暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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4、その古代の城門は

森を突っ切る。今回は、事前に城に行けるかどうかだけ確認すると験者に話してあるので。

 

城門を潜りさえしなければ、問題にはならないだろう。

 

安全を確保できたら、種拾いを開始できるかどうか、フォウレの里で判断する事になるのだろう。

 

色々手間も多いが。

 

ただ、城の中にはわんさか魔物がいるという話だし、それもまた仕方が無いのだろうとは思う。

 

まだまだ森の中で魔物が仕掛けて来るが、その全ては基本的に蹴散らして行く。森の魔物の強さや性質には慣れてきたが、やはりかなり危険だ。

 

真上から、多数の棘みたいなのが降ってくる。

 

クラウディアが即応して、殆どを叩き落として。

 

残りはレントとクリフォードさんが弾き返していた。

 

遠距離から、曲射して来ている。

 

あたしは跳躍して、今の曲射から、相手の居所を探し当てる。

 

なるほど、いた。

 

中空から、熱槍を叩き込み、爆破。燃え上がるそこが、魔物のいる地点だ。

 

着地すると、其方へ疾走。

 

途中で雑魚が数匹いたが、全て蹴散らす。魔物は基本的に全部潰す。それくらいしないと、この辺りの魔物は、人間を舐めきっていて、危険極まりないのだ。人間を怖れて貰わないとまずい。

 

見えた。

 

マンドレイクかなと思ったが、違う。

 

巨大な丸っこい魔物で、背中に多数の棘が生えている。恐らくは今の精密曲射で獲物を仕留めて。

 

その後に、ゆっくり食べるのだろう。

 

足は多数生えていて、頭はとても小さい。

 

動きは鈍重だが、体中が鱗で覆われていて、装甲はとても分厚そうだった。

 

雄叫びとともに、レントとディアンが同時に仕掛けるが、魔物はそれを正面から受け止め、弾き返して見せる。

 

これは、硬い。

 

魔物は文字通り丸くなると、転がって逃げだそうとするが、そうは行くか。

 

あたしが先に投擲した冷気爆弾が、魔物の行く先に壁を作る。

 

氷の壁にぶつかった魔物が、必死に右往左往するが、その時には既に、レントが力を溜めきっていた。

 

踏み込むと同時に、渾身の唐竹の一撃を叩き込む。

 

魔物の装甲も、これには絶えきれず、大剣が食い込んでいた。

 

力任せの一撃ではない。

 

太刀筋としては普段と同じ。

 

相手をどうすれば切れるかを見極めた上で、渾身の一撃を叩き込む大技だ。理論的には出来そうなものだが。

 

勿論簡単にできるものじゃない。

 

ぎりぎりと刃が食い込み、鮮血が噴き出す。

 

その食い込んだ刃に、跳躍したパティが完璧な突きを叩き込む。それで、魔物が鋭い悲鳴を上げて。

 

やがて、動かなくなっていた。

 

魔物を解体して、鱗を剥がして調べておく。この鱗、金属を含んでいる。前も見たことがあるような生態だ。多分金属を食べる事で、この鱗に含有させ。装甲を強化しているのだろう。

 

他にも魔術で装甲を極限まで強化しているとみて良い。

 

本来は防御にほぼ全振りしている魔物なのだろうが。餌を採るために、攻撃的に体を適応させた。

 

そういう存在なのだとみて良さそうだ。

 

興味深いといいながら、タオが魔物をばらしながらもメモを取っていく。その間、周囲を警戒。

 

ディアンももうバラすのには参加して貰う。

 

覚えると手際が良くて。すぐに教える事もなくなりそうだ。

 

フェデリーカはその間に火を焚いて、肉の燻製を作る準備をしている。なお、この魔物は。ディアンも見た事がないらしいので。持ち帰った後に、肉を分析してから状況によっては食べる事になる。

 

寄生虫がいる可能性は高いし、病気を持っている可能性もある。

 

何より肉に毒がある可能性が極めて高い。

 

だから、しっかり未知の魔物は調査してから解体して食べるのだ。

 

腹の中から出て来たのは、これは人間の残骸じゃないな。

 

恐らくだが、この辺りに人間が来ること自体が久々と言う事だ。今の初見殺しはかなり危なかったし。

 

とにかくこの先も、気を付けて進まなければならないだろう。

 

何度か魔物を仕留めて、それで道を作る。

 

城門に辿りついた、とみて良いだろう。

 

城の前には、かなり広い空き地が出来ていて、木が全く生えていない。それどころか、それなりに綺麗な小川があって、橋まで掛かっている。橋を調べるが、これは神代のものだと一目で分かる。

 

タオが特定していた。

 

「これはすごい。 1300年以上前のものだよ」

 

「1300年!?」

 

