ダンジョンロボ(仮)   作:トシアキウス

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インターミッション

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 三連戦後に回収した物は全て売却するか遺品として譲渡した。ちなみに近接ブレードの変化したエビルブレードはというと、検査して問題ないなら返却してくれるとのことだ。得体の知れない武器だから厄除けを兼ねて手放そうかと思ったが、それをすてるなんてとんでもないと押し切られた。それから小ダンジョンで拾ったドッグタグは田中さんに提出しそびれたので、ぼこぼこテクニカの件についても報告しつつロクヨンさんに渡してある。

 戦利品の処理を済ませて残ったのは、小ダンジョンで得た各種ポーションとお土産用の小箱と歯生えポーション、そして半壊のテクニカだ。

 アタッシュケースを手に協会を出ると、地上の光に目を細めた。半日ほどしか経ってないはずなのに、一年ぶりくらいに日光を浴びた心地がした。それだけの激戦であったということだろう。

 愛機はぼろぼろになったが気落ちはしない。スマートフォンで口座残高を見る。五千万円増えていた。エビルガンヘッドの残骸の売却額としては、安いか高いかでいえば安いだろうと買い叩いた当人が言っていたが、その分今後は色々と便宜を図ってくれるという。コネと引き替えに割り引かれたとはいえ五千万という額自体が一攫千金であることには変わりない。思わず胸が高鳴るが、記念に口座のスクリーンショットを撮るだけにして落ち着けた。

 

 タクシーで帰宅すると、格納庫に機体を展開し、コックピットからポーションをはじめとした消耗品をすべて下ろす。コックピットを清掃すると今度は俺自身がシャワーを浴びて私服に着替える。

 機体を収納したアタッシュケースを自転車の荷台につけて出発した。

 行きつけの探索機ショップは山の方にある。タクシーを使うかどうか迷ったが、今日は自転車の気分だった。おやっさんには既に連絡を入れてある。機体を三日で壊したと言ったら呆れていた。

 自転車で高校の前を通ると野球部らしき掛け声が聞こえた。帰宅する制服姿もちらほらあった。

「そういえばもう入学式は過ぎていたな」

 親父が生きていたら自分もあの中にいたかもしれない。しかし後悔はない。それどころか高校生とすれ違うたび、俺は五千万稼げる男だと、たまらない自負心が湧いてくる。けれどもこれは毒だと俺は断じた。戦う人間が偉いわけではない。将来のため勉学に励む高校生と殺し合いで金を稼ぐ自分とで、人間として真っ当なのは前者だろう。真面目に生きる人間に博打打ちが名士面したところで、返ってくるのは冷笑だけだ。

「修理が早く終わればいいんだが」

 ダンジョンが恋しくなるなんて、俺も探索者らしくなってきたということかもしれない。

 

 

 探索機ショップ九十九里ファクトリーは高台の開けた土地にある。大昔に小学校があった場所らしいが、その面影を残すのはかつて校庭であった試乗場くらいなもので、今では壁に囲まれて、外からは刑務所か何かのように見えてしまう。

 勝手知ったる施設である。IDカードをかざしてゲートを開くと自転車を乗り入れた。

「さておやっさんは」

 客の来ている様子はなく、工場(こうば)で作業している気配もない。となれば自宅か試乗場だろう。試乗場へ行ってみると駐機姿勢の探索機とガーデンパラソルが見えた。

 日差しを遮るパラソルの下では、白い肌に金髪の絶世の美人が、チェアに腰掛けてお茶を楽しんでいた。

 その視線の先にあるのは美しい庭園などではない。殺風景な地面の上で片膝立ちをした探索機である。

 四菱イクリプス、タライスラー社と共同開発された中探索機で、狭所戦闘や小回りに重点を置いた小型機である。旧式であるがエンジンスペースを確保しつつコンパクトにまとめた流麗なデザインは現在でも評価が高い。国内販売台数が少なかったので希少価値もある。

