暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3 作:dwwyakata@2024
分かりきっていた事ですが。
神代の人間には倫理というものが著しく欠けていました。
現在でも、インテリ層が蛮族と同レベルに倫理と無縁なことがあるのと同じです。
残念ながら人は悲劇を乗り越えてもまったく変われなかったのです。
縦穴の周囲は螺旋状に坂になっていて、其処では神代鎧が働かされていた形跡があった。此処は露天掘りの鉱山だった可能性がある。
だが、雨が入り込んでいる様子はない。
空に何かしらの魔術的な措置をして、雨が吹き込まないようにしているようだった。技術の無駄遣いだ。
一度アトリエに戻ったのは、本を回収するためだけではない。予備として用意してある荷車を持ち込むためだ。
同じような事は、クーケン島でもやったな。
クーケン島の内部に入り込んで、島の真実を知ったときに。
あの時は、島全員で荼毘に付して。
古代クリント王国の悪逆を知って、それで強い怒りを覚えたっけ。
紅蓮とフェンリルは、じっと此方を見ている。もう敵意はない。あたし達は、穴の底にまで降りた。
其処には、膨大な骨が捨てられていた。
大きな骨がある。
ドラゴンのものとみていい。
実験に使ったドラゴンは、ああやってトロフィーみたいに飾った分以外は、こうしてゴミとして捨てたのだ。
臭わないようにだろう。軽く焼却した跡があるが、それだけだ。
他にも膨大な骨がある。
これは魔物のものじゃない。
人間のものだ。
フェデリーカが、我慢しきれなくなったようで、口を押さえて視線を逸らす。あたしは、手袋をはめ直すと、声を掛けた。
「よし、荼毘に付して埋葬するよ。 運び出すから手伝って」
「……っ」
「フェデリーカ!」
あたしが声を掛ける。
怒鳴るのでは無い。叱咤するのでは無い。
尊厳を呼び起こすために。
此処にいるのは、神を気取るカスに尊厳の最後の一欠片まで蹂躙された存在達だ。だからあたし達がせめて葬る。
あたしは人間を止めるつもりだけれども、半ば既に止めているけれども。
だからこそ、今後人間は何度でもこれをやることを理解出来る。
故に魔王にならなければならないのだ。
ともかく、まずは荼毘に伏して埋葬からだ。それが、奴らと違うと示す事になるからである。
螺旋坂を、大量の亡骸を運んで上がる。外ではセリさんが枯れ木を準備して、更にはリラさんが竈を作ってくれていた。
竈と言っても料理用のものではなく、遺体の火葬用のものだ。
まずは骨を此処に運び出しつつ、一斉に火葬する。
何往復もしていると、骨が山と積み上がる。
あからさまに子供の骨だってある。勿論人間のものだ。
顔を歪めて笑いながら実験材料にし、死んだら彼処に尊厳もなく捨てていた。神代の錬金術師は上から下まで腐りきっていやがったんだな。そう、ボオスが呻く。ボオスだって現実主義者なのに。流石にこの有様は看過できないようだった。
タオがあの「コレクション」の硝子ケースの液体を抜き。
其処から骨をこっちに運び出してくる。
魔物による襲撃は、警戒しなくて良さそうだ。何度か神代鎧とやりあった時にもよってくる様子はなかった。
恐らくこの辺りが紅蓮の縄張りで。
近付くと死ぬと知っているから、なのだろう。
遺体を運び出すのに一日かかった。
それから、遺体を全て荼毘に付す。
この辺りは雨も降らないし、植物も殆ど生えていない。汚い草なんか生えないようにしてある。
そう雨避けの仕組みを、神代の連中は自慢するのだろうか。
反吐が出る。
技術の間違った使い方の見本だ。紅蓮が言う旅の人は、笑顔と幸せのために錬金術を使っていたのに。
レントが大穴を掘った。
あたしはその間に、近くにあった大きな岩を加工して、墓石にする。
墓石には、アンペルさんの発案で、神代の文字と、現在の文字を刻んでおく。
神代による非道な実験で命を落としたものを此処に葬る。
