暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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文字通り地獄の跡地。

そこは、ライザも良く知っているある存在に踏み砕かれ、かろうじて定着を阻止した結果出現した、広大な無人地帯でした。


1、滅びの跡地

タオはボオスと一緒に、サルドニカの南の地に出向く。この辺りは、昨日とかに散々魔物を蹴散らして回った事もある。

 

殆ど魔物の姿はない。

 

ただし、草などもまばらだ。

 

クリフォードさんとも見解が一致したのだが。

 

やはり、この辺り。

 

元々五百年前に、更地になったのだ。

 

しかし、死体などの残骸はほぼ存在していない。これは恐らくだが。戦闘の後に、魔物が食い荒らしていったのだろう。

 

だが、彼方此方に、金属の残骸やらは散らばっている。

 

戦闘用の幽霊鎧や、或いはゴーレムのものだろう。

 

使えそうな道具は、恐らくだが。

 

サルドニカ建設の際に、例の錬金術師が持っていった。

 

そう判断して良さそうだった。

 

「ボオス、気を付けてね。 魔物が来る可能性は充分にあるから。 常に背後を警戒するようにしてね」

 

「任せておけ。 それで、門の位置は見当がついているんだろ」

 

「うん。 フィルフサの拡がったと思われる廃墟の状態から、だいたいは分かる」

 

「流石だな」

 

昨日のうちに、目星はつけておいたのだ。

 

ボオスが即応。

 

後ろから飛びかかってきた鼬を、二刀を振るって瞬く間に斬り伏せていた。数体の鼬が、周囲から出てくる。

 

もっと小型なら、動きもしなやかなのだが。

 

人間を襲うサイズになってくると、鼬は相応に動きが鈍くもなる。

 

これは要するに、本来はそこまで大型化する生物では無い、ということだ。

 

もっと大きな鼬になると、明らかに動きの補助に魔術を使っている。

 

魔術なしだと、鈍重にしか動けないと言う事で。

 

もとのしなやかさという強みを捨ててしまっている。

 

それでも魔術がそれだけ強力だと言うことだ。何しろ鼬は。世界中の何処にでも今や住んでいるのだから。

 

襲いかかってくる鼬の群れを、二人でしばし蹴散らす。

 

倒しきった後は、死体を処置。肉類は燃やしてしまい。最低限の皮だけは剥いで。持ち込んでいる小型の荷車に積み込んだ。

 

「もう僕と殆ど腕前変わらないね」

 

「バカ抜かせ。 それに、そんな風に満足したら人間の進歩は止まるからな」

 

「そうだったね」

 

「行くぞ」

 

剣を振るって血を落とすと。

 

そのまま、二人で進む。

 

この辺りは本当に真っ平らな土地になっている。本来は都市があったのだろうが。それも根こそぎだ。

 

地獄みたいな光景だっただろうな。

 

フィルフサとアーミーが相討ちになった後。

 

大量の魔物がやってきて、死体を喰い漁って行った。それで。この辺りの人間はいなくなった。

 

避難した人も、彼処は地獄だと言い伝えたのだろうか。

 

いや、避難できた人がいたかも疑わしい。

 

此処はクーケン島近辺と違って、初期消火に恐らく失敗したんだ。それで、アーミーの大軍が出ざるをえず。

 

或いは、それで何かしらの恐ろしい兵器を使って。

 

何もかも、消し飛ばしたのかも知れない。

 

今のライザだって、地力であれだけの破壊力を出せるのだ。

 

古代クリント王国時代だったら、神代から引き継いだ力で、もっと強烈な爆弾を作れてもおかしくはない。

 

それで全部まとめて消し飛ばして、それで終わりにしたのかも知れない。

 

いずれにしても、愚かしすぎる話だった。

 

何度か戦闘をこなしながら、真っ平らな土地を行く。

 

影の向きとコンパスを常に調べながら移動するのは、今いるのがどんな場所か分からなくなるからだ。

 

周囲は全て地平。そして地平は既に全て平らである。

 

それくらい、真っ平らにされている土地が拡がっていると言う事だ。

 

