雲の上で想いは四季を巡るセカイに(仮題)   作:天風 月夜

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お久しぶりです。

懲りずにまた書いてます。
プロセカ映画を見て自分の中にまた何かが生まれました


一話 Inストリート&Inストリーム

「いってきます」

誰もいない家にそう告げて、扉の鍵をかける。

朝早くに出歩いている人も少ない時間帯に、僕は隣の家に向かう。

「今日は起きているといいけど」

親公認で渡された鍵を使ってかわいいものが好きな友人の家の扉を開ける。

靴を脱いで勝手知ったるといった足取りでキッチンに向かう。

昨日買い込んでおいた食材と家から作り置きしておいたおかずを使って朝ご飯を手早く作っていく。

今日は学校に行くって言ってたから来たけど、ちゃんと起きてくるよね?

そう思っていると、二階の部屋から足音が聞こえてくる。

ガチャリと開いた扉の先には、

「おはよ~空。いいにおいがする~…」

「おはよう。顔を洗っておいで、ご飯はもうちょっとでできるから」

「うん、わかったよ」

カワイイを求める僕の幼馴染、暁山瑞希がいた。

 


 

「瑞希、準備はできた?」

「オッケー、大丈夫だよ」

朝ご飯を食べて片づけた後に二人で家を出て、通学路を歩く。

いつものようにとりとめのない会話をしながら、歩いていく。

「そうだ。明日一緒に買い物に行かない?」

「いいよ。夕陽の服が欲しいから」

「……ごめんね。ボクに付き合わせるみたいで」

僕の言葉に瑞希が申し訳なさそうにする。

「そんなことはないよ。あの日から塞ぎ込んでいた僕の手を引いてくれたのは瑞希だったから。それにやってると楽しいから」

「そっか。それならよかったよ」

少し晴れたような顔をしているけど、本心はまだ燻っているんだろうなぁ。

僕では瑞希の隣にいることができても、その悩みを苦しみを理解できても、助けることはできない。

少し暗くなったけど、話題を変えていつも通りの会話に戻る。

「おはようございまーす!」

歩いていると神山高校の校門が見えてきて、お互いに知っている顔があいさつ運動をしているのが聞こえてくる。

「おはようございまーす!って瑞希じゃん?!今日はきたんだー。空もおはよう!」

「おっはよー杏!いやー、そろそろテストを受けるために学校に来いって呼び出しされちゃってね」

「おはよう、杏。ちなみに僕は先生に瑞希を連行するように頼まれたから一緒に登校してきたんだ」

「え゛っ!?空もしかして僕をだました?」

「そんな人聞き悪いなぁ。ただ僕は頼まれたから瑞希を連れてきたし、瑞希には聞かれなかったからね」

「あっははは。瑞希、諦めてテスト受けに行きなさい?」

「うぐっ。……はーい」

「ちなみに杏はその時のテストはどうだった」

僕の言葉に杏は目をそらした。

「……はぁ。杏、点数は?」

「ヒィッ。36点です」

「うーん……。今回は勘弁したげるよ」

僕がそういうと、杏は安堵した表情で息を吐いた。

キーンコーンカーンコーン

話しているうちに時間がたっていたらしく、予鈴が鳴り響く。

「予鈴なったね。それじゃ杏、瑞希。またね」

「じゃあね、空。ほら瑞希行くよ」

「わかってる。空、じゃあまたね」

教室が違う二人と別れて、自分の教室へと向かう。

「おっ、空じゃねぇか」

「おはよう空」

「おはよう。彰人、冬弥」

教室までの道を歩いていると、BADDOGSの二人と会った。

「空。今日は謙さんの所に来るのか?」

「そのつもり。でも夜に予定があるから長くはいられないかな」

「そうか。そういえばだが空、一ヶ月後にイベントがあるんだ。参加しないか?」

「イベントねぇ……。ちょっと考えさせて、スケジュールの調整もあるから」

「わかった、参加できるならいつも通り連絡してくれ」

「了解っと。そろそろ教室に行かないとまずくない?」

「そうだな、彰人。また後で」

「おう」

そういってクラスの違う彰人と別れて、冬弥と教室に向かう。

 


 

