暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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ライザの活躍で超ド級魔物を倒した東の地の侍衆ですが。

そもそもこの地は超ド級がまだまだいる悪夢の地です。

この地に暮らしている百戦錬磨の侍達ですら、百年に一度倒せればいい相手。

本来超ド級はそういうレベルの魔物なのです。


巨獣来たれり
序、二條に迫る影


各地から侍が集まってくる。二條に迫っていた大鬼「牛鬼」をあたしが倒した事を聞いたのだ。ここぞ攻勢の好機と、征夷大将軍は考えたらしい。同時に、負傷者も集められる。あたしは即座に、義手や義足。更には薬の量産に取りかかった。

 

実はあたしは最初速攻を考えていたのだが。この人数が来ているということは、征夷大将軍は本気で勝ちを考えていると言う事。

 

更には、先に負傷を回復出来る人員がいるなら。

 

あたしがいるうちにどうにかしておきたいというのもあるのだろう。

 

ならば出立は遅らせて、まずは手足を失った人の補助からだ。やはり各地で魔物がかなり活性化しており、子鬼相手にも手を焼いているようである。

 

それに、今回の首魁である「ベヒィモス」なる奴はまだ出て来ていない。

 

此奴は以前も何度か災厄をもたらしたらしいのだけれども、とにかく見た人間が生還していないので、詳細がわからない。

 

今回、あたし達がいるこの時が好機だ。

 

一気に奴を倒して、少なくとも数十年の平和を作る。それが、征夷大将軍の考える事であるらしい。

 

書状でそれを知らされたあたしは、ありだと思う。

 

アーミーと比べると数は少ないかも知れないが。この人達の武芸は、千数百年も続く神代との戦いで磨かれたもの。

 

その武が、神代に打ち克とうというのなら。

 

あたしは幾らでも手助けをする。

 

一旦出立は遅らせて、あたしは後方のアトリエのある丸根砦にさがると、北の砦の守将である姉小路さんに告げて、怪我人や手足を失っている人をこっちにまわして貰う。あと、攻撃はまだ控えるようにも頼んだ。

 

すぐにくる。

 

長い戦の年月だったのだ。

 

クーケン島の周囲にも恐ろしい魔物はわんさかいたが、此処のに比べると子ウサギも同然。

 

とにかく、片っ端から義手義足を作っていく。

 

中には幼い頃に手足を欠損して、大人になってから侍大将になった人もいた。隻腕だとかろうじてそれが出来るようだが。片足がない場合はそれは出来ず、棒をそのまま足代わりにして、どうにか歩くくらいしかできないようだった。

 

やっぱり戦闘では足の方が大事か。

 

人間は他の生物に比べて、持久力と回復力、それに投擲能力で優れているとタオが言っていた。

 

まあそれでも正直それらは誤差の範囲内で。

 

実際には集団戦と武器の力が、古代クリント王国までは魔物に対する優位を構築していたのだろうが。

 

それを失った今は、強みなんて圧倒的な力の前に押し潰されるだけなのが現実というわけだ。

 

悲しい話だが。

 

しかしながら、それもまた現実。

 

とにかく、片っ端から義手義足の図面を起こして貰い。

 

セリさんには薬草を。

 

クラウディアとボオスには交渉ごとを。

 

タオはパティと組んで周辺の座標集めを。

 

更にはクリフォードさんには伝令を務めて貰う。

 

他の皆は医療の支援と、更にはトラベルボトルに入っての素材集めを頼む。

 

丸一日、そうして負傷者の手当てと、義手義足の調合を実施。

 

どうにかそれで一段落はしたが、まだまだ侍は各地から集まって来ているようである。

 

今回は敵の攻勢の規模が大きく、各地の集落や街から、一線級の戦士はあらかた集めているようだった。

 

敵の攻勢規模が大きいと言う事は。

 

敵を撃退すれば、相手に尋常ならざる被害を与えるからだ。

 

今までも大規模な戦いに勝利した後、北の地の魔物は数十年単位で大人しくなることがあったらしい。

 

