暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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4、崩されていく虚飾

二つ目の拠点。まだ守りを固めていた神代鎧を排除。此処は生産システムはないらしく、それほど抵抗はしぶとくもなかった。

 

最初に生産システムがあった拠点を抑えたのは正解だったと言えるだろう。

 

入口付近で抵抗した神代鎧を全部粉砕すると、それで後は静かになった。

 

此処は罠も存在していない。

 

内部に入ると、きんきんに冷えていた。

 

周りからは、風が出ている。

 

「なんだこれ。 この箱の山はなんだ」

 

辺りにあるのは、箱だ。長方形の箱が、たくさん積み重ねられている。近付いて見ると、そこから熱い風が出ていた。

 

風で冷やしているのは、これの対策なのか。

 

「これはデータセンタと言います。 此処にあるのが中核システムの一つで、この区画を制御しているものです」

 

「一体これはなんだ」

 

「自我を持たなかった私の同類です」

 

「!」

 

なるほど。

 

こういったシステムを多数つなげて、巨大な万象の大典を制御しているというわけか。

 

動いていないものもあるようだ。

 

これらの箱を一つずつサーバと呼ぶらしい。

 

内部の仕組みは極めて複雑であるらしく、説明するのには何ヶ月もかかるようなことを「母」はいうのだった。

 

ただこれらも、混沌の時代から技術を持ち込み。

 

旅の人が一から作って、それをくみ上げたものだという。何百年も掛けてだ。

 

旅の人も技術を混沌の時代から持ち出すのがやっとで、それを更に進歩させることはできなかったらしい。

 

混沌の時代の最盛期には、これらのシステムの中枢になるサーバはどんどん進歩が続いたとかで。

 

こういうデータセンタには、新旧のサーバが入り乱れて配置されていたそうなのだが。

 

アンペルさんが、それらの話を聞いて感心する。

 

「全く未知の技術だ。 混沌の時代は、本当に技術が進んでいたんだな」

 

「だが、技術を生かす頭は無かったようだな」

 

「違いない」

 

リラさんの痛烈な言葉。

 

確かにこんな技術を生かせていたのなら、冬の時代なんて悲劇を引き起こすこともなかったのだろう。

 

指定された幾つかのサーバを壊す。

 

物理的にではなく、線を外してしまってくれと言われたのでそうする。

 

なんでも防御を担当していたものらしく。

 

こんな線一つ抜くだけでと、あたしは呆れた。

 

「恐らく、データセンタにいた人間が今の行動を見たら発狂すると思います。 それくらい、それは致命的な行動です」

 

「脆弱すぎないかな、いくら何でも」

 

「一応複数のサーバに機能を分割して、冗長性を確保することはしていました。 それでもやはり物理的な破壊はどうにもできなかったのです」

 

「母」の説明を聞き。

 

そんなものなのかと思う。

 

程なくして、母が全ての掌握を開始。この区画は、それで掌握できてしまうということだ。

 

この区画のガーディアンを除いて、だが。

 

そいつも神代鎧と同じく、そもそも別枠で動いている。

 

こういったシステムとは関係無く。

 

組み込まれたシステムで、自己判断を続けているということだ。

 

「掌握には半日ほどかかります。 それまでは休んでいてください。 此方でも消耗した戦士の回復を優先します」

 

「分かった。 門は既に開いている。 一度補給に戻るよ」

 

「いいのか」

 

「あたしも一発で此処を突破出来るとは考えていなかった。 最悪エンシェントドラゴンや雨で弱体化していないフィルフサ王種級の相手と連戦する事態すら想定してた。 それに比べれば、楽なものだよ」

 

レントにそう応じておく。

 

そもそも薬や爆弾も消耗した分は補給しておきたい。入口ですらこれなのだ。この奧に、そのまま挑むのは危険すぎる。

 

まだボオスは、「母」を疑っている様子で、ちらちらを後ろを見ていたが。

 

それもそれで別に良い。

 

みんなが前にならえで、おんなじ思想を持ち、思考をする必要はない。こう言うときだから、疑う人がいた方が良いだろう。あたしもそういう人に、自分の判断を押しつけるつもりはない。

 

一度群島に出て、それからアトリエに戻る。

 

アトリエにつくと、後は休むだけだ。

 

夕食を作ってもらいながら、有用だった知識を幾つか生かしておく。あのIHという奴は、すぐにでも作れそうだ。

 

ただ普及させるつもりは無い。

 

人間には、世界を滅ぼせるような力を持たせるわけには行かない。人間がどう変わるかは分からないが。

 

少なくとも、神代の錬金術師はまったく変わらなかった混沌の時代の人間そのものだとみて良い。

 

旅の人は、そんな連中を信じたから、フィルフサによる大災厄を結果として誘発してしまった。

 

更には古代クリント王国後の大破滅も、結果としてはその延長線の出来事だとは言える。

 

人間には技術を与えるべきでは無い。

 

少なくとも、世界を好きかってできる技術はまだ与えてはいけない。それだけは、誰にも譲れないことだ。

 

勿論、あたしも余計な関与をするつもりはない。

 

許されざる悪逆がでた時に、問答無用で滅ぼす。

 

ただ、それだけだ。

 

それにしても、具体的にどうするか、だが。

 

それについては、ゆっくり考えていくしか無いだろう。

 

夕食を終えて、横になって考える。

 

フィーは、心配そうにあたしを見ていたが。それでも、先に眠ってしまった。

 

「ライザ」

 

「うん?」

 

クラウディアが、声を掛けて来る。

 

もうみんな眠ってしまっている。こんな時間帯だ。何かあるのか。

 

「どうしたの」

 

「考えた事があるんだ。 一つ」

 

「うん」

 

「私も、人間止めるよ」

 

思わず、半身を起こしていた。

 

クラウディアは、寂しそうに笑う。

 

「ライザ、ずっと苦しそうにしてた。 人間の愚かさをずっと浴びて、それでずっとどうすればいいのか考えていたんだよね」

 

「そうだね……」

 

「私も背負うよ。 だから、私からも寿命を取り除いてくれる?」

 

そうか。

 

クラウディアも、そう考えてくれるのか。

 

元々結婚するつもりはないと言っていた。だとすると、バレンツについても何か後継を考えなければならないだろう。

 

分かったと、あたしは答える。

 

これだけの戦いを経てきたのだ。クラウディアがそれでそういう結論を出したのなら、あたしは止められない。

 

あたしはこの世界の魔王になる。

 

それを手伝ってくれるのなら。この大親友に、これ以上もない感謝をするしかないのだった。

 

 

 

(続)







クラウディアの出した結論。

これはずっと前から決めていたことです。

そしてライザに、それを止める権利はありませんでした。
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