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「はっ...!やば!もう夕方じゃん!」
金髪っ子の家にお邪魔してから数時間、過ぎていく時間を忘れるぐらいには本を読むのに夢中になってしまっていた。原因は明らか...そう、めちゃくちゃ読みやすかったのだ。
重要なことが書かれているページは付箋がついており本を閉じていても分かるようになっているし、本を開けて見ればページ一つ一つに大きめの付箋が挟まっていて各ページの重要項目の『まとめ』が書かれているのだ。これは見ただけでわかる、あの子凄く真面目だ!
「もう、各種武器の扱い方を理解しちゃった...まぁ、実戦で出来るかどうかは、また別問題な気がするけど。」
このペースなら一週間足らずで全ての参考書を読み終えそうだ。
「よーし、これからも頑張るぞー!おー!」
ガチャ
「ただいま、ん...?」
帰ってきた金髪っ子と目が合った...。
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学校から家に帰ると今朝助けた子供が、私の昔の参考書の前ですごいニコニコした笑顔で1人ガッツポーズをしていた...。凄くかわいい。...じゃなく!
「お前!...文字が読めるのか?!」
一番の疑問はそこだった。内戦が規模を拡大させ内部の混乱が酷くなりつつある今のアリウスでは、一般的な教育を子供たちに与えるのすら難しくなってきている。ましてや、この少女のようなストリートチルドレンなんて...読み書きはおろかキヴォトスにおいての自衛手段まで学べずに苦しむことがある。なんて、よく聞く話になってしまっている。
もっとも、ただただ参考書に偶に出てくるイラストや画像を見て楽しんでいた可能性が残っているため、この質問を投げかけたのだが...。
「あっ...!えーっと...多少は...?」
「そう...なのか...」
予想外だった。読み書きが出来るとは想像もしていなかった。何ならこの子は見た目で推察するに4,5歳ぐらいの子供。いくら教育を受けているといえども、中学の参考書が分かるとは...。
そういえば、記憶がないとも言っていた。もしかして、記憶がないだけであって実はいいところのお嬢様。なんて可能性も否定しきれないのか。身分が高い所の娘とかであれば家庭教師などを呼んで、アリウス分校に入る前にある程度の知識を身に着ける、なんて聞いたことがある気がする...。それこそ生徒会長の血筋の娘なら...。
「あっ!ごめんなさい!参考書勝手に見て!」
「いや、良いんだ。どうせそこら辺の本は過去のものだ、今はあまり使っていない。」
「あ、ありがとうございます。」
なんていいながら、深めのお辞儀までしてくる。年相応とは感じえない、礼儀作法を知っているとしか思えない立ち振る舞い。衣服はボロボロだが顔立ちは本当に整っている。もしかして本当に...。
「というよりも、お前、怪我は...?もう大丈夫なのか?」
「あっ!ホントだ。もう治って...る?」
オマケと言わんばかりの、かなり早い治癒速度。拾ったときはボロボロの状態で、完全に治癒するには2日、3日は掛かると思っていたのだが...もうほぼほぼ完治している。
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神秘の力ってすげー!
指摘されて初めて気づいたけど、今朝の怪我がもう治っている。キヴォトスの生徒は怪我の治りが速いってのは知ってたが、これほどまでとは思ってなかった。でも、金髪っ子の反応を見る感じ...もしかして怪我の治りが速いのか?いや...恐らくだが参考書を読んでたことにビックリしただけだろうな。考えてみればそりゃそうだ。捨て子だと思って拾ったロリが、家帰ったら中学の参考書を読んでるんだ。誰だって驚く。まぁでも、読み書きできるって伝えたら納得してくれたっぽいし、結果オーライか。
「えっと...そういえば、お名前は...?何ですか?」
少しでも疑いを晴らすために、年相応っぽくぎこちない感じを敢えて出しつつ名前を聞く。いつまでも金髪っ子と呼ぶわけにはいかないし、この人は恩人なんだ。名前は聞いておきたい。
「あぁ、朝はバタバタし過ぎて自己紹介がまだだったな。アリウス分校、高校1年。
「せいとかい....ふく...かい...ちょう??」
「ははっ、分からない単語だったか?年相応な所も意外とあるんだな?」
いやいやいや...!!理解してますよ?!理解してるからこんな反応なんです!!生徒会副会長....!