数十年力を蓄え人材を増やすためにも。

 

皆、命を賭けるつもりで来ている訳だ。

 

彼等を一人でも生きて故郷に戻すためにも。

 

あたしは、最前線で敵と戦う。

 

重傷者は来なくなってきた。後はノウハウを共有した薬師や回復術の使い手に薬を引き渡す。

 

バレンツからも、定期的に薬を持ち込むように既に交渉は終わっていると言うと。薬師も巫女と呼ばれる回復術使いも、喜んでいた。

 

ただそもそも、こんな悲劇は最初から無くさなければならない。

 

あたしも、神代の最悪の置き土産共に。

 

可能な限り、引導を渡すつもりだ。

 

朝起きて、体を動かす。野戦病院というべきか。ともかく怪我人達は、もうある程度落ち着いているし。

 

義手義足はどれもしっかり馴染んでいる。

 

パティとならんで体を動かしていると、クリフォードさんが来る。確か伝令に出て貰って、帰ってきていなかったが。

 

様子からして、かなり状況が緊迫しているようだ。

 

「ライザ、皆を起こしてくれ。 急いで朝飯を食った方が良い」

 

「分かりました」

 

理由を聞くのは後だ。

 

勘違いされている事があるが、斥候は基本的に熟練者がやる。相手の数や戦力を見極め、更には生還しなければならないからだ。

 

クリフォードさんもそんな熟練者の一人である。

 

それが此処まで言うのは、余程の事だ。

 

まずは皆を起こす。

 

クラウディアも、すぐに食べられる温かい料理を作り始めてくれた。

 

それで、まずは話を聞かせて貰う。

 

クリフォードさんは、いきなり場に爆弾を投下していた。

 

「例の悪魔野郎だ」

 

「!」

 

「間違いない。 もう北の砦から出た斥候が何人もやられてる。 あやめってあの腕利きがどうにか生還してその姿を伝えてきた。 奴は恐らく、北の地の境にいる大部隊と連携して動くつもりだ」

 

「厄介だな……」

 

レントがぼやく。

 

魔物を操作する魔物。

 

群れを統率するボスなどとは話が全く違う。あたし達が牛鬼を倒したから出て来たのかも知れない。

 

いずれにしても、此処の地に神代が関わっている可能性は「ほぼ確実」だったのが。今回で「確実」になった。

 

ならば、北の地を調べる価値は大いにある。

 

それには、敵の軍勢を壊滅させる事が必須だ。

 

「備蓄を確認して。 準備はしておいたはずだけれど」

 

「大丈夫だ! ライザ姉が言った通り揃ってる!」

 

「ライザさん、これの調整を……」

 

「おっと、ごめん。 忘れてた」

 

パティに渡しているハイチタニウムの大太刀。圧倒的な破壊力があるのだが、一回使う度に調整がいるのだ。

 

気むずかしいハイチタニウム大太刀を、錬金釜に入れて微調整をする。何、構造は覚えている。

 

この空間把握力が、あたしの強みだ。

 

調整が終わると、全員でアトリエを出る。戸締まりはしっかりしておいたが、流石にこれだけ貢献したら、アトリエに勝手に踏み込むようなことはしない……と信じたい。

 

内部を荒らされる事が問題というよりも、爆弾などを弄られて爆発されるのが問題なのだ。

 

あたしが丸根砦を出ると、侍達が何事かと見送る。

 

すぐに北の砦に移動。

 

相当な数の侍がいる。

 

これがアーミーなんだろうなと思う。昔日とは比べものにならない程度の数ではあるのだろうが。

 

征夷大将軍も来ているようだ。

 

知将のイメージがあったが。こう言うときは陣頭指揮を執るらしい。まあこの地最強の侍なのだ。

 

温存しておく理由もないのだろう。

 

すぐに征夷大将軍に謁見を申し込む。

 

大事と判断したか、征夷大将軍はすぐに受けてくれた。

 

