暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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本格的な遺跡にぶつからなくても、それでも不可解な痕跡と冬の伝承を裏付けるものを発見できるライザ。禁足地の探索には大きな価値がありました。

踏破を重ねるべく、次の遠征に向かいます。

こうなったら徹底的にやるまでです。既に覚悟は決まっています。


2、東の地の悪夢

第三次遠征を開始。

 

今回も第二次遠征と同規模で、安東さんが率いる侍衆十五名と、あやめさんが率いる忍び衆十名。

 

それにあたし達が加わって、四十名弱の陣容だ。

 

侍衆には、様子を見てパティが技を披露し、逆に見せてもらってもいる。

 

レントやボオスのは、使っている武器の違いもあってあまり参考にはならないそうだ。

 

一方でディアンの技は意外と人気だ。

 

侍の間では徒手空拳もそれなりに需要があるらしく、野性的な動きで敵を翻弄するディアンの戦闘術は、かなり参考になるらしい。

 

また、侍衆はみんな人格的に優れているとかそういうこともない。

 

一人、いつもぼーっとしている男性がいるが。

 

この人、戦いになると凄まじい技のキレを見せる。殆ど喋る事もなく、喋っても言っている事は正直よく分からないのだが。剣の技については本物で、戦闘では群がる魔物を右に左になぎ倒す。

 

武術が優れていればそれで認められる。

 

この地だからこそ、この人は侍大将にまで抜擢されているのだろう。

 

多分、今回来ている侍衆の中で一番腕が立つのはこの人だ。

 

だけれども、この人はまったく出世とかには興味もない様子なので、それについては誰も何も言わなかった。

 

北の砦から北西に進む。

 

非常に山深くて、苦労させられる。

 

途中で足を止めるクラウディア。あたしも、手を横に出して止まれの指示。周囲を警戒している間に、クラウディアが結論を出していた。

 

「見つけた。 これ、足跡だ。 超ド級やベヒィモスの」

 

「確か超ド級とは大鬼の事であったな。 奴らの足跡だと」

 

「はい。 音魔術で調べましたが、地面に不可解な痕跡が残っています。 後から隠蔽はしたみたいですけれど」

 

「流石だねクラウディア。 当たりの可能性が高いか」

 

勿論、足跡を偽装して罠に誘いこむ可能性もある。

 

あたしは、此処で計画の変更を指示。

 

打通は一旦中止だ。

 

この足跡の出所を辿る。勿論、敵の待ち伏せには、最大限の注意を払う必要がある。

 

しかしながら、良い事もある。

 

あのベヒィモスの体力のなさ。はっきりいって、巣からそれほどの距離を移動出来るとは思えない。

 

だとすれば、それほど北の砦から遠くない位置に遺跡はある筈なのだ。

 

それの目星がついただけでも、可とすべきだし。

 

見つけた手がかりには、全力で調査を入れるべきだ。

 

それから半日ほど痕跡を追跡。とにかく深い山の中に入っていく。山奥だけあって、とても美しいせせらぎがあって、水も綺麗だ。流石に生で飲むのは自殺行為だが、素晴らしいと感心する。

 

生えている植物も、いい薬草が多いようだ。

 

セリさんが説明しながら、取り尽くさないように注意してと念押ししながら、ある程度回収していく。

 

あたしもそれにあわせて、お裾分けを幾らか貰った。

 

更に山深くなる。

 

遺跡を隠すには丁度良い場所だ。

 

魔物達の足跡は、これらの小川などは興味がないようで、まっすぐ進んでいるようである。

 

移動中に、ラプトルやらの雑魚(というには強力すぎるが)を集めて回っているのだろう。

 

事実、気配は嫌になる程感じる。

 

山を降って、谷場に出る。

 

ちょっと早いが、此処で拠点を作るべきだな。

 

川辺だが、仕方がない。川から出来るだけ距離を取って、其処に拠点を架設。その間に、セリさんに、周囲を野戦陣地化してもらった。

 

