忙しさで遅れました。
色々と片付いてきたので、ちょっとずつ再開しようと思います。
評価・感想、大変励みになります!ありがとうございます!
*誤字脱字報告感謝します!!!
『シスター』それは、信仰と慈愛を胸に、暗闇に一筋の光を放つ聖なる守護者。絶えず救いを求める魂に寄り添い、心に希望の灯をともす存在。
『聖女』それは、天上の啓示を纏い、奇跡と運命を紡ぐ神秘の戦士。時を超えた真実の輝きを放ち、世界に変革の風を起こす存在。
そんな存在になりたかった...。私という人間は、純粋な思いでは無く様々な思惑を入り交ぜている私は、真の『シスター』『聖女』とは名乗る事は出来ないだろう。それでも...憧れは消えない...。消す事は出来なかった。
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「こちらチームⅣ!隊長っ!ちょっと...!押されてるっ!」
最近では、アリウスの部隊は色々な場所に駆り出される事が多くなった。ヘルメット団と対峙する事もあれば、荒地に行く事も、裏社会で勢力を拡大している企業に突撃したりも...。上は『物資集めだ』なんて理由付けをして行かせてるけど、恐らく実戦を積ませるのが本当の目的だろう。物資なんて有り余ってるだろうし...。
『こちら連隊長です。チームⅢ、カバー可能ですか?』
『この意味深な配置場所ってこの時の為だったのかよ...!しっかり射程内だ...』
『ふふっ...どうでしょうね?私もこちらが片付き次第、向かいます。しっかりと持ち堪える様に。』
緊張のない笑い交じりの受け答えからは、絶対的な安心感すら感じられた。この安心感を与えさせる、あの異常なまでの包容力と言うべきものも、ここまで来ればもはや才能だ。もっとも、本人は謙遜して認めはしないだろうが...。
そしてそれと同じぐらい目を見張るものが、彼女の指揮能力の高さとその頭脳である。
今回のチームⅢの配置場所のように、正気を疑いたくなる提案をされるのは珍しくはない。あのぶっ飛び具合に慣れていなかった時期は、彼女の提案に対してチームメンバー全員がよく疑問符を浮かべていた。が、そのほとんどは戦闘中に伏線が回収され、作戦のより良い成功へと導かれる。今までの功績が彼女の提案に大きな説得力をもたらし、それがそのまま周りの信頼へと変換される。指揮官というのを抜きにしても元々人望がある人なのでその影響も多少はあるかもしれないが...。
しかし、そんな彼女にも謎が残っている点が一つある。それは、戦闘能力。
もちろん、隊長の実力を疑っているわけでは無い。今まで何度も助けられたのでそこは疑う余地はない。が...疑問があるとすれば、隊長の使っている武器についてだ。彼女が使っているのはサブマシンガン。なのだが...。
「うちらの隊長さん、なーんでサブマシンガン2丁も持ってるんっすかね?片方しか使わないことが殆どなのに。」
丁度隣にいたチームメイトの一人がうわごとの様に皆が持っている疑問を呟く。我々の隊長、アイリスさんは常に武器を2丁持っているのだ。しかし、2丁使いというわけでもなく...戦闘の際は片方しか使っていない。人々が言うには『あの人は本気を出したことがない。』だとか『もう片方を使うまでもなく、敵がやられていく。』といった噂が広まっており、”アイリス最強説”なんてものもあるのだが...。正直、信じられない。スコープを使わずに全弾百発百中当てることが出来る化け物とかではない限りは、1丁で丁寧に狙う方が圧倒的に強いはずだ。何なら彼女自身もそれを理解しているかのように1丁しか使っていない。
「本人に聞いたら答えてくれそうだが...?』
「それがですね?聞いた話によると『何ででしょう...なんとなく...?』って濁されたらしいっすよ。」
「ますます分からんな。」
「っすよね、巷では『シスター』なんて言われてますけど...見た目のギャップが凄いっすよね?隊長、たまーに発想がぶっ飛んでる時ありますけど...あれもその一つなんですかね?」
「もはや、恐怖だな。」
「え?萌えじゃ無いっすか??ギャップ萌え。」
「隊長に毒されてお前もぶっ飛び始めたか??」
謎が解ける日は来るのだろうか。
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会長が行方不明になって、数日が経過した。今までは留守番を頼まれる事が殆どだったが『この様な状況になった以上いつ襲われてもおかしく無いから、心配になる。』との理由で副会長と一緒に行動する様になった。会長率いる“穏便派”では『アイリスは会長の妹』という事で話を通した。髪色は会長と似て無くもないので割とあっさり信じてくれた。そして親切に接してくれた。各々の仕事があるのにも関わらず、合間合間に話かけてくれたり、『育ち盛りだから』なんて言って昼食を分けてくれたり...。最初は遠慮したのだが『チームの癒し枠はみんなで守るって決めたから』の一点張りで聞いてくれないので、諦めた。いい人たちではあるんだけどね...?
