不死人はキヴォトスで生き抜きたい   作:とざっく

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え?俺ですか?えーと…………アストラです!

 爆発に巻き込まれてから暫く様子を見ていたがあの火薬を使っている武器は大小様々な形があるようで観察しているだけでも面白い。

 

 彼女たちの戦っている相手は見た目からしてヤンチャしてますといったような格好の少女たち。しかもかなりの人数。

 人数差で追い込んでくるとは、まるで"亡者"だな。

 それに対するあの少女たちの人数は大人の女性も含めて五人と数では圧倒的に不利なのにどんどんと前進している。あの大人、"先生"と呼ばれる女性と少女たちはかなりのやり手らしいな。

 

 ロードランでは味わえなかったある種の興奮が俺の心を満たす。

 

 それにしてもこの街は随分と発展しているように思う。

 視線を少しずらせば巨人たちの倍以上の大きさがある建造物が俺の周りにズラっと並んでいてこの世界の建築技術の高さが伺える。

 ロードランじゃあ石造りの建造物がほとんどだったから尚更だ。

 

 そうこうしている間に周りの建造物を遥かに超える大きさの白い建物が見えてきた。

 いや、本当にでかいな。

 

 どうやら少女たちと先生の目的地はあのでかい建物のようで、走るスピードが上がっている。

 建物に近づくにつれ亡者集団の数も増えている。余程彼処に近づかれたくないらしい。

 

 俺も少女たちに加勢すべきだろうか?そんなことを考えていたら少女たちの前に大きな筒のついた鉄の塊が現れた。

 

 

 

 

 ─────────なーんだあれ?

 

 大砲ならロードランで見たことがあるがあんなバカでかい筒のついたものは知らない。恐らくロードランの大砲以上の威力があると思える砲身が少女たちに向けられる。…………いざとなったら俺も加勢しよう。

 

 俺は銀騎士の剣と盾を構え直した。

 

 

 

 

 

──────────

────────

──────

 

 

 

 

 

 キヴォトスにやって来て早々に戦闘に巻き込まれた不運な大人こと"先生"は、四人の生徒たちと共に『シャーレ』の部室を目指して戦っていた。

 

 「先生!もう少しで『シャーレ』に到着します!」

 

 「"よし!みんな、もう少しだけ頑張って!"」

 

 先生は生徒たちを鼓舞し前進する。

 ──────────そこへ。

 

 「!?みなさん!!伏せて!!」

 

 先程出会ったばかりの生徒羽川ハスミの咄嗟の声を聞いて急いで全員伏せる。

 

 

 

 直後に先生たちを襲ったのはとてつもない爆風と轟音。周りは煙で視界が優れない中状況確認のため視線を上げるとそこには。

 

 鉄の塊、その言葉が当てはまるであろう大きさを誇る戦車だった。

 

 「あれって巡航戦車!?なんでこんなところに!?」

 

 「トリニティのクルセイダー型戦車ですね、恐らくブラックマーケットに流通していたものでしょう」

 

 「先生!危険ですので離れていてください!」

 

 チナツが先生に離れるよう呼びかけるが。

 

 「"いや、生徒が頑張っているのに私だけ隠れてみているだけだなんて、そんなことは出来ない"」

 

 「!?」

 

 「しかし……わかりました。でも十分に気をつけてください」

 

 「"わかった"」

 

 ハスミからの言葉を受け、先生は深く頷く。

 

 「えぇ…………んもう!分かりましたよ先生!本当に気をつけてくださいね!」

 

 「"ありがとうユウカ、ユウカたちも気をつけて"」

 

 「二発目、来ます!」

 

 スズミの言葉を受け戦車を見据え全員が構える。

 

 そんな生徒たちを見て先生は。

 

 「"さぁ、いくよ!みんな!"」

 

 『はい!』

 

 生徒たちを見て改めて覚悟を決める。

 

 

 

 

 

──────────

────────

──────

 

 

 

 

 

 「おーおーやってるやってる」

 

 少女たちと先生が鉄の塊に攻撃をし始める。

 だがなかなか攻撃が通らないのか、皆渋い顔をしている。

 

 んー、加勢するか。

 

 そう思い立ち、俺は彼女たちの元へと向かう。多分いけるハズだ。

 センの古城のアイアンゴーレムも倒せたし、攻撃が通るならいけるだろ。

 

 そんなことを考えていると。

 

 

 

 !?やべぇ、砲身が先生に向いてやがる!?