「あら? お早いですわね」

「イクリプスの国内仕様ですか」

「ですわ。先日レストアが済みましたの。買い手がついていませんから、近代化改修はまだですわ。ノーマル姿は貴重でしてよ」

「イクリプスに買い手がない? いくらで売り出したんです?」

 小型機には予備機としての需要があり、イクリプス自体もレア機種である。

「サンキュッパ」

 単位は万だ。

「レア機とはいえ旧式ですよ。実用で出せる金額じゃないでしょう?」

 同じ金額でそれなりの現行機を買える。

「ぼったくってはおりませんのよ? フレームも半分ほどは新造ですし」

「EUのワンオフ機みたいな手間暇かけてどうするんです。売れなかったら大損ですよ」

「そうなったらコレクションにいたしますわ」

 半ば道楽で経営するこの人にしてみれば、探索機は持ってりゃ嬉しいただのコレクションでもあるのだろう。とはいえ深層探索者には探索機コレクターも結構いるため、この人のコレクション自体は左程多くはない。このイクリプスもいずれ実用度外視の買い手がつくだろう。

 イクリプスを見つめながら紅茶を飲み、熱っぽい溜め息をつく。

「やっぱり、とっても、素敵ですわ。わたくしのイクリプス……」

 艶やかな仕草と声音にどきりとさせられた。

 

 この華やかなエプロンドレスを身に纏った儚げな美貌の持ち主は、九十九里(くじゅうくり)夕陽(ゆうひ)といい、九十九里ファクトリーの店主である。

「レアな機体を茶請けにするのもいいですが、連絡してあった通り、俺の機体もお願いしますよ()()()()()

 そして男性だ。女装をした男性だ。風呂で実際に確かめた。めてしまった。どう見ても二十半ばほどの美女にしか見えないが、親父の中学時代の男友達である。若作りにも女顔にもほどがある。

 俺にとっては苦い初恋の相手でもあった。しかも月一くらいはそのことでからかわれもする。

 

 

 約三十分後、俺はテクニカのコックピットにいた。起動して直立するテクニカの頭上を囲むように巨大なリングがある。

『二十分経って合図をするまで動かしてはなりませんわよ』

 リングがゆっくり降りて来て、人間でいうへそ辺りの高さで停止すると、工事現場のような激しい音を立て始める。MRI――マナ共鳴画像法による検査である。原理はわからないが、マナを通した物体の内部スキャンができるらしい。初期は巨大な筒型であったが、現在では技術の進歩によって小型化されてリング型になり、個人経営の修理工場でも導入できるくらいには低価格化した。いずれにしても画像処理にはコンピューターが必要なのでダンジョン内では使えない。そして同じく非破壊検査である超大型X線CTと違い、検査中はパイロットが乗って機体を起動した状態で長時間静止している必要がある。

 

機体MP 514/720

 

 起動しているだけだというのにマナのない地上だから機体MPの減りが早い。探索機が地上で暴れ回ったらすぐにガス欠になる理由が実感できる。

「終わりましたわ」

 と、ようやく合図があったので俺は身体を伸ばした。

 

 事務室で互いにタブレットを手にして修理計画について相談する。

 財団施設での簡易検査の結果と、今行ったスキャンのデータ、そして参考に提出したステータスの数値を見比べると、おやっさんは形の良い眉を顰めた。

 

レベル 16

最大HP 137

最大MP 215

力  93

防御 35

魔攻 93

魔防 37

早さ 14

 

最大フレームHP 1500

最大機体MP 720

同調率 128.9

力  245

防御 216

魔攻 223

魔防 118

早さ 14

 

「きちげえみたいな紙装甲のステ振りはともかく、この同調率と早さはなんですの? ヤバイですわ。このまま普通に直すだけでしたら、またすぐにブッ壊しますわよ?」

『初めて乗った探索機は親の形見のテクニカで、デビュー三日目にケンカで半壊しました! 探索者なんてそれでいいんだよ』

 親父ならそう言って笑ってくれるだろうが、懲りずに続けて大破させたら、彼の笑顔も引きつるだろう。

 

 

 

 

89

 花沢さんの後ろ弾を避けて食らった左脚切断を除くとすれば、テクニカの損傷はほとんど自傷によるものといっても良い。

 フレームHP消費の超過駆動オーバーライド、関節連動をばらけさせての過剰適合身体操作、デコイを利用した総身脚、いずれも一時のパフォーマンスを引き出すために機体の寿命をすり減らす技術である。関節を摩耗させ、フレームに想定外の負荷をかけ、全身を強く打つような反動を受けた。片手片脚での全力戦闘を続けたことによりメインフレームに歪みも生じている。ダメージ自体は修復可能な許容範囲に収まったものの、今後レベルアップで上昇したステータスによって同様のことを行えば、いよいよ機体全体がスクラップになりかねない。かといっていざというときは使わざるを得ないだろう。