せめて来世は安らかであれ。
来世があるかは分からないが。
少なくとも、荼毘に伏さなければダメだ。それは信仰でもなければけじめでもない。非道の結果亡くなった存在への哀悼である。
それをなくしたら。
此処にいる全員、人間以下の畜生になるだろう。
骨が焼き上がる。それを順番に葬って行く。種族ごとに分けようかと思ったが、それはやめておく。
皆、被害者だからだ。
オーレン族の死体も、数人分はあった。
恐らくは、あの自然門を通じて、神代の侵攻前にはある程度親交があったのだろう。神代との戦いの後も変わり者が此方の世界に一人来て消息を絶ったとカラさんは言っていたし。
あんな連中が現れる前は、他にもいてもおかしくない。
フェデリーカは、完全に死んだ目で作業をしていたが。
空に煙がずっと上がっているのを見て、思うところもあったのだろう。鎮魂の舞いを舞い始めていた。
それでいいのだと思う。
鎮魂の意味もあるが、それ以上に非道に散った存在への哀悼が大事なのだ。
やがて、屍の処理はあらかた終わり。
全て埋めて、墓石を乗せる。
紅蓮が来ていた。
「全て葬ってくれたのだな。 その中には、我の眷属の中の「失敗作」も混ざっていた」
「そうでしたか」
「感謝する。 我は旅の人にもはやあわせる顔がない。 だが、そなたらと和解できたことだけは最後の誇りに思う。 この墓は、我と眷属で最後まで守ろう」
「お願いします」
後は、大量の書籍や資料を運び出しておく。
そして、二度と悪用できないように、幾つかの装置は完全に破壊して機能しないようにもしておいた。
あの巨大な刃物はバキバキに砕いて、溶かしてあの穴に捨ててしまう。
それで、もう良かった。
数回に分けて、フォウレの里に書物を運び込んでいく。何度か目の輸送で、里の老人に声を掛けられた。
「錬金術師殿」
「如何なさいました」
「いや……他の誰も言わなかったのだが。 わしには見えたのだ。 ドラゴンがな、禁足地の上を飛んでおった。 赤い肌の、美しいドラゴンでな。 それが、幸せそうに飛んでいて、やがて消えていった」
そうか、そういうものが見えてもおかしくは無いだろう。
あんな所に押し込まれて、苦しかっただろう。
解放されれば、嬉しくて飛んでいったかも知れない。
ただ、あの遺跡には、そういうのを見せる装置もあった。
遺跡にあった仕組みの中にあった、立体映像の構築装置がそれだ。それは彼方此方に立体映像を投影することができ。それも光の出所を悟らせないものだった。仕組みは魔術であり、しかも脳に直接働きかけるものであったらしい。
要するに魔術耐性がない人間に、幻覚を無作為に見せる道具だったというわけだ。
壊してしまったが、使い路はどうせろくでもなかっただろう。
あれがドラゴン騒ぎの元凶だ。
テリオンとか言う悪魔もどきがそれを利用したのだろう。遠隔で操作できるようだったから、テリオンが使っていたのも説明がつく。
それに広範囲で映像を投影すると、整合性を持たせられないという説明も書かれていた。全て、それで説明がつく出来事だったのだ。
最後にそれが何か悪さをしたのかも知れないと思ったが。あたしは黙っていた。ドラゴンの霊が解放されて喜んでいたというのであれば、その方が夢があるではないか。
それに、あの遺跡も、動力は竜脈だった。
竜脈の上から、直に魔力を吸い出すのは、あれら神代の遺跡の特徴だ。長い間稼働させていたら、この世界をすべて枯らしていたかも知れない。
「よし、資料はこれで全部だな」
「なあライザ姉、あの遺跡は潰さなくていいのか」
「動力は潰したし、悪さができそうなものも潰した。 後……これも貰った」
それは赤い毛のフサ。今は束ねてまとめてある。
紅蓮のものだ。
紅蓮は、今後フェンリルを見たら、これを見せろと言った。フェンリルは基本的に紅蓮の劣化コピーだ。
眷属というように、紅蓮を慕ってもいる。
だから、これを持っていれば手を出してくることは無い。