水はけも最悪で、彼方此方に水たまりが出来ていて。非常に不衛生な水が溜まっている。真っ平らな土地というのは、案外生物が住みづらい場所なのだと。こういうのを見ていて理解出来る。

 

「なあ、タオ」

 

「どうしたの」

 

「この土地を復興するには、どれくらいかかるんだろうな」

 

「サルドニカがもっと発展して。 自衛力を身に付けるまでまたないとダメだろうね。 何百年も先だよ。 最楽観でね」

 

タオも、散々色々な遺跡を見て来た。

 

だから、古代クリント王国の所業は許せないと自分でも感じている。

 

これも、その所業の果ての光景。

 

地獄の先にある、虚無だ。

 

ボオスは、そうかとだけ呟いた。

 

ボオスだって、オーリムの地獄絵図は見て知っている筈。

 

だから、余計に悲しいのかも知れなかった。

 

黙々と進んで、やがて想定される地点近くに辿りつく。恐らくはこの辺りにあるはずだが。

 

周囲を見回す。

 

跳躍して、何度か周囲を確認して。それで、見つけた。

 

不自然な場所があって、其処の瓦礫をどけてみると、あった。

 

ボオスと一緒に瓦礫をどかすと、階段が見つかる。

 

頷くと、二人で階段を降りる。

 

大丈夫。

 

もし門が生きていたら、こんなちゃちな瓦礫じゃ、フィルフサを防ぐ事なんてできっこない。

 

無言で階段を下りて、カンテラをつける。

 

階段はすぐに終わった。恐らくだが、アーミーの残党が、此処を処置したのだろうと言う事は分かった。

 

聖堂がある。

 

完璧だ。荒らされていない。

 

地下空間に閉じ込めていたから、劣化は起きなかったのだろう。調べて見るが、聖堂のシステムが固定されている。

 

一応、後でライザに更に補強して貰うとしても。

 

今、手を入れなくても大丈夫だろう。

 

「よし、これは問題ないと思う」

 

「分かった。 引き上げだな」

 

「うん。 土産は毛皮だけだね」

 

「いや、門が問題なことが最大の土産だ。 それに、俺たちの無事もな」

 

頷く。

 

ボオスも、良いことを言う。

 

そのまま、帰路につく。

 

あの門の先に行って、フィルフサを始末してしまいたいけれど。それにはちょっと準備が足りない。

 

最悪の事態に備えて、周囲を水で覆うくらいの事はしないといけないが。この場所では、それも厳しいだろう。

 

門から出たときに、一瞬だけ誰かの気配がしたが。すぐに消えた。

 

ボオスは、気付かなかったようだった。

 

「ボオス、僕はちょっとサルドニカのバレンツ商会に寄って戻るよ」

 

「じゃあ、俺は先にアトリエに戻って寝ている」

 

「分かった。 ここ最近、大変だったもんね」

 

「ああ、そうだな。 バカみたいに愛想笑いして、頭も下げて。 父さんもクーケン島では偉そうにしているが、外に出るとこうなんだろうなと、何度も思ったぜ」

 

そうか。

 

ボオスも苦悩しているんだな。

 

そう思って、タオはサルドニカに向かう。

 

とりあえず。

 

直近で、最大の危機は避けることが出来たと思う。それだけで、まずは充分とみるべきだった。

 

 

 

荷車をボオスに任せて、サルドニカに。

 

サルドニカではもう顔馴染みになっていて、職人の知り合いも出来た。

 

ライザ達は、今頃禁足地で大暴れしているはずだ。まあ、ライザ達でどうにも出来ない相手が出て来たら、タオやボオスがいてもどうにもならないだろう。

 

心配せず、まずはバレンツ商会に出向く。

 

手紙について確認。

 

そうすると、思わずおっと声が上がっていた。

 

アンペルさんとリラさんだ。

 

手紙を確認するが、内容についてはちょっと芳しくない。

 

「現在、門の調査中。 閉鎖的な村落で、かなり調査が難航している。 最悪の場合投獄されるかも知れない」

 

「相変わらず無茶してるなあ……」

 

クーケン島でも、アンペルさんはつるし上げにあって、酷い目にあっていたが。

 

