暗黒錬金術師伝説11 暗黒!ライザのアトリエ3   作:dwwyakata@2024

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去年度の王都での出来事で、ライザ達は遺跡探索の経験を豊富に蓄積することになりました。

今回はそれを最初からフルスロットルで生かして行く事になります。


1、群島へ

多数の島が浮かぶのを、一瞥できる丘にまで進んだ。魔物を大量に駆逐したから、やっと此処までこられるようになったという所か。

 

タオが遠めがねを取りだし、地図を更に正確に書き始める。

 

あたし達は周囲に展開。

 

魔物が来ても、対策できるように対応を続ける。クラウディアは音魔術を展開して、周囲の索敵を続けてくれていた。

 

「大きな島が幾つかある。 やはり魔物がいる島も、その中にはあるようだね。 それもドラゴンに近いほど成長したワイバーンがいるよ」

 

「ワイバーンも千差万別だけれど、戦いは避けられそう?」

 

「無理っぽい。 今もこっちを威嚇してる」

 

「仕方がねえな。 エンシェントドラゴンと会話や意思疎通が出来る事が分かった今は心苦しいが、人が襲われたら意味がない」

 

レントが、必要なら俺が斬ると意思表示。

 

クリフォードさんは、半分座るような、中途半端な座り方をして。

 

手をかざして、遠くを見ていた。

 

「クリフォードさん、ロマンが刺激されそうなものでもありますか?」

 

「ああ。 多分あれは沈没船だな。 それもまっとうな商売をしている連中のものではなさそうだ」

 

「お、宝とか」

 

「そうだな……」

 

クリフォードさんは本当にそういうのが好きなんだな。

 

タオと連携して、位置についても正確に割り出しているようだ。

 

魔物の襲撃は、今の時点ではない。

 

とりあえず、丘から降りる。

 

この辺りは、草も生えていない。それはそうだ。塩水に浸かっていたのだから。だから、緑の丘というには不適切か。

 

流石に群島が出現してから数日経過しているので、地面は乾いているが。

 

ずっと潮に晒されていた地面だ。

 

そう簡単に、草は生えそうにもない。

 

「セリさん、こういう所ってやっぱり草は生えないんですね」

 

「いえ、そうでもないわ」

 

「こういう塩水だらけの場所で育つ草があるんですか?」

 

「ええ。 塩水に対する強い耐性がある草は存在しているわ。 ただこの辺りで見た事はないけれど」

 

そっか。

 

ともかく、波打ち際まで行く。

 

それから時間を掛けて、潮の満ち引きを確認しておく。

 

どうやら、潮の満ち引きで上がる水位は殆ど変わらないようである。背丈の何倍も潮が満ちる事もない。

 

ただし、気を付けないと、いつのまにか足場がなくなっていて、帰れなくなる事は簡単に生じる。

 

昔痛い目にあった経験があるあたしは。

 

それについては、敏感だった。

 

「この辺りは注意しないと危ないね」

 

「今は島の皆も警戒しているけれど、その内観光とかでこの辺りに来る人が出てくるかもしれないものね」

 

「タオ、岸の辺りの地図を正確に作れる?」

 

「勿論そのつもりだよ。 時間帯によって水没する島があるかも知れない。 それも僕が観測するよ」

 

流石、手慣れたものだ。

 

途中で小規模な魔物の群れや、単独の魔物と何度か遭遇するが。いずれも蹴散らすのに手間暇は掛からない。

 

丘の彼方此方から、タオの言うままに移動しながら島々を調査。

 

その結果、幾つかの事が分かってきた。

 

まずこの群島は、岩山に囲まれるような形で浮上してきている。この岩山の部分は、今までこの辺りの航路で岩礁になっていた部分なのかと思ったが。どうもタオの見たてでは違うらしい。

 

恐らく、この岩山の部分は、強烈に隆起したのだろうと言う事だ。

 

だとすると、とんでもない自然現象である。

 

そして、それらの岩山に囲まれるような形で、巨大な入り江のようにこの辺りは水没している。

 

それを考えると、やはりこれは人工の群島。

 

浮遊島を作る技術が神代には存在していて。

 

古代クリント王国は、その模倣をしていたに過ぎない。

 

実際、クーケン島もその模倣行動による産物だ。

 

