが、言葉としてでた。

 

何がまずいというと、あの神代鎧、数体だけだとは思えない。多分相応の数がいるはずだ。

 

それだけじゃあない。

 

彼奴らは人間との戦闘を前提にして作られている上に、そもそもとして今までの戦闘でも、散々手傷を受けた。

 

あれと同時に超ド級の魔物と戦うのは無理だ。

 

それこそ例のメイドの一族の戦士を十数人つれて来て共闘して、それでも死者を出す覚悟が必要になる。

 

問題はそれだけじゃない。

 

あの神代鎧が警邏についているということは。

 

彼処には、多分神代の遺跡がある。

 

だとすると、更に敵の増援がある可能性も捨てきれない。

 

これは、まずいな。

 

状況からして、レントら四人は戦闘に参加できない。神代遺跡で交戦した神代鎧は、フルメンバーでも苦戦する相手だった。

 

今は相手の動きをある程度読めると言っても、少なくともマスクが無事なまま戦える保証は無い。

 

もしマスクをやられたら。

 

一瞬でアウトだ。

 

毒ガスというのはそういうものだ。動きが鈍った状態で、超ド級の魔物と、神代鎧を相手に生き残れると考えるほど、あたしは頭が花畑じゃない。

 

だとすると。

 

まずは、誘引だな。

 

地形を読む。

 

地形には色々な読み方がある。あたしも色々自分で勉強しているし、実践でも試しているのだが。

 

此処は敵を迎え撃つには丁度良い。

 

この辺りだったら毒ガスもない。

 

ただ、此処では坂道だ。多数を同時に相手にするのはちょっと難しいかも知れない。神代鎧がどう動くかも分からない。

 

超ド級の魔物を確実に釣る事が出来れば、分断して戦闘を行えるのだが。

 

考え込んでいると、タオが来る。

 

「どうしたのライザ」

 

「敵を此処に分断して誘い込めないかなって思って」

 

「厳しいよ。 あの神代鎧、前に戦った時もの凄く感知が鋭かった。 クリフォードさんほどじゃないにしても。 魔物にしたって、のこのこ縄張りから出てくるとは思えないよ」

 

「分かってる。 あたしの最大火力をぶち込んでも、多分倒し切れないよねえ」

 

それどころか、遺跡を全損させかねない。

 

それは悪手だ。

 

溜まりそのものも、破壊するわけにはいかないのだ。どうにかして、それぞれを引き離し、ついでに撃破出来ないものか。

 

一度距離を取り、皆で相談する。

 

敵の数は出来るだけ削り取りたいし、あの超ド級の魔物、空間操作魔術くらいはつかってきかねない。

 

大型の魔物は魔力の出力が高いケースが多い。ネメドでそれは思い知らされたし、あの時よりも戦力が充実していると言っても、とてもではないが油断なんか出来る相手ではないのだ。

 

例えば、あの超ド級の奴を瞬殺して、残りから逃げながら誘引するとか。

 

いや、空間切断系の魔術をアンペルさんが叩きこんでも、同格の魔物は倒れる気配もなかったのだ。

 

アネモフラムを食わせて爆破するとか。

 

いや、ピンポイントで食わせる方法がない。二戦目のフェンリルの時は、相手の動きを読んでいたから出来たのだ。

 

タオとリラさんが、色々案は出してくれるが。

 

どうにも決め手になるとは思えない。

 

カラさんが、提案してくる。

 

「ふむ、では手数は減るが、あの毒ガスを一時的に吹き飛ばしてしまうのはどうか」

 

「カラさんの大魔術でですか? しかしどうせすぐに湧いてきますし、短時間で倒せる相手ではないですよ。 それにそもそも、あのデカブツと鎧を同時に相手にしたら、多分勝ち目はないです」

 

「意外と現実的に考えよるのう。 今までに幾度もフィルフサの群れを滅ぼしているだけの事はあるわ」

 

「ありがとうございます。 ただ……今回はどうしたものか」

 

セリさんが挙手。

 

手があると言う。

 

「あの大きい奴を拘束するだけだったら、出来るかもしれないわ。 ただし、それほど長時間は無理だけれど」

 

「……カラさんが風で毒ガスを飛ばし、セリさんが大物を拘束する。 大物を最大火力で倒し切れれば、神代鎧だけを相手に出来るかもしれないですね。 ただ……」

 

超ド級の魔物は警邏を続ける神代鎧を警戒している様子がない。

 

神代鎧も、魔物を排除する動きを見せない。

 

つまりあれは、番犬とみて良い。

 

ピンポイントで番犬を狙ったとしても。

 

確定で神代鎧が割り込んでくるだろう。

 

まだ一手足りない。

 

悩んでいても仕方がない。いずれにしても、もう夜だ。一度戻って作戦を立て直す事にする。

 

サルドニカを巻き込んだ危機だ。

 

やはり全員で連携して対処に当たりたいし、もう少し敵と戦うための案を練り上げて行きたい。

 

負けたら死ぬのだ。

 

そしてそうすれば、神代のカス共が野放しになる。

 

そうはさせないためにも。

 

確実に勝つために、戦略をしっかり練らなければならなかった。

 

 

 

(続)







最悪の事態発生。

よりにもよって超ド級の魔物の随伴歩兵として神代鎧が出て来ています。

神代の遺跡があるのは確定ですが。

これは昔で言うと随伴歩兵つきの重戦車。今でいうならドローンによる航空支援と砲撃支援ありの装甲車両を相手にするようなものです。
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