13号の弟が雄英にやってきた! 作:ショタは至高
そして今回は一人称視点、つまり亜玖視点です。
というわけで本編へどうぞ
──と、いうわけで、今は雄英にある教員用休憩室にいる。
え? 実技試験はどうなったのかって?
ふん、俺が落ちてると思ってるのか? 俺は思ってる(反語)
マジで姉さんに頼み込んで勉強とか色々教えてもらったのに……。これで落ちてたら姉さんにどんな顔して会えばいいんだ……。
あ、ちなみに俺がここにいる理由は、「一人で帰ろうとしないでお願いだから!」と、姉さんから半泣きで頼み込まれてしまったためである。
もうそろそろ弟離れしてほしいと思うが、その反面、姉から嫌われていないというのは僥倖だ。
さて、現在の時刻は午後6時過ぎごろ。既に日は落ち、お月様が爛々と輝いている。
姉はいまだに顔を出さない。
「はぁ……。こっそり帰っちゃおうかなぁ」
そんなことすれば姉からどんなことされるか想像もできないけど。
姉からどんな折檻をされるか妄想して、思わず体が震えていると、トントンと扉をノックする音が響く。
「はーい、開いてま~す」
俺は背をぐぐぐっと伸ばしながら、ノックをした相手に入ってくるように促す。すると、ゆっくりと扉が開かれ、その相手の顔が見える。
「よ、数時間ぶりだな、亜玖」
「あれ、プレマイじゃん」
プロヒーロープレゼントマイクこと、愛称プレマイだった。
そして今は雄英の教員でもある。
「いや、もしかしたら教員と生徒の関係になるかもだから……、敬語のほうがよろしいでしょうか? プレゼントマイク先生」
「やめろやめろ! 鳥肌が立って仕方ないわ!」
「ははっ、ひっでぇ」
で、なぜプレマイとこんなに仲が良さげなのかといえば、まぁ、姉がプロヒーロー、プレマイもプロヒーロー、つまりそういうことである。
時たまにヒーロー交流会だったり雄英の教員たちで宴会をやったりなどで姉に連れられていた俺は、何人かのプロヒーローと交流を持つ機会があったのだ。
そのうちの一人がプレゼントマイク──つまりプレマイだ。
あと、小さい頃から交流があるためか、仲良くなったプロヒーローの極小数とは、プライベートで会った時は普通にタメ語で話してたりする。
「にしてもお前ももう高校生か。デッカくなったな」
「プレマイ、なんか親戚のおっさんみたいだな」
「俺はまだおっさんって言われる歳じゃねぇっつぅの!」
彼は本名を揶揄られるのを苦手としているのは世間一般的に知られているが、年齢弄りも苦手としているのは、仲のいい間柄でしか知られていない。
だから俺もたまに、こうして弄って反応を楽しんでいたりする。
「それより、受験のあれこれはもう終わった感じ?」
それよりって、お前なぁ……。と項垂れるプレマイを無視して、質問をする。
今の時期……というより受験が終わったということは、彼含めた雄英の教員たちは、誰を落とし、誰を引き入れるのかを決めるため、様々な資料を読み漁り、受験の結果を照らし合わせながら、長い時間をかけて吟味していかなければいけない。
つまり、俺なんかに構っている時間はない、と俺は思っていたんだけど……。
「いいや? まだ途中だな。つぅより、一日二日で終わるんだったら死ぬ気で終わらせるわ」
「確かにw」
「んで、多分亜玖は、なんで俺がこの場にいるのかって話なんだが──」
プレマイはプロヒーローとしての勘なのかなんなのかを発揮し、俺が聞きたいことを当て、そのまま答えようとしてくれる。
が、
「亜玖! お待たせ!!」
入口から突然の侵入者──まぁ姉さんが勢いよく入ってきたことにより話は遮られる。
「おつかれ、姉さん」
俺は少し呆れながら姉さんの顔を視界に入れる。