それを考えると、これを古代クリント王国の錬金術師が作った仕組みだというのは無理があるだろう。

 

特に大きな島について、タオが言う。

 

「あの奥にある島が、一番大きいと思う。 それどころか、巨大な宮殿みたいなものもあるようだよ」

 

「宮殿ね……」

 

「神代だとかいったか。 ろくでもない連中なんだろ。 悪趣味な神殿とか作って、待ち構えていたりしてな」

 

「可能性はあるだろうね」

 

そんな話をしていると、もう夕方だ。

 

無言で皆に撤退を促す。

 

まだ、状況がわからない。しっかり地固めをしてから進む。ただ、帰路で話を幾つかしておく。

 

「エアドロップについてはもう準備が出来ているから、明日からはそれを使って島の方にいこう」

 

「人数が増えているけれど、大丈夫?」

 

「へーきへーき。 二十人までは乗れるよ」

 

「相変わらず、謎の仕組みだな……」

 

レントが呆れる。

 

ちなみにレントはエアドロップには去年はほぼ乗らなかったが。

 

今年に入ってからの門の封印とフィルフサ討伐戦で、乗る機会があった。フィルフサが巣くっているオーリムの戦地が起伏が激しい土地で。近くの遺跡から見つけた水を奪う道具を用いて水を戻して水害を発生させたとき、エアドロップなしではまともに移動出来ない程凄まじい有様になったからである。

 

その分フィルフサとの戦闘は楽ではあったのだが。

 

その時、折りたたみ式の水を進む道具と聞いて、心配そうにして。乗った後は、大慌てで周囲を見回していたっけ。

 

「ライザ、まずはこの浅瀬の入り江をぐるっと回って欲しいんだ。 どういう島があるか、僕の方で地図を作って、探索の目安にするよ」

 

「おっけい」

 

「それに、浅瀬の群島と言っても、水中に大きな魔物がいるかもしれない。 危険地帯は、先に調べておかないとね」

 

「それも大丈夫」

 

エアドロップは更に強化改造を加えてある。

 

展開した後、強力なシールドが張られるように改良を加えてあるので、ちょっとやそっとの攻撃だったらびくともしない。

 

推力もかなり上げているので、多少引っ張られたくらいだったら浮上は簡単だ。なんなら、逆に相手を引きずり出すことも出来る。

 

アトリエに戻ると、軽く打ち合わせをして解散。

 

ボオスが来たので、状況を共有しておく。

 

それと。

 

あたしが咳払いして、ボオスに言う。

 

「時間を作れば、グリムドルにいけるけれどどうする?」

 

「いや、今はいい。 俺の方でも忙しいし、変な輩が門を潜ったりするようなリスクは避けたい」

 

「了解。 キロさんにこれ以上迷惑は掛けたくないんだね」

 

「そういうことだ。 俺たちの先祖のせいで、数百年も苦労させたんだ。 これ以上苦労させたら、それこそ死んでわびないといけないだろうな」

 

そうか。

 

ボオスとしては、キロさんに会いたいだろうに。

 

最近は、公を私にしっかり優先させる事が出来る様になっている。

 

この辺りは、モリッツさんも感じているようで。

 

前にボオスの働きぶりを見て、側で目尻を拭っているのを見てしまった。

 

勿論それを揶揄するつもりは無い。

 

あたしももうそれなりに年を重ねたし。

 

そういう気持ちは、分かるようになってきたからだ。

 

かといって、あたしが同じ事をするかは、話が別だが。

 

「情報の共有は以上だな。 一つ気になることがあるんだが」

 

「どうしたの?」

 

「例の翼と槍を持つ魔物だ。 あれから、一回も姿を見せていないんだよな」

 

「そうだね。 見つけ次第、今度は叩き落としてやるけど」

 

本を出してくるボオス。

 

タオが、早速目を輝かせていた。

 

「ボオス、それは?」

 

「目が光ってるぞタオ。 倉庫から見つけ出してきた本だ。 なんでも、百年ほど前に、当時の護り手が記録していた資料らしい」

 

よだれを垂れ流しそうな勢いで、タオが食いついているが。

 

ボオスは、それをタオに即座に渡した。

 

凄い勢いで読んでいくタオ。

 

なるほどね、と言いながら顔を上げる。

 

「百年前にも、目撃例があったんだ」

 