キーンコーンカーンコーン

昼休みになって、僕は屋上へと向かう。

扉を開けると先客がいたようで、紫色の髪が見える

「おや?今日も来たんだね、空君」

「こんにちは、類先輩」

「今日は来ているみたいだね」

「はい。呼び出しの件であるテストのほうも終わったみたいなのでもうすぐ来ると思いますよ」

と、神代先輩と話していると扉のほうから開く音がする。

「おまたせー!空、類」

「やっほー空。ゲッ、神代先輩もいるじゃん」

「やぁ、瑞希、白石君は随分な反応じゃないか?」

「いや、今週何回騒ぎを起こしたと思っているんですか?」

「ふふふ、何回だったかな。確か、追われたのは三回しかなかったのだけれど」

「六回ですよ!なんで今日が金曜日で一回も起きていないのに、一日に二回も起きている日があるんですか!」

「杏落ち着いて。それよりもご飯食べようよ」

「そうだね、早く食べないとお昼の時間も終わっちゃうからね」

「ふぅ……、落ち着いた。ってあれ?瑞希はご飯どうするの?神代先輩も持ってないみたいだし」

「白石君。それなら……」

事情を知らない杏に類先輩が説明しているようだ。

その間に持ってきていたレジャーシートを取り出して、床に敷いていく。

「空。早く早く~」

「瑞希、急かさないでよ。杏と類先輩もこっちへどうぞ」

レジャーシートを下にひいて持ってきたバッグの中から重箱を取り出す。

「えっ。空、もしかしてこれ作ってきたの?」

「そうだよ。といっても簡単なものや昨日の残りとか冷凍食品も使ってるけどね」

「慣れたボクが言うのもなんだけど、重箱でみんなの分作ってくるのは結構おかしいからね?」

「ふーん。じゃあ、やめる?」

「いえ。これからもお願いします」

と、瑞希にきれいな礼を見せられた。

「ふふ。僕としても空君にはお願いしたいからね」

「えっ?そんなにおいしいの?」

「そういえば杏は何度か一緒に食べているけど参加するのは初めてだったね」

「ふっふっふー。空の料理はめちゃくちゃおいしいんだからね」

「なんで瑞希が誇らしそうなのさ。それじゃ準備できたし、中身のお披露目だよ」

紙皿と箸を三人に渡して、取り出した重箱のふたを開ける。

から揚げや卵焼きといった定番のおかずから、ミニハンバーグやプチトマトといったものも入っている。

「というか私ももらっちゃっていいの?」

「というか食べてくれると嬉しい。空ったらいつもたくさん作ってくるから、ボクはいつも午後の授業が眠くて仕方ないんだよね」

「確かに眠くなるけど、晩御飯までお腹がすくことが少ないから。それはそれで僕は感謝してるんだよ」

「二人ともおいしいっていうから張り切っちゃうんだよね」

「へぇ~。じゃあ期待しちゃおっかな~」

いつも慣れている二人が、すでに食べたいものに手をのばしていた

「いただきます(いっただっきまーす)」

「ほら、杏も好きなのいいよ」

「それじゃあ。いただきます」

 


 

「ふぅ……お腹いっぱい」

「ご馳走様。空君の料理は満足感があるね」

「お粗末様です。杏はどうだった?」

「すっごいおいしかった。ねぇ、もしよかったらレシピもらえる?」

「いいよ~、どれが欲しい?あと、杏ってもしかしてトマト苦手?」

「う……。その通りです」

「ふふっ、それじゃああとでレシピあげるね」

「ありがと~」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「予鈴なったね。瑞希、一緒に教室に行こっ」

「え~。午後の授業サボっちゃダメ?」

「だーめ、ほら行くよ。じゃあね、空」

「は~い。空、またね」

「またね杏、瑞希。類先輩、それでは」

「うん。またね空君」

類先輩と別れて教室へ向かう。

今回のお弁当は好評だったし、特に類先輩には気づかれていないみたいだからよかった。

杏は相棒が居ないって愚痴っていたけど、どうやら先日になってくれそうな子が見つかったらしい。

それなら今日WEEKEND GARAGEに行ったときに会えるかな?

教室のドアを開けると、何人かが僕を見て話しかけてくる。

「春風、いや春風先生。お願いがあります」

「うん。予想はしてるけど一応聞いておくよ」

「次の小テストの勉強を教えてくれ!」

「私もお願いします!」

「拙者も頼み申す!」

「俺も頼む!」

「はーい。一斉に言われてもわからないからね。あと、一人古風な奴いなかった?」

クラスメイトに詰められながら、誰が来るのかを確認しながら話していく。

「めんどいから参加したい奴は僕に連絡お願い。できれば誰かがまとめてくれると助かる」

僕の一声に集まってきていたクラスメイトが散っていく。

ちょっと待って?今教室から出て言ったやつがいるけど、他クラスじゃないよね?