ちょい息切れをしながら額には少量の汗を流している……わけがなく、涼しげな顔で入口に立っていた。さすがプロヒーロー。災害救助を専門としているけど、体力やらヒーローに欠かせないものもしっかり持っている。
「あー、来ちまったか。せっかく受験の結果を教えちまおうと思ったのによ。黒瀬が来る前に」
「山田先輩。ボク言いましたよね? 亜玖に結果を教えないでくださいって」
「だからその前にやめただろ?」
「それはボクの姿が見えたからですよね??」
……なんか言い合いしてるようだけど、小声過ぎて俺の耳には聞こえてこない。
俺は言い合いをしている姉さんとプレマイから目を離し、今日の受験のことを考える。
「(と言っても、特に考えることなんてないんだけどな。筆記試験は自己採点がだいたい合ってれば余裕で合格圏内だし、実技試験に関しても……まぁ、他の受験生たち全員が俺の点数を大きく上回ってなければ合格はする……はず)」
うーん、と小さく呻く。
「(うん。まぁそこは悩んでも仕方ない。合格していることを願って……って。そういや天哉、合格したんかな。見るからに真面目って感じだったから合格はしてると思うんだけどなぁ。合格してるといいなぁ)」
天井を見ながら、ガチガチに緊張していた様子の天哉を思い出して、思わず笑ってしまう。
「どうしたの? 急にニヤニヤしだして」
すると、俺が笑うところを見ていたのか、いつの間にか姉さんが俺の横にいて顔を覗き込んでくる。
俺は姉さんを避けるようにして椅子から立ち上がって、窓際に立つ。
「んー、や。なんでも〜」
あえて天哉のことは話さない。なぜかと言われれば特に理由は無いのだが、何となく言わないことにした。
姉さんはえ〜、と少し不満げに頬を膨らませ、プレマイは大袈裟に笑っている。
プレマイにつられて俺も少し笑ってから、一息ついて姉さんに話しかける。
「それより姉さん。プレマイの話から予想するに、仕事はまだ終わってなさそうだけど……」
「……まぁ、えぇ、うん。大丈夫大丈夫。多分」
ホントに大丈夫なの、それ。
「それより、ボクの可愛い亜玖を学校に放置して仕事に惚けるのはダメだからね。校長先生にもそう言われちゃったし」
……気を使われてしまった、というわけか。
「ほらほら、早く家に帰ってお疲れ様会するよ! 今日はホントに頑張ったからね、夕飯も豪勢にしなくちゃ!」
「わかったよ、姉さん。それじゃ、プレマイもまた」
俺の袖を引っ張って帰りを促してくる姉さんに苦笑しつつ、プレマイの方へ振り返り、軽く手を振る。
「おう。次は教師と生徒の立場で会おうぜ」
そうプレマイは言い、グッとサムズアップをしてみせる。
俺はそれを見届けて、再び姉さんの方へ振り返る。
姉さんはプレマイの方を少しだけ睨み付けているように見えたが、すぐに俺に笑顔を見せるのできっと気のせいだと思っておこう。
こうして、俺の雄英の入試試験は幕を閉じたのだった。
入試から1週間が経ったぐらいだろうか。
俺はいつもの日常へと戻り、いつも通り残りの中学生活を楽しんでいたのだが、
「そういえば今日だね。雄英の入試結果が来るの」
「……マジ?」
俺は他の受験者よりも一足先に入試の結果が来るのを、思わぬ形で知ることになっていた。
そして、
「え? うん、確か今日だった……あれ!? もしかしてそういうのって受験生って知られてないんだっけ?!」
「え、あぁうん。結果日とかは特に何も知らされてないね」
うぁぁぁぁぁぁごめぇぇぇん……と朝食中にも関わらず机の上に突っ伏す俺の姉の姿があったとか、なかったとか。
13号のタメ語が想像しづらく……。
違和感とかあったらごめんなさい。
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