13号の弟が雄英にやってきた!   作:ショタは至高

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やる気があるうちに書かねば!と思い、筆を走らせた。後悔はしてない。

キャラの口調に違和感、矛盾があったら、ぜひ指摘よろしくお願いします。


1話:過度な緊張は不必要

「姉さん、そんな心配しなくても入試を受ける学校ぐらいわかるって」

「そう言いながらつい先週、近所のスーパーに買い物行くって言って、隣県の方まで行ったらしいね」

「えっ。なんでバレ……。いやそれはシンプルミスっただけだって」

「何をどうしたらそんなミスにつながるの??」

 

 目的地に向かうために走らせている車の中には、まだ幼さの残る顔立ちの少年と、運転席には全体的にボーイッシュさが際立つ女性が座っている。

 

「てかなんで車で向かうのさ。姉さん、受験生の採点とか色々しなきゃいけないんだろ? こんなことしてる余裕なんてあるの?」

「校長先生に事情を話してたら、許可を出してくれてね。筆記試験は別の先生がやってくれることになったから大丈夫」

「ふーん、まぁそれならいいんだけど」

「あれ、心配してくれてたの?」

 

 別にしてねぇし! と怒鳴る少年の耳は少しだけ赤い。

 それをバックミラーで確認した女性は、やっぱり僕の弟は可愛いな、なんて思いながら目的の場所まで車を走らせた。

 

 だいたい30分くらいだろうか。車が止まる。

 どうやら目的地に着いたようだ。

 

「ほら、着いたよ」

「……次からは普通に電車で行くから」

「その致命的なまでの方向音痴をどうにかできたらね」

 

 そんな会話をしながら、二人は車から降りる。

 

「それじゃ、受験。頑張ってね、亜玖(あく)

「うん。行ってきます、亜南(あなん)姉さん。いや、1()3()()()()

 

 

 

「筆記はほぼ合格圏内。次は実技か……」

 

 筆記試験が終わり、グッと背を伸ばす亜玖。

 休憩があったとはいえ椅子に座りっぱなしは、ヒーローを目指しているとはいえ堪えるものがあったようだ。

 

 ふと、廊下の端の方を見ると、顎に手を当て何かを呟いているメガネをかけた男子が目に入る。

 

「(足にマフラー……。どっかで見たことが……)」

 

 確か、似たマフラーを腕に付けてたヒーローを見たような……、と頭を回転させるが、結局思い出すことが出来ず、亜玖は直接聞くことにした。

 

「よっ」

「っ!?」

 

 後ろから肩を叩くと、メガネ男子は全身をビクつかせ後ろに振り向く。

 

「急になんだ。今は少々忙しいから後にしてほしいのだが……」

「あ、やっ……。何をボソボソ呟いてるのかなって思ってさ」

 

 メガネ男子はキッと睨みつけるため、少したじろきながらも会話を試みる。

 

「君には関係ないだろ。すまないが1人に──」

「いやいや。同じヒーローを目指すものとして気になるじゃんか。君みたいなあからさまな見た目真面目くんなら特に、ね」

 

 メガネ男子──飯田(いいだ) 天哉(てんや)は少し黙り、再び口を開く。

 

「……先程の数学の、大問4の問題3なんだが……」

「あ〜。俺もあれは苦戦したわ。俺的にあれは──」

 

 亜玖も中学ではそれなり以上に勉強が出来たため、飯田が悩んでいた問題に対して、自分なりの答えの導き方を教える。

 

 そして、2人の筆記試験の答え合わせは、実技試験の説明会場に着くまで続いたという。

 

 

 

「お。どうやら会場に着いたみたいだな」

「むっ? どうやらそのようだな」

 

 会場の扉前まで来て、ようやく次の試験会場に着いたことに気づいた2人は、答え合わせをやめ、その場に立ち止まる。

 

「……天哉」

「?」

「緊張はほぐれたか?」

「!?」

「俺が話しかける前、めっちゃ眉間にシワ寄ってたぞ。過度な緊張は良いパフォーマンスができないよ」

 

 恐らく、話しかける前の飯田のマネなのか、自分の眉間に指を起き、わざと眉間を寄らせながらケラケラ笑う亜玖に、飯田は何を思ったのか、勢いよく頭を下げる。

 

「うぉ!? 急にどしたよ」

「すまない! わざわざ緊張をほぐしてくれて! あのまま試験を続けていたら、俺は、もしかしたら落ちていたかもしれない。だから、ありがとう! 俺の緊張をほぐしてくれて!」

 

 キッチリ90°のお辞儀とお礼に、亜玖は目をぱちくりさせて、ぷっ、と息を漏らす。

 

「あっはは。お前固すぎな〜?」

 