ありがたい話だ。
フェンリルは強力な魔物で、戦えばいつ死者が出てもおかしくないのだから。
「あそこは紅蓮とフェンリルの墓場だよ。 それが紅蓮に与えた罰。 それ以上は必要ない」
「そうか。 確かに、彼処で帰らない主人を待つというのは、犬科の動物には最大の罰だよな」
「そうだよ。 だからもういいんだ」
それよりも、ディアンにはあの禁足地には絶対に近付かないようにと、験者に伝言を頼む。
資料をそれから整理して、小妖精の森に運んでおく。
此処の資料はどうやら殆どが空間に関する研究のもので。フォウレの里の先祖が守っていたあの城を落とした後どうするか。落とした後に、門を研究した結果。更にオーレン族をどういう風に駆逐するか。
そんな身勝手な理屈が、書き連ねられているようだった。
燃やしたくなるが。
此処に奴らの本丸に至るヒントがある可能性がある。
だから、タオ達に解析は任せるのだが。その前に、もう一つやっておかなければならない事がある。
ディアンが言っていた、墓の調査だ。
超ド級が守っているのか、もっと別の存在が守りについているのか、それは分からないが。
フォウレの里の害になっているのなら、どうにかするべきだろう。
まだまだ、ネメドでやることは終わっていない。
続いて、タオと連携して、座標集めもやっておく。
座標はあればある程いい。
鍵に魔力を補充して、各地を回る。
現時点では門を開くこと、座標を集める事、これに関しては充分だ。タオも資料が集まってきて、複数の数字の内、解明できていないのは後二つになっているという。座標を集めながら、可能な限り他にもデータを集めているらしく。
それは専門家であるのだから、やり方は任せておく。
あたしもなんでも分かるわけでは無いのだから。
一日掛けて、疲れを取り。
更には座標集めで彼方此方を回る事にする。
次の一日は、主に墓についての具体的な情報の聴取をボオスとクラウディアに手分けして行って貰った。
やはり村の老人達はこの状態でも口が重く、聴取には苦労したようだが。
験者がかなり積極的に話をしてくれたこと。
それに、一部の老人はようやく態度を軟化させはじめてくれた事もある。
今まではディアンが嫌っていた老人達も、ディアンが必死に活動して。あたし達とともに多数の魔物を撃ち払った事を認め始めているらしい。
それもあって、聴取は進んだ。
座標が集め終わった後には、タオもクリフォードさんとアンペルさんに合流してもらい、回収した資料の解析に回って貰う。
クリフォードさんは本を読みすぎて目が痛いと言っていたので、目薬を差し入れる。
アンペルさんも、実は私も欲しいと言ったが。
それも見越していたので、アンペルさんの分も作っておいた。
さて、そろそろ墓の実物の様子を見に行くか。
そう思っていた矢先だった。
パミラさんが、フォウレの里に来たのは。
相変わらず神出鬼没な人だ。時々出くわすが、何処で出くわしてもおかしくない。かといって、頻繁に会うわけでもない。
フォウレの里で、プディングを振る舞っているパミラさん。良い店がない場合は、自分で布教し。
美味しい店ができたら、後で楽しむのだそうだ。
この近辺ではサトウキビが少量ながら取れる事もある。
実は甘みの中でも、サトウキビから取れる純粋な砂糖は強烈な方で、苦手意識を示す人もいる。
味付けが濃いのは、どんなものでも決して良い訳ではない。
糖の作り出し方は幾つもあるのだが、サトウキビほどの効率で作り出せる方法はほとんど存在しておらず。
果実から取りだしたり、或いは蜂蜜から取りだしたりするが。
いずれにしても使い勝手が良くなかったり、とてもお高かったりするので。
そういう意味では、砂糖は今でも高級品だ。
プディングは高級なお菓子なのである。
高級なのに相応しいおいしさであるのはあたしも認めるが。
パミラさんと、軽く話をする。プディングは若い層に人気だったようだが、それでもやはり一部だ。