なんとも物々しい当世具足を着けている。多分だけれども、将軍に代々受け継がれているものなのだろう。

 

今までに二回倒した、「魔物を統率する魔物」の話をする。

 

牛鬼と能力は似ているが、より高度な知能を持つ危険な相手であると言う事を。

 

その姿は悪魔に似ている事も。

 

征夷大将軍は、宿老達と頷く。

 

「これより、北の地境に集まっている魔物共を斬りに向かう。 ライザリンどのは、それを相手願えるか」

 

「承知。 できる限り大鬼も倒します」

 

「頼もしき事よ。 敵が本格的に動き出す前に、出鼻を叩く! ライザリンどの達が来てくれた今ぞ好機! ホラ貝を鳴らせ!」

 

さっと戦い慣れた侍達が散る。

 

足軽を数人つけてくれたので、荷車を任せてしまう。砦から出ると、凄い音が響き渡った。

 

ホラ貝はあたしも知っているが、音の大きさがだいぶ違う。

 

この東の地近海では、それだけ大きい奴が取れるのかも知れない。

 

姉小路さんが此処を守り、征夷大将軍と宿老数人が侍達を率いて出るようだ。整然とした動き、魔物との大軍を何度もこなして慣れてきているのがよく分かる。ロテスヴァッサの警備なんか比べものにならない。

 

修羅の地で揉まれたから、これだけの精鋭に成長したと言う事だ。

 

だがそれには、多大な流血も伴ったのも、また確実。

 

いくぞ。

 

あの悪魔野郎を、三度地面にひれ伏させる。

 

サタナエルはまだ誇りを理解出来たが、次もそうとは限らない。最初に交戦したサタンのような、クズの可能性も高い。

 

最前列で、あたしは進む。

 

やがて、魔物の大軍も、こっちの動きを察知したらしく。伝令が動き出したと伝えてきているのが分かった。

 

まずは、出鼻を挫くか。

 

見えてきた。

 

前に撃退した連中の残存戦力に、北の地とやらから来た魔物を足したのだろう。好都合だ。

 

わざわざ出向く前に来てくれた。

 

此処で徹底的に叩き潰す。

 

「クリフォードさん、あたしが最初に敵に大火力を叩き込むから、続いて欲しいと征夷大将軍に伝えて!」

 

「任せろ!」

 

「とんでもねえ数だが……」

 

「後ろにはアガーテ姉さんなみの使い手が幾らでもいる! 後ろは任せてしまって大丈夫な筈だ!」

 

ボオスにレントが激を飛ばすと。

 

そうだなと、ボオスは苦笑し、それで気合いを入れ直したようだった。

 

あたしは四種の爆弾に、それぞれ縄をくくりつけて。

 

回転しながら、それぞれを空高く放り投げる。

 

ただの投擲でもいいのだが、今回は四種の爆弾を二つずつ持って来ている。ジェムをほとんどすっからかんになるまで使ったが。それでも、これをする意味はある。

 

上空から、同じタイミングで魔物の大軍に降り注ぐ爆弾四つ。

 

その四つが、全部同時にねじ切られるのが分かった。

 

そうだろうな。

 

前回の戦闘で、それが致命打になったのだ。

 

だから、あたしは敢えて時間差をつけて投擲したのだ。おとりと、本命を。

 

続いて四つ、空間をねじ切った先に飛んだ爆弾が。

 

これぞ本命。

 

あたしが起爆すると。

 

灼熱、極寒、爆風、極雷。よっつの超爆弾が、それぞれ魔物の大軍に、殺戮と破壊をまき散らしていた。

 

どんどんどんと、凄まじい音が響く。

 

恐らくは戦場で扱う特別な太鼓だ。

 

一部は魔物……多分超大型が爆弾を空間操作である程度防いだようだが、敵に致命的な破壊が降り注いだのは事実。

 

大混乱は避けられない。

 

更に、あたしは踏み込むと、更に爆弾を魔物の群れに放り込む。

 