それ以上に恐らくは閉鎖的な場所でも。使命感に従って、門を閉じに行くのだろう。

 

それは酷い目にあう。

 

だけれども、世界が滅ぶのに比べたらマシ、と言う訳か。

 

分からないでもない話ではあったが。

 

「竜の紋章についてはなんとも言えないが、もしもそれが神代の遺跡から出て来たとすると、「門」について初歩まで立ち返った方が良いかも知れない。 エンシェントドラゴンの存在を考える限り、どうにも無関係とは思えない」

 

「……確かに」

 

思わず呟く。

 

ライザがエンシェントドラゴンの残留思念とアクセスしたのは去年のことだ。

 

その時に聞かされたそうである。

 

エンシェントドラゴンが、門を開いたのだと。

 

もしも人為的に門を開くことが出来るとしても。

 

それは恐らくだが。人間が最初からテクノロジーを作ったのではなく。何かしらの自然現象を真似したもの。

 

或いは、生物として隔絶しているエンシェントドラゴンの性質を調査して、それを再現したもの。

 

その可能性があるのだ。

 

バレンツで、手紙を返しておく。

 

現在サルドニカで調査をしていること。サルドニカで同じ紋章を見つけたことなど。後はフェンリルの話も書いておくが。これは蛇足だ。

 

サルドニカ近辺で、封じられた門を見つけたこと。ライザと一緒に、完璧に処置をしておくことも告げる。

 

ライザの事だ。豪快に水を引き込んで、王種をつぶしにいくと言うかも知れないが。

 

この戦力だとちょっと無謀かも知れない。

 

出来ればリラさんとアンペルさんも来て欲しい。

 

まあ、それについては今の時点では仕方がないと考えるしかないだろう。

 

ともかく、タオは自分に出来る事をするだけだ。

 

工房長の館に出向く。

 

此処にいるアンナさんという例のメイドの一族の人には、既に話を通してある。話をして、奧に。

 

門外不出の書物を、軽く見せてもらった。

 

なる程、ここに来た錬金術師の名前についてもある。

 

エミルという名前だったのか。

 

ひょっとすると、アンペルさんが知っているかもしれない。名前については、覚えておく。

 

都市の成立の過程などを、調べてメモを取っておく。

 

やはり東方から流れてきた腕利きの戦士達も、その中にいたそうだ。当世具足や大太刀の技術も、東方から伝わったらしい。

 

これによると、もっと強力な鎧と、更に小ぶりな刀を当時は主力にしていたらしい東方の戦士達だが。

 

魔物との戦闘が主体になって、防具の軽量化と、装備の巨大化を図るようになったそうである。

 

その結果が当世具足と、大太刀ということだ。

 

大太刀はその後、鍛冶ギルドなどがある程度再現に成功。

 

王都などにも輸出されたそうである。

 

なるほど、それがパティの家に伝わっていたものなのだろうなと、タオは納得していた。

 

ただ、百年前の時点ですら、東方の地の戦況は良くなかったらしい。

 

今はどうなっているのかは、ちょっと心配だった。

 

無言で資料を見ていると、いつのまにか懐に入れている砂時計入りのペンダントがカタンと音を立てていた。

 

これは時間を忘れてしまうタオの為に、パティがライザに作るのを依頼したものである。

 

カタンと音がかなり大きくなるので、タオも集中していても気付く。

 

どうやら、相当な長時間本とにらめっこしていたらしい。

 

書庫から一度出る。

 

ライザもそろそろ戻っている頃だろう。

 

アンナさんに礼を言って、工房長の館を出る。黙々とサルドニカを出て、アトリエに急ぐ。

 

アトリエには既に灯りがついていて。ライザ達が戻って来ているのが分かった。

 

まあ初回は威力偵察だ。

 

それほど深入りはしないだろう。

 

アトリエに入ると、既に夕ご飯を準備し始めていた。今日料理しているのはフェデリーカである。

 

結構本格的な鍋料理を作っているようだ。

 

大丈夫、怪我人はいない。

 

「お帰りタオ」

 

