暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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前作までと同じレベルの相手では、無双状態になって最終的にだれるだけです。蹂躙描写が好きな人も多いかも知れませんが。それはそれです。

というわけで、空間魔術使いや超ド級のとんでも無い魔物が今後はわんさか出て来ます。

最後までライザは楽できません。そういう苛烈な戦いなのです。


1、戦士を加えて

森に出て、魔物との激戦を繰り広げる。

 

今度は飛ぶ獣だ。蝙蝠と違って、滑空して来る獣だが、非常に大きく。四つ足の手足の間に皮膜のようなものを張って、それを使って木々の間を自在に飛び回る。そして、腹にも口があって。

 

覆い被さって、それで食べてしまうようだった。

 

それが何体も、立て続けに来る。

 

人間の弱点は上だ。

 

それを知っているのだろう。徹底的に攻め立ててくるが、あたしもそれに対して動じるつもりはない。

 

飛ぶと言っても、残像が出来る程でもないし。

 

上空から爆撃してくるわけでもない。

 

体が大きく、対魔力も強いが。

 

それでも、此処にいる皆は、歴戦の戦士だ。フェデリーカは戦闘向けではないし、まだ若干ディアンは経験が足りないが。

 

それでも、皆それぞれの役割を果たせている。

 

パティが気合一閃、敵を大太刀で真っ二つにする。

 

飛ぶために体を軽くしているその魔物は、どうしても大きいと言う事が仇になって、体を薄くしている。

 

皮膜に魔力を溜めて浮かんでいるようだが。

 

それでも、限界があるのか。

 

或いはもっと小型の同種が、そもそもそういう生態だったのかもしれない。それとも此奴も、或いは神代の連中に体を弄くられた可能性も低くない。

 

あらかた片付けて、その後は死体を捌く。

 

此奴らは大した魔物じゃないな。

 

ただ、人間を積極的に狙って来たという事は、獲物にした経験がある可能性が高い。

 

気を付けなければいけないだろう。

 

パティが大太刀を鞘に収める。

 

ディアンは大太刀に興味津々だ。

 

「すっげえ長い剣だな! しかも片刃なのか」

 

「これは東方の武器で、太刀と言います。 特にこれは、私に合わせて遠心力を利用して立ち回れるように敢えて更に長く作られています」

 

「そうなのか! 太刀筋がって良く言うけど、そういうのの語源か?」

 

「ちょっと何とも。 その辺りはタオさんに聞いてください」

 

パティはディアンに対しても、同じように接している。

 

普通の「貴族」だったら、ディアンのことは自分より下とみていただろう。この辺りは、パティの明確に良い所だ。

 

そのまま魔物をある程度片付けた段階で、地図を刷新する。

 

流石に密林でも魔物が幾らでも湧いてくる訳ではない。大きめのを片付けると、それで縄張りが変化する。

 

出張ってきた魔物を処理する。

 

その繰り返しで、どんどん魔物の密度は減っていく。

 

ただ、やはり手強いのも多い。

 

大物と一日に何度も遭遇する。

 

特に植物系の魔物は、あのフォウレの里近くまで出張ってきていた巨大マンドレイクと大差ない力を持つ者が多く。

 

兎に角戦っていてしんどかった。

 

何度かフォウレの里のアトリエと往復しながら、物資をフォウレの里にも分ける。とにかく大量に肉やら皮やらが手に入ったので、フォウレの里も満足しているようだ。夕方にデアドラさんが来たので、パティを紹介しておく。

 

王都の貴族令嬢だという話をすると、ちょっと不安そうにしたが。

 

もの凄く丁寧な最敬礼を受けて、安心したようだった。

 

「元々王都であたし達と一緒に戦った腕利きです。 父上が庶民から騎士になり、武勲をたてて貴族になった人なので、それで基本的に世襲で財産を受け継いできている貴族とは感覚が違う子ですね」

 

「なるほど、合点がいった。 パトリツィア殿。 貴殿のような貴族ばかりだと、私も助かるのだが」

 

「王都と此処は離れ過ぎています。 できる事はあまり多くは無いと思いますが。 それでも何かあったら、遠慮無く言ってください。 出来る範囲で出来る事はします」

 

「助かる。 既にライザ殿達にはさんざん助けになっている。 このままの行動を維持してくれれば、それで充分だ」

 