 たとえ忠告されたところで、

『勝、オーバーライドは使うなよ』『了解! オーバーライド!』

 というふうに、今回のような窮地がまた訪れれば生きのこるために使用する。日和ったところでダンジョンが容赦してくれるわけがない。全力を引き出せるよう強化改修が必要だろう。

「とはいえ、です」

 今現在の俺のレベルは16だ。既に三層に挑戦できるレベルである。二層に長居するつもりはない。機体乗り換えに必要な大金は既に得ているので、二層探索者たちのようにレベルアップとレベルダウンを繰り返しながら貯金に勤しむ必要はもはやなかった。

 つまりテクニカを強化改修するにしても、中探索機に乗り換えるまでの繋ぎでしかないということである。

「そんなに費用をかけたくないです。早く、安く、うまい具合の改修プランはありませんか」

「牛丼屋みたいな無茶を仰いますのね」

 次のダンジョンダイブまでに間を空けたくないという理由もある。我ながら図々しい要求だ。

「でしたらエンジン載せ替えとジャンクのポン付けですわね。ひとまずはそれで行けるかどうか検討しましょう。まあわたくし、こういうでっち上げカスタムも嫌いではありませんの」

 低コストでの無理くり強化だとか現地改修だとかは、男のロマンの一つといえる。

 

 レストア中の機体の並ぶ格納庫の中二階を、二人で歩きながら会話を交わす。インスピレーションのためである。

「実のところ力の数値が300くらいまででしたら、無改造でもテクニカの機体強度の許容値ですの。和製カラシニコフは伊達でありませんわ。ですがなんですの早さが機体で14って。普通は4か5でもそれなりでしてよ? 通常の三倍でぶん回すなんて、流石に想定されてませんわ」

 重探索機キングスレーブを横切った。深層向けに戦闘能力を半端に持たせたマナ奴隷の王様だ。ひょろ長い巨体が体育座りをしている。有名な英国製駄っ作機でもある。

「それから死んでる左手ですけど、いったい何のスキルを使いましたの?」

「フォトンセイバーです。マナ400分をフレーム直で」

「軽探索機でしたらフレーム崩壊は当然ですわね。発動体を通すとしても、簡易発動体では耐えきれませんわ」

 ヒリューズを銃剣のように用いて放つのは難しいということだろう。

 

 

 俺はふと足を止めた。鋭角の輪郭を持つ白亜の巨人がそこに佇んでいる。

「この機体は……セイバーですか、四菱の」

「初代の出物がありましたの。パーツ取りに確保していらっしゃったのか、ほぼ未使用ですわ」

 四菱重工製中探索機、セイバー。四菱のフラッグシップ機として高機動高火力をコンセプトに開発された名機である。

 

 

 初代セイバーで礎を築き、セイバーMk-Ⅱでは操縦系の大半が現在でも主流の拡張念意操作に置き換わって操縦性が向上し、セイバーMk-Ⅲは更にコンセプトを尖らせたことにより、ロールアウト当時は世界最強の探索機と評価されるほどの傑作機となった。

 セイバーシリーズの現行機はMk-Ⅴだが、最も人気があるのはMk-Ⅲであり、Mk-ⅣとMk-Ⅴは人気が無い。真のセイバーシリーズはⅢまで、Ⅳ以降はがっかりセイバーとすらいわれている。

 これには一般人の死亡事故が起きたことが影響している。事故を起こしたのは十代の少年で、整備工場に預けられていたセイバーMk-Ⅲに無断で乗り込んで遊んでいたところ、急加速によって全身を強く打って死亡した。殺人的な加速力の謳い文句が現実になったというわけだ。少年の親は上級国民でマスコミ関係者であったらしく、この事故は大々的に取り沙汰された。それによってMk-Ⅲは販売中止となり、代替品のようにロールアウトされたMk-Ⅳの性能は安全性を重視したせいで中途半端なものになってしまった。Mk-Ⅴも正当進化といえば聞こえが良いが、無難にまとまった優等生でしかなかった。レースをすれば旧式のはずのMk-Ⅲが勝つくらいである。

「コックピットを見せてもらってもいいですか」

「乗ったってかまいませんわ。エンジンは抜いてますもの」

 それならばセイバーショック――世界を震撼させたMk-Ⅲの性能の凄まじさと、それが販売中止となった経緯を合わせたスラングで、殺人的な急加速で事故を起こすという意味である――が起こる危険はない。