流石に山深い土地を行軍していて、皆疲れている様子だが。多分それを狙っていたのだ。無数の殺気が浴びせられている。

 

来るな、これは。

 

来る前に少しでも休憩を。

 

皆に指示して、交代で休む。

 

典型的なじらし戦術だ。魔物でも、こういった手は使ってくる。生半可な人間よりも、狩りには高い適正と経験を持っているのだ。

 

獲物を弱らせ追い詰める。それについては、こういった魔物達の方が余程優れていると言える。

 

夕方少し手前。

 

どうやら、じらしが通じないと判断したらしい魔物が。山を降りながら、一斉に襲いかかってくる。

 

若干足場が悪いが、それでも既に此方だって応戦の準備はばっちりだ。

 

見た感じ、十体前後の子鬼がいる。

 

それが懸念事項だが。

 

問題ない。

 

叩き潰してやる。

 

一晩中戦いになる事は、北の地では何度もあった。だから、それを今更怖れて等はいない。

 

冷静に立ち回るだけだ。

 

激突する。

 

レントが最前衛に立って大暴れを始めると、仁王様のごとしと声が掛かる。

 

この地で信仰される神様の一つらしい。

 

元は人間の武人だった存在が、神として崇められるようになったらしく。タオが貴重で興味深い話だと感心していた。

 

レントは苦笑いしながらも、大剣を振るって巨大なラプトルを次々にたたき割っているが。

 

川の方からも当然来る。

 

多数の鼬が、放たれた矢のように飛んでくるが。覇王樹が林立している上に、棘が多い植物による強固な柵が張り巡らされていて。先行してきた鼬が足を止め、後方から押され。混乱するところに、侍衆が一斉に矢を叩き込む。

 

ヒュウと凄い音がする。

 

侍衆の使っている巨大な弓矢の音は猛烈で、巨大な鼬も容赦なく射貫く。次々倒れる鼬を踏み越えて後続が来る。死体で無理矢理柵を埋めて、乗り越えて来ようとするが。冷静に侍衆は削れるだけ射撃で削り。

 

其処から、近接戦に移行する。

 

あたしは熱槍を要所に叩き込みながら、冷静に戦況を判断。

 

子鬼が来ている。動きが以上に早く、時々姿がかき消えているが、あれは空間操作か、時間操作か。

 

どっちにしても、さっさと仕留めないと被害が出るだろう。

 

いきなり覇王樹の防御壁の上に其奴が出るが、即応したクラウディアが矢を叩き込む。バリスタみたいな矢を、そいつは受けきった。その時に、矢が不自然にグシャグシャに潰れるが。

 

その背中に、クリフォードさんの投擲したブーメランが、孤を描いて直撃。

 

体勢を崩したところに、セリさんが雷撃を叩き込み。

 

更にボオスが、二刀でとどめを突き込んでいた。

 

地面に落ちた子鬼を見て、侍衆が喚声を挙げる。

 

「名人かくの如し!」

 

「続けや続け! 鬼とその手下共を斬り伏せい!」

 

敢えてこうして声を掛けることで、士気を維持するらしい。暑苦しいが、見習っても良いだろう。

 

やはり、一晩中戦闘は続き、翌日の朝近くまで魔物は猛攻を続けた。それを凌ぎきった時、重傷者八名が出ていた。

 

手当てからだ。

 

一人は忍び衆だが、右腕を肩から食い千切られていて瀕死だ。

 

ラプトルに食いつかれて、敵陣に引きずられそうになった所を、パティがラプトルの首を刎ね。

 

タオが抱えて助け帰ったのだ。

 

他にも怪我人は、敢えてこっちの負担を増やすために出されている感はある。

 

だが此方だって、今回は充分に準備をしてきているのである。

 

薬も充分にある。

 

そして、錬金釜で調合して、義手を作る。増血剤や強心剤も投与して、容体が安定した所で義手をつける。

 

体力の消耗が激しく、多分もう戦いには今回は参加できないが、別に良い。

 

体を治して、後で参戦してくれれば問題は無いのだ。

 