重役じゃねぇか!!
髪の毛ワシャワシャするな、もっと混乱するわ。
「あぁ、それで思い出した。」
「うん?」
「先程、私の友達の1人にお前の事を話したんだ。正直、私にはお前を十分に世話してやれる自信はないからな。そいつに協力をお願いした。今日は忙しいらしく無理だったが、明日はここに来れるらしいから楽しみにしておけ。頼りになるやつだ。」
「う、うん....」
生徒会の話をして、それを思い出すって....まさかね....うん....。
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「初めまして。」
翌日...今日も今日とて、金髪っ子こと『ソウカさん』の参考書を読みながら学校から帰ってくるのを待っていると...帰ってきたソウカさんに加え、もう1人、白髪の人が玄関に立っていた。
「『秤チヨリ』と申します。よろしくお願いしますね。」
「え、えっと....よろしくお願いします。」
「昨日も話したが、私の友人で今回協力してくれる事になった、アリウス分校の生徒会長だ。」
デスヨネー...
参考書からして真面目な副会長が頼りにする人なんて限られてるだろうし、それに加えてアリウススクワッド所属でロイヤルブラッドである『秤アツコ』と苗字が一緒。うん...分かってたよ...親戚とかなんかな?重役の人が来るだろうなって。
髪色こそ違えど、顔立ちはアツコそっくりである。
「それにしても...この子が例の....」
「あぁ、拾った凄い子だ。」
「とても愛らしいですね。」
なんて言いながら、俺の頭に手を添える。お前もワシャワシャか!
「それで、相談してた事だが....。」
「あぁ、そうですね。可愛らしいのでつい忘れる所でした。」
「???」
「話に聞いていた内容では、中学の参考書を読んだ....疑っているわけでは御座いませんが、一度この目で確認したいですね。」
「あぁ、私もどこまで理解出来ているのかまでは把握してないから、助かる。」
あー...勉強会かな?俺がどこまで文字の読み書きが出来るか把握したいって事だろう。正直に言ってしまえば、見た目は幼女、中身は大学生なのでおおよそ理解出来てるのだが...普通に考えればそれも異様でしか無いので程々にセーブしておこう。たまーに分からないフリとかしておけばいいやろ、多分。
◇
「凄いですね...おおよそ中学生ぐらいの知識だと思います。」
「やはりか...」
勉強会を始めて小一時間、結論が出たらしい。
ソウカさんの参考書以外にも、生徒会長ことチヨリさんが持ってきた雑誌やら小説やら..色々読まされた。挙句の果てには論文まで取り出してきたのだ。いくら前世が大学生とはいえ、読んだ論文を一瞬で理解できるほどの知能はなかったので、分からないフリとかじゃなく本気で分からない部分が割と多かった。
「それにしても本当に...この子、何歳なんですか?見た目は4、5歳と言った所でしょうが...」
「...それが、記憶喪失らしくてな。生憎と本人すら分かってないんだ。」
「え?そうだったんですか?!」
会ってからずっと微笑みを崩さなかった会長さんが、目を丸にして驚く。
「では、まさか名前も...」
「分かってないな。ずっとお前呼びだった。」
「それはそれでどうなんですか...可哀想でしょう...ではそうですね、名前が無ければ色々不便でしょうし、何か考えましょうか。」
流石はアリウス分校の生徒会長さん、状況の把握からの判断が早い。しかも、出会って間もない俺に対してここまで丁寧に接してくれるのだから人柄も良く、優しいのだろう。
「いっそのこと苗字を私と同じ『秤』にしてしまえば、この可愛らしい少女が合法的に私の妹に...」