ただ、それでも各地を放浪している腕利きというのは、流石に戦士が多いフォウレの里ではすぐに分かったらしい。
それで受け入れられるのだから。
まだクーケン島よりはましな可能性もあると言えるだろう。
今になって思うと。
クーケン島の古老の方が、この集落の老人達よりよっぽど頑迷だ。
「聞いたわライザ。 あちこちで色々解決しているみたいねー」
「ええ。 出来る事をできる範囲でやっているだけですが」
「それでも凄いわ-。 ちょっと前に東の地に行って来たんだけれど、いつも魔物に怯えていた人達の顔がずっと明るくなっていたのよー」
「それは良かった」
ちょっと前か。
あたしも東の地を離れたのは十数日前なのだけれども。
この人、転移魔術でも使えるのか。
まあそれはいい。
あまり突っ込みを入れても、藪蛇になるだけの気がする。
それに今だから分かる。
この人の力、例の一族の戦士以上だ。例の一族の最強と思われるガイアさんよりも、更に強いプレッシャーがある。
味方に加わってはくれそうにないが。
敵にもしたくない相手だった。
「ライザは笑顔を見るのが好き?」
「うーん、どうでしょうね」
「好きでは無いの?」
「いえ、あたしの行動で問題が解決するのは嬉しいですよ。 でも笑顔の裏にあるものを、たくさん見て来たものですから」
最近も、最悪の悪例について知った。
紅蓮の言葉は血を吐くようだった。
笑顔で世界を満たしたいと考えていた旅の人が、神代を邪悪の時代にした連中にどのようにされたか。
それをやっていた連中は、ずっと歪んだ笑みで嗤っていたはずだ。
あたしは虐げられている弱者に笑顔を取り戻させたいと思うけれど。
その弱者が、途端に悪に変貌するケースがあることも知っている。
だから、助けられるものは助けるが。
必要以上にはしない。
そのつもりだ。
今回のフォウレでのドラゴン騒ぎについても、緊急性があったから最優先で対応したし、その裏にあった神代の遺跡は黙らせた。テリオンとか言う悪魔もどきも叩き潰した。
しかし、対応不能な魔物を排除した後は、このフォウレの里を守るのは。ディアンをはじめとした次の世代と、フォウレの里の種拾い達だ。
その種拾いだって、今まで使い捨てていた「種」を再利用することを今後は行って。限りがある資源を適切に使わなければならないだろう。
人間の数は古代クリント王国の時代から数十分の一にまで減った。
これは、まだ周りにはいっていないが。
神代が終わって、割拠の時代が始まった頃にも、同じくらい減ったのではないかと思うし。
混沌の時代が終わって「冬」が来た時なんか。
人間は一度、全滅寸前まで行ったのではないかと思う。
そういった時にも、やらかした元凶共はけらけら笑っていたはずだ。
だからあたしは、笑顔を必ずしも良いものだとは言い切れない。
あたしの複雑な心境を知ってか、相変わらず読めない表情でパミラさんは言う。
「ねえライザ。 貴方が戦っている相手は一体なんなのかなー?」
「今はこの世界を無茶苦茶にした元凶ですね」
「ふふ、貴方らしい。 焼き尽くすような正義感と、それから生じる悪への怒りは、竹を割ったようだわー」
「……」
褒められているとはどうも思えない。
パミラさんは、たまにあった時も、あたしを観察しているそぶりがあった。
そしてこの人の視線は。
どんな観察よりも、桁外れに老練に思えて仕方がないのだ。
「貴方は強いわ。 総合力だと、この世界の人間でも間違いなく最強。 魔物を含めても、かなり良い線まで行くでしょうねー。 だから勝てるかも知れない。 この世界を滅茶苦茶にした元凶にも」
「勝ちます」
「うん、良い気合だわ。 それで勝った後は?」
鋭いな。
あたしがその後は、魔王になろうと思っている事を察しているのか。
別にそれは察せられてもいい。
ただあたしは、二度と神代を繰り返させるつもりは無い。
この世界の半分は、今でも草も生えない土地なのだ。