 

 先生以外の少女たちはあの大砲の砲弾を喰らっても苦い顔はするがあまり効いてはいなさそうである。その理由は恐らく、少女たちの頭の上に浮いている光輪が関係しているのだろう。(理力99)

 

 だが先生にはその光輪がない。つまり先生も俺と同じ、攻撃を喰らえばあっさりと"死んでしまう"ということだろう。

 

 

 

 ──────────ん?……"死"で思い出したが、今の俺は、死んだらどうなってしまうのだろうか?

 

 

 ロードランには篝火があったおかげで、死んでも直前に休んだ篝火から生き返ることができたがここではどうなのだろう。

 

 恐らく此方の世界には篝火がない。それ即ち。

 

 

 

 

 

 

 「俺、死んだら終わりじゃね?」

 

 ということだった。

 

 

 

 

 

 いやいやいや、今はそんなことよりも!先生を助けることの方が重要だ!

 自分のことなど後回しだ!

 

 オレ、フシ、コワイモノ、ナイ。

 

 亡者の真似事してる場合じゃねぇ!!今はとりあえず走れー!!

 

 

 

 

 

──────────

────────

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 『先生!!』

 

 私を呼ぶ生徒たちの声が妙にスローに聴こえる。砲身はこちらを向き、その先端から弾が飛び出そうとしていた。

 

 

 あぁ、こんなことならチナツやユウカの言うことを聞けば良かった。

 後悔がないと言えば嘘になる。私は"大人"として皆を導かなきゃいけないのに。こんな所で。

 

 

 

 

 

 "……………………あぁ、()()()()()()()。"

 

 私の口から漏れ出た()()はきっと虚空に消えるだろう。そう思いジッと目を閉じた。

 

 

 「その()()、確かに聞き届けた」

 

 確かにそんな声が聞こえた。

 

 誰?ユウカ?ハスミ?スズミ?チナツ?

 

 いや違う、聞こえるのは恐らく男性の声。此処(キヴォトス)に来て初めて聞く男性の声。

 その声にはどこか安心感があり、私はそっと目を開ける。

 

 「貴公、怪我はないか?」

 

 綺麗な装飾のついた鎧を着た()()がそこにいた。

 

 

 

 

 

──────────

────────

──────

 

 

 

 

 

 あっぶね〜!!あと少し遅かったら先生は今頃バラバラのグロい死体に成り果てていただろう。よくやった俺!!

 ていうか銀騎士の盾じゃ多分無理だろうと思って咄嗟に『ハベルの大盾』に持ち替えたのが功を奏した。スタミナ少し持っていかれる程度で済んだのは驚きだった。流石『岩のようなハベル』の聖遺物。

 

 「"……君、は?"」

 

 心の中でガッツポーズとハベルへの感謝をささげていると先生が問いかけてくる。

 

 「俺?……俺は……えーと」

 

 どうしよう、恐らく名前を聞かれているのだろうがロードランで長い年月を過ごすうちに自分の本来の名前など忘れてしまった。助けておいて名前を名乗らないのはどうかと思うので必死に考える。

 

 うーむ……うーむ、どう答えたものか。

 

 

 

 そういえば今着けている防具はアストラの上級騎士装備だ。ならば!

 

 

 

 「()()()()、俺の名は()()()()だ!」




銀騎士の盾「え?今回自分の出番これで終わりっすか?」

アストラ「そうやで」

銀騎士の剣「安心しろそれは俺とて同じさ」
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