暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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※旅の人について


歴代アトリエシリーズで伝えられる錬金術の始祖です。

本作においてはその正体は、超兵器によって滅びた先時代文明の作り出した一種の強化人間で、エーテルが出現したことによってルールが変わった世界で、人間も世界も復旧するために尽力していました。

今までに描写したように性別すら厳密には存在しない完全生命体です。寿命も存在せず、「善良」という存在の権化となっていますが、これはそう作られたからです。

世界を復旧する過程で、「旅の人」は善良であるが故に失敗しました。世界の復旧よりもエゴを優先するような人間に舐められたのが、この世界の第二の悲劇の始まりです。人間の多くは善良な相手など、ただの食い物としか認識しません。残念な話ですが。

そして世界より我欲を優先した連中の子孫が神代なのです。

ちなみにこれら旅の人の設定は、原作ライザ3で、万象の大典最深部にある、不可解なアトリエの跡地をもとに考案しています。原作のあれは恐らく、神代がまともだった頃に長だった存在のアトリエだったのでしょうね。


4、千年の果ての救済

まだそれぞれが家路につくまで、少し時間がある。かくいうあたしも、一度王都に来て欲しいと言われている。

 

パティとタオの結婚式をすぐにやるらしく、それに同席して欲しいというのだ。

 

皆の内、急ぎでない人員も来てほしいと言われたので、だいたいの面子が来るようである。

 

まあ、王都から門経由で各地に皆を帰すのが、皆に門を使って貰う最後になるだろう。

 

いずれにしても、あたしにはやる事がある。

 

ガイアさんが、無菌状態にしているアインを連れてくる。

 

アインは不安そうに門を潜った。魔術で防御を固めていて、病気にならないように病気の元を全て断てる状態にしている様子だ。

 

「ガイアさん、義手や義足はどうですか」

 

「以前以上に動く。 最後は死ぬつもりだったが、生き延びてしまったな。 まだこれからも働く事になりそうだ」

 

「ふふ。 ではアイン、こっちへ」

 

「……はい」

 

アインはやっぱりあたしが怖いらしい。

 

でも、それでもかまわない。

 

多分このことあたしは上手く行かないだろう。別にそれでも良い。世界中の皆と友達に。恐らく旅の人が喜びそうな言葉だが。

 

それができない事だということは。旅の人本人が証明した。

 

ただあたしは、人間を外から管理するだけだ。

 

管理で充分。

 

世界をこれだけ無茶苦茶にした人間に、自立自活など不可能だ。種としての欠陥が根本的にある。

 

勿論できる人間個人は存在している。

 

だが、種としては無理。

 

だから、あたしが手を入れる。

 

アインへの施術は、その最初の一歩だと言える。

 

治療用の培養槽に、リネンのまま入って貰う。普段からリネンで過ごしている事が多くて。

 

たまに培養槽の外で、おきにの服を着ることが出来ても。

 

体調をすぐに崩して、培養槽で調整する。

 

そして脱いだ服は、汚れきってしまっている。

 

そんな事が続いていたらしい。

 

同胞が守らなければと思うのもよく分かる。そして、この子が同胞の多様性の希望の象徴だったことも。

 

今は多様性の問題も解決した。

 

だから、アインを守るのは、同胞としての責務と変わっている。

 

そしてアインが無事に人間として再調整されたとき。

 

気高い自我を得たプログラム(AIというらしい)、母の願いも叶うのである。

 

「アイン様、苦しくはありませんか?」

 

「うん。 お母さんはいる?」

 

「いますよ。 此処でも問題なく話す事ができます」

 

「良かった。 お母さん、ずっと一緒にいてね」

 

アインはまあ、あれだけ酷薄に親に接せられた挙げ句、あんな死を遂げたのだ。だから、存在しなかった母には、夢を見てしまうのだろう。

 

現実の母親なんて。

 

まあ、あたしも母さんの気持ちは分かるようになってきているから、夢を見ないだけだが。

 

うちの母さんはあれでもまだマシな方で。

 

毒親と言われるような連中は、本当に際限がない。それはよく分かっているからあたしは何も言わない。

 

ある意味旅の人だって、母親として人間の教育を大失敗したようなものなのかも知れない。

 

あたしは人間の母親になるつもりは無いが。

 

ただ、その失敗の過程は覚えておくつもりだ。

 

治療を開始。

 

まずアインを眠らせる。完全に意識を落とす。

 

元々人間の構成要素が壊れまくっている父親の影響を受けた体だ。本当に彼方此方が色々破綻している。

 

それでも、一つずつ直して行く。

 

痛みは完全に排除してあるが、それでも体ごと治すのだ。

 

不安そうにしている同胞。血に染まる培養液。

 

クラウディアの時より施術の難易度は低いが、それでも失敗は許されない。

 

こういう施術は、昔は名人芸だったんだろうな。あたしはそう思う。だけれども、今はそれについてはいい。

 

淡々と施術を進める。

 

そして、体中を丁寧に直して行く。

 

ダメだった機能を、全て回復させる。体中が一度ぼろぼろになるが、それも全て再構築していく。

 

おっと、この埋もれた歯は将来親知らずになりそうだな。排除。

 

む、将来的に目が悪くなる可能性が高い。此処も治療しておこう。

 

そうやって、予定以外の治療も施しておく。

 

今のあたしでも、たっぷり二刻は掛かり。終わった時に、培養液は循環しているのに、赤く濁っていた。

 

「施術終わりました。 これでアインは、外を自由に歩くことができます」

 

「おおっ!」

 

「ライザどの、感謝する! 感謝するぞ!」

 

「この施術用の培養槽は、ばん……いや名前を変えましょう。 どう名前を変えるのかは後で考えるとして、生産区にでも持ち込みます。 それから、希望者のホムンクルスには、体を調整する旨を伝えてください」

 

多様性の獲得。

 

生まれる子供の多様化。

 

色々な機能をあとづけで追加できる。

 

アインは数日は絶対安静だが、それが終わり次第、走り回る事もできるし。なんなら戦い方を覚えて、戦闘に出ることだって出来る。

 

アイン様には自衛のために剣を覚えて貰おう。

 

いや槍だ。

 

魔術がいい。

 

同胞達が、そんな事を言っている。

 

あたしは苦笑いして、伸びをした。

 

冒険が終わり、皆の人生が始まった。数日以内にクーケン島を離れて、パティとタオの結婚式に出て。

 

その時王都のアトリエにも、小妖精の森のあたしの森との門もつなげて。

 

その後から。

 

あたしはクラウディアと協力して、魔王への道を驀進する。

 

 

 

(続)







こうして長い長い冒険が終わりました。

新しい世界が始まります。
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