600:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:10 exIDinject99
居間へと入る襖を開けると、お婆さんが柔和な笑顔で僕を出迎えてくれました。
彼女は円形のちゃぶ台を前に、畳に正座していました。
ちゃぶ台の上には、湯気の立つお茶碗二つと、急須が一つ、そしてお茶請けらしきお饅頭がいくつか用意してあります。
お饅頭は個包装されておらず、抜き身の状態で、そのまるまるした真白い姿を晒しています。
ぐう、と否応なしに僕のお腹が鳴りました。
すごくお腹が空いています。思えば、この前の土曜の夜からというもの、およそまともに食事をとっていない気がします。
601:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:11 exIDinject99
するとお婆さんが、
「遠慮せんと、座りんしゃい。いろいろ聞かんといけんこたあるが、まぁお茶飲んでからでも遅うはならんよ」と言ってくださいました。
お言葉に甘えることにし、僕は畳に座り込むと、ひとまずお饅頭を一つ手に取りました。
そのまま口へ運び、咀嚼しました。
もちもち柔らかくて、中のあんこがとても甘いです。本当に美味しいです。
気付いたら、もう一個を反対側の手で取っていました。まだ一個目を喉に収めないうちに、そいつも口へと放り込みます。噛みます。
甘いです。噛んでいたら、自然と涙が出てきました。なぜなら、本当に美味しいからです。
602:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:12 exIDinject99
そうしてひとしきりもごもごとしていると、喉が苦しくなってきて、
お婆さんが「そう急がんでも、饅頭は逃げんがな。ほれ、茶を飲まんね」と茶碗を勧めてくれました。
取りも直さず、いただきます。暖かくて、これもすごく美味しいです。
603:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:13 5VkCjO0A
お婆さん、いい人そうで良かった
604:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:14 o2p6C8RY
深夜に、山道で倒れてる見ず知らずの高校生を引っ張って、自宅で休ませてくれる方やぞ。
聖人以外の何者でもない。
===
621:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:25 exIDinject99
お皿に乗せてあったお饅頭を、僕は残らず平らげてしまいました。
それでやっと、焼けつくような飢餓感が収まりました。
我に返ってみると、自分はなんて浅ましい真似をしているのかと、恥ずかしくなりました。
お婆さんに「ごめんなさい、とっても美味しくて」と謝罪すると、
彼女は「ええんよ。来もせん客のために取っておいて腐らすより、嬢ちゃんに食べてもらった方がなんぼか饅頭も幸せじゃ」と言ってくれました。
この「嬢ちゃん」という二人称代名詞が僕を指しているのは明白ですが、そのまま受け取ることは僕の男としての沽券に関わる重大事ですので、「僕は男です」と当然、釘を刺しました。
するとお婆さんは「はあ」と目をしばたたかせました。どうやら、良く分からないみたいです。
622:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:25 lRsCIIEI
おいw
変なこと言ってお婆さん困らすな。
623:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:26 exIDinject99
「近頃の若いもんは進んどるっちゅうことかの?」
お婆さんはなおも訝しんでいるようでしたが、この件に関して、深く追求はしないようです。
一口、お茶をすすると「それでじゃの」、と改まった表情で話を切り出しました。
「あんたぁ、どっから来よったんじゃ? その若さじゃあ、お役人さんでも無かろうし、かといって去年ご招待された家族さんの内にも、あんたのような娘っ子はおらんかったはずじゃ。
そうさね……まず、名前はなんちゅうんじゃ?」
これは非常に核心的な質問です。僕は正直に答えるべきか、とても迷っています。
正確性を期すなら、持って生まれた名前である倉敷大悟が答えとなりましょう。
しかし、自分の外見が今どういった状態であるかは、当事者である僕が一番良く理解しています。
ただでさえ、先ほどの「僕は男です」発言によって、僕の信用がいささか減じているにも関わらず、ここであえて更なる燃料を投下する必要性がどれほどあるというのでしょうか?
ここは偽名を用いるのが良いという考えが、僕の脳内では主流派を形成しつつあります。
624:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:27 lRsCIIEI
まぁ無難さでいったら、女性名を口にするのが適切だろうね。
中性的な名前ならまだしも、「大悟」はちょっと厳しそう。
625:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:27 o2p6C8RY
「カミー〇」なら女でもまだいけたな。
626:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:27 2PxZBDyF
大悟が女の名前で何が悪い!
627:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:28 veunqvBY
お前らさぁ……それよか「ご招待された家族」ってお婆さんの発言のが気になる。
指示厨と化したいんだけども、俺らの書き込みってイッチに伝わってんのかね?
628:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:28 exIDinject99
「俺……いやえっと、僕の名前は倉敷……美咲と言います」、悩んだ末に僕はその名前を口にしました。
この回答に対し、お婆さんはまたしても目をぱちくりとしたものの、決定的な疑念には至らなかったようです。
「そうかえ。……だども、僕っちゅう名乗りは、ちょいといただけんな。おなごは、おなごらしい喋り方をせにゃ『ミワトさま』に叱られるで」
静かな物言いでしたが、語尾には気迫が籠っていました。
「す、すみません」と、僕は思わず謝りました。
お婆さんはいかにも心優しい年配の女性といった雰囲気の持ち主ですが、その分、真剣になった際のインパクトが凄まじいです。
「分かりゃあええんじゃ。顔を上げんしゃい。
……もう一度聞くようじゃが、美咲ちゃんは、どっから来たんじゃ? 山を登って来よったんかえ?」
629:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:28 kGSw34YX
ミワトさま=三和戸神社の祭り神のことかいな。
630:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:29 AfnbxKYa
十中八九ね。現代になっても信仰されてる土着神か何かだろう。
631:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:29 n9QLKIgX
お婆さん、いい人なのは伝わってくるが、全部を正直に打ち明けるのは止めとけ。
イッチがイタズラ目的で登山してきた挙句、神社の祠壊したなんて言ったら、ブチ切れるぞ間違いなく。
632:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:29 kJXrvoHK
そう考えたら、ドクズやんな>>1って。
逆に、もろもろ全部喋って全力謝罪した方がいいんじゃね?
633:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:30 exIDinject99
「ぼ……」と、まで言いかけたところで、お婆さんの眼光が鋭さを増したので、言い直します。
「わた……しは、その……か、観光目的で宇美沢村を訪れたんです。でも、急に日が陰ってきたせいで道に迷ってしまいまして。
持っていたリュックサックも落してしまい、パニックになったところで、転んだ拍子に頭を打ち、意識を失っていたみたいです。
そこを、あなたに助けていただい……たんだと思います、たぶん」
我ながら、良くぺらぺらと嘘が出てくる者だと思います。
とはいえ、赤裸々に語るなら山中で前後不覚になっていた際の記憶は半分以上抜け落ちているので、あながち真っ赤な虚偽というわけでもありません。
実際、リュックサックには財布や食料といった大事な物もたくさん入っていました。
進退窮まっていたという点では事実です。
「観光……の」
説明の中でもとりわけ疑わしい部分を、さっそくお婆さんは見抜きました。
「こんな辺ぴな場所で、何を見に来たっちゅうんじゃ。それにあんたぁ、ずいぶんと若いようじゃが、家族は一緒じゃないんかえ?」
===
650:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:35 exIDinject99
「ああ……その」思わず、目線が泳いでしまいます。
傍からみたなら、これほど怪しい人間もいないでしょう。
なにせ、十代中頃の少年が夜中に一人きりで山中をさ迷っていたのですから。
言うに事欠いて、こんな山奥で観光は苦しすぎたかもしれません。
例えば『学校の社会学習の一環で、近隣の神社仏閣について調べていた』とかならまだ可愛げがあったかもしれません。しかし、全ては後の祭りです。
掲示板の書き込みさえ見られれば、皆さんのアドバイスを受けられたかもしれませんが、さすがにお茶の間でスマホをちらちら見るというのは、あまりに礼儀を失しているようで、僕には実行できませんでした。
651:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:35 b0JoNlgx
やっぱスマホは確認できないか。
音声で伝えるってのも無いだろうし、俺らは今、見てるしかないと
652:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:36 e6oSYunk
歯がゆい。
なんか聞いてる感じ、お婆さん以外にも住人が大勢いそうな話し方だね。
山の中にぽつんと一軒だけ小屋がある……というわけではない?