デアドラさんも堅実だな。

 

一旦今日はここで切り上げる。

 

大物との戦闘もあってちょっと不安だったのだが、パティも腕は落ちていない。それで安心した。

 

パティの胸当てがとにかく特注品だと言う事を見抜いたのか、フェデリーカが興味津々だったので。

 

ワイバーンの鱗などを贅沢に使った胸鎧で、あたしが王都の職人と一緒に作った話をすると、目を丸くしていた。

 

まあそれもそうだろうな。

 

なお、当世具足についても、パティは興味津々だったが。

 

作ろうかと言うと、首を横に振られる。

 

とても良さそうだが、パティはそもそもかなりギリギリの重量で戦闘をしているので、これ以上の重装には出来ない、というのだ。

 

まあそれもそうだ。

 

それに今のパティは、自分の戦闘スタイルを確立出来ている一人前の戦士だ。

 

ただ、当世具足そのものは、いずれほしいとも言う。

 

子孫のためだそうだ。

 

そういう話を聞くと、ちょっと微笑ましくもなる。

 

それと、タオと個別の空間でも作るかと、こっそり聞いてみるが。いらないと言われた。

 

婚約者であり、気持ちも通じ合っていると思っているが。

 

実際に結婚するのは王都に戻ってから。

 

それまでは、きちんと一線を引いて、しっかり大人としての対応をすると。

 

同衾するつもりはまだないという話なので、そうかと苦笑い。

 

本当に真面目だなこの子は。

 

もう誰もそれで後ろ指を指したりはしないと思うのだけれども。

 

この年で、しっかり大人をしている。

 

子供を産もうが大人にならない人間はなんぼでもいるこの時代だが。パティはこの年で、しっかり大人をしている。

 

それは良いことなのかどうかは、ちょっと分からなかった。

 

地図を囲んで、打ち合わせをするが。

 

神体となっている木に辿りつくまで、まだ二日はかかると見て良さそうだ。その間に、ディアンはフォウレの里を見回って貰う。

 

まだまだあたし達に対する不審の声が聞こえると言う事なので。

 

今は仕掛けない方が良いと見ていい。

 

例の大口取引の日までに、ある程度信頼を積んでおいた方が良いだろう。どっちにしても、アンペルさんやリラさんを処刑するという話にはなっていないようなのだから。

 

それと、魔物を片付けている事によって、それなりに広い範囲が同時に安全になってきている。

 

ディアンの話によると、そろそろ種拾いをする場所にも行けるかも知れない、ということだ。

 

その辺りで目撃されていた大物を、ここ数日で何度も倒しているから、というのが理由らしく。

 

それらのせいで種拾いどころではなかったので。

 

状況が好転している、と言う話らしい。

 

ともかく、一歩ずつやるしかない。

 

クラウディアがフェデリーカと一緒に料理をして、夕食を出してくれる。パティも菓子くらいは作れるらしいが、基本的に本格的な料理はダメだ。

 

例のメイド長は、しばらく一族と一緒に王都に貼り付けだろう。

 

実はカーティアさんをつけてくれるという話もあったらしいが。

 

一人でも多く王都の安定に回って欲しいと言う話をして。それで納得して貰った、と言う事だった。

 

良い判断だ。

 

カーティアさんに以前聞かされた話もある。

 

あの一族には、どうも妙なものを感じる。

 

側にいると言うことは、監視をしているという意味もあると思うので。出来れば距離は一定おいておいた方が良い。

 

夕食を皆で囲んで。それで順に風呂に入って、それで寝る。

 

明日も、激しい戦闘になる。

 

それが分かっているから、いずれにしても厳しい状況が続く。

 

 

 

森を蹴散らすようにして、迫ってくる。

 

それは、見えていた小山のような魔物だ。正体が何なのかすらもよく分からない。全身が苔むしていて、巨大な目が体の彼方此方にあり。全身から牙が多数伸びていて。体の上に、横に裂けた口がある。

 

足は虫のようなのが多数。

 

触手も多数体にあって、それらはそれぞれが百足のように多数の足を持ち、巨大な口を備えていた。

 

これは、倒すしか無いだろうな。

 

そう判断して、総力戦用意と、あたしは声を張り上げていた。

 

此奴を倒せば、辺りの安全は確保できる。それも、此処まで育つ魔物はそうそうでないだろうことを考えると、しばらくは、だ。そのしばらくは一世代くらいになるだろう。

 