「ただいま。 ライザ、これ。 アンペルさんから」

 

「!」

 

すぐにライザが手紙を受け取り、中身を確認し始める。

 

剣を手入れしていたレントが、視線を向けずに聞く。

 

「手紙が来たって事は、アンペルさんは無事みたいだな。 リラさんも多分その様子だと大丈夫だろ」

 

「いや、そうともいえない。 かなり危ない橋を渡っているみたいでね」

 

「またか」

 

「まただよ」

 

ちょっと呆れる。

 

アンペルさんは、100年前のロテスヴァッサの王宮でも殺されかけたし。

 

リラさんと最初に出会った時も、殺される寸前まで行ったと聞いている。

 

とにかく、武闘派とも言えないのに生傷が絶えない人なのだ。

 

聞いていて、いつも心配になってくる。

 

ともかく、タオはタオで、メモ帳を整理しておく。今日は色々とあったし、報告することもあるからだ。

 

まずは夕食。

 

フェデリーカが作った鍋をつついて。それでおなかいっぱいになってから。

 

ライザが手を叩いて、それでミーティングを始める。

 

まずはタオからだ。

 

門を発見したこと。

 

完璧に閉じられていたことを告げる。ただし、偽装そのものはお粗末そのものであったことも。

 

次はアンペルさんの手紙について。

 

それについては、ライザから皆に説明。

 

ただ。ライザは腕組みして考え込んでいた。

 

「門については別にかまわないんだけれどね。 問題は基礎に立ち返れって言われても、ちょっとなあ」

 

「前にライザが作った鍵、あれに問題があるとか?」

 

「……何とも言えない。 ちょっと色々と考えて見るよ」

 

次だ。

 

ライザ達が足を運んだ禁足地について。

 

それについては、レントが説明してくれた。

 

「街の人間達が怖れるのも当然だ。 かなりやばいぜ」

 

「そんなに」

 

「ええ。 魔物の強さが二段階は違うわ」

 

セリさんがそう説明してくれる。

 

そうなると、フィルフサに近い強さのもいてもおかしくはないか。

 

いや、待てよ。

 

「タオ、鋭いわね。 恐らくは主がいる」

 

「最悪だねそれ……」

 

「フェンリルに迫るかも知れない。 準備はしっかりしておいた方が良いでしょうね」

 

他にも、良くない情報があると言う。

 

川が流れているのだが、水の成分がおかしいという。飲んだら確実に腹を下すそうだ。

 

例の、特殊な酸が希釈されて流れ込んでいるのかも知れない。

 

だとすると、確かに水なんか飲めたものではないか。

 

なお川に住んでいる魚も、見た事がないようなものばかりだったとか。

 

確かにそういう異質な水に住んでいるのなら。

 

それも不思議ではないだろう。

 

ボオスが、まとめを求めてライザに促す。此処でリーダーシップを取っているのは常にライザである。

 

最近はアンペルさんやリラさんも、自然にリーダーシップを促している。門の封印作戦の時も、そうだった。

 

「よし、それで明日はどうするライザ」

 

「午前中は門を確認。 聖堂がしっかり守られていても、それでも周囲を水で囲む必要があるだろうね。 最悪向こう側に乗り込むにしても、常に最大限の準備はしておかないと」

 

「その通りだろうな」

 

タオもそれには同意できる。

 

やはりライザも、同じように考えたか。

 

だがそうなると、あの真っ平らな土地が障害になってくる。水を引き込むにしても、水路をかなりの長距離掘らないといけなくなるだろう。

 

サルドニカと連携して事業を行うのは。

 

いや、厳しい。

 

そもそもまだまだ魔物がいるのだ。人夫を守る戦士達も必要になる。あの真っ平らな土地に、フィルフサを防げるほどの川やら湖やらを作るのは、簡単じゃない。

 

ライザの爆弾をフル活用するにしても、一日や二日で出来るかどうか。

 

ただ、門を封じるとなったら、早い方が良いだろう。

 

時間が掛かっても、それでもやるべきだが。

 

「門を確認し次第、次の行動を決める。 門が問題無さそうだったら、禁足地の調査に全力投球」

 

