なんか同時期に入会したノリと勢いで「一緒にオリンピックで金メダル取ろうぜ!」って約束した友達が加速度的に成長してて約束を守れそうにないんだが   作:送検

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score4 発狂魔人とめちゃくちゃガール 3

 

 

 

 話したいことがありました。

 語り合いたい未来がありました。

 だけど、今はそれよりも言わなければならないことがあります。

 何事も段階を踏み、歩みを進めるという初歩的な問題から踏み違えた俺にとっては、きっと難しい問題なのかもしれません。

 だけど、これは所謂最優先事項なのです。

 自分の馬鹿で彼女を驚かせ、逃げさせて、謝らせてしまった俺が必ずやらなければいけないこと。

 それをやらずに、話したいことや語り合うことなどできやしません。

 そもそも俺達は、友達にだってなれていないのですから。

 

「俺が結束さんを追いかけていた理由、話してもいいか?」

 

 だから俺は、事実を釈明して改めて謝罪をしなくてはいけません。

 謝ってばかりでは逆に煙たがれる昨今の世の中ではありますが、失敗したものに対して謝罪をしない奴は普通にダメです。

 謝ったら負けなんて巫山戯たプライドなんて要りません。謝罪を恥ずかしがる必要だってありません。

 自分の非を認め、謝罪をすること。その理由を知り、説明した上でそれが出来れば、その謝罪は何らおかしなものではないのです。

 

「……理由?」

「うん」

 

 なので、先ずは『追いかけてしまった理由』をきっちり説明しましょうと。

 そう思い至り、切り出した話題に対して結束さんは受け身の姿勢を取りました。

 俺の言葉を咀嚼するように一言、そう呟くとしばらく悩むように「えっと……」と頭を悩ませてくれています。

 その姿勢のなんとありがたいことか。

 結束さんは、俺の言葉を受け止めて思考をし、言葉を返そうとしてくれているのです。

 それが今、何を意味することなのか。俺にはしっかりと分かっていました。

 

「……えと、フィギュアスケートの……未来?」

「いやまあ、それは勿論そうなんだけど」

 

 まあそれはそれとして、何度も何度も後悔しましたけど初手からなんつー爆弾投下してんだ俺は。

 初対面の結束さんに対して初手で選ぶ台詞が「ゆいゆいつかさん!!俺とフィギュアスケートの未来について!熱く!!語り合おうぜ!!」ですからね。

 こんなん俺が結束さんの立場でも暑苦しさと男臭さで逃亡するんだよなあ。

 しかも名前を間違えるというジャブとストレートのワン・ツー。その後、喰らわせてしまった「ドジっ子なんだな!」の精神攻撃。

 成程、俺はクズっ子だったんだな。

 死に晒せ。

 

「単純に、フィギュアスケートのことを話したかったんだ」

「……そうなの?」

「そうだよ。……け、決していじめるつもりでやったわけじゃないんだからね!勘違いしないでよねっ!!」

「……う、うん?」

「……あれ?身体が勝手に土下座の姿勢を──」

「倉見君!?」

 

 まあ、俺がクズっ子だったのはその内どうにかするとして。

 俺が結束さんに話しかけた根本は、未来とか高尚なものなんかじゃなくて、単純にフィギュアスケートの話をしたかったからなんです。

 いやホントなんすよ。ツンデレとか巫山戯た真似してすいません。けど言葉に嘘はないので信じてくださ──あ、結束さんの「土下座しないで!?」って声が聞こえてきます。

 俺はいつから土下座のポーズなんて取ろうとしていたのでしょうか。いっけねぇ……へっへっへ。

 

「友達から聞いたよ。結束さんは、めちゃくちゃミミズを漁って、めちゃくちゃフィギュアスケートの本を読んで、とにかくめちゃくちゃしてるって」

「め、めちゃくちゃ……」

「うん、めちゃくちゃ」

 

 フィギュアスケートは俺にとって、見るだけでとても楽しく、実際にやってみると更に楽しく感じられるものでした。

 滑る、踊る、跳ぶ。

 その3要素のうち、俺は依然として滑るくらいのことしか出来ていませんが、滑る1つを取っても様々な技術と拘るべき細部があります。

 その一つ一つを追求していくのは──そりゃ大変でしょうけど、好きでやってることですから俺にとっては楽しいものなんですよ。そして、その『楽しいと思えるもの』を分かち合えるような人と出会えれば、それは本当に幸せな事だなと思ったんです。

 

「だから話したいと思った。純粋に興味が湧いた。めちゃくちゃ頑張る結束さんと、めちゃくちゃフィギュアスケートの話をしたいって、めちゃくちゃ思ったんだ」

「……」

「だけど俺の場合、その『めちゃくちゃ』って感情が仇になっちまったんだよな。最初からいきなりフィギュアスケートの未来を語ろうなんて誘い、そりゃあ驚くよ」

 

 だからこそ、ダチの情報を聞いた時には理性なんてモンは頭から吹っ飛んでました。

 だって……だって、同級生で同じクラスですよ!?