負傷者を助けた後は、各自順番に休んで貰う。

 

今まで以上に激しい攻撃だった。これは、やはり近い可能性が高い。

 

少し多めに休憩の時間を取り、回復を待ってから移動を開始。更に山奥へと進んでいく。

 

この辺りの山深さは凄まじい。

 

ネメドの森は密林ではあったが。これほどの高低差はなかった。同じ距離でも、今までの二度の調査とは歩く負担が別次元だった。

 

移動を続けて、やがて山を越えて。

 

そして、見つけた。

 

遺跡だ。

 

間違いない。山裾に隠れるようにして、巨大な構造体がある。巨大な口を開けているそれは、あまりにも自然洞窟には不自然。それに、構造体が口を守るように拡がっていて、なによりも。

 

その前に超ド級が。

 

それに、神代鎧の姿もあった。

 

神代鎧十数が守りについている。その時点で、神代の遺跡確定である。しかもタチが悪いことに、周囲にはまだまだ多数の雑魚魔物がいる。

 

同時に戦闘になったら万が一も勝ち目は無いだろう。

 

超ド級一体だけでさえ、毎度大苦戦しているのだ。

 

神代鎧がそれに加わると、危険度は数倍に跳ね上がるし。これは各個撃破を考えないといけない。

 

少し下がって、拠点を作る。

 

拠点があっても、超ド級が来たら蹂躙されるだけだ。まずは、拠点からこっちを伺っている魔物を確認。

 

やはりかなりの数が集まって来ている。

 

まずは作戦を話す。

 

「周囲に集まって来ている魔物をまずは引き寄せて撃破します。 その後にあの超ド級を片付けますが、側にいた鎧は、別個に対処します」

 

「あの面妖な銀色の人型か。 あれは知っているのか」

 

「あたし達は神代鎧と呼んでいます。 以前にも交戦経験があるのですが、達人並みの身のこなしを持ち、すぐれた武器で武装している強敵です。 それどころか、生半可な魔術は通用しません」

 

「ライザリン殿に其処まで言わせる程か」

 

どよめきが拡がる。

 

実際サルドニカで交戦した時は、本当に危なかったのだ。勿論あの時から更に装備を改良しているが、それでもあっさり倒せる相手では無い。しかも今回の遺跡は、サルドニカの時以上の規模。

 

もっとたくさんの神代鎧が控えている可能性もあるし。

 

何よりも、超ド級だって奧に更にいてもおかしくはないのだ。

 

此処で一度引き返す手もあるのだが。

 

恐らく、ベヒィモスのように力をあの遺跡で充填している超ド級がまだまだ十数体いる。いや、ベヒィモスの力を見る限り、超ド級以上のスペックの生物兵器だ。

 

それらの一体でも、動けるようになったら終わりだ。

 

あたしもベヒィモス級とやりあって、確実に勝てる自信は無い。それも他の超ド級や、神代鎧も同時に相手にしながらである。

 

だから、敵を分断して、各個撃破しなければならない。

 

説明を終えると、あやめさんが挙手した。

 

「分かった。 それならば、まずは我等忍び衆が動こう。 周囲にいる魔物の群れを誘引する」

 

「危険ですよ」

 

「勿論それは分かっている。 しかしながら、千数百年の災禍を除くのは今なのだ。 今を逃して、父祖の代から続く災厄を終わらせる事は出来ない。 我等の命をなげうってでも、此処はやる価値がある」

 

「……分かりました。 しかし、命はなげうたないでください。 これから本命が控えています。 あそこにいる神代鎧だけでも、この辺りの魔物なんか問題にならない強さです」

 

冷静に事実を伝えると。

 

恐れを知らない侍衆も、流石に青ざめていた。

 

ともかく、それでいくしかない。

 

まずは魔物を処理。この中には子鬼だっている。子鬼とはいえ、時間操作空間操作を当たり前のようにやってくるし、魔力の出力もとんでもなく大きい。一体ずつが、生半可な人間では束になっても勝てない強敵なのだ。

