暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3 作:dwwyakata@2024
ひとときの休息も兼ねて、サルドニカの百年祭に足を運ぶライザ。
そこでは、少なくとも今のこの時は。
サルドニカの明るい未来が示されていました。
空間の壁すら、もう問題にならない。サルドニカに出る。
カラさん経由で、興味がある人はどうかと、オーレン族にも声を掛けてみた。流石に難色を示す人も多く。
何より連戦を経たばかりだ。
残念ながら、参加する人はいなかった。
まあそれも仕方がない。
オーリムからフィルフサを一掃し。復興に尽力して。それからだろう。人間とオーレン族が手をとるのは。
その後も散々苦労がある事は確定である。
むしろ東の地が一番最初に連携するのは良いかも知れなかった。価値観が近いし、神代の錬金術師どもに踏みにじられたという点では同じなのだから。
サルドニカに足を運ぶと、随分と賑やかになっていた。
スリには気をつけてくださいと、フェデリーカが最初に皆に言う。まあ、この面子からスレる奴なんていないと思うが。それでも念には念だ。
彼方此方に、カンテラがある。
量産に成功している。
まあ、それほど難しいものでもなかったのだ。
大気中の魔力を自動で吸収して輝く街灯。メンテナンスは外側を掃除するくらいで充分。
文字通り最高の灯りである。
他から来たらしい人が、驚愕の声を上げていた。
「これは。 日用品の硝子を買いに来るくらいだったが、この技術はうちの街にも欲しいな……」
「ただ治安をどうにかしないといけないですね。 すぐに壊されてしまいます」
「ああ、そうだな。 だがこれが街中を照らしていれば、夜ごとに賊が跋扈することにはならなくなるかも知れない」
何処かの街のお偉いさんとその腹心らしいのが話している。
残念だが順番が逆だろうなと、あたしは内心で呟いていた。
確かに明るくなることで、夜闇で好き勝手をするゴキブリの類は数を減らすかも知れないが。
そもそもそんなのが跋扈している時点で問題なのだ。
それを如何にして取り締まるかが大事だろう。
あたしはだが、それに口を出すつもりは無い。
クラウディアが耳打ちしてくる。
「ライザ、あれ第三都市の市長だよ」
「へえ。 根っからの悪人では無さそうだね」
「ちょっと能力には疑問符があるのだけれどね。 今度バレンツから、街灯の整備と、傭兵の契約について持ちかけてみるね。 治安の回復のためには、まずは警備の大幅増強が必要だろうし」
まあ、それで治安が回復するならそれもいいだろう。
クラウディアのやる事に、あたしは口出しはしない。
そのまま、街を見て回る。
街の中央には、今回の目玉である、巨大なカンテラがあった。神々しいまでに光っていて、街を照らしているかのようである。
魔石と硝子の両ギルドが、総力を挙げて作ったわけだ。
周囲には、例の一族の戦士が警備についている。
当世具足を身に付けている人もいる。
しばらく数が減っていたが、用事が終わって戻ったのかもしれない。
サルドニカの警備は、全体的に引き締まっているようだ。
鉱山での惨劇もあったが。
あたしが二度フェンリルを葬った事や。
その後ろで暗躍していた悪魔もどき……此処にいたサタナエルはかなりマシな方だったが。それを葬った事。
それらで街の側にもとんでも無い危険な魔物がいると再認識したことも大きいのだろう。
小隊単位での警備をしている戦士も見かける。
皆、以前のだらしなく城壁の中での平和で呆けている様子もない。
これで充分である。
「ギルド長、お話が」
「失礼します」
フェデリーカが、ギルドの人に呼ばれて話をするべく離れた。
あたしはクラウディアと辺りを見て回る。
硝子細工も魔石細工も色々売っているが、やはり売る人はそれぞれ別。まだ、こういう所では差が残っているか。