 仲良くなれたら、学校にいる間もフィギュアスケートの話をできますし、大変さを知っている分煽られたりしないで済むんですよ!?

 こんなのコーフンしないわけがないじゃないですか!是が非でもお友達になりたいと思っちゃうじゃないですか!!

 

「だから、ごめんなさい」

 

 と、まあ。

 そんな風に闘志を昂らせ、理性をポイしてしまった俺が冷静に話を進めて友情を育めるはずもなく、その後の結果は言わずもがな。

 なんともまあ小学生にありがちなやらかしだと自分でも思います。

 控えめに言ってゴミです(真顔)。

 だから謝罪をしています。何でもかんでも謝っている訳ではなく、正当な理由で俺は頭を下げているのです。

 なので、この謝り方なら大丈夫だろうと。そう思いつつも、「きゃー前科マンが何か言ってますわーキャハハハー!」みたいな風に思われてたらやだなー怖いなーといつ不安も抱えつつ、恐る恐る結束さんの方を見ると。

 

「あ、あわわわ……大丈夫だから頭上げて倉見君……」

 

 分かりやすく狼狽えてました。

 控えめに言ってめちゃ動揺してます。

 さて、こういった状況下では大抵狼狽えさせた方が悪いと相場は決まっているのですが、困ったことに俺には今の彼女をどうにかする方法も落ち着かせることも出来ません。

 こんな良い子なのに、何言っても動揺させるし、絶望させるし、申し訳なさそうな顔をさせる俺のワードセンスは本格的におかしいですね。

 ごめんな、結束さん。俺、国語の勉強もっと頑張るわ……

 

「頭は上げられんよ結束さん……!今日ほど俺の国語力を恨んだ日はない……偉人のマンガ読んでゲラゲラ言ってる場合じゃなかったんだ……!!」

「あ、上げてよ!そんなに謝られても困るよ……!!」

 

 そんなこと言われても実際問題悪いことしてますし。

 いやしかし、結束さんが困るというのならこれ以上謝る必要はないか。いや、ここは追い討ちならぬ追い謝罪で生まれてきたことに関するトドメの一撃を──なんて馬鹿なことを考えていると、やたらめったら大きな声で結束さんが俺に声をかけます。

 

「そ、そのッ!!」

 

 声でっか。

 

「……倉見君は、フィギュアスケートをやっているの?」

「おう。近所のクラブにて、基礎中の基礎を積み上げ中のド下手クソだぜ……君と違ってダメダメだろ、笑えよ結束さん」

「!……そ、そんなことないよ!滑れるだけですごいことだよ!?」

「お?」

 

 ん?

 なんか流れが変わったような気がしますが黙って話を聞きましょうねー。

 

「基礎っていっても、やらなきゃいけないことはたくさんあって!私もたくさん本を読んで勉強して、練習してるけど本当に上手くいかないことばかりで……だから、倉見君はすごいよ!頑張ってるよ!」

「おん?おー……おう!ありがとう!!」

「ち、ちなみに始めて何日くらい?」

「レッスン始めて1週間ですねぇ!」

「え、……じゃあひょうたんとか、T字は……もしかしてスネークも……」

「出来ます出来ます!!」

「出来るの!?」

 

 なんならバック・ひょうたんも出来ますねぇ!!

 何を隠そう、不肖倉見遥人。基礎の滑りは大抵マスターし、調子に乗っては定期的に氷上を転がり、悔しさのあまり『チクショー!!』と声を出しまくっている発狂魔人なのである!!

 その結果、大須のスケートリンクでは俺の名前を知る子がちょくちょく出てきて、興味本位で近付いてきた野生のフィギュアスケーターがコミュニケーションを取るついでにスケートを教えてくれるようになったのだった!!

 

『こんにちは!キミ、確かバースト……こ、こほん!!倉見遥人くんだったよね?』

『お?おー……そうっす!バースト倉見ッス!!』

『スネークで困ってるーって先生が言ってるの聞いちゃって。もし良かったらスネークのコツ、教えてあげよっか?』

『是非お願いしますッ!!』

『食いつきすごいね!?』

 

 またある日には、リンク外で偶然同じ長椅子で靴を履き替えていた男の子が俺に声をかけてきて──

 

『ねえ、発狂まじ……倉見君?ってゲームなんかやってるの?』

『お?おー……おう!!アメリカのダチに借りたスーパーマゾ?の輪っかくぐりゲームとかやってるぜ!!』

『はへー、何そのゲーム凄いつまんなさそう』

『おい!言葉を慎めよ……!!』

 

 そんなイベントも相まって、基礎の滑りの習熟度は順調そのもの!