とにかくデカイので、凄まじい圧迫感だ。

 

あたしは挨拶代わりに爆弾を立て続けに放り込むが、いずれもが致命打にならない。

 

体がでかすぎるのが問題と言うよりも、その巨大な体にため込んでいる魔力量が凄まじすぎる。

 

此奴単体で、王都を蹂躙しかねない。

 

「皆、相手の動きをよく見て、正面には回らないように! 突進は見た目よりずっと早いよ!」

 

「は、はいっ!」

 

「フェデリーカ、次は左に走って移動して! カーブして来る!」

 

「分かりました!」

 

最初に分かりきったことを皆に告げ。

 

そしてフェデリーカにも、アドバイスを飛ばす。

 

舞いを舞っている関係上、フェデリーカは常に敵を見ている訳にもいかないのである。

 

レントが、飛んできた触手を弾き返すが、それだけでもガツンと重い音がして、レントがずり下がる。

 

レントのパリィの技術は既に驚天の域に達しているのだが、それでもである。

 

触手は十前後だが、全てが百足のように自立して動いていて。巨大な口を開いて襲いかかってくる。

 

口がたくさんあると毒を取り込む可能性も増えそうなのだが。

 

この巨大な生物で、しかも密林に暮らしているのだ。

 

解毒程度、お手のものなのだろう。

 

もはや、生物のものと言うよりも、空を割るような災害のような音。

 

竜風ってのは、まさか此奴が暴れた結果じゃないだろうな。

 

そう一瞬思ってしまうほどだ。

 

立て続けに衝撃波が来るので、後方に跳んで威力を殺しながらさがる。吠えるだけで、連続して魔力を放って、それが衝撃波となっているのだ。

 

デカイ硬い。

 

とにかく対応が難しい。

 

あたしは詠唱しながらも、爆弾を放って更に牽制。やはり。強力なシールドが常時展開されていて。

 

それを生半可な火力では破れない。

 

だが、爆弾を複数同時に投擲して確認したが、それで弱点が見えてきた。

 

百足触手が飛んでくる。

 

あたしが一瞬前までいた地面を、激しく抉って、土石を吹き飛ばす。

 

レントが渾身の一撃を叩き込んで、触手を切りおとす。口が突いていた触手が、ばたんばたんと暴れて。

 

それが擦っただけで、誰もが倒されそうだ。

 

「クラウディア!」

 

「ええ!」

 

クラウディアにハンドサインを出す。

 

クリフォードさんにも。

 

魔物の巨大な本体が突進してくる。

 

それを全員で回避するが。タオが敢えて近接戦を挑む。パティもその側に。機動力を売りにしている二人が、魔物の気を引いて。それで突進の方向をコントロールする。タオは火力が足りないが、足の速さだけは全員で屈指。パティはそのタオを、触手の苛烈な猛攻から、大太刀を振るって守り抜く。二人の手が足りない時は、ボオスが支援する。ボオスも、二刀を上手に降るって、それで相手の気を引く。

 

触手が、また飛んで……こない。

 

上空で数本の触手が体を震わせると、空から多数の火球が辺りに降り注ぐ。

 

これは、避けようがないな。

 

炸裂。

 

吹っ飛ばされて、受け身をとりながら立ち上がる。

 

全身が痛いが、手指の欠損などはないか。ちょっとこれは洒落にならない。側面後方にも触手が飛んでくるし、更には魔力による衝撃波。ついでに触手そのものも範囲攻撃が可能か。

 

確かにこれは、とてもではないが手に負える相手では無いとフォウレの里が諦めるはずだ。

 

だからこそ、今倒す。

 

タオとパティもかなり疲弊が激しい。

 

タオが、薙ぎ払われた触手を擦って、もろに吹っ飛ばされる。パティがタオさんと叫んで。

 

追撃に飛んできた触手の口の辺りを、唐竹にたたき割った。

 

そのまま魔物が足を止めると、突然反転して、こっちに来る。

 

衝撃波を連発して来る。

 

魔力も底無し。

 

まるで動く要塞だ。

 

ただ、一つ気にくわない事がある。

 

此奴、辺りを更地にするつもりか。動物だったら、基本的に周りを滅茶苦茶にするような戦い方はしない。

 

此奴は違う。それを平気でやっている。

 