「了解」

 

「分かりました。 また明日も大変そうですね……」

 

「いや、これからだよ本当に大変なのは」

 

フェデリーカにライザがそう言って脅かす。

 

まあ事実その通りなのだけれども。

 

ライザはフェデリーカを急いで育てたいらしい。フェデリーカはついていくのでやっとだ。

 

この辺り、なんだかまだ背が低くて、ついていくのがやっとだった頃をタオは思い出してしまう。

 

ライザはとにかく体力の権化で。どれだけ走り回ってもけろっとしていた。どちらかというと箱入りのフェデリーカには、怪物にしか見えないだろう。

 

それともう一つ。

 

王都での出来事。

 

更には、それから二回の門封印戦。

 

これを経ても、ライザは柔軟性を失っていない。

 

ライザ自身は歴戦の者らしい風格を身に付けてきているが。それはそれとして、柔軟に思考して、行動できる。

 

フットワークも軽い。

 

これでこそライザだ。

 

もしもクーケン島でそうそうに誰かと結婚でもさせられていたら、こんな風には動けなかっただろう。

 

それどころか、世界の危機は幾つも防げなかった。

 

或いはだけれども。

 

田舎に生まれたばっかりに、そういう形で才能を潰されてしまった天才もいたのかも知れない。

 

そう思うと、タオはやりきれない話だなと思った。

 

ミーティングが終わったので、風呂に入って、後はゆっくりと休む。

 

タオも、自分が頭を酷使しすぎている事は理解している。

 

休むときには休む。

 

最近はただでさえパティにがみがみ言われるのだ。

 

それもあって、休む癖はつけるようになっていた。

 

眠ると、夢を見る。

 

学者として出かけていくタオ。近くの遺跡に、戦士達をつれて出向く。パティは既に子供がいて。

 

そうか、それだけで夢の話だと分かる。

 

王都の政務の事もあるから、護衛には来てくれない。

 

例のメイドの一族の戦士もいるから、まあ大丈夫だろう。

 

遺跡で調査を進めながら、魔物を片付ける。

 

魔物が我が物顔に荒らしているのを見ると、少し苛立ちもするが。それよりも、調査が優先だ。

 

本などを回収しながら、調査を進めていくと。

 

門を見つける。

 

これは、まずいな。

 

門の状態がよろしくない。

 

すぐにライザ達に手配を。そう告げると、フィルフサが、至近にまで迫っていた。

 

剣を振るって、鋭い一撃を受け止める。これは、下手をすると大侵攻か。伝令を。叫びながら、戦闘を続行。

 

次々に現れるフィルフサ。門の奥から、際限なく出現してくる。

 

だが、此処で食い止めないと。

 

少なくとも、ライザが来るまで持ち堪えないと。

 

しかし、タオだけでは。

 

悲鳴を上げる戦士達。

 

次々に倒されていく。

 

だが、タオは踏みとどまって。それで。

 

至近で、鎌が降り下ろされて。意識が飛ぶのが分かった。

 

目が覚める。

 

冷や汗を拭う。夢の内容はあまり覚えていないが、出来れば実現して欲しく無い夢だったように思う。

 

大きく嘆息をする。

 

もうライザは起きだしているようで。レントも、今起きたようだった。

 

「悪夢でも見たのか」

 

「ちょっとね……」

 

「とりあえず門の確認からか。 大丈夫。 最悪の場合でも、リラさんとアンペルさんがいなくても今のライザが一緒だ。 どうにかなるさ」

 

「そうだね。 昔っから頼もしかったけれど。 最近はパティが言う通り、隔世の豪傑というのが相応しいや」

 

ライザの頼もしさは、はっきりいって尋常では無い。レントが言う通りだ。レントも戦士として正面からライザとやりあってもかなり勝敗は怪しいと自分で言っていた。ましてや錬金術ありだったら、絶対に勝てないとも。

 

伸びをして眠気を飛ばすと、今日の作業に向けて準備をする。

 

まずは門をどうにかしないといけない。何しろ、世界が滅ぶかも知れないのだから。それは、四年前に門を発見してから。ずっと同じである。

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