 なんなら友人関係も順調順調!!

 それもこれも、ルクスの教えの賜物だな!!

 ……いや、割とマジで。

 

 だって瞳ちゃん先生、何者か知らんけどスケートを教えるのめちゃくちゃうめぇんですもの。なんか教えがすんなり頭に入ってきますし、なんなら分かりやすく噛み砕いて指導してくれるのでバカの俺でも実行に移せますし。

 フツートーシロレベルが1週間かそこらでここまで上手くなることなんてありゃしませんって。

 エグいですよ、瞳ちゃん先生の指導。

 恐ろしいほどの結果にコミットっぷり。

 実質ライザップかワザップやな。

 

「す、すごい……1週間で、そこまで……」

 

 と、まあ。

 現状俺が切れる技のカードを惜しむことなく召喚していると、結束さんはなんか知らんけどめっちゃ驚いてました。

 俺の持ち技(カード)が勝手にダイレクトアタックでもしたんかな。

 ライフポイント大丈夫そ?

 まあ、それはともかく。

 

「おかげで身体ボロボロになったけど上手くなった実感はあるぞ」

「……やっぱり、クラブに入ると違う?」

「まあ、見てくれる人がいたらその人がダメな所を指摘してくれるからなぁ。お手本になる人も、先生もいるし。今の実力を何とかしたいと思うならクラブはうってつけの場所だと思うぞ」

「う……うってつけ?」

「ぴったりなんじゃねえかなってことだ」

 

 少なくとも、現状を変えようと思うのならば行動を起こさなければなりません。

 フィギュアスケートをやりたい!と思ったのであれば、先ずは親に相談もしくは自分で滑れる場所を探す。そして、練習をする。そうして実力を試す場にて、己の力を試し、また練習。

 行動して、結果を出して、また行動して結果を出し、また課題を潰す。現状を帰るために必要なのはいつだって単純極まりない校内マラソンみたいなやつの繰り返しなんです。

 俺にとっては、その考えをフィギュアスケートに当てはめた時、最もそれを効率よくできると考えたのがフィギュアスケートクラブのスクールだった。

 それだけの話です。

 

 だから結束さんも、仮に現状を変えたいと言うのであれば行動を起こさなければいけないのですが、それは俺があーだこーだと言えるものではありません。

 まあ、あれです。言うは易し、行うは難しってやつです。

 そもそも結束さんが今、どの辺の立ち位置にいるのか。現状どうなのか。そもそも変えたいと思っているのかすら分からない俺がペラペラとモノを語れるわけないでしょうに。

 

「そっか……そうだよね」

「で、結束さんは何処までできるんだ?」

「え、私!?」

「おうともさ。もし良ければ、教えてくれよ」

 

 まあそれはそれとして、現状は聞くんですけどね。

 なに、別に強制しようとしている訳ではありません。嫌って言えば引き下がりますし、嫌そうな顔をしてたら頑張って察します。

 ただ、結束さんの顔を見ているとそうでもなさそうに見えるのが不思議なんですよね。

 フィギュアスケートの話をし始めた結束さんの表情、心做しか輝いているように見えますし。

 

 まあ、自分のことを問われた瞬間恥ずかしそうにもじもじするのは正直言って予想外だったのですが。

 なんだおい、もじもじ。

 可愛いなもじもじ。

 

「えっと……その……」

「おう」

「……」

「わくわく」

「わ、わくわくしないで……!えっと、……」

 

 ひとしきりもじもじ、躊躇い、またもじもじ。

 そうして恥ずかしそうにしていたもじもじ結束さんは、座っていた保健室の長椅子の隣にぽつんと置いてあった本を大事そうに抱え。

 それをあろう事か、俺に近付けたのでした。

 それこそ、その本を差し出すかのように。

 

 ……えっと。

 

「……こ、これ」

「お?賄賂?」

「わ、わいろ……?」

「くれんの?」

「あ、あげないよ!?……その、貸したり見せるくらいならいい、けど……」

「ああ、なるほど!」

 

 イマイチピンと来ませんでしたが合点がいきました!

 つまり、今の結束さんの到達度みたいなのが記されていると。

 習熟度は言葉より結果で語れと。

 そういう事なんですね!?

 

「じゃあ、有難く見させていただきます。ふひひ」

「ふ、ふひひ!?え、えっと……どうぞ」

 

 恐る恐ると言った感じに差し出されたフィギュアスケートの本を受け取り、先ずはペラペラと数ページ捲ってみます。

 すると目に飛び込んだのはおびただしい程の文字!文字!文字!

 その羅列には、流石の読書家(活字×)な俺も頭を悩ませてしまいましたァ!