魔石と硝子の融合であるあのカンテラはこの百年祭でお披露目し。
実用性を見て各地に売るつもりだそうだが。
それでも、サルドニカ内部でこんな有様では、まだまだ課題は多いと言えるだろう。
神代の錬金術師は、人間の愚かさの極限と言える存在だったが。
サルドニカでも、あそこまでではなくても、堕落しうる余地は幾らでも残されていると言える。
色々見て回っていると、喧嘩だと声が上がった。
どうやらチンピラ同士が喧嘩していたらしいが。レントが二人まとめて地面に叩き付けて、それでおしまい。
後から来た警備が、チンピラ二人とも引きずっていった。
レントがあたし達に気付いて、呆れていた。
「手加減が難しくなってきているな。 ライザの装備もあって危うく殺しそうになる」
「こんな感じで、彼方此方で破落戸とか与太者とか対処してるの?」
「まあな。 ただ、神代鎧みたいな技量の奴はいねえ。 あれは本当に、元がどんな奴だったんだろうな」
多分記憶を取りだすにしても、ロクなやり方ではなかっただろう。それにその武技が、神代のクズ共の手で千年以上も悪用されて。あたしだったら化けて出るかも知れないな。そう思う。
とりあえず、此処は良いだろう。
それからしばらく見て周り、昼ご飯にする。
サルドニカは工業都市と言う事もあって、美味しい料理よりも、手早く食べられる料理が好まれる傾向にある。
魚料理はそれなりに凝ったものが出てくるが。
ただ、船旅をこなしてサルドニカに来る人が多い。
また魚かという不満の声も聞かれていた。
まあ、それは仕方がないか。
「これ、魚以外の名物が必要になりそうだね」
「うーん、この辺りで手早く取れる食材で、それなりに量を揃えられるものは、魚くらいしかないんだよね……」
「フィルフサに踏み荒らされた南の辺り、開拓が進んだら広大な牧草地にできないかな。 あ、でも守りきれないか」
「いずれこの辺りの魔物が無視出来るレベルの脅威に収まったら、或いはそれも手かも知れないね。 持ち帰ってバレンツで協議してみるね」
楽しむつもりが。
いつの間にか仕事の話をしていて、苦笑してしまう。
もうあたし達、子供じゃないんだな。
そう思って、もう一つ苦笑いしていた。
夕方にアトリエに一度戻る。
まだ資料の精査をしたいとタオが言っていたし、百年祭のクライマックスは明日ということだから。
それまではいるつもりだ。
というか、今までも急ぎすぎていて、確認できていない資料が結構あるそうなのである。
エミルの残した資料についてはアンペルさんが全て解読を終えたが、それもあたし達が東の地からフォウレに向かっている最中だったそうで、かなり最近の話である。そういう話を聞くと、やはりもう少し余裕を持った方が良いかと思う。勿論神代の連中が何をしでかすか分からないが。
とんでもない所に見落としがあったりして、それが敗因になったら泣くに泣けないどころか。最悪神代をまだまだのさばらせる事になりかねない。奴らが此方の世界に戻って来でもしたら最悪である。それは絶対に阻止しなければならない。それには時間が必要というわけだ。
軽く食事をしていると、フェデリーカが戻ってくる。
アンナさんもいて、アトリエの中を軽く見回していた。
今は門は見せないように隠してある。
アンナさんは例の一族の人間。
例の一族の戦士はとても強いし、まだ何を目的に動いているのかがよく分からない。
カーティアさんから以前聞いた、悲惨な境遇の女の子の話。
それもちょっと気になるのだが。
いずれにしても、残念だが誰にでも腹の内を見せるつもりは無い。彼方此方で人間という存在の国家維持、秩序維持で大きな役割を果たしているこの一族の人達には、なおさらである。
茶をクラウディアが出して、それで話をする。
今回の百年祭で、浮き彫りになった問題が幾つもあるそうだ。それについて、あたしとクラウディアを交えて話をしておきたいらしい。