多分此奴は、神代に作られた魔物とみていい。だったら、それは完全に駆除対象だ。

 

触手が飛んでくる。

 

ディアンが空中戦を挑み、斧を思い切り叩き付けるが。触手を切りおとすには至らず。ディアン。そう叫んだレントが、あわてて走り。魔物の突進に巻き込まれそうになったディアンを抱えて飛び退く。

 

至近を巨体が通り過ぎて、一瞬ひやりとさせられたが。

 

今だ。

 

ずっとセリさんが準備していた。

 

植物魔術で、足下を掘り崩して、それで。

 

巨体が、一瞬だけ足を取られて。魔物が動きを止める。だが、こういう悪路は慣れっこなのだろう。

 

触手が即座に地面に突き刺さって、巨体を持ち上げに掛かる。多数生えている虫のような足も、小山のような体を押し上げる。

 

その瞬間。

 

クラウディアが、大量に出現させた人型とともに、斉射を浴びせる。

 

同時にクリフォードさんが、二度助走で跳ね。

 

上空から、フルパワーでのブーメランを叩き込んでいた。

 

多数の飽和攻撃を浴びたことで、巨大な魔物のシールドが、一瞬で変色する。

 

見ていた。

 

あたしの爆弾に対して、此奴はこまめに発動するシールドをいちいち変えていた。細かく盾の場所を変えることで、消耗を抑えていたのだ。

 

つまり此奴の魔力も無限ではない。

 

此奴の魔力量は無尽蔵かも知れないが。同時展開出来る魔術は限りがあるし。更に言うと、拡げて展開すると密度だって薄くなるのだ。

 

あたしが投擲するのは。

 

四つの爆弾をあわせた究極爆弾、ツヴァイレゾナンス。

 

爆破。冷却。雷撃。狂風。

 

この四つで、瞬時に敵を粉々に打ち砕くものだ。

 

コストが高いが、此奴を倒せるなら安い安い。

 

レントが。大声で離れろと叫ぶ。

 

同時に、シールドの直上で、ツヴァイレゾナンスが炸裂していた。

 

世界から色が消え。

 

次の瞬間、音も消え。

 

殺戮の閃光と、破壊の爆風が全てを薙ぎ払った。

 

シールドを瞬時に打ち砕いたツヴァイレゾナンスの烈光が、文字通り殺戮の槍となって巨獣を上から貫く。

 

悲鳴を上げる巨獣に、あたしは詠唱を終えた結果。出現した二万五千の熱槍を収束させて。

 

手元に集めていた。

 

そのままフルパワーで踏み込みつつ、投擲する。

 

烈光に焼かれている巨獣に、それは真正面から炸裂。

 

そして、次の瞬間。

 

十字の光が、空に出来上がっていた。

 

耳を思わず押さえる。

 

鼓膜が吹っ飛びそうだ。

 

魔物の全身が、焼け崩れて行く。彼方此方から炎を噴き出して、そして壊れて行く。

 

それでも、魔物が必死に触手を動かしているが、恐らくこれは回復魔術だろう。つまり、まだ死んでいない。

 

流石だ。

 

だが、セリさんがぱんと胸の前で手を合わせると。

 

巨大な植物が、巨獣の前後左右に出現する。

 

「貴方に、この森に生きる資格は無いわ。 消えなさい蹂躙者」

 

植物が、一斉に錐を突き出し、巨獣を貫く。

 

明確な悲鳴を上げる巨獣。触手が何本か千切れ飛ぶ。爆発が収まり、激しい粉塵と煙の中、触手がまだ動いているが。

 

しつこいとばかりに、パティが斬り伏せる。

 

どうと地面に落ちる巨大な百足のような触手。

 

更にレントもボオスも猛攻を叩き込み。

 

とどめとばかりに、クラウディアがバリスタのような巨大な矢を叩き込んだ。

 

なおも、それでもどうにか動こうと。全身を破壊された巨獣が全身から煙を上げているが。

 

あたしはそれに接近して。

 

踏み込むと同時に、蹴りを叩き込んでいた。

 

それが、とどめとなった。

 

全身に罅が入っていく。

 

そして、やがて、真ん中から綺麗に割れた巨獣が。割れた卵のように。左右にと、崩れ落ちていた。

 

呼吸を整える。

 

「トリアージ! クリフォードさん、周囲の警戒を!」

 