「それでは、作戦会議を始める。」
「えっと...ソウカさん、この作戦って会長さんを助ける為の作戦ですよね?」
「第一目標はそうだ。そしてそのままアリウス自治区から脱出するのが最終目標だ。」
「で、でも会長って行方不明なんよね...?何処にいるか分かってんの...?」
「候補は幾つかある。だがあくまで予想でしかない。しらみつぶしになるだろうし、確実に助けられる保証もない。正直に言ってしまえば、会長のことは考えずアリウス自治区から離れることを最優先に動くのが賢明だろう。そうしたい人がいるのであれば、その意思を尊重しよう。」
少し突発的に始まったこの会議。定期的に行われているものとは少し違い、皆の気が引き締まる。どうやら会長の救出+本格的な脱出計画の話のようだ。『計画の説明に、異議があれば聞こう』なんて副会長が提案するも、声を上げるものはいない。さすが会長と言うべきか、かなり慕われているらしい。見捨てるなんて選択肢は最初から無かったかのように...。
「妹の成長を見守るのが姉の役目ですからね!役割放棄して逃げるなんて許しません!ね!アイリスちゃん!」
「えっあっそういう理yムグッ」
「ほら!目とほっぺが赤いもん!絶対泣いてたでしょ!安心してね!会長さんは私達が取り返してくるから!」
「いや、ほっぺに関しては、今貴方が掴んdムグッ」
少し恥ずかしいが、泣いていたのは事実である。転生して涙脆くなったと思ったが、数年一緒に過ごした人が急にいなくなって悲しくならない方がおかしいか....なんて自分に言い聞かせる。いつの間にか近づいていた副会長が何も言わずに頭を撫でてきたのも、よっぽど暗い顔でもしていたからかもしれない。.....気を引き締めないと....。
しばらして会議が終わった。誰もが言葉少なに席を立ち、足音だけが会議室に響いた。全員解散の流れか...と思いきや、会議室に残る人たちもいた。面子を見るに各部隊の隊長たち、そして副会長、会長の部隊の隊員だった。え...いつそんな指示出したんだ...?あれか?スパイ映画とかでよくある秘密の暗号とかで呼びとどめたとか...?!かっけぇ!!
って、この場合自分はどちらなのだろう。退出するべきなんだろうか...でも、退出予定の人は全員いなくなった今、『あっ、私も出ないとなんでした~アハハ~』って思い出したかのように退出したら...『あれ?あの人、自分のやるべきこと忘れてたよねプークスクス』なんて思われるだろうし、めっちゃ恥ずかしい!!だからと言って残るべきじゃないのに、何食わぬ顔でここに残ったら『あの子、いつ席を離れるんだろう...』ってな感じで疑問に思われるかもしんない!それもそれで恥ずかしい!!くっ...!どうすれば...!よし!退出すrわ~副会長の手だ~ワシャワシャだ~♪
◇
私が一部隊員の退出を命じた瞬間からアイリスの様子がおかしくなった。これでもかと思うぐらい周りをキョロキョロ見渡し始めたと思えば、急に真剣な表情に切り替わり何かを悩み始めた。感情が素直に表に出るのはいいことではあるのだが...少し分かりやす過ぎやしないだろうか?こういう場合はどうすれば...確か会長は頭をなでるといいなんて言ってたような...『私も退出を!』なんて言わんばかりの気迫を感じたと同時に頭に手を添えてみる。あっ収まった分かりやす。...ま、まぁ一旦この子は置ておこう。
「まずは、急に呼び止めてしまって申し訳ない。早速本題に入るのだが...このことは出来るだけ他言無用でお願いしたい。」
そう発言した瞬間、皆が少し身構える。『部下および周りとの連携を大切に』という普段の教えと真逆の事を言った私に困惑しているのだろう。本来ならこのメンバーだけではなく、部隊全員に伝えるべき情報なのだろうが、今回ばかりはそうもいかなかった。
「先ほどの会議で、チヨリ会長の所在は不明としたが...あれは嘘だ。」
「へっ?!」
一番に声を上げたアイリスを起点に全員が動揺し、ざわつき始める。
「え...えーっと...副会長...どういうことでしょうか!」
「そのままの意味だ。会長の居場所は私が把握している。詳しく話そう...。」
◇
そこから副会長が事細かに説明し始めた。