 

「うっひょおおおおおおお……!!」

「ひぃっ!?」

 

 なんだこの高揚感。

 まるで交換日記してるみたいだぜ、テンション上がるなー。

 

「ど、どうしたの倉見君……?」

「なんかコーフンしてきちゃって」

「な、なんで!?」

「それはそうと、この正の字の数は?」

 

 まあ、これ以上コーフンして結束さんを困らせるワケにはいかないので。

 ここは冷静に、吸って吐いてを繰り返しながらフィギュアスケートの本をもう一度パラパラと捲り、書かれた文字を眺めます。

 そして、とあるページのミステリーに気が付いた俺は、その謎を結束さんに問いました。

 正の字の数が所々に記されていたのです。

 これは一体なんだろうと、純粋にそう思いました。

 

「えっと……読んで、練習した数」

 

 結束さんは本を夢中で読んでいる俺に対して言葉を投げかけます。

 その言葉には、今までにはないような力強さを孕んでいるように見えて。その声に、思わず俺は結束さんの方を。前を見据えました。

 

「……」

 

 結束さんは、俺の目を見ていました。

 その答えに、告げた言葉に対する責任を負うように。

 嘘の色がまるで見えない瞳は、何処までも綺麗で。

 それは、さっきまでひたすら謝ったり、もじもじしたり、逃げたりした少女のようにはまるで思えなくて。

 

 俺は、この子のことを心底カッコイイなと思ったわけです。

 

「……つまり、覚えた?」

「……。う、うん」

「へえ、自信満々じゃん」

「ご、ごめん……」

「なんで。自信あんのはめちゃ良いことじゃん」

 

 何をするにしたって自信を持つことは大切です。

 そりゃあ、あまりにも過剰な自信は過信となって、怪我とか挫折に繋がったりしますけど。それでも、ずーっと後ろ向きでいたって良いことなんてひとつもありません。

 後ろ向きになって地面を見るより、自信を持って前を見据えた方が視界も未来も広がっていくもんです。

 それこそ、夢があるのなら。夢を突き詰めていくのなら、視界や未来の先にある課題を潰すため、前方は広がっていた方が何かと都合は良いですしね。

 

 だから自信を持っていることを謝る必要なんてないんです。

 後ろめたく感じる必要なんてないんです。

 だってその自信は──積み重ねてきたものが証明してくれる()()()()()なんですから。

 

「謝んなくていい。できるって思ってんなら『できる』でいい。

 つーか、できるって言えるほど一本線を積み重ねてきたんだな。すげえな、努力してきたんだな」

「あ……ありが、とう?」

「あと結束さん、近い」

「あっ」

 

 と、まあ。

 講釈垂れて色々言ったは良いものの、それよりも危惧すべきは至近距離でキャッチボールをし過ぎた俺自身ということに気付き、先程までの距離感に戻ります。

 いっけねえいっけねえ。まさか結束さんがフィギュアスケートの話から身を乗り出して話し出すとは思わなかったぜ。ついでに俺も受け取った本に夢中でこの異変に気付かなかったぜ。

 いつの間にか結束さんとの距離は物理的にも間接的にも近くなってますし、会話のキャッチボールも容易にできています。

 やはり共通の趣味は人と人を繋ぐんやな。

 サンキューやで。友情のキューピット、フィギュアスケートくん。

 

「ご、ごめんなさい……!!」

「いや、別にいいよ。結束さんって好きなことになると途端に明るくなるんだな」

 

 この数分で、結束さんの印象は本当にガラッと変わりました。

 めちゃくちゃフィギュアスケートの本を読んで、めちゃくちゃミミズ漁って、とにかくめちゃくちゃ頑張るめちゃくちゃガール。

 そんな薄っぺらい印象から、結束さんと話して、努力に触れて、ちょっと熱血な所も見れて。

 俺の結束さんに対する印象は、好きなものの為に一生懸命で明るくなれる素敵な人になったワケです。

 

 ここまで辿り着いて、よーやく瞳ちゃん先生の言葉を真の意味で理解出来たような、そんな気がしました。

 誠実に向き合い、知っていく。

 その言葉の通り、自分の出来る限りで結束さんを知ろうとして、自分も知ってもらおうと躍起になって。

 そうしたら結束さんが質問をしてくれて、その言葉で今までの雰囲気が一気に変わって、会話も弾んで。

 

 そしたら、いつの間にか友達って言っても過言では無い距離感でフィギュアスケートの話をしているんです。臆面もなく、堂々と。

 凄いでしょう?この連鎖を、瞳ちゃん先生は分かっていたワケです。

 流石瞳ちゃん先生です。普段からノリとテンションで生きてきた俺とは違って素晴らしい経験を積んできたのでしょう。

 

「そういうの、めちゃくちゃソンケーする。というかカッコイイ。一周まわって面白い」

「お、面白いのかな……?」

「おう、面白いよ。つーわけで、ほい」

 

