聖剣学院のシャドームーン 創世王を継ぐ者 作:究極の闇に焼かれた男
今から5万年前、人間や精霊、数多の神々が誕生するよりも前の時代の世界は1人の"王"によって支配されていた。
《創世王》──あらゆる生命の頂点に君臨し、絶対的な力を有した存在にして最古の王。 創世王が支配していた時代では争いは起きず比較的平和で尚且つ高度な文明を誇っていた。
だが絶対的な支配者として君臨していた創世王は忽然と姿を消し、支配者を無くした世界は創世王が行方知らずとなった後に姿を現した神々によって支配される事となった。
しかし、創世王が支配していた時代と違い神々が支配する様になった時代は人と魔による争いに満ち溢れ、大地は荒れ果て、海は枯れ、緑溢れる世界は血と炎で彩られる事となったという。
戦乱の世と化していった世界は静かに破滅の道を辿ろうとしていたその時、緑色の光と共に次元の彼方から一振の聖剣を手に行方知らずとなっていた創世王が帰還を果たした。
創世王は争いを続ける人と魔の戦いに割って入ると圧倒的な力で両者を捩じ伏せ、神々を含む数多くの魔王を打ち破りながら争いの根源を滅する為に聖剣を手に戦ったという。
やがて神々の使徒と化した人間と精霊達によって魔の軍勢が追い詰められていく中、創世王は全ての争いの根源とされる存在を見つけ出し一騎打ちに挑んだ。
だが、争いの根源の力は凄まじく創世王は辛くも撃退する事に成功したが戦いで負ったダメージにより深手を負い、やむなく長きに渡る眠りにつかざるを得なかった。
眠りにつく直前に創世王は最後の力を振り絞り、己の全ての力を自身の聖剣へと注ぎ込み、その聖剣に選ばれた者に世界の全てを託す事にした。
聖剣に全ての力を注ぎ込むと創世王は長き眠りにつき、聖剣は創世王が戦乱の最中に出会った1人の魔王へと自身の後継者となる者に託して欲しいと預けたと言われている。
聖剣を託された魔王は創世王の願いを汲み取り、聖剣を手にする資格を有した者が現れるのを待つことにしたが、後に聖剣を託された魔王も神々の使徒に追い詰められた末に創世王の聖剣と共に千年の眠りへとつくのだった。
それから1000年後…
とある遺跡の地下深く、そこに1人の少年と2人の少女の姿があった。
「──現在、第七階層。 〈ヴォイド〉の反応は確認できず」
『──解──のまま……索を──けて下さい』
少年の耳元に付けられたインカムからノイズ混じりの音声を伝えてくる。
遺跡の地下深くともなれば、〈聖剣学院〉の〈聖剣士〉候補生に支給された軍用通信デバイスも役に立たないと理解していた少年は肩を竦めながら共に遺跡の調査に訪れた少女達に視線を向けると、2人の内の金色の髪を両端でくくった小柄な少女がもう1人の少女に声を掛けた。
「セリアお嬢様、そろそろ引き上げ時では?」
「レギーナの意見に賛成だ。 通信状況もかなり悪くなってるし、この辺りで帰った方が良いと思うぞ?」
「2人の言う通りかもしれないけど、連中は遺跡の地下深くにも〈巣(ハイヴ)〉を構築することが報告されているわ。 だから、もう少しだけ潜って調査を続けましょう」
レギーナと呼ばれた少女の言葉に少年も同調する様に告げると、銀色のロングヘアを翻しながら強い意志を秘めた蒼氷の瞳を凛とさせながら、暗闇の奥を見据えながら答える高貴な血を感じさせる容姿をした少女「リーセリア・レイ・クリスタリア」はそう返す。
〈戦術都市(アサルト・ガーデン)〉を統括する帝国の貴族であり、本来であれば遺跡の地下深くという危険極まりない場所にいるような身分である彼女の言葉に、リーセリアの専属メイドである少女こと「レギーナ・メルセデス」は苦笑して肩を竦めながら答える。
「はいはい、セリアお嬢様は真面目ですね」
「まあ確かに、大事な任務である事に変わりないしな。 本当なら帰りたい所だけど2人を置いて帰るのは聖剣士の端くれとして恥ずべき行為だし、仕方ないから、もう少しだけ付き合うよ」
レギーナの言葉に続く様に答えた少年の名を「シン・クライレン」は、やれやれと言いたげな表情を浮かべる。
シンとリーセリア達が何故、遺跡の地下深くに来ているのかと言うと、発端は今から数日前、〈聖剣学院の〉ある〈第0七戦術都市〉の近隣で大規模な地震が発生し、地下に眠っていたと思われる巨大な古代地下遺跡が発見された事を受け、調査をするべく派遣されたのである。
古代の遺跡はその性質上、魔力が集まりやすく、放置すれば〈ヴォイド〉が〈巣〉を形成する危険性がある為、聖剣学院の生徒であるリーセリア達にはその有無を調査する必要性があるのだ。
〈ヴォイド〉とは、今から64年前に人類圏に侵攻し、人類の四分の三以上を滅ぼした"異世界からの侵略者"。 何処から現れ、何を目的としているのか、その生態は今も尚多くの謎に包まれており、兵器であるのか、生物であるのかすら定かとなっていない。