混乱している魔物達は、それを防ぐ術がない。怒り狂って、こっちに攻撃魔術をぶっ放そうとしている超ド級の至近にアストローズが。

 

起爆。

 

地獄から噴き出したような超高熱が、瞬時に超ド級の全身を破壊し尽くしていた。だが、それでも倒れない。

 

流石と言うべきか。

 

あたしは、声を張り上げる。

 

「突貫! ダメージを回復しきる前に、彼奴を倒すよ!」

 

「おおっ!」

 

「突撃っ!」

 

「異国の鬼神、ライザリンどのに続けえっ!」

 

わっと侍達が槍を揃えて、魔物の群れに襲いかかる。勿論反撃に出る多数の魔物だが、それも勢いが違った。

 

剽悍に迫る侍達。今の二連撃による大破壊の凄まじい衝撃から立ち直れていないラプトルや鼬、鮫が次々に槍に掛かる。

 

あたしはそれらを横目に、突貫。

 

大ダメージを受けた超ド級に、そのまま飛びかかるようにして襲いかかる。

 

奴は触手の大半を欠損しつつも、回復術で体を治しているようだ。子鬼数体が立ちふさがろうとするが。

 

パティやボオスが引き受けてくれる。レントも。

 

これは、倒さないといけないな。

 

クリフォードさんがブーメランを投擲。乗れ。そういわれる。

 

あたしはブーメランに飛び乗る。

 

クリフォードさんの固有魔術はブーメラン操作。いまなら人を乗せてまっすぐ回転せず飛ぶくらいは出来る。

 

ひゅんと、乱戦を飛び越えて、超ド級の至近に。

 

飛び降り、着地と同時に、超ド級は焼けただれた全身を振るわせ、怒りをこっちに示してきた。

 

巫山戯るな。

 

その図体になるまで、どれだけの人を殺した。

 

今、自業自得の最後を貴様は迎えようとしているだけだ。

 

大人しく地獄に行け。

 

あたしは、相手がまだ残っている触手を用いて、空間をねじ切りに来たのを悟ると、横っ飛びに逃れる。

 

地面が凄まじいねじ切られ方をした。雑魚もかなり巻き込まれたようだが。怒りで我を忘れているようだ。

 

多数の矢が、辺りを制圧する。

 

クラウディアによる援護射撃。

 

更に、カラさんが立て続けに大魔術を発動しているようだ。雷撃が、次々に彼方此方に降り注ぎ、その度に数体ずつ、巨大なラプトルが吹っ飛び、鼬が爆ぜ割れる。あたしは超大型に時計回りに回り込みながら、熱槍を叩き込む。空間をねじ切って防ぎに来る超大型。流石だ。これだけ傷ついて、それでもこれだけの頻度で放ってくる。迂闊に突貫すれば待っているのは死。

 

ふいに躓いてみせる。

 

普段だったら乗ってこなかったかも知れない。

 

だが、この超ド級は全身を焼き尽くした痛みに怒り狂っている。だから乗って来た。

 

転んだあたしを、空間をねじ切る凶悪な魔術が立て続けに襲う。過剰すぎる程の火力であるが。

 

それも怒りで冷静さを欠いているからだ。

 

勿論わざと躓いたのだ。

 

既に其処にあたしの姿はなく。低い軌道からあたしは、敵の足下に強襲を掛けていた。

 

錬金術の装備で強化したフルパワーで、ドロップキックを叩き込む。

 

地盤が砕けて、敵の巨体がめくれ上がる。続いて、体内が爆裂したらしく、全身から血を噴き出していた。

 

更にあたしは跳躍すると、走りながら詠唱していた火力を解き放つ。

 

熱槍一万とフルパワーでは無いが、それでもこいつを仕留めるには充分だ。熱槍をまとめ、すでに瀕死の超ド級に叩き込む。

 

着地。

 

後ろで、灼熱に貫かれた超ド級が爆散するのが分かった。

 

わっと喚声が上がる。

 

「ライザリン殿、大鬼ヒダル神を討ち取ったりぃ!」

 