「そういう事らしい。 俺の方でも、百年以上前にあったとかいう異変について調べていて、それでアガーテ護り手長が、倉庫に何かあるかも知れないという話をしてくれてな」

 

「良くアガーテ姉さんそんなの知ってたなあ」

 

「アガーテ護り手長は、護り手の長になったのが早かったからな。 昔からの資料については、前任者……ウラノス老から引き継ぐ時に、色々と気を遣って目を通したらしい。 それによると、随分前からの資料が残っているそうだ。 流石に、内容について全ては覚えていなかったが」

 

だが、それでもだ。

 

実際交戦した、危険な魔物については、アガーテ姉さんも思うところがあったのだろう。

 

それにだ。

 

水に入っても全く問題無さそうだった、見た事も無い幽霊鎧の亜種らしいのも、此方を伺っていた。

 

あれも敵対する場合、どんな風に動くかは分からない。

 

「悪魔に似ていると言っていたな。 その辺りは、どう思う」

 

「まだ何とも言えないんだけれども。 ライザの言葉を聞く限り、それが生き物だったとは思えないんだよね」

 

「或いはオーリムの在来存在か?」

 

「いいえ。 オーリムでもあくま……悪魔なんて存在は伝承以外では聞いたことがないわ。 貴方たちの信仰の産物であって、少なくとも魔物として存在はしていないと思う。 貴方たちが言うほど強力な魔物だったら、流石に聞いていると思うし」

 

少し考え込んでから。

 

あたしは次の方針を出す。

 

「よし。 まずは、一番安定していそうな島を目指そう」

 

「確か、タオが高低差があって、しかも適度な平地があるって言っていたよな。 その島か?」

 

「そうそう、その島」

 

「それで、どうするの?」

 

あたしは皆を見回すと。

 

ふふんと、胸を反らしていた。

 

「アトリエ作る。 王都にあるやつもあわせると、三つ目のアトリエだね」

 

 

 

実の所、臨時の出張所としてのアトリエは、以前にも何度も作った。それ以前に、拠点は以前に何度も作っている。

 

あたしとしても、アトリエにいちいち戻らないと、調合や物資の補給が出来ないのは問題だと思っていたのだ。

 

オーリムにすら、最近は拠点を作るようになり。

 

あたしの手際は、前より格段に上がっていると言えた。

 

それに、このあたしのアトリエを作った時に、既にノウハウについては掴んでいた。あたしはノウハウを掴むと、その後は早い。

 

これについては、アンペルさんにも言われているし。

 

あたしとしても、最近はある程度自信を持てるようにもなっていた。

 

まずは、現地の調査からだ。

 

エアドロップを用いて、群島の浅瀬にこぎ出す。浅瀬と言っても、相応の広さだ。あたしとレントとタオとクラウディア。 クリフォードさんとセリさん。 合計六人が乗った状態のエアドロップでも。

 

乗り出すと、深さはあたしの背丈の四倍程度はあるから、かなり深い場所だなと感じてしまう。

 

ただエアドロップでもっと深い場所まで潜水したこともあるし。

 

船より巨大な魔物と遭遇した事だってある。

 

そう考えてみると、この程度の深さはまだまだではあるが。

 

ただ。今の時点でも懸念していたような存在。

 

例えば、今丁度、サメが下の方を泳いで行った。

 

前にクーケン島に襲い来た奴ほどではないにしても、相当な大きさだった。水中では、戦いたくない。

 

次は蛇だ。

 

ややこしい事に、魚としての「海蛇」と。実際に蛇の仲間である「海蛇」がいる。

 

海の巨大な魔物として怖れられているいわゆる「シーサーペント」は後者の巨大種。

 

そして魚ではない方の海蛇は、海に知識があるなら誰でも知っているが、とても毒が強くて危険な蛇である。性質はそれほど凶暴では無いが、噛まれたら短時間で死に到る。解毒も難しい。魔術の場合、達人級の使い手が必要になる。あたしは一応解毒薬を作って蓄えてはあるが。それが間に合わなかった場合は、死ぬ。

 

今泳いで行った蛇は、あたしの歩幅十数歩ぶんは長さがあった。

 

あれに噛まれたら、まず助からないだろう。

 

それはそうと、なんと澄んだ潮水か。

 