ただ、バレンツの副頭取であるクラウディアはともかく、なんであたしと思ったが。
アンナさんが、完璧なマナーで茶を飲みながら、涼しい顔で言う。
「ライザさんは既にこの街では伝説ですよ。 どうにもならなかったフェンリルを二体も退け、鉱山を襲撃した多数の魔物を蹴散らし、ギルドの争いを終わらせた。 それだけでも、街の人々は畏怖の目で見ています」
「はあ、それはどうもとしか」
「カンテラについても、気前よく使用料を放棄してくれたおかげで、サルドニカの新しい産業は大きな転機を迎える事でしょうね。 サルドニカは硝子と魔石という内輪のくだらない争いから解放され、先に進める可能性が出て来ました」
ずばり言うなあ。
この人、無言で事務をてきぱき片付けて行く実務屋のイメージがあった。そもそもこの人の一族にそのイメージがあったのだが。
こんな苛烈な意見も持っていたのか。
まあそれはそれでいい。
「意外と毒舌家なんですね。 それであたしに何を求めています?」
「明日サルドニカの新しいシンボルの落成式を行います」
「カンテラは見せつけているように見えますが……」
「まだ火を本格的に入れていません。 夕方以降に、あのカンテラに灯りを入れて、その灯りで中央広場を照らします。 その落成式に、立ち会っていただきたいのです」
フェデリーカが、肩身が狭そうにしている。
まあ、でもあたしはかまわない。
どうせ明日までいるつもりだったのだし。
何よりサルドニカでは、これ以上血の雨を降らせる必要も無さそうだからである。
魔物もある程度落ち着いているし。
例の一族の主力も戻って来ている。
超ド級ももう近場にはいない。非常識な力の魔物がいないのなら、自力で身を守れないといけない。魔物退治は戦士の仕事。今後はサルドニカが、自身で戦士を雇ってそれをやっていくのだ。
その基点となる式典に立ち会うのなら、それはそれでかまわなかった。
あたしがいる事を示す。
関わっている事を示す。
それでこの隙に小賢しい事をしようとしている連中を、掣肘しておくと言う訳だ。まあ、策としてはそれでかまわないだろう。
「分かりました。 ただし……」
「なんなりと」
「以降サルドニカの警備を改め与太者にも魔物にもしっかり対応し、何処かしらのギルドが横暴に振る舞うのを掣肘し、この街の発展に努めてください」
「分かりました」
アンナさんもちょっと苦笑いしたようだが。
フェデリーカは胸をなで下ろしたようだった。
あたしがサルドニカの首長になるとか言い出したら、フェデリーカも止められないのである。
実績が実績だから、それを止める資格が誰にもない。
あたしはそんな事をいわないし。
フェデリーカも似たような事をあたしが何度か断っているのも見ている。
それでも、可能性は排除できなかったのだろう。
ともかく、これからはフェデリーカの時代だ。
お飾りの首長は終わり。
この冒険が終わったら、フェデリーカが先頭に立ち、サルドニカを回していくことになる。
アンナさんは、それを支援して欲しい。
あたしの願いは、それだけだ。
アンナさんが戻ると、クラウディアがくすくすと笑う。
「ライザは本当に神代の錬金術師とは真逆だね。 個人の欲で何もかもを踏みにじっていいって考えていた神代の錬金術師と、その系統を汲んだ錬金術師達……古代クリント王国の人達もそうなんだろうね。 そういった人達から見れば、ライザは怪物にしか見えないと思う」
「怪物で良いよ。 其奴らが世界を食い尽くすのを止めるためなら、あたしは不動明王にでも魔王にでもなる」
口に出して言ったのはあまりないが。
いずれにしても、慈悲深い都合がいい神になんかならないし、なるつもりもない。
それをやった旅の人が徹底的に搾取されたこともある。
旅の人は聖人という言葉にもっとも近い存在だっただろう。だがそんな存在に敬意を払えるほど人間という種族はまともではないのだ。