「流石名人よ!」

 

「皆続け! 手柄を挙げよ! 敵を屠れ!」

 

「おおっ!」

 

侍達の士気は高いな。

 

あたしは薬を飲み干すと、気付く。

 

音もなく側に降り立った奴がいる。例の悪魔みたいな奴だ。

 

「長年かけて培養してきたテラフォーミング用生体兵器を、よくも立て続けに破壊してくれたな。 どれだけの手間暇が掛かったと思っている」

 

「あたしはライザリン=シュタウト。 貴方は」

 

「……相手が錬金術師であるなら名乗ろう。 我はサマエル。 偉大なる神々に等しい御方達の命令に従って動くもの」

 

「何を目的に、こんな殺戮しか出来ない化け物を育てているのかな?」

 

あたしもブチ切れる寸前だが、敢えて冷静にそう言う。

 

辺りに味方はいない。

 

こいつは巧みに、あたししかいない状況を作って来た。魔物の操作が極めて巧みで、それが出来るのだろう。

 

こいつはまた、別方向でのスペシャリスト、ということだ。

 

「我は命じられている。 劣等血統であり、劣等文化でありながら、神々に等しい存在を数多殺し、それどころか逆らい続けた愚劣なものどもを躾け滅ぼせと。 故に長年テラフォーミング用生体兵器を育て、この地で抵抗を続ける者どもを攻撃して来た」

 

「言いたいことは山ほどあるけれど、つまりこれ以上、大物は貴方を殺せば増えないということかな」

 

「貴様には興味がないのか。 新しい世界が。 愚かなモノを全て駆逐して、その先にある美しい未来が」

 

美しい未来に新しい世界ね。

 

良さそうな言葉だが、それもこのおぞましい手段の先にあると、とてもハイハイとは言えない。

 

「我は貴様を監視していた他のモノにはあまり興味がない。 サタンもサタナエルも、貴様が神々に等しい御方の下に辿り着く事を考えていたようだが、違う。 我は命じられたことをこなすだけだ。 それが美しい新しい世界が来る事の近道だと信じているからだ」

 

「美しいだって。 世界をこれだけ無茶苦茶にしておいて、よくそんな寝言が言えるね」

 

「価値観は無数に昔は存在していた。 だがその価値観は、世界を破壊し汚すだけだった。 それどころか一度は全てを焼き尽くしすらしたのだ。 神々に等しい御方が世界に出現して、その価値観だけが世界にあれば、世界を新生させられると思わぬか」

 

「何が過去の世界にあったかはまだわからない。 だけれども、神代の錬金術師達の思想が世界を救うとか、新生させるとか、絶対に思わない!」

 

何を寝言を言っているのかこの悪魔野郎は。

 

分かっている。

 

そういう思想を持つように作られたんだこの存在は。それは作った輩がクズなのであって、この存在は人間すら材料にされている。だから、怒っても仕方がない。モノに怒りをぶつけるのと同じだ。

 

だが、この一見耳障りが良い言葉。此奴は本気で信じているとしても、本当に怒りがこみ上げてくる。こんな思想をにやつきながら植え付けた連中に対してだ。やはり万死に値する。

 

ただ、今の会話で少し分かった。

 

神代のカス共が台頭した背景には、今では失われた地獄みたいな……今よりもっと酷い時代があったのだろう。

 

だが、だからといって、自分達以外の全てを殺し尽くし破壊し尽くすなんて事があって良いわけがない。

 

「優れている」存在だけで、全てを独占して良い訳もない。

 

やはり、奴らは。

 

ぶっ潰すしかない。

 

その過程で、此奴も滅ぼす。それだけだ。

 

「会話終わり。 蹴り殺す」

 

「そうか。 では我も鬼札を切るとしよう。 来い、ベヒィモス」

 

「!」

 

とんでもない雄叫びが上がる。

 

全身が震え上がるようだ。

 

同時に、サマエルが姿を消す。どうやら、問題のベヒィモスとやらが、此方に迫っているようだった。

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