「会長??心なしか、こいつも怯えてるぞ?」
前言撤回。ダメだ、怖いこの人。撫でさせること禁止してやろうかな。
「冗談ですよ。場を和ませる為のちょっとしたジョークというやつです。」
「目が本気だったが?」
「そうですね。まぁ、苗字は一旦置いておくことにしましょう。名前は...何か案はありますか?出来るだけ可愛らしいので。」
「名前はともかく、可愛らしいのは私には無理なの知ってるだろう。会長。」
「そうでしたね。うーん...」
「確かに...可愛いのは無理と言い出したのは私だが、少しフォローがあっても良いんじゃないか?」
お互いの扱いの慣れ的なのを感じる会話。普段から似た様な会話をしているのだろう。何を言っても許される相手的なものも感じるため、本当に仲が良いらしい。
「では、『アイリス』なんてどうでしょうか?」
「良いんじゃないか?」
「私が一番好きな花の名前です。花言葉は『希望』。この子の髪色と同じ青のアイリスの花言葉は『強い希望』『信念』。白も少し混ざっている様ですし、白のアイリスの花言葉も混ぜて『純粋で希望の光になる様に』という思いです。今のアリウスは内戦で荒れ果ててしまっていますが、いつかアイリスがそれ救ってくれると信じて....。気に入りました?」
「う、うん!!すごく!」
「では、これから宜しくお願いしますね。秤アイリスちゃん。」
「苗字は置いておくと言ってなかったか?」
「はてさて、何のことやら。」
なんて言いながら、頭を撫でられる。由来的には少し身が重い気がしなくもないが、本当に良い名前である。今だけ『秤』を付けて強制的に妹にしたのを不問にしてやらなくもない。
「アイリスちゃんの事情と現状もある程度確認出来ましたし、私も出来ることは殆ど残ってないと思いますが...」
「本格的な戦闘訓練...とまではいかなくとも、体力訓練はやってもいいんじゃないか?」
「この可愛い妹にですか?」
「.......正直、今アリウスでは自己防衛手段ぐらい身につけておいて損は無い。幼い故早すぎると思うかも知れないが、体力作りぐらいはやってもいいと思ってる。」
どうやら戦闘面でも色々教えてくれるそうだ。ぶっちゃけ、ありがたい。前回でも言った通り、戦闘能力は持って損は無いのだ。ベアトリーチェが来た時にある程度の地位を持たされる可能性もあるし、強い人である方が頼り甲斐もあり、『いつか救われる』という言葉にも謎の説得力が出てくる。
それに加え、俺が手を差し伸べようとしている相手には『アリウススクワッド』も入っている。ゲームでの戦闘描写が多いというわけでもなく、唯一の戦闘描写の内の1つの相手が『ミカ』である為そこまで印象的な強さは無いかも知れないが、あの4人もかなり優秀なのだ。特にリーダーであるサオリに関して言えば、ミカ相手にタイマンでそれなりの時間持ち堪えるぐらいには強い。そんな4人からの信頼を得るには、強い方が楽なのである。
「い、一理ありますが.....そうですね、分かりました。ですが、私に出来ることはそこまで.....」
「私より強いくせに何を言う。」
会長強いんだ....。先程スルーされてた妹発言といい、ネタ発言が多めなのであまり想像は出来なかったが...勉学といい、武力といい、かなり優秀な人らしい。
「私はゲリラ戦に関して少し心得があるというだけで、元はか弱い乙女です。」
「少し....ね。私の知る限りゲリラ戦に関しちゃ、会長の右に出る者はいないがな。」
「か弱い乙女です。」
「会長、野蛮なの?」
「アイリスちゃんまでそういう事言うんですか?!」
かくして、『秤(仮)アイリス』の特訓&勉強が始まった。
会話と描写のバランスが分からん!☆