 戦闘機の機首のように突き出た胸部の上へとリフトで近付く。重いハッチを開けて作業用ライトを点灯すれば、無数のアナログ計器に大量のレバーとペダルが目に入った。発展途上で拡張念意操作のチャンネルが少ないため、操縦に機械的操作を併用していた世代である。Mk-Ⅱとは違い探索機黎明期の名残がある。姿勢制御はともかくメインスラスターなどは完全手動だ。フライトユニットは固定装備で、その変形機構には油圧が用いられている。動翼も機械式だ。しかも装甲はエッジ装甲という、まさしく整備士泣かせの機体である。

「内蔵型スーパーヒリューズのガンレバーに、おお、謎複座だ」

 この世代の中探索機は緊急時の救助用に複座式にするのを義務づけられていた。セイバーMk-Ⅰにも女性一人収まるのがやっとな後部座席が備わっている。大きさの指定はなく、大抵は持ち主によってチャイルドシートサイズに改装されてしまうので、有名無実の制度でしかなかった。いわゆるお役所仕事であり、Mk-Ⅱの登場する頃には撤廃されていた。

 

 一頻りはしゃいだ後に、俺は尋ねた。

「このMk-Ⅰ、買い手は決まってるんですか」

「まだですけど……」

「これ買います」

「正気ですの? 操縦性がお排泄な骨董品ですわよ」

「Mk-ⅠからMk-Ⅲまでなら、カスタムパーツが豊富で互換性があるでしょう? 近代化改修キットも出されてます」

 初代セイバーは名機である。その基礎設計は優秀だ。近代化改修すれば現在でも一線で通用するポテンシャルがあり、ワンオフ化のベースにも向いている。そして俺のステータスは攻撃特化で早さが高い。高機動高火力という機体コンセプトは俺に合っている。とはいえ、これらの理屈は全て口実だ。

「そういえばあなた、セイバー大好きっ子でしたわね」

 俺は憧れの探索機を前にして、我慢弱くなっているだけであった。

 

 

 

90

 タブレットに表示されたテクニカの強化改修プランに、俺は思わず苦言を述べた。

「ちょっとこんな、ゲテモノめいてはいませんか」

「なるたけご要望にお応えしましたの」

 どうしてこうなったのかは理解出来る。しかし実際にそれを形にされると閉口してしまう。おやっさんがしたり顔で金髪をかき上げた。

「英国の血、入ってましたっけ?」

「わたくし生粋の日本人ですわ」

「これってたしか、おやっさんのおもちゃでしょう?」

「だからお安くしましたの」

 こいつ密かに狙っていたなと俺は思った。ジャンクパーツを組み合わせてとんでも装備を開発するのはおやっさんの趣味の一つである。在庫処分を兼ねて実戦テストをやらせたいのだろう。とはいえショップの個人経営者なら多かれ少なかれやっていることでもある。

「あなたほどの男なら、使いこなせると信じてますわ」

 持ち上げるような物言いだが、使い手に対する信頼というよりも、小器用な珍獣に対してのそれだろう。

「完成はいつになります?」

「今日明日で作業して、明後日ですわね。朝一に来ていただければ調整も午前中で終わりますの」

「早いですね」

「パーツが手元に揃っていて、テクニカですもの。ちょっぱやで済みますわ」

 大手とは違う個人経営の良さである。作業料金は多少高額なものの融通が利くし、信用できる相手なら立ち合いも必要ない。

「手伝いはいりますか?」

「一日くらいは休みなさいな。ひどい戦いだったのでしょう?」

 おやっさんには今日の戦いや財団とのかかわりについても話してある。友人の息子が人殺しとなったにもかかわらず態度をまるで変えていないのがありがたかった。

『いつかやると思ってましたわ』

 という露悪的なひと言は、この人流の慰めであったろう。

 

 

 夕闇の迫るなか自転車を漕いで帰宅した。寒暖差で少し寒い。親父の位牌に『ただいま』をして報告を始めようとしたが、どうにも言葉が出てこなかった。真っ暗な部屋でいくら待とうと何も聞こえない。

「ああそうか、父さんはもう死んでるんだよな」

 死人に言葉は届かないし、語りかけてくることもない。二人をそうしたことにより、僕もようやく実感した。

 