むしろ普遍的な恐怖の方が、人間を縛るのにはいい。だが恐怖を利用して人間を支配するのでは全く同じ。
だから人間ではなく支配もしない。
そして人間が愚行を犯したときに、問答無用で摘み取る。そういう存在であればいいのだ。
「もう寿命を超越した今、あたしは人間としての常識なんてものは全て捨てるつもり。 まあ常識なんてものは、偏見とばかげた妄想の塊だけど」
「そうだね。 ライザはこのまま行くと、社会性なんてものは必要なくなるだろうし」
そういうものは、集団でいないと生きられない人間が必要とするもの。
常識がどうのこうのと口にする人間は。
基本的にそんな必要なものを悪用する連中だ。
だからあたしにはいらない。
人間の外側から、客観的に見なくてはならないからだ。
茶を飲んでリラックスした後、少し装備品を見直しておく。まだまだオーリムでの戦いは続くのだ。
もう一つの遺跡。
そこは今まで奏波氏族も見つけられなかった隠蔽の先にある。
場所は既に判明していても、簡単に突破出来るわけがない。
翌日。フェデリーカの鉄扇に手を入れていると、丁度時間が来たらしい。以前見かけた、まだ幼い例の一族の人が呼びに来る。
祭りには、意外にもみんな参加するようだ。
ただし、タオもアンペルさんもクリフォードさんも、式典だけ見たら切り上げるそうだが。
明日までは次の戦いに出ないとは言っても、それでもまだまだ資料の精査は足りていないのである。
サルドニカに向かう。
花火が持ち込まれているようだ。
薄明かりの中、カンテラが。硝子と魔石の技術を融合させたカンテラが、美しく輝いている。
その輝きはとても優しくて。
魔石の蠱惑的な輝きとも、硝子の冷たい輝きとも違う。
どちらかというと温かい。
今後このカンテラは、世界に普及していくだろう。そして闇を消して、闇に潜むものを追いやる。
だから、強い光よりも、温かい光の方が良いのだ。
観光に来ているお偉いさんらしい人達が、おおと声を上げている。警備がしっかり見張っていて、悪さをする人間に隙を見せていない。
当世具足を来た戦士が来ると、舌打ちして裏路地に引っ込む輩もいる。
例の一族の戦闘能力は、あの手の輩だからこそ良く知っているのだろう。
中央広場に、あたしは案内される。
あたしが来ると、工場長やらギルド長が手を叩いて迎えてくれる。サルドニカの百年祭を、此処まで盛り上げられた立役者。
そうフェデリーカが紹介してくれて、ちょっと気恥ずかしい。
だが、それでいい。
サルドニカが右手を挙げると、花火が打ち上げられていた。
今の時代は、本当に贅沢な品だ。
だから、この百年祭のために、サルドニカも奮発したというのが分かる。数十発ほど、空に大輪の花が咲く。
わっと喚声が上がり、酒も配られたようだ。
カラさんが大喜びで酒を飲んでいて、側にいる戦士が呆れていた。まあ子供にしか見えないしな。中身は兎も角。
花火が照らすサルドニカは。
少し前まで、内紛の危機があったとは思えない。
さび付いていた歯車はあたしが全部新調したし。
壊れていた機械も全て直した。
その結果、サルドニカは文字通り新陳代謝を終えた。今後悪党共が寄りつく隙を作らなければ、もっともっと発展する。金持ちのための工芸では無く、生活必需品を作り続ければ。
それで更に街は世界に必要になる。
一部の金持ちの嗜好を満たす品なんて、そんなにたくさんは必要ない。
大事なのは誰もが生活に必要とする品なのだ。勿論生活に余裕が出来れば嗜好品も良いだろうが。
サルドニカの外が少し前までは地獄絵図だったことを考えれば。
何を優先すべきかは、言うまでもない事。
だが、人間はそんな言うまでもない事を、時々忘れる。
此処にいた拗らせた職人達だって、それは同じであったはずだ。
しばらく、街を見て回る。
あたしを見て、さっと逃げ散る与太者の類。既に知られているらしい。まあ、どうでも良いことだが。
あたしが見回っていると言うだけで、充分な抑止力になるだろう。