 目尻を指で拭い、未だ笑いが零れるのか口元をニヤケさせる亜玖は深呼吸を挟み、真っ直ぐ飯田を見る。

 

「次お前と顔を合わすのは、雄英の生徒として、だな」

「! ……あぁ!」

 

 それじゃ、と軽く手を振りながら一足先に説明会場に入る亜玖の背中を見つめる飯田。

 

「……不思議な人だったな」

 

 思わず、頭をよぎった言葉がそのまま口に出る。

 

 そのまま放っておけば、合格の未来が確実に近いづいていたであろうに、緊張をほぐすために話しかけ、挙句の果てに、まるで敵に塩を送る発言。

 馬鹿にしてるのか、怒られてもおかしくは無い。そのはずなのに……。

 

「怒りなんて一切湧いてこない。ホントに、不思議な人だ」

 

 飯田は先程話していた、瞳に横一線のハイライトが入った同年代の少年に対し、少し敬意を抱きながら、同じく会場内に入っていくのだった。

 

 

 

 一方その頃、亜玖の方は……

 

「……あっ、親族にプロヒーローがいるか聞くの、忘れてた!」

 

 話しかけた当初の目的を、飯田と別れた少し後に思い出したのだった。

 

 

 

 説明会場から出た亜玖は、先程プレゼントマイクから説明された実技試験の内容を、脳内で反芻していた。

 

「(まぁ、要はロボをぶっ壊して、他の人よりより多くのポイントを取れってことだよな)」

 

 俺の個性と結構相性いいな、と薄くほくそ笑みながら実技の会場に向かう。

 

 その会場だが、どうやら今いる場所から少し離れているようで、30人ほど入れるバスで移動するみたいだ。

 

「(こいつらが同じ会場の奴らかな? ……どうやら天哉は別の会場らしい、かな? 残念)」

 

 自分と同じバスに乗りこんでいく受験生の顔を見るが、自分の知り合いがいないと知り、少し落ち込む。が、すぐ気持ちを切り替え、バスに乗り込む。

 

「(あーあー。揃いも揃ってお固い表情してんねぇ。そんなんじゃ実力引き出すなんて無理なのに〜)」

 

 視線だけを動かすが、目に入る人からだけでもわかる、過度の緊張。

 

 飯田の時みたいに緊張をほぐしてもいいと考えるが、

 

「(いや、まぁ? あれは気まぐれだし? 別にこいつらが落ちようが別に俺には関係ないしな。むしろこんなことで緊張しまくるとか、プロのヒーローになれんのかって話だし?)」

 

 じゃあ飯田は? と、別の思考が入り込んでくる。

 

「(い、いやいや。だからあれは気まぐれだし。別にあいつと話してるうちに、あ、こいつ絶対いいヒーローになる。少しだけ背中押してやるか、とか考えてないし。そもそも俺も同じ受験生だからそんな余裕、な、無いし〜?)」

 

 脳内で独り言をグルグルする亜玖。

 心做しか、彼の瞳もグルグルと渦を巻いているように見える。

 

 ……そんなこんなで、会場に到着した亜玖は、最後にバスから降り、会場まで歩く。

 

 で、会場。

 

「でっっっっか」

 

 もうこれ1つの都市だろ! と叫んでしまうぐらいに、デカイ。

 周囲は金属で出来た壁に阻まれているが、まぁ、放出系個性の流れ弾が飛んできたとしても、そう簡単に貫かれなさそうな硬度なことは、見ただけでもわかる。

 

「ま、俺の個性の前じゃ、硬さとかそんなの、無意味だけどな〜」

 

 そう、亜玖が呟くと、すぐ近くにいた何人かが亜玖の方を見る。

 その目には、緊張、怒り、不安、憎悪、困惑……etcetc……と、様々な負の感情が見られる。

 

「……そんな過緊張で濁った視線を向けんなし」

 

 視線を向けた奴らだけに聞こえるようにボソッと呟く。

 心当たりがある者はビクッと体を震わせ、急いで会場の方を見る。

 

『はいスタートぉ!!!』

 

 急に鳴り響くアナウンス。

 

 脳内フリーズした奴らの間を縫うように走り抜く亜玖。

 

『どうしたぁ!! 実践じゃカウントなんざねぇんだよ!! 走れ走れぇ!!!』

 

『賽は投げられてんぞぉ!!!』

 

「──あっはは! 確かにそうだわな! (ヴィラン)がよーいドン! って言って犯罪犯してくれるわけねぇもんな!!」

 

 他より一足先にスタートダッシュを切った亜玖は、当たり前のことに大笑いをかます。

 

 こうして、スペースヒーロー13号の弟である、黒瀬亜玖の物語の歯車は、ゆっくりと動き出したのだった。

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