どうやら内戦が始まった直後から、会長と副会長はお互いに複数個の発信機をつけ合っていたらしい。理由は...今回のような事態に備える為。立場上。いつ、どちらが奇襲を仕掛けられたり、攫われたりしてもおかしくはないため導入した作戦らしい。そしてその予想通り。会長は今、敵陣に囚われている。敵拠点の1つに発信機の反応があるという。
「でも...どこに発信機を付けたんですか...敵に捕まったなら、身体検査とかするでしょうし...バレると思うんですけど...。」
「衣服の中に2つ程つけているが、それはダミーだ。本命は、会長の銃の中。基本的に『武器は使える』という観点から没収はされても破壊はされにくいと思ってな。その予想が当たったというわけだ。」
副会長の言う通り、衣服の中に隠しておいた発信機に反応はない。恐らく壊されているのだろう。しかし、それのおかげか本命には気付いていないようだった。
「でも、それを他言無用ってどういうこと?全員に共有するべき情報ではなくて?」
「敵を騙すにはまず味方から。今回は相手に『会長の居場所はバレていない』と思い込ませ、その隙を突く算段だ。それに最終目標はアリウス自治区からの脱出だ。全部隊がまとまって行動すれば、向こうにバレるリスクも高まる。」
「ギリギリまで隠密行動...それをする為に少数精鋭で行く。ということでしょうか?」
「あぁ、会長が捕まっている拠地に向かうのは、私の部隊と第1、第2部隊だ。他の部隊には各自、別拠点に向かってもらいたい。」
「部隊を分散させることのメリットは?」
「先ほども言ったように、少数精鋭にすることによる隠密。そして脱出の際、カタコンベの迷宮を通らなければならないというのも理由の一つだ。あそこはカタコンベにしては大きい方ではあるが...全員で向かえば、どうしてもスムーズには移動できない。脱出にもたついている間に増援が来て、全滅。なんてこともあり得なくはない。」
「会長を助ける部隊以外は待機...ではだめなのでしょうか?もしもがあった時の為に...増援に向かえれるように...。」
「残念なことに敵が占領し拠点を作った場所はどれもアリウス自治区脱出用カタコンベの近くだ。脱出するには前を通るしかない。それに、私たち以外はあくまでカタコンベに入る為に行くんだ。敵拠点の内部まで潜入する必要はない。私が合図した瞬間に前線を離脱、脱出口まで逃げろ。大丈夫だ。お前達の実力なら出来るさ。」
アリウス生徒達が言うには、カタコンベには複数の出口があるらしい。原作では確か...出入口は1つで、脱出の経路は毎回変わるなんて話があった気がするが、ベアトリーチェがそれに手を付ける前なのだろうか?
作戦をまとめると、副会長率いる第1、第2部隊は会長の救出及び脱出。それ以外は、ある程度の前線維持は必要なものの、脱出のみを目標に行動。会長の安全を確認次第、全員に脱出の合図が送られる。というものだ。しかし、1番の疑問は...。
「え、縁起でもない話なのは...重々承知なのですが...もし...救出が失敗した場合は...どうすれば...?わ、私達第3部隊は...脱出するだけなので...大丈夫ですが...副会長は...。」
そう、作戦失敗時の事だ。第3~第5部隊はあくまで敵拠点の近くを通り脱出するのが目的なのであまり心配はない。が...敵拠点に潜入+会長を助け、脱出もしないといけない副会長の部隊達は話が別である...。
「.....作戦の成功失敗を問わず、お前たちには逃げてもらう。安心しろ、第1、第2部隊の隊員には全員伝えてあるし、全員がこの作戦に同意した。」
なんてキッパリと言う副会長...。
「で、でも...!全員が向かえば...!ソウカ副会長の部隊の生存率も...!」
「全ての部隊がまとめて戦闘不可能になり、全員が捕虜...なんて状態が一番避けるべき事態だ。そんな事になるぐらいなら、ある程度の犠牲を出してでも数人を救える方がましだ。な?」
なんていいながら副会長が第1、第2部隊の隊長に振り向く。2人とも何の曇りもない笑顔を浮かべながらコクコクと頷いている。本当にいい人たちの集まりであるらしい。
「それに、それはあくまで最終手段だ。本当にどうしようもなくなった時の話。だから気にする必要はない。」
そんな副会長と他2人の隊長の覚悟に、誰もこれ以上の異議を申し立てることが出来ずに...今日の会議は終了した。俺も、何も言えなかった...。
そんな作戦の決行は...今夜だ。
個人的に描写パートとか好きなんですけど、物語の進み...遅いですかね??