恐らくは浅瀬が出来てから、数日経過しているから、というのはあるだろう。その間に、濁りが何らかの形で流れ出したのだ。

 

それにしても、これならもう少し経過したら、底が見えるかも知れない。

 

それはそれで綺麗な場所になると思う。

 

もっとも、危険性になんら代わりは無いのだが。

 

大きな魚が、下にいる。

 

海底に擬態して、近付く魚をぱくりとやる危険な奴だ。それも、あたしの歩幅七歩ぶんくらいはある。

 

しかもこいつは体が丸いから、想像以上に大きい。

 

「素潜りは無理そうだね……」

 

「無理無理。 素潜り漁を専門にする人もいるけど、浅瀬限定で、それでも命がけなんだよ」

 

「いるかとかはいないかな……」

 

「いたとしても、此処は危ないし。 ……乗ったりは出来ないよ?」

 

むうとむくれるクラウディア。

 

まあ、その気持ちもわかる。

 

クラウディアは、身内の間でだけは、こういう子供っぽい姿もまだまだ見せてくれるけれども。

 

まあそれは、仲間としての特権だと思う事にしよう。

 

幾つかの島を横目に通り過ぎる。

 

明らかに小さめの島は、安易に上陸しない。

 

というのも、そもそも潮の満ち引きで沈む可能性があるし。

 

下手をすると、島に擬態している巨大な魔物の可能性すらある。

 

よくある話なのだ。

 

海でなんだかいいにおいがする島を見つけた船乗りが、そこに近付いたら。

 

島がたちまち魔物としての本性を現して、船ごと食べられてしまった、というような話は。

 

殆どの場合、それは事実なのが悲しい話で。

 

外洋に出た場合、基本的に知らないものには絶対に近付かない。

 

それが船乗りの基本だとされている。

 

あたしも彼方此方移動する際に船を使って、その際に説明を受けたし。そもそも白髭老などにそういう話は聞いているので。

 

その危険については、熟知していた。

 

まず一旦、目的の島に上陸。

 

うん、良い感じだ。

 

魔物も、ぷにぷにくらいしかいない。

 

それも大した大きさではなく、即座に撃ち払って駆逐完了。

 

周囲を確認する。

 

「タオ、どんな様子?」

 

「地盤はしっかりしているよ。 しっかりしすぎているくらいだね。 ずっと海の下にあったとは思えない」

 

「ライザ、こっちだ!」

 

クリフォードさんが手を振っている。

 

おおと、あたしはそれを見上げていた。

 

灯台か、これは。

 

いずれにしても、塔だ。

 

触ってみると、明らかに石材じゃない。石材だったら、海の下にずっとあったのだし、とっくに崩れてボロボロだろう。

 

入口も見つけるが、これは木材じゃないな。似ているが違う。ともかく、これも調べておきたい。

 

タオも呼んでくる。

 

そっちに出向くと、なるぼど。良さそうな場所だ。かなり地盤が安定している。アトリエを建てるのは、此処だ。

 

すぐに必要な部材を計算する。

 

木材がちょっと足りないか。だが、合板にしても、此処は恐らく全てが解決したら沈んでしまう。

 

組み立て式にして、回収出来る素材にするのが好ましい。

 

彼方此方に、強い魔力を感じる。

 

これは、竜脈か。

 

竜脈といっても、エンシェントドラゴンの西さんが此方の世界に来る時に使ったような巨大なものじゃない。

 

もっとちいさなものだ。

 

島の彼方此方に、竜脈を感じる。

 

ふむと、あたしは腕組みしていた。

 

なんというか。

 

恣意的だ。

 

こんなに彼方此方に竜脈が出来る事があるのか。

 

漏出している魔力は僅かだが。この辺りの群島に、魔物が大挙して押し寄せた理由がわかった気がする。

 

これでは、常にエサを巻いているのと同じである。

 

多分それだけじゃない。

 

これは普通の竜脈じゃないと見た。

 

島の構造そのものが、そもそも変なのだ。

 

ともかく、順番に調べて行かないといけないだろう。

 

「よし、一度この島からは引き上げるよ。 まずは、この群島について調べないとね」

 

「なんだよ。 まあ、仕方が無いか」

 

「そうですよクリフォードさん。 それに、もっとロマンのある建物があるかも知れないですよ」

 