……まぁいっか。

 


 

「連絡事項は俺からはないが、古典の先生からは来週テストだから勉強しとけとのことだ。委員会関連では俺からは特にない。以上でホームルームを終わる」

そういって担任の先生は教室から出ていった。

今日は買い物をして。晩御飯食べ終わったら配信の準備。

「春風くん。ちょっといい?」

「どうしたの草薙さん」

席に座ると隣の席の草薙さんが話しかけてくる。

「借りてたゲーム、返すね。とても面白かった」

「喜んでもらえて良かったよ。何かやりたいのあったら、いつでも貸せるから」

「ありがとう。今は大丈夫かな?」

「りょーかい。それじゃ、またね」

「うん。また」

荷物をまとめて、教室から出る。

教室から出るとBADDOGSの二人が待っていた。

「おせーぞ、空」

「ごめんね。貸してたものを返してもらってたから」

「大丈夫だ。時間にはまだ余裕があるからな」

「それでも、練習時間を削るわけにも行かないけどな。できるだけ時間を練習に使いたいからな」

「次のイベントだっけ?それと、スケジュール確認したけど問題なかったからいけそうだよ」

「良かった。今回は俺たちと一緒に参加するのか?」

「ううん。今回は僕一人で参加するよ」

「わかった。主催にはそう伝えておくぜ」

「ありがとね、彰人」

そのまま三人でビビッドストリートへ向かう。

ちなみに瑞希は別の科目の課題提出があるみたいで、先生につかまっているみたい。

それに今日はサークル活動があるって言ってたし。

僕も配信予定の時間は10時からって伝えてあるからそれまでに帰ればオッケーと。

今日の予定を確認して問題ないと判断した僕は、二人とビビッドストリートに向かう。

「彰人。イベントのハコの場所ってどこ?まだ聞いてないなと思って」

「あぁ。それなら、俺たちが初めて話したREDっていうライブハウスだ。念のため、地図は送っておくぞ」

「ありがとう。今日は二人はどうするの?」

「今日は謙さんの所に行った後に、イベントへ向けての練習だ」

「ちょっと気になるところがあってよ。良かったら見てほしいんだが」

「いいよ。二人が前から練習をずっとしてるから気になってるし。そういえば、杏が新しい相棒を見つけたらしいから今日会えるといいなぁ」

「へぇ。そうだったのか」

「杏って確か謙さんの娘さんだったか」

「そ。朝から結構ご機嫌だったみたいだし、お昼には嬉々として話していたからね」

「そうだったのか。っと、話していたらもうついていたのか」

「あぁ。こんにちわ、謙さん」

「いらっしゃい。好きなとこに座っててくれ」

WEEKEND GARAGEに入ると店主の謙さんが迎えてくれた。

中にはいつもコーヒーの香りが漂っていて、夜になるとカフェがバーに様変わりする。

「久しぶりだな、空。今日は何飲む?」

「お久しぶりです、謙さん。それじゃあお勧めのブレンドでお願いします」

「あいよ。お前たちはどうする?」

「俺はいつも飲んでるブレンドでお願いします」

「俺は……空と同じものを頼めますか?」

「わかった。すこし待ってくれよな」

そういうと謙さんはコーヒーを作り始めた。

「空。お前は今回どの曲出すんだ?」

「迷ってるんだよねぇ。上がる曲はいくつかあるけど、前にREDで使っちゃったものもあるからさ」

「時間はあるといえど、練習が必要になるからな」

「うーん。新しいのも覚えるのも……。ごめん電話きたから、ちょっと席外すね」

「大丈夫だ、早く行ってこい」

二人に断って席を立ち、一度外へ出る。

『もしもし、空君。今大丈夫?』

「はいはーい、空でーす、今大丈夫だよ」

『ありがとう、それでさ前に相談乗ってもらったんだけど……』

「うんうん。それで?結果はどうだったの?」

『おかげで成功したよ!ほんとにありがとう!!』

「それは良かったね、おめでとう」

電話先は同じクラスの女子。

少し前から恋愛相談を持ちかけられていて、今日告白して成功したらしい。

まぁ、この子の思い人の男子からも相談を持ちかけられていたんだけどね。

通話を切ってから、相談を受けていた男子にお祝いのチャットを送りつけて店内に戻る。

店内に入ると杏が帰ってきていたようで、彰人たちと話し合いをしている。

横にいる眼鏡ちゃんが杏が言っていた相棒かな?

