暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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4、闖入者

群島のアトリエに戻る。

 

あたしはそれを良くない兆候だと思ったから戻った。対処しなければいけない問題が生じている。

 

そう判断したのだ。

 

良くしたもので、他のみなも戻って来ている。

 

更に、レント達の三人は、一足先に戻ってきているようだった。

 

そして、アトリエには先客が来ていた。

 

「邪魔をする」

 

「アガーテ姉さん」

 

「ああ。 短時間で作ったにしてはいい拠点だ。 十人前後で長期間の駐屯が出来そうだな」

 

「はい。 それで何かあったんですか?」

 

アガーテ姉さんが直に来るというのは、相応に大変だ。この群島の辺りは浅瀬が多いとは言え、水中にはそれなりに魔物もいる。

 

泳いできたのでは無く、漁船をわざわざ使ったのだから。

 

「タオの客だ。 リルバルトという老人を知っているか」

 

「はい。 王都にいる魔物学者ですね。 僕の論文を評価してくれていた一人ですが」

 

「その人物が来ている。 近々、このアトリエに足を運びたいそうだ」

 

「……はあ」

 

タオが露骨に困っているのを見て、アガーテ姉さんが私に言われても困ると返して、咳払いしていた。

 

まあ、アガーテ姉さんとしても、伝書鳩にされて困っているのも事実なのだろう。

 

「ともかく、リルバルト氏を必要だったら迎えに行ってやれ。 あれはとても単騎でここに来られるような人物ではないな」

 

「分かりました。 参ったな……」

 

タオがぼやく。

 

アガーテ姉さんを、レントが送っていく。

 

それで、と。

 

ボオスが、タオに促した。

 

「俺はあまり記憶にないんだが、そのリルバルトって先生がどうしたんだ」

 

「魔物後代発生学って独自の理論を立ち上げた人なんだよ。 王都にいる数少ない学者の一人で、僕の事を買ってくれていたんだけれど。 僕が遺跡と建築の研究を専門でするって聞いて、落胆していたらしいね」

 

「魔物後代発生学?」

 

「うん。 リルバルト先生によると、魔物の一部……特に現在、その名前の由来が伝わっていない魔物の中には、明らかに自然に発生していないものがいる。 そういう理論なんだ」

 

なるほど。

 

あたしが考えているのと似たような事を考えている人がいる、というわけか。

 

あたしは神代の生物兵器が一部の魔物ではないかと考えているのだけれども。或いは、もっと事態は深刻で。

 

そもそもこの世界にいなかった生物を神代で作り出し。

 

どういう意図か、ばらまいた可能性があるというわけだ。

 

それらは人為的にばらまかれた結果、あっと言う間に世界に拡がり。そして汚染したと。可能性は否定出来ない。

 

例えばラプトルなんかは、あれは頭が良すぎるし、群れで活動して実に効率的に人間を殺して廻る。

 

走鳥もそれは同じ。

 

あれの四枚ある翼は、そもそも起源が分からないと良く言われているのだ。

 

「リルバルト先生は一次資料に当たろうと時々無理をしてでも魔物の調査に出かける事で有名でね。 僕も何回か雇われて、大物の魔物の調査に一緒に出かけたよ。 勿論自衛能力なんかないから、その度に必死に守らなければいけなくてね」

 

「厄介だね。 もう一つ、面倒な問題が起きてるのに……」

 

「そうだな」

 

クリフォードさんも同意。

 

ということは。別の班でも察知していたと言う事か。

 

群島の中央部。

 

大きな島があるのだけれども、そこにワイバーンが住み着いている。しかも、それが以前のと違う。

 

かなり大きい個体で、ドラゴンと呼んで良いほどのサイズだ。

 

前のワイバーンは殺されたか、或いは追い出されたか。

 

護り手はこっちの方は監視しかしていない。だから、分からなくても仕方が無い事である。

 

「前の個体は、こっちを警戒しているだけだったけれども。 今度のは明らかに敵意を向けているね」

 

「そうだ。 俺の勘もびりびり危険を告げていやがる」

 

「仕方が無い、先に片付けるか」

 

「そうしかなさそうだね」

 

レントの提案にあたしも乗る。

 

実際問題、安全圏を確保するのは重要な事だ。

 

もう少し年月を経れば、あのエンシェントドラゴンの西さんのように、自我を得て変わるかも知れないが。

 

それまでに爪に掛かっては意味がないのである。

 

だから片付ける。

 

残念だが、そういう運命にあったのだ。

 

しかもこの群島、放置しておいたらどんな災いが起きるか知れたものじゃない。古代クリント王国が模倣対象にした神代のものだ。

 

フィルフサ以上の災厄が引き起こされる可能性だってある。

 

それを考えると、もたついてはいられなかった。

 

「ワイバーンの駆除は最優先だね。 それでタオのそのリルベルト……じゃなくてリルバルト先生はどうする?」

 

「ワイバーンを撃退してから迎えに行くよ。 あの先生の事だし、ひょっとすると……この群島のことを何らかの方法で知って、それで興味津々なのかも知れない。 知識豊富なんだけれど、子供みたいな人なんだよ」

 

「それはまた、学者らしい学者だな」

 

「ん?」

 

ボオスがぼそりと呟いて。

 

タオが小首を傾げる。

 

まあ、意図は分かる。

 

タオといいクリフォードさんといい。学者の傾向がある人は、変わり者揃いだ。勿論あたしもその一人である事に異論は無い。

 

装備を確認。

 

サルドニカに持ち込んでいた物資も、此方に移し直してある。戦うのならば、すぐにでもいける。

 

だったら、即座にやっておく。

 

その学者先生が介入して、面倒な事になる前に。

 

やるべき事は、やっておかなければならなかった。

 

 

 

(続)







原作でもこの群島、関係者以外が「観光目的で」入り込んでいたりします。死にたいのかお前ら。

……優しい世界でなかったら何人か食われてますね確実に。
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