「それはそれで素晴らしいんだが、どんなロマンも俺は大事にしたいんだ」

 

そっか。

 

良く理解出来ないけれども、クリフォードさんの病気は今に始まった事ではないので、今更気にしない。

 

ともかくエアドロップに乗って、また移動開始。今日中に、とにかくこの群島を回っておきたい。

 

だいたいの構造を確認してから。

 

調査をするのが、合理的だからだ。

 

こういうのは。あたしも去年の遺跡探索で学んでいる。この群島は巨大な遺跡みたいなものである。

 

去年の遺跡探索では、羅針盤で残留思念の調査をするときに。一段落する所まで調べてからだったが。

 

それが結局、最高効率だった。

 

恐らく今回もそれは同じだ。

 

ともかく、この異常現象になんの意味があるのか、よく分からない。だとすると、門に関係しているかも知れない。

 

あまり、時間を無駄にも出来ないのである。

 

エアドロップに乗って、群島を回る。昼を少し過ぎたが、さっき島に上陸したときに、食事は済ませた。

 

エアドロップの操作は、クリフォードさんにやってもらっている。

 

こういうのが大好きなクリフォードさんは、にこにこのようだ。マスクをつけているので、顔は見えないが。

 

それでいて、操縦はとても丁寧である。

 

まあ、任せてもなんら問題は無いだろう。

 

「フィー!」

 

「……」

 

手をかざす。

 

群島の北の方で、反り立つ壁のような島がある。滝があるが、そんな大規模な水源がこんなところにあるわけがない。

 

多分だけれども、この島そのものが水を吸い上げて。

 

それを大量にぶちまけている、と見て良さそうだ。

 

まともな島じゃない。

 

そして、島から強い気配がしている。

 

いるんだろう。

 

途中で見かけた島にも、かなり大きなワイバーンがいたが。フィーの反応からして、ここにもいてもおかしくない。

 

あたしは、皆に注意を促す。

 

「そもそも此処に上がるのは骨だよ。 その上、この気配……」

 

「ああ、俺も感じた。 いるな、大きいのが」

 

「クリフォードさんのその勘、頼りになるよな」

 

「ありがとうレント。 俺もこういうヤクザな商売だからな。 狙われたりすることはあって、それで身についたよいつの間にか」

 

とはいってもだ。

 

クリフォードさんは、あまり人の道に外れたことはしていないように思える。

 

クラウディアもそうだが、舐められたら終わりという奴か。

 

馬鹿馬鹿しい話だな。

 

クリフォードさんは、勿論荒事も経験している。多分賊の類を殺した事だってあるはずだが。

 

それでも、そんな風に見かけから威圧しなければいけないというなら。

 

人間は、どれだけ見かけにこだわる生物で。

 

こんな時代でも、それにこだわっているのだとしたら。

 

何が知的生命体なのかと、呆れてしまう。

 

ちょっとイラッとしたので、タオに話を振る。

 

「タオ、地図はどう?」

 

「うん、良い感じだよ。 やっぱりこの辺りの群島そのものが、全部人工物だとみて良いと思う」

 

「よし。 一回りしたら、一度アトリエに戻ろう。 それから、三番目のアトリエを作る為に、部材を用意しないとね」

 

「やっぱり何回かに分けて運ぶのか?」

 

それについては大丈夫だ。

 

このエアドロップは、更に大型化できるし積載量も多い。

 

つまり、アトリエの部材はまとめて運べる。

 

問題は基礎部分に用いる石材だが。

 

さっき島で確認してきたが、現地調達可能だ。

 

最悪の場合、あの塔を攻略して、内部をアトリエにしてしまうと言う手もある。

 

幾つでも、手はあるし。

 

勿論、それらが上手く行かない場合は、石材を運び込めば良いだけである。

 

それを説明して、それからアトリエに。

 

そのまま、調合を開始する。

 

今回は、このあたしのアトリエと同じ規模でいいか。コンテナはそれほど大きくなくてもいいだろう。

 

土地の広さは頭に入れてある。

 

空間把握力には自信があるのだ。

 

そのまま淡々と調合を続ける。

 

群島については、ざっと見て回った。タオが、今全方向から見た地図について、起こしてくれている。

 

次のミーティングで、それを確認すればいい。

 

ともかく今は、順番にやる事をやっていく。それだけだ。

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