===
679:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:44 exIDinject99
「私の家族は山のふもとで、少し休んでいたんです。
けれど、私は山の中に神社があるという話を聞き及んでいたので、どうしてもそこに行ってみたかったのです。
お母さんに無理を言って、一人で登っていました。その結果、遭難してああして行き倒れになってしまったわけです」
うまく誤魔化せたでしょうか。
お婆さんは神妙な顔で、聞き入っていました。
今しばらくの静寂が居間に降ります。
どれほど経ったか……そう言えば、この部屋に時計はありません。
壁掛けも、置時計も、です。今更気づきましたが、パソコンもテレビもありません。
およそ、居間には娯楽に類するものが存在していません。強いて言うなら、戸棚に何冊かの本が入っていました。
しかしそれも雑誌や文芸作品ではなく、厳めしい表紙に包まれた、目録のようでした。どう見たって、暇つぶしに読むものではありません。
お婆さんは普段、この居間で何をして過ごしているのでしょうか。
680:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:45 n9QLKIgX
ちょっとお婆さんも怖くなってきた……。
何してる人なんだろ?
681:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:44 2PxZBDyF
神社を守っている巫女さん……? なのかな。
682:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:44 b0JoNlgx
なぁ、それより俺、やべぇことに気づいてしまったかもしれん。
これ、祠クラッシャはどうやって書き込んどるんだ?
状況説明がびっしりだけど、あいつに今、こんなこと喋る余裕無いだろう。
683:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:45 ua7pyoy2
やっぱ釣り?
684:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:46 o2p6C8RY
もうその話題はええて……。
前もって用意でもしてなけりゃ、こんな速度で一から物語をタイピングなんてできねぇよ。
お婆さんの発言とか、家の様子とか、即興で出るはずが無い。
もし出せるなら、ここまでの流れはもうちょっと洗練されてたでしょ。
どうみたって、祠クラッシャはド素人やぞ。
685:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:47 L5ef5LHO
そうかなぁ……それも含めて演技というか?
686:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:47 9RaNNwie
一つ閃いた。
イッチ、もしかして卓上にスマホ置いとる?
カメラ機能を勝手にAIライターが流用して、状況説明を補っとるのかもしれん。
心情描写に関しては、祠クラッシャの声の震えとか、息遣いから解析しとるとか。
687:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:48 b0JoNlgx
謎の超技術で草
AIの進歩は著しけれども、そこまで可能な機能開発されてたっけ。
聞いたことも無い。
688:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:51 exIDinject99
「なるほどのう。……言わんとしとることは分かった」
お婆さんは、僕の言い訳をひとまず呑み込んでくれたようでした。
訳知り顔で頷くと、またお茶を一度すすります。おちょぼ口が、ずずず、と映画のような出来過ぎた効果音を鳴らしました。
普段から、お茶をよく嗜まれているようです。この一軒家で、長い間暮らしているのでしょう。
「あんたぁの言い分はどうも嘘くさいが、だからといって若い娘さんを追い返すわけにもいかん。今夜はひとまず泊まっていきんしゃい。金なんかとらんけ、安心おし」
いやだから僕は男です――という言葉は、さすがに心に仕舞いました。
小さい頃から向こう見ずだと妹にバカにされてきた僕ですが、立場と状況は弁えているのです。
「恩に来ます。こんな怪しい人間を泊めてくださるなんて、なんとお礼を言ったら良いか……」
そう言って頭を下げると、お婆さんはくしゃっと朗らかに笑いました。
「なんとまぁ、正直なおなごじゃ。自分で怪しいなぞ、言うヤツがあるか。そういう余計なことは口にせんでええ。黙ってお世話になっておけ。
だいたい饅頭を四つも食うておいて、どの口が謙虚ぶるんじゃ」
これは全く手痛い指摘でしたので、僕はいっそう恐縮して肩を縮こまらせました。
689:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:51 e6oSYunk
お茶請け全食べは確かに意地汚いな。育ち悪そう。
690:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:51 ua7pyoy2
普段からまともなモノ食べてないんだろうね……。
691:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:52 n9QLKIgX
>>690 マジで言ってるのなら、前スレもっかい頭から読み直せ。一昼夜何も食ってなかったんだぞ。
692:祠クラッシャ 20XX/10/13 (月) 23:57 exIDinject99
お婆さんは、それで話は終わりだというように、正座を崩して立ち上がろうとします。
僕は慌てて、それを引き留めました。まだ聞きたいことがたくさんあります。
「すみません、ぼ……私からもいくつかよろしいですか」
「なんぞね」
お婆さんは居住まいを直しました。もうだいぶ夜も遅いはずですが、話はちゃんと聞いてくれるようで、安心しました。
「まず、お婆さんのお名前を伺っても?」
「それを聞いて、どうするんじゃ」
意外にも、お婆さんは固い表情でそう言いました。
名前くらいは、こちらも名乗ったのだから(偽名ですが)良いだろうと思っての質問でしたが、いったいどうしてか不快にさせてしまったようです。
僕は必死に取り繕います。
「えっと、たいへんお世話になりますので、後日お礼でもさせていただこうかと……」
お婆さんは、先ほどとはちょっと違う笑い方をしました。
「へっ」といった感じで、『あんたにどれほどのお礼ができようか』という、ある種の見くびりのニュアンスが含まれた、ちょっと嫌な笑みでした。
「ま、ええわ。ワシは石削エツコちゅうもんじゃ。……じゃが、あんまり自分の名は聞き慣れんから、今まで通りお婆さんでええ」
石を削ぐ、と書いて石削エツコさん、でしょうか。
エツコの漢字が気になりましたが、あいにくそこまで追求できる空気ではなかったので、いったん疑問の矛先は納めました。
693:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:58 L5ef5LHO
石削とは……相当珍しい苗字だね。
検索してみても一切ヒットしなかった。どういった村の人だろう。
694:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:58 lRsCIIEI
こんな山奥に住んでるとこ含めて、謎多きお婆ちゃんだわ。
イッチ、どんどんかましたれ。
695:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:58 o2p6C8RY
ちょい待ち。
これって、AIライターのプライバシー保護機能が働いてる可能性無いよね?
もしあれがonのままなら、全然正確な情報じゃないってことになるけど。
696:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:58 AfnbxKYa
どーだろ? 倉敷大悟って本名を、祠クラッシャ自身が何度も打ち込んでるから、解除されてるんでない?
石削エツコさんにしても、全くの第三者を保護する意味も無かろう。
697:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:59 veunqvBY
>>688
あれ、気づいたの俺だけ?
ここで1が『妹』を使ってる。これ大発見だろ。ちょっと調べるわ。
698:名無しさん 20XX/10/13 (月) 23:59 5VkCjO0A
お前、妹がいる人間見るの初めてか草
699:祠クラッシャ 20XX/10/14 (火) 00:00 exIDinject99
その時、いきなり大きな音が響き渡りました。僕は驚き、飛び上がりそうになりました。
ごぉん、ごぉん。重たい金属音が、やや長いスパンで何度も繰り返します。
どうやら、鐘の音のようです。
置時計の、深夜零時を知らせる鐘……にしても、大きすぎます。
それに、家の中にそれほど立派な時計はやはり見かけませんでした。
どこかの寺でしょうか。しかし神社のある山に、寺の鐘もあるというのはおかしな話です。
それに、こんな時間に執拗に、それも大きく鐘を響き渡らせるのは非常識でしょう。
ではいったい、この音は何なのか? もしや僕だけに聞こえる幻聴なのでは?
ここのところ、不可思議な体験ばかりが続いていたせいで、正気の在処は僕にとって疑わしくなりつつあります。悲しいことに。
そういった動揺が、よほど顔に出ていたのでしょう。
お婆さんが「驚いたかえ?」と、少しイタズラっぽい笑みを浮かべて、言いました。
「正午を知らせる村の鐘さね。お寺さんの鐘じゃあ無い。初めて耳にしたよそもんは、決まってそれと間違えるんじゃ」
「村の鐘?」 思わず、僕はオウム返しをしました。
予想外の答えだったからです。
「そうじゃ。……じきにあんたぁも分かるじゃろうが、ここじゃあ、鐘でも鳴らさんとしようがない。今がいつかを知る、大事な区切りじゃ」
「はっ……?」
お婆さんの話は、急に理解の及ばないものとなりました。どうして、この鐘をそう重要視するのでしょうか。僕からすれば、単なる安眠妨害としか思えません。
700:祠クラッシャ 20XX/10/14 (火) 00:05 exIDinject99
「じきに分かる、と言ったじゃろう。三日もここにおりゃあ、鐘の音無しじゃあ、どもならんくなるさね」
「そう、ですか……」
僕は曖昧な相槌を打つことしかできませんでした。
『三日もここに』――素直に受け止めるなら、ここでの長期滞在を前提とした発言です。
お婆さんは僕をこの家へ留め置くつもりなのでしょうか?