あと、彰人の話し方と表情が違うからあれは猫かぶり中だね。

「彰人、冬弥、戻ったよ。それと杏は学校ぶりだね」

「戻ったのか空」

「やっほー空。紹介するね、あたしの新しい相棒のこはね」

「は、初めまして。小豆沢こはねです」

「初めまして、僕は春風空。気軽に空とでも呼んで。それで?結構白熱してたけどなんの話してたの?」

僕の言葉で彰人と杏から何があったかの話を聞いた。

途中途中に冬弥が補足を入れてくれたために、理解はしやすかった。

「なるほどねぇ。それで、お互いにイベントに出ようってことになったと」

「ああ。それでさっき言ったREDでやろうってことになってな」

「はいはい。まぁ、杏の言い分が確かなら、小豆沢さんが初めてでも通用するって事みたいだし、この話題はイベントで決着つければ文句はお互いにないでしょ?」

僕の言葉に杏と彰人がうなずく。

「ちなみにお二人さん。時間は大丈夫なのかい?」

僕の言葉に時計を見た二人が慌て始める。

「まずっ、練習時間に食い込んじゃってる!」

「サンキュー空。冬弥、急ごう」

「わかった」

「また来週ね、二人とも」

「バイバーイ、空」

「はい。さようなら」

杏と小豆沢さんに挨拶して、お会計をした後にいつもの練習場所に向かう。

 


 

その後は二人の練習を見てから僕は家に帰った。

ご飯を作って、部屋に戻り、配信の準備を始める。

昔から着せ替え人形になったりしていたけど、そのおかげか女の子の服の着方もわかるし、メイクもできるようになって、女の子になるのがいつの間にか趣味になってた。

「あー、あー、…あ~。うん、声はこれで良し。服も着替えてメイクもオッケー。ウィッグもずれてない」

いつものように身だしなみの確認と声を変えて、配信機材の準備をしていく。

メッセージにはいつも一緒にゲームをプレイする同じ配信者からの通知が届いているのを確認する。

 

ふゅーね『そっちは準備できた?』

夕陽『準備オッケーだよ』

ふゅーね『それじゃあ通話繋げるね』

 

そのメッセージからすぐに通話のアイコンが表示される。

 

『聞こえてる?夕陽』

「聞こえてるよ〜。それじゃあ、配信始めよっか」

 

そういうと、二人同時に配信開始のボタンを押す。

 

「はーい。こんばんは、夕陽だよ。それと……」

『ふゅーね。今日も配信始めるよ』

 

カメラに向かって手を振りながら挨拶をする。

僕はゲーム画面と顔を映しながら配信するスタイルで、ふゅーねは画面のみを映すタイプの配信者とスタイルが違う。

配信を始めるとコメント欄に一斉にコメントが表示されていく。

 

「今日はふゅーねからの提案で、このゲームやっていくよ」

 

そういって画面に狩りゲーのタイトル画面を映す

 

『今回はお互いの武器を作るための周回になりそう。最後にはボスのタイムアタックもやるよ』

「それじゃ、始めるけどふゅーねは武器、何を使うの?」

『今日は盾斧使ってく。まだ慣れてないから被弾多くなるのは許して』

「大丈夫だよ~。それじゃあ僕は片手剣使うよ、ちなみに今回は参加型だから素材ほしい人、やりたい人は準備よろしく!」

 

言いながら画面を操作して、ルームのIDとパスワードを貼り付ける

 

『クエスト失敗しても文句はなし、暴言とかもNGでね』

「トロールしたらシバきあげるので、よろしくね」

 


 

「クエスト完了!ふゅーね、タイムは!」

『14分28。前よりも早くなってる』

「ナイス!リスナーのみんなもありがとねー」

『うん、みんなありがとう。それじゃあ今日の配信はここまで。またね』

「みんなまた会おうね!」

 

そう言って配信を終了して、カメラが切れていることを確認する

 

「お疲れ様、ふゅーね」

『お疲れ、夕陽』

「今日も楽しかったね~……?なんかインストールされてる?」

『私も。えっと、Untitle?』

「僕も同じだよ、音源ファイル?そんなのインストールして、」

 

”ない”と言おうとした瞬間にパソコンの画面が光りだして、視界が白く染まる。

 

「ここは?」

 

視界が戻った先は、桜吹雪が舞い、色とりどりの花が咲いている小さな広場の真ん中に立っていた。

 

 

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