それでも人間は好き放題を繰り返し。
世界を必死に再生させようとしていた旅の人さえ食い物にして、自分達の欲望をかなえる土台にさえした。
旅の人がどんな風な末路を辿ったかまでは分からない。
だけれども、生きていたらこの世界の有様を許すはずがない。
フィルフサなんて存在は、絶対にああ歪めさせはしなかっただろう。
つまり、殺されたにしろなんにしろ。もう何もできない状態にあるのは、間違いがないのだ。
人間を信じた結果がこれだ。
あたしは個人レベルの人間は信じてもいいと思う。
仲間達には、安心して背中を預けられる。
だが人間という種族は信じられない。
何故か。
もう確認するまでもない。
神代のカス錬金術師どもだって、人間だったのだ。それが数々の凶行を許す理由には一つもならない。
そしてむしろ人間の本質は神代のカス共よりだ。
それはあたしも、嫌になる程分かりきっていた。
「ライザ、気付いているかしら」
「なんでしょう?」
「貴方は、人間としては適齢期にあるの。 それが子供を見ても、まったく心を動かされている様子がない」
まあそうだろうな。
あたしも繁殖をするつもりは今後は無い。
殺した匪賊を材料に。或いは提供して貰った髪の毛などを。ともかく、人間という生物を、エーテルに溶かして細部まで調べた。
それで充分。今は人間という生物の構造を理解している。
その気になれば人間を調合することだって可能だ。多分ホムンクルスと同じ理屈である。
勿論自分のコピーだって例外では無く作れる。
でも、それをやるつもりはない。
血統で全てが決まると考えていた神代のアホ共の悪例を見ているというのもあるし。もう、子供を作るという行為に価値を感じないからだ。
よく人間も動物だからとその蛮行を肯定する言説があるが。
動物だったら裸で密林で素手で暮らせというのがあたしの返答だ。
動物から逸脱した文化で今の生活をしていながら、都合が良いときだけ動物を持ち出すのは最悪の愚論である。
あたしもそれは同じ。
自分は特別だなんて思ってはいないが。
今更動物になるつもりはさらさらなかった。
「酷薄な親は確かにいるわー。 でもあなたのはそれとも違う。 このままだと貴方は、いやもうかしらね。 人ではなくなるわよ」
「全くかまわないですよ」
「……そう。 私が知っている凄い人達も、みんなその結論では一致していたの。 みんな世界をダイナミックに変更して、それで人間を止めていった」
やっぱりな。
この人、人間ではないんだ。
エンシェントドラゴンか、精霊王の類か。それとも、ホムンクルスの何か特殊な個体なのか。
それらですらない。
もっと凄まじい何かしらの世界の遺物なのか。
それまではちょっと分からないが。
ただ、旅の人ではないだろう。
「今、貴方が挑戦している邪悪に最後の戦いを挑むときが来たら、訪ねてきて。 私はクーケン島にいるわ。 渡すものがあるから」
「プディングではなさそうですね」
「ええ。 この世界をかえるものよ。 それはそれとして、プディングも世界を変えるとも思うけれどもね」
少しだけ寂しそうに、パミラさんは笑った。
そして、気がつくとその姿はなくなっていた。
まるで幽霊のようだな。
いや、そんな可愛いものじゃない。
世界の法則に何らかの形で関与している神のようだ。
それはそれで面白い。
あたしに本当の神があいに来たのであれば。機会があれば、こんな世界にしてどうして平然としていられるのか、面罵したかったのだから。
今はいい。
皆が戻ってくる。墓についての情報も集まったらしい。
では、これから攻略戦だ。
大物がいても不思議ではない。
空間魔術は、今のあたしでも直撃すれば即死だ。気を抜ける相手ではない可能性も高い。心を引き締めて、挑まなければならなかった。
余談ですが、この城の遺跡、内部の螺旋構造を突破するのに石を砕ける幻獣が必要になったりしますが。
本作では……今まで同様にカットさせていただきました。