戦士に声を掛けられて、感謝の言葉を言われる。
以前義手を作った戦士だった。
手の調子が完璧だと言われる。
まあそうだろう。
多少構造は違うが、もうもとの手とまんま同じなのだ。今では生物的な意味での体と一つになっている。血も通っているほどに。
色々課題はあったのだが、それもクリア済だ。
あたしの技術は、少なくとも搾取した技術でイキリ散らかしていた神代の錬金術師は越えた。
ただ旅の人に及ぶかはまだ分からない。
旅の人由来の技術は、まだまだあたしも解析しないと分からないものがおおいのだから。
街の外れに出る。
小高い丘からは、前は薄暗くて、ギルドばかり火が点っていた夜のサルドニカが。
明るく輝いていて、まるで外の暗闇の世界とは別に見えてくる。
星空が地上に降りてきたかのよう。
はっきりいって、王都よりも明るい。
あの街灯はこれからどんどん売れる。王都にも普及していくことだろう。
その過程でサルドニカは豊かになるが。
だからこそ、悪党の流入に気を付けなければならない。
アンナさんをはじめとする、例の一族の活躍に期待したいところだ。
まだまだ魔物に脅かされてばかりのこの世界で。
此処は、数少ない人間が発展を続けている街なのだから。
一通り見てから、アトリエに戻る。
カラさんがほろ酔いで、リラさんに担がれて先に戻ってきていた。リラさんが苦笑している。
「こんなに総長老が酒を好きだったとはな」
「リラさんは嗜まなかったんですか」
「酒はそもそも作りようがなかった。 リヴドルがある程度まともだった頃までは、作っていたようだが」
「そうですね……」
ずっとリヴドルでゲリラ戦を続けていたのだ。
酒なんか造っている余裕はなかっただろう。
酒を飲む習慣そのものが消えてしまっていたらしい。
それもまた、不思議では無い事だ。
皆おいおいに戻ってくる。
タオ達の様子を見に行くと、既に本の解析に戻っていた。
手分けしている。
タオはメインとなる、回収したばかりの本を読んでいる。
クリフォードさんは得意の勘を生かして、今まで集めて来た本を漁り、取りこぼしがないかを確認してくれている。
アンペルさんは複雑な専門的内容を分析しているようだ。
タオと連携して、喧々諤々の議論をしているが。喧嘩をしているわけではない。
フィーが不思議そうに小首を傾げている。
あたしも、この三人が、今の世界における古代文書を最も読んだ三人だなんて信じられなくなることがあるが。
それはそれとして、此処に三人スペシャリストがいるから。
ヒントが殆ど失われてしまっている今でも。
神代の本拠地に近付く事ができると言える。
フェデリーカは遅くまで戻って来ないだろう。パティは早めに戻って来た。クラウディアとアンナさんと話をして、あの街灯を二千本注文してきたらしい。
勿論一括で届く量ではないが。
それでも、王都の夜をそれで一気に明るくすることができるだろう。
「パティとしても、王都の暗さには問題を感じていたんだね」
「はい。 最初は道や王都至近の街道などに設置して、夜の灯りを緩和します。 その後に家庭用のものを輸入することになりますね」
「そうなると、金持ち用のものは後も後なんだね」
「そもそも王都に巣くっていた寄生虫は、あらかた片付けてしまいましたから、そういう悪辣な金持ちは殆どいませんけれど。 ただ、最終的には、全ての家で買えるほどに、値段を抑えるつもりです」
確かにあの街灯が全ての家に行き渡れば、生活そのものが変わるだろう。
問題は強度だが、あたしが考案した強度強化の魔術が掛かっている。余程良い腕の奴でもない限り、石を投げたくらいでは壊れない。落としたくらいで割れるほど柔でもない。
パティはやっぱりいい指導者になるな。
あたしはそう思った。
ただいい指導者であり続けるのは難しい。
あたしが昔脅かしたことを、覚えているといいのだけれど。
そうとも思った。