「神代と言っても色々時代があるが、そもそも古代クリント王国以前に、世界が一つの国家だった時期がある。 1300年前はその時期だな」

 

「なるほど、頑丈な訳だ」

 

あの群島に集っていた錬金術師達は、1000年より前の者は殆どいなかったようである。

 

そう考えると、1300年前というのは、神代の全盛期だったのかも知れない。

 

ともかく、橋の頑強さは調べておくが。

 

問題はそれ以外の事だ。

 

城門。

 

それとしかいえないものが、確かにある。

 

王都の城門なんて、これにくらべればみすぼらしい張りぼてに等しい。一目で強力な防御魔術が掛かっている事が分かる。ドラゴンのブレスでも、防ぎ抜くのではあるまいか。

 

門がこの中にあって、竜風が此処で起きるのなら。

 

城なんて、木っ端みじんになっているのではないのか。

 

そう思っていたのだが。そうならないのも納得である。

 

これは現在の建築云々の次元じゃない。

 

神代の、それこそ全盛期の建物。

 

それは竜風だかなんだか知らないが、生半可な攻撃で壊れるようなものではないだろう。

 

圧倒させられる。

 

「これは凄いね……」

 

「ちょっとまてライザ」

 

「うん?」

 

レントが疑念の声を上げる。

 

レントはあまり頭脳活動は得意ではないけれども、直感的にものがわかる事が結構多いのだ。

 

「こんな城壁で全域が覆われてるんだよな、この城」

 

「そうなるだろうね」

 

「裏手は破られてるんだろ。 一体誰がやったんだ? フィルフサがやったんだとする可能性もあるが……だとしたらフィルフサがこの辺りで既に大繁殖している筈だ」

 

「……そういえばおかしいね」

 

ちょっと考えてから、ディアンに聞く。

 

内部を知っているこの中で唯一の人間だからだ。

 

「ディアン。 この城の中って、彼方此方壁が破られてる?」

 

「おう。 裏手から真ん中くらいまではそんな感じだ。 彼方此方壁に穴が開いていて、自由に行き来できるぞ。 魔物もだいたいはそれで中に入り込んでるんだ」

 

「……妙だね」

 

「うん。 竜風って村が吹き飛ぶような災害なんだよね。 それにびくともしない城壁が、そんなに滅茶苦茶にされるなんて」

 

あたしでも、この城壁をぶっ壊せと言われたら、出来ないとはいわないが。やるにしても、総力戦になるだろう。

 

しばし考え込んだ後、タオとクリフォードさんに、辺りの調査をやってもらって。

 

それで一度、アトリエまで引き上げる。

 

とても、とても嫌な予感がする。

 

というか、予感で済んでくれればいいのだが。

 

この城、思った以上に色々あるのかも知れない。

 

そもそもフォウレの里の人が、この城のことを知っているのなら。どうしてこんな堅牢な城から追い出されたのか。

 

フォウレの里の人は、恐らく神代にこの城を作った人間。もしくはその関係者の生き残りとみて良いだろうが。

 

それにしても、一体誰が。

 

いずれにしても、タオとクリフォードさんが、深刻な顔で色々話し込んでいるのも気になってくる。

 

この二人にも分からないと言う事は。

 

この城そのものは、更に古いものなのかも知れない。

 

だとすると、あの橋は後の時代に作られたものなのか。

 

ともかく、分からない事が多すぎた。

 

アトリエに戻って、物資を補給したら、再度出る。

 

ここからが本番だ。

 

湿地帯まで抜け、城の裏手に出る。

 

其処からなら。

 

例の警備の装置をかいくぐり。城の中に、入る事が出来るはずだ。

 

験者の言葉で確信できたが、験者は現状だとフォウレが終わる事を理解している。

 

それに対する打開策も探している。

 

そのためには、あたし達との協力が必要不可欠なことも。

 

まずは、城に入って、「種」の現物を確保する。

 

次の段階に進むのは、その後だ。

 

 

 

(続)








この作品での世界における概ねの時系列を説明しておきます。

現在→人類は神代に比べて数十分の一まで減少。とっくに魔物の方が力関係では上。

500年前→古代クリント王国が割拠の時代を終わらせ全土を統一するも、フィルフサに手を出して壊滅。滅亡。フィルフサの拡散だけは防ぐものの、以降防戦一方になる。

1000年前~500年前→神代が終わって割拠の時代到来。神代の技術を使っての争いが始まるが、どんどん技術は衰える一方。自動兵器であるゴーストアーマーなどに、技術の劣化具合が如実に表れている。

1300年前→神代の中の大事件。この事件が数々の悲劇の転機となる。

3000年前→神代が開始。理由は後々明かされます。

4000年前→「???」の終わり。

これについては後々大事になって来ます。覚えておくと面白いかも知れません。
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