 

野戦陣地を作り、念入りに準備をする。魔物もかなり集まって来ている。やはり此処は重点的に守備する指示が出ているのだろう。

 

今まで二回の遠征が無駄だったとは思えない。

 

というのも、初回でこっちに来ていたら、今まで駆除してきた魔物が、際限なくこっちに来ていたかも知れない。

 

それに二回の遠征で、魔物が相当数削られたから、この程度で済んでいるという考えも出来る。

 

いずれにしても無駄に何かなっていない。

 

あたしはそう自分に言い聞かせると、念入りに作戦を練り。

 

そして、戦いを始める。

 

負傷者の二人を除いて、二人組で忍び衆が四方に散る。

 

そのまま、魔物への誘引を開始。侍衆が生唾を飲む。

 

此処は山間の盆地であり、少し広めとは言え、四方が山だ。

 

だから、文字通り山崩れのように魔物が迫ってくる。数は今までで最大である。あたしは、既に縄にくくりつけていた爆弾を、空に四つ放っていた。快足の忍び衆でも、必死の勢いで逃げてきている。

 

その背中に追いつかんとしていた魔物の群れのど真ん中で。

 

四つ、爆弾が炸裂していた。

 

だが、それで記録的な数の魔物が消し飛んでも、なおも敵の数は膨大。野戦陣地に忍び衆が逃げ込んでくる。

 

どっと、魔物が殺到してくる。

 

その出鼻を、あたしとカラさんの総力での魔術で歓迎し、クラウディアとアンペルさんが、それに続く。

 

もの凄く巨大なワームが、うねるようにしてこっちに迫ってきているが。

 

地面の下はがちがちに固めている。下から野戦陣地を崩される心配は無い。子鬼の数は、あまり多くは無いのが救いか。

 

「パティ、あれやれる?」

 

「相性が悪いと思います」

 

「そっか。 じゃあ引きつけて集中攻撃だね」

 

既に前線であたしもパティも魔物相手に大暴れだから、その最中に話をかわす。怒鳴り声になるが、別にどっちも怒ってる訳もでもない。

 

次々に巨大な魔物が来る。

 

此処が正念場だ。

 

誰かが倒れ、あわてて別の誰かが野戦陣地に引っ張り込む。フェデリーカの神楽舞で力が底上げされていなければ、もう既に何人だって倒れている。

 

ワームが最初に来る。

 

リラさんが突貫。

 

残像をワームが真上からばくんと飲み込んだが、即座に体にざっくりと傷を穿たれて。巨大な体を振り回す。

 

其処にディアンが躍りかかると、触手が蠢いている口に、怖れずに突貫。ディアンを見て食おうとするワーム。

 

所詮はワームか。

 

パティが懐に入り込むと、抜き打ちから一閃。ワームの関節に沿って、ざっくりと大きな傷を穿つ。

 

それで怯んだワームの隙をディアンは逃さず、豪快に回転しながらその口から幾つもの関節にいたるまで、手斧で叩き割っていた。

 

悲鳴を上げて地面に潜ろうとするワームを、パティの二の太刀と、リラさんの猛烈な蹴り技が襲い。

 

その頭が吹っ飛ばされて、地面に落ちる。

 

大量の鮮血をぶちまけながら、ワームがどうと倒れて。後から後から来る魔物に、踏み砕かれていった。

 

続いて鮫が来る。

 

あれも随分と大きな個体だ。海から無理矢理引っ張って来たのだろうか。あたしが熱槍を叩き込むと、シールドを展開。完全には防げなかったが、少なくとも大した傷ではない所にまで抑え込み、速度を落とさず突貫してくる。

 

アンペルさんが其処に、狙い澄ました空間切断を叩き込む。

 

頭から尾びれまで抜けた空間切断の黒い光。

 

それを受けて、巨大サメはびくりと体を震わせると、それで横倒しになり、ばたんばたんと暴れ始める。

 

今の、致命傷が入ったな。

 