 そして、今。

 俺は結束さんに手を伸ばしています。

 その理由は単純で、簡単な話。

 もう、その行為に対して余計な言葉や心情を詰め込む必要なんてありません。

 

「改めて、同じクラスの倉見遥人。周りからはよくハルって呼ばれてる。よろしくな」

 

 話したいことがありました。

 語り合いたいことがありました。

 そして、言うべきことを伝えた今、俺がやりたいことはひとつ。

 結束さんと友達になって、もっとフィギュアスケートの話をしたい。

 だからこそ、俺は改めて自己紹介をして握手を求めます。いつか、この踏み違えまくった道を『こんなこともあったな』と笑い飛ばせるように。

 そして何より、結束さんと友達になるために。

 

「……」

 

 無言の空気が場を支配します。

 先程まで会話に花を咲かせていた空気とはまるで思えません。

 控えめに言って窓ガラスを割って叫びながら帰りたい気分なのですが、そんなことしたら俺が不良認定されるのでダメです。

 では、この空気に俺はどう抗えば良いのですか──なんて。そんなことを思いながら顔の筋肉をぷるぷると震わせ、顔面崩壊の気配を悟っていると、不意に感じた手の暖かさ。

 

 俺の手の体温とは違う、暖かさと手の柔らかさが片手に届きます。

 そして、その感覚に更なる顔面崩壊の気配を悟りつつも前を見据えると、そこにはぎこちなさげではありますが、()()()()()()()結束さんがいて。

 

「結束いのり……です。よろしく、倉見君」

 

 ゆいゆいつかさんでもない。

 結束〇〇〇さんでもない。

『結束いのり』と。そう言ってくれた彼女の、素敵な苗字と名前を噛み締めた俺は、ここで顔面崩壊の始まりを悟ります。

 え、お前どうしたんだって?

 どうしたもこうしたもありません。感動と謝罪と安心感と、色んな気持ちが混ざっておいおいと涙を流しているだけです。

 それ以上もそれ以下もありません。

 この話は、俺の泣き虫で終わりです。

 終わりったら、終わりなんです。

 

「ぶぇ……めちゃくちゃ良い名前なのに……初対面でゆいゆいつかさんって言っちゃってごめんねぇ……!゛」

「そ、それはもう大丈夫だから!だから謝らな──泣かないで!?」

 

 そして、まあ。

 この出会いこそが魔境に本格的に迷い込む一撃となってしまったわけなんですよね。

 ここまでならまだ、何とか取り返しはついたと思います。フィギュアスケートを始めました!友達もできました!あれもこれもラッキー!ハッピー!って言えるような未来へ足を踏み入れることも多分できたと思います。

 ですが、そんなこと微塵も考えていなかった当時の俺は踏み入れた魔境で抗う事を確定させてしまう決定的な一言をその後に言い放ってしまいます。

 

 ワケの分からないジャンプやスピンをしながらお互いがお互いを蹴落とし合う氷炎の獣共。

 そんなヤツらが手ぐすね引いて待っている魔境にホイホイと足を踏み入れ、入口に鍵をかけて、その鍵を自分で食べてしまうんです。

 

 今からでも入れる紛失保険ってあったりします?

 ないですか。そうですよね。

 助けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 氷上に佇む1人の青年が、全日本の数分間を狂乱の渦に落とし込んだ。

 

 リンクの中央にて片膝を突き、自らの身体を温めるように抱き締めると、曲が流れた数秒後にその両腕を翼を広げるように開き、滑走を始める。

 その一連の流れは、()()()()()()()のようで。

 この振り付けから、リンクの外では平々凡々凡俗上等を極めし青年の快進撃が始まる。

 

 日の丸を背負い、現在進行形で道を切り拓く日本のエース。

 常に頂の先にある約定を果たすため、惜しみない鍛錬を積み重ねる彼は、出場した各階級にてフィギュアスケートに関係する人間の脳内に忘れ難い記憶と記録を刻み込んだ。

 そんなエースの代名詞であるアクセルジャンプから始まったFS最終滑走。直前に滑走した青年の好敵手が生み出し、作り出した最高の余韻はそのエースが持つ唯一無二のアクセルジャンプで完全に作り替えられた。

 

「……すごい」

 

 その跳躍に寸分の狂いはなく、あまりに唐突に起きた()()()()()に、リンク外の360度が爆発的な歓声を上げ、天才の妹は目を見開く。

 体幹の軸が全くブレず、高さも幅も、何もかもが完璧なアクセルジャンプ。

 そして何より、その()()をこの土壇場で引き寄せることの出来る異次元の勝負強さ。

 その2つが重なった事で生まれる放物線。

 そして、足首と膝を柔らかく使った綺麗な着氷。

 