ただ一つ分かっている事は、〈ヴォイド〉は"太古の神話等に出てくる生物の姿に酷似している"、という事だけである。
「大事な任務よ。 奴等の〈巣〉を見逃せば、都市への侵入を許すことになる──」
唇をきゅっと噛みながら、リーセリアが言うと、それを聞いていたシンが口を開いた。
「セリア、少し肩に力が入り過ぎているぞ。 そんなんじゃ、予想外の事態に陥った時に動けなくなるぞ。 安心しろ、ここには俺とレギーナも一緒に居るんだ。 もしもの時は、3人で対処に当たれば上手くやれるさ」
「そうですよ、セリアお嬢様! もしもの時は、シンに後の事を任せましょう!」
「さり気なく俺1人に押し付けようとするんじゃない」
「シン……もしもの時は骨くらいは拾ってあげるから☆」
「そんな良い笑顔で、しれっとなんつー恐ろしい事を抜かすんだよ」
そんな風に軽口を叩き合う2人の様子にリーセリアは肩の力が抜けるのを感じつつ、仲良さげな様子(リーセリア目線)を見せる2人にムッとした表情を浮かべる。
「ムゥ〜……」
「ど、どうしたセリア? 何でムッとしてるんだよ」
「レギーナに構ってばかりでズルい……」
「え?」
リーセリアの言葉にシンは思わず疑問符を浮かべていると、困惑した様子のシンに詰め寄るリーセリアの姿にレギーナは思わず苦笑する。
(セリアお嬢様、本当にシンの事になると可愛らしくなるからな〜。 もう、ムッとするくらいなら早く告白すればいいのに……)
そんな事を思いながら未だに困惑した様子のシンに詰め寄るリーセリアの姿に、レギーナはニヤニヤとした視線を向けるのだった。
一方その頃…
それはシン達の潜っている遺跡の地下深くにある重い石扉、その中にある石壁の中に埋め込まれた黒い輝きを放つクリスタルの前にある台座に墓標の如く突き立てられていた。
サーベル状の持ち手をした、赤く輝く刀身をした両刃の剣。
クリスタルを封印しているかのように突き立てられている剣は、微かに刀身が赤い光を発すると、まるで鼓動をするかの如く明滅し始める。
刀身が明滅するとともに石壁の中に埋め込まれたクリスタルが、ほんのりとした輝きを内側から発すると、一瞬だけクリスタルの内側で静かに眠る"少女と思しき子供"の姿が映し出され、それと同時に明滅を繰り返していた剣から〈声〉が聴こえ始める。
《ようやく見つけたぞ。 我が力を受け継ぐに相応しい器よ。 さあ、来るがいい! そして振るうがいい───我が創世王の力を!》
その〈声〉が響き渡ると同時に、赤く輝いていた刀身に飛蝗を彷彿とされる銀色の輝きを放つ異形の戦士の姿が映し出されるのだった。
──────────
「ッ!?(何だ、この感覚……)」
不意に感じた何かの気配にシンは思わず周囲を見回した。
(気の所為、か……いや、それにしては妙に鮮明だった様な。 ………もしかして、この先に何か有るのか?)
一瞬だけ感じ取った気配にシンは身震いしつつ、暗闇に包まれた道を静かに見詰めながら予感めいた物を感じる。
「シン、どうかしたの?」
「っ、すまん!? 少し考え事をしててな……」
シンが身震いしている事に気付いたリーセリアが心配そうに尋ねると、シンは肩をビクッとさせつつも心配をかけまいと誤魔化した。
「そう? なら良いのだけれど。 それよりも帰ったら買い物に付き合ってよね」
「それに関しては分かったから、一先ず調査を済ませる事に専念しよう」
「そうですよ、セリアお嬢様。 早く済ませて帰らないとシンとデート出来なくなっちゃいますよ?」
「っ、レギーナ!?///」
レギーナが揶揄う様に言うと、その言葉にリーセリアは顔を赤くする。
そんな2人の様子にシンは安堵の息を吐きながら、先程感じ取った気配について考える。
(アレは気の所為だったのかは分からないが、念の為に警戒しておいた方が良さそうだな。 仮に、この先に何か有るのだとするなら、その時は……)
そう考えながら、シンは腰に差してあるサーベルの柄を握りながらセリア達と共に先へ進むのだった。
この選択が後に、シンの運命を大きく揺るがす事になるとは知らずに……
to be continued‥?
次回の更新日は未定です。 それと感想などを頂けると嬉しいです。
この中で好きなキャラは誰?
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エルフィーネ
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ロゼリア
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シャーリ