そうあたしは思いながら、続けて熱槍を叩き込み、とどめを刺してやる。せめてもの情けである。

 

次。

 

ちょっと見た事もないサイズのラプトルだ。あんなに大きくなるのか。巨大すぎて、見上げるようである。

 

侍衆が剛弓から強矢を浴びせまくるが、それでも効いているようには見えない。それどころか、上空から新手。多数のアードラが、高高度から強襲を仕掛けて来ている。

 

これは全員は守りきれないか。

 

否、そんな甘えを捨てろ。

 

全員守りきり、神代の連中も全部ぶっ潰して、生きて帰る。

 

顔を上げるあたし。

 

雄叫びを上げると、魔力を練り上げる。怒りに身を任せるんじゃない。最適な場面に、自身の火力を投入しろ。

 

そのために此処にいるんだ。

 

熱槍を収束。三万の熱槍を二十に分割。

 

そして、覇王樹を蹴って上空に躍り上がると、其処で見る。頭はフル回転していて、冷静に何処にぶち込めば一番効率的か分かる。

 

投擲。

 

二十の熱槍が、立て続けに炸裂。超巨大ラプトルが、悲鳴を上げて飛びずさる。直撃は入らなかったが、それでも熱波をもろに喰らったからだ。

 

着地。そのままあたしは、全速力で突貫。

 

超巨大ラプトルが、あたしを見て。詠唱開始。吠えているようだが、それが詠唱になっている。

 

複数の魔法陣が出現し、空間が歪んでいるのが分かる。

 

否、あれは高熱だ。

 

あたしに熱で挑むか、面白い。

 

体勢を低くした超巨大ラプトルが、両手を地面に叩き込んで、杭にして固定。全身を魔力砲にする。

 

あたしはそれに正面から突っ込む。

 

連発になるが、別にかまわない。それに、こいつを真正面からぶっ潰せば、魔物どもの士気に致命打を入れられる。

 

詠唱完了。

 

相手もだ。

 

超極太の熱線砲を、ずり下がりながらぶっ放してくる超巨大ラプトル。何百年生きたか分からないが、とんでもない火力である。

 

あたしは叫ぶ。

 

「フォトン……」

 

全力で踏み込み、地盤を砕きながら、投擲。

 

一点突破型の。

 

「クエーサー!」

 

それは、超巨大ラプトルの熱線砲と真正面からぶつかり合い、一瞬の拮抗の後に、相手の熱線を蹴散らしていた。

 

今まで練り上げた魔力。

 

今まで作りあげた装飾品。

 

対神代を想定したこれらの装備。

 

漠然と神代に飼われ、人間を殺す事だけに特化し、生物としてのあり方など最初からなく。

 

そればかりか神代の美意識にだけ沿って作られた生物兵器。

 

そんなものに、敗れてたまるか。

 

フォトンクエーサーが、体そのものを熱線砲の砲台にしていた超巨大ラプトルを、頭から尻尾の先まで貫通。

 

直後、生きたトーチへ変えていた。

 

それどころか、その後方にいた魔物も、余波をまともに喰らって生きたまま炎上、消し飛ぶ。

 

あたしは呼吸を整えながら、凶暴に笑みを浮かべる。

 

それを見て、明らかに魔物共が怯む。

 

好機を見逃さなかったのは安東さんだ。

 

「見事ライザリンどのの神技! 敵は怯えているぞ! 我等も負けず、敵を蹴散らせ!」

 

「エイトウトウ!」

 

「続けえっ!」

 

侍衆が、守りから一転攻勢に出る。

 

あたしはその間に一度陣地に戻り、栄養剤を補給。上空から強襲を掛けてきていたアードラは、クリフォードさんとクラウディアの猛反撃にあらかた撃墜されていたが。どんどん次が来る。

 

戦いはまだまだだ。

 

子鬼を討ち取ったと、侍衆が叫ぶ。

 

負けてはいられないな。あたしは傷を急いで処置すると、また最前線に、地面を蹴って躍り出ていた。

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