 もはや相葉勝は幻影に話しかける頭のおかしい孤児じゃない。俺はダンジョンで人間的に成長した。成長しているはずである。

 童貞を切ったということは大人になるということだ。おとなになるってかなしいことだと親父も言っていた。だから即座に切り替えられる。

「飯くって、風呂入って、あとは闇収納の検証だな」

 口に出した通りにやるべき事を終わらせて布団にくるまり目を瞑ると、疲れていたのかすぐに寝入った。夢は見なかった。

 

 

 

 朝が来た。目覚まし時計の鳴る音で目が覚めた。体内時計が五分ほどずれている。

「ステータスオープン」

 

レベル 16

HP 135/137

MP 160/215

力  93

防御 35

魔攻 93

魔防 37

早さ 14

スキル

 フォトンバレット Lv.1

 デコイ Lv.1

 フォトンセイバー Lv.1

 闇収納 Lv.1

 

 起き抜けステータスオープンで見たHPMPの回復量は最大値の七割くらいだった。時計の針だけでいうなら睡眠時間は足りている。となると精神的なものが原因であろう。

 理不尽への怒りにせよ良心の呵責にせよ、精神的な不調を誤魔化すには身体を動かすのが一番良い。俺は日課のジョギングに出かけた。

 

 なんとなしに普段と違うコースを走る。すれ違うのは俺のことを知らないだろう見知らぬ人たちばかりである。顔つきの変化を誰にも気取られることはない。気が付けば相当な時間走り続けてしまったので、公園で休憩する。

 ベンチに腰掛け空をぼうっと眺めていると、ふざけ合う子供の声が聞こえた。集団登校の小学生だ。

「今日は平日だったな」

 ベルを鳴らして学生服の自転車が追い越して行く。学校指定のクソダサメットなら中学生だろう。

 散歩中の犬が寄ってきたので相手をする。飼い主は同じように活発そうなお爺さんだ。

「おめえさん学校どうしたよ?」

 探索者をやっていますと答えると色々と尋ねられ、しばらく話し込むことになった。とはいえ物騒なことは言えないので話せることはあまりない。ポーションでいくら儲かるだとか機体の維持費にいくらかかるだとか、当たり障りのない金の話ばかりであった。話を終えてジョギングを再開すると、不思議と心が軽かった。

 

 

 帰宅して朝食のソイレントプレートをつつきながら、己の覚えているスキルについて再確認する。

 

 フォトンバレット――光弾を放つ魔法で消費MPは5。

 デコイ――わずかな質量を持つ幻影を生み出すスキルで応用が利く。消費MPは15。

 フォトンセイバー――光の剣で、いわゆる近接ブッパのロマンスキル。消費MPによって威力が変わる。

 闇収納――収納スキルで、アイテムボックスの亜種。消費MPは15。

 

 実は昨夜の時点で闇収納スキルの発動には成功していた。ようは手品である。手品師がシルクハットやハンカチを被せて物を消したり出したりするように、何かで覆って闇――外部から見えない、認識できない空間を作り、そこでものを出し入れする。一風変わった前提条件のあるアイテムボックスもどきである。

 マントで身体を覆い、翻したときには武器を手にしているといった格好良い使い方も思い浮かぶが、それにしたって消費MPが多すぎる。通常のアイテムボックススキルは消費MPが5であるのに、闇収納はその三倍である。

 あらゆるスキルは使いようだ。ロマンスキルはあっても使えないクソスキルというものは存在しない。

 ややこしい前提条件があるというのに消費が軽くなるどころか逆に重くなっている。となれば何か理由があるはずだ。

 今日するのはそれを探るための検証の続きである。昨日はMPが足りなくてできなかったが、今なら十回は試すことができる。そして闇収納の長所は何なのか、一応、いくつか予想はついている。ありがちなやつである。

 

 

 朝食後、テクニカのいないがらんとした格納庫で検証を開始する。ストップウォッチを押して床に置き、手頃なシートをそれに被せる。手でつまんで空間を作るのがスキル発動のコツだ。シートに輪郭が浮き出てしまうとそこに物体があるかないかを認識できてしまうので、闇収納は発動しない。

「闇収納」

 MPが消費されるのを感じ取る。シートを持ち上げるとストップウォッチが消えている。俺はおもむろにラジオ体操を始めた。

 ラジオ体操第一が終わると三分経っていた。先ほどと同じようにシートを床に被せてつまみ、

「闇収納、展開」

 スキル発動が済むと同時にシートを剥がす。取り出されたストップウォッチの数字を見る。40秒だ。最初にストップウォッチを押してから闇収納発動までの時間である。40秒で支度した。そして三分後に取り出した今、41、42と、再び時を刻み始めた。