「分かった!」

 

クリフォードさんが、即座に周囲の警戒に。クラウディアも、音魔術を全開に、警戒態勢に入る。

 

皆の手傷を見ていく。

 

やっぱり派手にやられている。

 

ディアンは体に何カ所か青あざを作っていて、肋骨も折れていた。それであれだけ苛烈に戦ったのか。

 

大した物だな。

 

そう感心する。

 

一人ずつ怪我を見ていく。フェデリーカは何度もぶっ放された衝撃波に対応できず、そのたびに吹っ飛ばされたようだが。それでもそもそも接近戦にならないように、何度も声かけしていた。

 

致命的な一撃はもらっておらず、ただし肌がズル剥ける凄く痛そうな傷が何カ所かあった。

 

それらを全て治療しておく。

 

ボオスの手傷も酷い。

 

顔とかにも傷があったので、薬を渡しつつ。諸肌を脱いで貰って。背中に受けた傷を治していく。

 

背中に受ける傷は戦士の恥とかいうが。

 

そもそも対人戦ならともかくとして、こういう魔物が相手になってくると、そうも言っていられない。

 

薬を塗ると、いてえとボオスが呻く。

 

まあ、我慢してもらうしかない。

 

次。

 

次々と手当てしつつ、あたしも自身に傷を塗りこむ。魔力の消耗が酷い。こいつに近い実力の奴が後二匹。

 

大人しいのが一匹いるらしいから、もう一匹でいいだろうか。

 

ともかく片付けなければいけない。

 

出来れば最後の大人しい奴というのも見極めておきたいし。

 

此奴ほどしんどいかは分からないが、サルドニカ北にいたフェンリルみたいなのもいる可能性が高い。

 

いずれにしても、油断は出来ない。

 

まだまだこの森では、地獄絵図が繰り広げられるだろう。

 

手傷の手当てが一通り終わる。

 

クラウディアの当世具足の肩当ての部分がやられてしまっていたので、後で直す事にする。

 

クラウディアは白銀に彩った当世具足がいたく気に入ったらしく、ここ最近はずっと着込んでくれている。

 

だから、悲しそうだったので。

 

直るという話をして、喜んで貰った。

 

後は、魔物の死骸を調べる。

 

体内を調べて見て分かるが。あの百足みたいなのは、やっぱり別の生物だとしか思えない。

 

それぞれが独自に消化器官をもっていたようなのである。

 

体内からは大きな魔物の死骸がわんさか出て来たが、酷く腐っていて出来れば長く触りたくは無かった。

 

人間の残骸らしいものは出てこなかったが。

 

それは此奴に対して接近を誰もが避けていたからだろう。

 

遠くからでも、此奴の脅威は一目瞭然だ。

 

だから、逆にそれで危険度は下がるのである。

 

少し休んでから、魔物の体内を探るが。

 

やはり出て来たか。

 

セプトリエンだ。

 

あのトレントもどきの体内から出て来たものと、ほぼ同質か。ただ、ちょっと調べて見る必要がある。

 

このセプトリエン、出来る仕組みが良く分からないのである。だから一つでも多く、調べておきたいのだ。

 

大事に荷車に積み込んでおく。

 

その他も、魔物の体を調べて、使えそうなものは回収。

 

そして、触手と口の辺りを切り取って、証跡とすると。後は全て焼き砕いてしまった。

 

セリさんが、辺りの調整をするといって。

 

魔物に蹂躙された森の修復を、植物魔術で行う。黙々と植生の調整をしているセリさんは、かなり機嫌が悪い。

 

この魔物が。森の生物とは思えない暴れ方で、森を破壊しまくったのが余程腹に据えかねていたのだろう。

 

まあこの人が、森とともにあるオーレン族で。

 

植物にとってはスペシャリストである緑羽の一族である事を考えると、それもなおさらと言える。

 

いずれにしても、凱旋と行く。

 

パティが加わった事で、更に戦力が増した。

 

それに、此奴との戦闘は、フォウレの里からも見えていたはずだ。此処までやったのなら、フォウレの里としてもあたし達を認めないわけにはいかないだろう。

 

これは楽観では無い。

 

ただの事実だ。

 

後は聖地になっている神木とやらに辿りついて。

 

そして、そこから。竜風に備えるための木材やらを、手に入れなければならなかった。

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