 その全てが、彼女にとっては衝撃的で、革命的で。

 それでも隣に座る、彼女が姉のように慕うフィギュアスケーターは表情1つ崩すことなく、さも『当然』と言わんばかりの無表情で青年の演技を眺め続けている。

 その事実に、青年の直前に滑走したフィギュアスケーターの妹は悟る。

 兄や義姉達にとって、この光景は見慣れた、当たり前のことなのだと。

 同期のフィギュアスケーターにとって、この青年の評価は一貫しているのだと。

 

(みんなにとって。同期のフィギュアスケーターにとって。……特別なんだね、遥人は)

 

 場内がどよめきと、歓声と、驚愕が混じり切った異様な雰囲気に包まれる。

 しかし、青年は至って冷静。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()とでも言わんばかりの落ち着きぶりで、その後の振付と要素を練習通り、確実に、忠実に遂行し、得点を稼いでいく。

 

 まるで、それが当たり前だろう?とでも言わんばかりに堂々と、臆面もなく。

 そこには、リンクの外で怯え、恐れ慄き、絶望する20にすら満たない青年の姿は何処にもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おいおい……!!今日何回目だよ4回転……!!」

「え、まさかこれも──」

 

 曲の始まりから中盤まで、観衆は日本のエースの演技に酔いしれた。

 偉大な名選手達との共通点を探すことすら無粋に思えてしまう記録の革命児。

 強いて共通点を上げるとするのであれば、出始めの衝撃と、ジャンプの癖や特徴。

 無敗の絶対王者の如く、観た者の一生に残る衝撃を植え付け。

 高さと幅を有する跳躍から織り成す夢の軌道は、かつて観衆が視た希望を想起させ。

 

 ──そうして出来上がった唯一無二は、多くの夢を背に()()()()()()()()となる。

 

4回転ルッツ+4回転トウループ

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『4回転ルッツ!4回転トウループ!!これも跳んだァ!!!』

『今日4度目の4回転、化け物沁みた膝のバネと勝負強さですね。

 そして、着氷時の姿勢。ジャンプの高さに幅。タノジャンプ。加点を付ける技術力が今のジャンプに凝縮されています』

 

 ただ跳ぶだけではない、なりふり構わず乱用するわけでもない。

 

 曲の構成に合わせ、華麗に美しく、()()()()

 

 その約定の下、繰り出された跳躍は、氷上の青年の魅力を何億倍にも引き立てる。

 そして、引き立てられた魅力は周囲に伝播し、脳に焼き付けられていく。

 筆舌に尽くし難い程の余韻と、吃驚仰天の感情と共に、五感を通して彼等の脳を焼き尽くしていくのだ。

 

 そして、曲は終盤へと差し掛かり。

 氷上のフィギュアスケーターの闘志が、気迫が、激情にも似た激しさが一層熱を帯びて弾け飛ぶ。

 先程までの曲調に合う冷徹な微笑と哀愁を帯びた表情から、情熱的な一面が垣間見える挑戦的な笑みへ。

 

 曲想から大きく外れない、曲調変化の間隙を突く大胆不敵、且つ計算され尽くしたアイスダンス出身のコーチ仕込みのスケーティングが火を吹き、氷上を華麗に舞う。

 正確に図形を刻み、一つ一つの要素を丁寧に、両利きと見紛う程鮮やかに。

 その上で感情も、激情も、情動も、何もかもを巻き込んで。

 今、青年がフィギュアスケートの代名詞(ステップシークエンス)を愛するように舞う。

 

「……相変わらず、嫌なフィギュアスケーター」

「……光?」

「氷上にそんな熱は無いはずなのに。キミが跳ぶと、観客席が燃えるように熱くなる。滑れば、氷上が持つはずのない熱に包まれていく。

 ──その激情に、皆が突き動かされる」

 

 観客席にて独りごちる女にとって、青年は()()()()()()()()のハズだった。

 自らの認めた好敵手であり、皆の祈りを力に変え爆発的な成長を見せるフィギュアスケーター。その子の親友かどうかは知らないが、性別も違えば競うこともない、果ては家族でもない人間を気にする暇など、自身にはない。

 どうでも良かった。本当にどうでも良い人間だった筈なのだ。

 

 ──()()()が訪れるまでは。

 

「自信なんてない癖に、根拠すら用意してないのに。君は啖呵を切って、妄言の尽くを実現させていく。そして、実現のためなら全てをフィギュアスケートに置いていける。

 そして、自覚せずに皆を置いていく」

「……」

「ねえ、遥人君」

 

 その日をきっかけに、どうでも良かった人間は()()()()()()()()()()()

 気付けば少年は、自身の対等となっていた。

 気付けば視界の先で、その男が誰にも真似できない放物線を描いた。

 気付けば青年は、誰にも届かぬ場所で自分自身(孤独)と戦っていた。

 