この点がとても気になりましたが、直截に尋ねるのはためらわれたので、表現を努めて婉曲に直しました。
「僕は……山を下りたいのですが、身体の調子がどうも良くなくて。
家族に迎えに来てもらうので、電話をお借りしてもよろしいですか?」
お婆さんは眉をあからさまに潜めました。
「なんでさね。あんたぁ、自前で立派なもんを持っとるじゃろが。
これ見よがしにそこへ置いて」
ちゃぶ台の上へ置いている、僕のスマートフォンを言っているようです。
全く、尤もな指摘でした。
「すみません、山道で転んだ拍子に壊れてしまったようで。通話機能は使えないんです」
「そうかい。……じゃが、うちには電話なんぞ置いとらん。あるんは神主さんか、弥彦さんのとこだけさね。
どうしても使いたいっちゅうなら、そこへ行け」
===
733:祠クラッシャ 20XX/10/14 (火) 00:12 exIDinject99
神主さんに、弥彦さん……。
続けざまに新たな名詞が出てきましたが、これらから察するに、距離的にそう遠くない場所に、お婆さん以外の村人が大勢――おそらく共同体を形成できるほどには――存在しているようです。
ですが、電話が家に置いていないのはなぜでしょうか?
お婆さんの一人暮らしなら、必需品だと思うのですが……。
質問を重ねているはずなのに、分からないことがいっそう増えてきました。かといって、お世話になっている身で、根掘り葉掘り聞きだそうとするのも失礼に過ぎます。
僕がどう話を続けたものか迷っていると、お婆さんが「もうええか?」と膝立ちになりました。
「あんたぁのことを、弥彦さんに知らせにゃならん。まぁ……妙な話にはならんじゃろうが、あんまり遅うにすると拗れかねん。
して、電話が借りたいんならついてこい」
言い終えるかどうかのうちに、お婆さんはすくっと身軽に立ち上がると、襖を開けて廊下へ出てしまいました。
呆気にとられる僕ですが、ここで置き去りにされては困ります。
スマートフォンを手に取り、お婆さんの背を追いました。
お婆さんは既に土間へ降りており、腰を屈めて履き物を整えています。
僕も靴を履こうとしたところ、「よしんしゃい」となぜか止められました。
「ボロで良けりゃあ、草履を貸してやる。じゃけぇ、それ履くのはよしとけ。また転びたいんか」
何を言っているのか戸惑いましたが、すぐに理由は判明しました。
今、履こうとした僕のトレッキングシューズは、サイズが全く合わなくなっています。
それを慮ってのことでしょう。
「いえ……結構です」
しかし、僕は意地を張ってしまいました。
お婆さんの差し出した草履は見るからに古臭くて、明け透けに言うなら、生理的な嫌悪感を覚えたからです。
「そうかえ」
お婆さんはさして残念がるでもなく、すっと草履を元の棚へ戻しました。
734:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:12 aILVNPYz
予想はしてたが、>>1のIDはそんままだったか。
735:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:12 tJekCp8g
やっぱ、祠クラッシャ周りで掲示板の動きがおかし過ぎる。
ちょっと問い合わせるね。
736:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:12 l3YzCaBt
おかしい言うなら、AIライターもでしょ。これが一番嘘っぽい要素なんだから。開発どこよ。
737:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:13 zJRYLzlt
祠クラッシャとお婆さんがいるのって、三和戸山の中だよね? こんなとこに、村人がまだまだいるってマジ?
738:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:15 OZgktr8i
つか、お前らスネークのこと完全に忘れてるやろ。あいつ行方不明のまんまやぞ。
739:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:15 CXRRWf1k
奴は犠牲になったのだ……。祠クラッシャ再出現までの場繋ぎ……その犠牲にな。
740:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:15 wn2yJTBt
スネークは社会人(かもしくはニート)っぽかったから、仮に遭難してたとしても、捜索願いが出るのはだいぶ遅れるかもなぁ。
倉敷大悟くんみたく、ネットニュースにでもなれば分かりやすいんじゃが。
741:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:16 l3YzCaBt
スネーク、山のふもとで路駐してたよね? あの車が発見されれば、身元特定なんて余裕だと思うけど。
742:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:16 OZgktr8i
そ れ だ
通報しますた
743:名無しさん 20XX/10/14 (火) 00:16 CXRRWf1k
>>742はえーよw
このスレって、4ch史上最高にお巡りさんのお世話になってんじゃねw
===