「タイムマシーンを探して、いのりちゃんに縋り付いて、自分はダメな奴だって卑下して。

 それでも、言ったことは曲げずに結果で応えて、いのりちゃんに『並び立つ』って言わせて、追いかけられて。口では卑下する割に、身体は現状を打開しようと何度も躍起になって」

 

 彼女は、天才と言われ、今も尚その名を欲しいままにしているフィギュアスケーターだ。

 当然、自分自身の実力が飛び抜けていることを自覚しているし、そうでなければならないという確固たる信念がある。

 自らの師に出会った時、差し出された手を取った日から。そして、薫陶を受けフィギュアスケーターになった日から。

 

『よし決めた。俺はやるぞ、狼嵜』

『え』

『お前の言う、名前が人生の羅針盤になるってのが正しいってんなら。俺は──』

 

 それでも。

 その矜恃を持つ天才フィギュアスケーターが、同期の中でたった1人。

『バケモノ』と明言し、『敵わない』と本能が叫び、それでも『執念』でその()()()()()()()フィギュアスケーターがいる。

 

「キミは今、()()の何歩先にいるの?」

 

 そして。

 その『バケモノ』は今、伝説を築き上げている。

 何食わぬ顔で、誰も知らぬ境地に足を踏み入れる。

 毛ほどもない自信を胸に、異次元の勝負強さを以て氷上に舞う。

 その姿は、天才にとって──

 

「……『俺はお前達の遥か先で、タイムマシーンでも探してるわ』かぁ」

「え?今なんて?」

「ごめんごめん、独り言」

 

 嫉妬も憧れもクソもない。

 なんなら事ある毎に渾名のような何かで呼ばれて、こちらのストレスを上昇させていく天才の天敵。

 

「良くも悪くも、名前に見合ったフィギュアスケーターだなぁって、それだけ」

「遥人が?」

「うん。汐恩もあんまり関わっちゃダメだからね。何かあったら私が助けてあげるから」

「えー、遥人は面白い人だよ?なんか自販機でお祈りしてるし、お祈りした当たり付き自販機で飲料買うとオマケばっか出てくるし、定期的に甘いものくれるし」

「……」

 

()()()にとって、そのフィギュアスケーターは純粋に大嫌いな存在なのだ。

 

 

 

「…………」

 

 意識の有無に関わらず、幼少の頃から積み重ね、研ぎ澄ませてきたスケーティング。

 その尽力を以てしても唯1人の俊敏華麗なスケーティングには届かず、その技術と才気には「敵わないな」と鼻っ柱をへし折られ続けた。

 故に、氷上のフィギュアスケーターは自覚していない。

 

ステップシークエンス Lv4

■■■■■■■■■■

 

「うわ、スピード速ッ……!!」

「相ッ変わらず両脚でエグいステップ刻みやがる……!」

「身のこなしすっごい綺麗……」

 

 そのスケーティングが既に日本を飛び越え、世界基準を大きく超えているということを。

 隣と前を見続けたことにより、その自己評価に大きな狂いが生じているということを。

 

「……」

 

 現時点で玉座の位置に座す凰は、視界の先で眩い星を両腕に宿し、舞う史上最強の好敵手を見据える。

 彼のこれまでを端的に表せば、『素晴らしいキャリアを歩んでいる』と言える。自身の成長速度に対する葛藤こそあったものの、偉大な父母から受け継いだもの。そして、自分自身で掴み取ったもの。それらを周囲の支えもあり上手く融合させ、鴗鳥は頂を駆け上がる翼を得た。

 

 そして、その翼を以て1つの綺羅星と真っ向からぶつかり合い。

 その結果、大きな成長曲線を描いた彼は多くの栄冠と挫折を得た。

 

(6分間練習までは尽く失敗してヒィヒィ言っていたのにも関わらず、本番ではお約束のように成功させるアクセルジャンプ。タノジャンプを用いた5()()4回転(神器)、相変わらずのステップ、コレオシークエンス。

 ──完璧だ)

 

 青年の前に立ち、追い抜かれ、それでも意地で追い越し、それでも青年はその天才の前進を本番で凌駕する。

 その理不尽に、挫折感を感じなかったと言えばそれは大きな虚言になる。

 やっとの思いで成功させたトリプルアクセル。本人の紛れもない武器になるハズだったそのジャンプも、いつか何処かで血反吐が出るほどの鍛錬で習得した4回転も、それをモノにする前には振り向きすらせず約定に向かいひた走る青年がモノにしていた。

 

 幼い頃からフィギュアスケートを学び、技術力を着実に磨いてきた凰にとって、青年は天才を超えた理不尽のような、ナニカであった。

 計算がアテにならず、予測すら届かない、こちらの予想を3段飛ばしで駆け上がる怪物。

 

 タチが悪いのは、本人が現時点では約定を果たせないと思い込んでいる所か。こちらが死ぬ程努力して辿りつこうとしている境地に踏み入っている奴が、よくもまあぬけぬけと──と思いながら、血反吐を吐くほどの練習をした数は計り知れない。

 

「お前はずっとそうだよな、本当に」

 

 それでも、頂を掛け上がらんと願い続ける青い鳥は、その理不尽に感謝の念を抱いている。

 辿り着いた()()も。掴み取った()()も。この場所で競い合っているという()()も。

 

 その全ては、間違いなく理不尽(お前)から始まった物語だから。

 

「絶対に負けない。今は無理でも、いつか。

 ──必ずお前を超える」

 

 

 

4回転トウループ+オイラー+4回転サルコウ

■■■■■■■■■■■

 

『4回転トウループ!オイラー……4回転サルコウ!?とッ……得意のコンビネーション決めてきました!!』

『ちょっと今日の彼は……凄まじいですね。それ以外の言葉が思いつきません」

 

 後半になっても沈まない、軽やかな着氷。高さのある4回転を何度も跳んでいるのにも関わらず、疲労の一切を感じさせないパフォーマンス。

「疲労?なにそれ、美味しいの?」と言わんばかりの余裕綽々な表情で氷上に予定されていた軌道を描き、約束された地点でキックを入れ、美しく腕を振り下ろす。

 高難易度ジャンプを連続で決めてもなお、細部に執着できる精神的余裕が表情に現れ、氷上での躍動に繋がる。

 青年の敵は最早、相手の得点ではない。観客にそう思わせてしまう何かが、青年の演技に現れていた。

 

「GOE加点エグ……」

「足の感覚どうなってんだよコイツ……」

 

 困難極まりない高難易度のジャンプシークエンスを終え、舞台は一気にクライマックスへと向かう。

 軽快なステップ。自然なスケーティングの流れ。

 そこから、フォアアウトサイドエッジで繰り出される跳躍。アクセルの入りから右足を鞭のように撓らせ、空中で五体を大の字に投げ出す。

 

 デスドロップからのシットスピン。シット・フォワード、ブロークン、シット・サイドウェイズ、シット・ビハインドからのリザーブパンケーキ──複数の技を繰り出し、足を換え、激しく、鮮烈に、鮮やかに舞う。

 見ている者がおぞましく感じる程の回転速度に、目まぐるしく変化する洗練されたシットスピンは、正しく変幻自在。

 

「うわ、なにあれ……!」

 

 吹き荒れる嵐のように、物を巻き込んでいく竜巻のように。

 周囲の視線を嵐の一点に集約させ、青年はシットスピンからアップライトスピンへ移行する。

 終演まで抜かりなく、揺らぐことの無い回転軸。

 そのスピンのレベルがどうなるのかは、会場中が理解っていた。

 

フライング足換えコンビネーションスピン Lv4

■■■■■■■■■■■■

 

 ここまで辿り着いたフィギュアスケーターに最早死角など皆無。

 壮大な舞台の幕引きを担う両腕が、空気を切り裂き、未来を切り拓くように横に振るわれる。

 そして、()()()()()()()()を冀うように。頭上に両の掌を差し出したのだった。

 

 

 

 ──完走。

 

「……」

 

 一瞬の静寂。

 しかし、1人のフィギュアスケーターと、そのフィギュアスケーターを支える熱血の先生が、両の手を何度も合わせ、音を響かせると。

 それに呼応するように、360度全ての観客が立ち上がりその音を真似る。

 今日一番の歓声、スタンディングオベーション。

 拍手喝采から織り成す熱狂の嵐が、1人の青年を包み込んだ。

 

『これ以上の結果はありません!!これ以上の結果はありません最終滑走、倉見遥人!!この全日本の舞台で、またしても会心の演技!!

 研ぎ澄ました技術力!!異次元の勝負強さ!!そして、誰に成し得ることのできない技で、今!!

 未知なる道を!!遥かに続く道を、確かに切り拓いて見せました!!』

 

 本来なら、というよりSPでは行っていた()()に倣うド派手なガッツポーズを、今回は曲の構成上行うことが出来ず。

()()()()()()()()()()()頭上に差し出した両の掌を下ろすと、未だ熱狂冷め止まぬ観客席4方向に丁寧に一礼。

 それでも止まず、一層激しくなるのは歓声、声援。

 されど、その激しさに遥人は感情を大きく動かされない。全てを終えた達成感はあるだろうに、それを表情に出すことはなく。

 憧れとは程遠い冷たさで、氷上を降りた。

 

「瞳ちゃん先生……」

「どうしたの?」

「海外のタイムマシーンはさ、日本のよりも遡行精度高いのかな……」

「そもそも国産見つけたことないでしょう?」

ねぇもう無理……

 

 見た目とは裏腹に、馬鹿なことを口に出しながら。

 

 

 

 

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