「当たりだ。時間停止機能か」

 カップラーメンを収納してもほかほかのまま食べられる。麺がのびることもないだろう。

 そして容量がどれだけあるかはスキル発動に成功した時点でなんとなくわかっている。最大一辺8メートルの立方体、アタッシュケースのアイテムボックスと同じである。ただし枠はひと枠で、複数の物を入れて一つ取り出すといった器用なことはできない。ちなみにスキルの方のアイテムボックスも似たような仕様で、スキルレベルが上がると枠数と容量をある程度調整できるらしい。柿本さんのヴェルサスが大型武器、レーヴァテインMk-Ⅹだけを虚空から出現させることができたのも、それ用の枠を設けていたからである。

 闇収納スキルはというと、そういった調整のできそうな感じはしなかった。おそらくその成長は単純で、スキルレベルが増えるごとに同容量の枠が増えていくといった感じだろう。

 

 闇収納の発動には闇空間――外から見えぬよう覆われた空間が必要だ。容量を十全に活かすには、探索機なら探索機サイズのクソデカシートを工夫して使えばなんとかなるかもしれないが、生身でやろうとするなら巨大な空箱でも用意しなければならない。したがってアイテムボックススキル持ちのように機体を持ち運ぶのは現実的ではないといえる。

「だがしかし、俺にはデコイスキルがある」

 デコイの幻影は自由に作れる。それっぽい影を広げれば、巨大な闇空間も構築できる。闇収納とシナジーがあるわけだ。出し入れだけでMPを計60も消費するが、機体を持ち運べるのである。

 

 時間停止機能にデコイと組み合わせての使い勝手、本家アイテムボックスほどでないが、中々良いスキルといえる。時間停止をどう活かすかが肝かもしれない。全国のラーメン屋を巡ってダンジョンに大量のご当地ラーメンを出来立てで持ち込めば人気者になれるだろう。

 下らない妄想をしていると、ふと思い付くことがあった。

 

 アイテムボックスのアタッシュケース、いつもはテクニカを入れていて今は空のそれを持って来る。

 再びストップウォッチでカウントを始め、アタッシュケースのスイッチを押す。いつもの334秒が経ち、アイテムボックスが起動する。異空間に送られたストップウォッチは今現在も時を刻んでいるだろう。

「まさかな、いやまさかな」

 と呟きながら、アタッシュケースに大きめのシートを被せる。

 いわゆるマトリョーシカ収納、アイテムボックススキルにアイテムボックスを収納することは不可能だ。これは異空間同士が干渉するからだといわれている。アイテムボックスはその名のスキルを人工的に再現したものであり、おそらく同種の異空間を利用している。では別種の異空間、闇収納のそれではどうだろう。

 両手で突っ張り空間を作り、

「闇収納」

 と、スキルを発動した。発動、できてしまった。

 

 恐る恐るシートをめくる。床がある。何もない。アタッシュケースが消えている。

「……やばい」

 と、口にしながら俺は思った。やばい。

 俺はラジオ体操第二を始め、幻の第三体操に続けた後、再び第一からやり直した。

 一時間経過してアイテムボックスを影収納から取り出すと、アイテムボックスを展開し、ストップウォッチを出現させた。

 334秒からカウントが続いたのであろう。6分を過ぎていた。

「いや止まってんじゃん、時間」

 一辺8メートルの立方体にアタッシュケースはいくつ詰めるか、雑に計算しても一万個以上は確実だ。しかも時間停止付きである。アイテムボックスの時間制限、マナ切れによる機能停止のデメリットが消えている。

 

 スキルレベル1の時点でも理論上は東京ドームの4倍以上の物資を、個人で、時間停止状態で持ち運べる。

 悪い大人に知られたら収納奴隷として酷使されかねない。良い大人に知られてもその危険性ゆえに抹殺されかねない。

 いずれにしても闇に葬られかねない。闇収納とはそのようなスキルであった。

 ネットで検索しなくて良かったと俺は思いながら、おやっさんに電話してアイテムボックスを注文した。

 

 

 

91

 翌日の正午である。

 テクニカの受け取りを済ませた俺は、そのまま協会へは向かわずに、一旦タクシーで自宅へ戻ってきた。

 昼食はおやっさんのところでごちそうになって済ませてある。装備を調えればすぐに出発できるが、その前に格納庫へ向かった。闇収納を使うためである。

 格納庫のアイテムボックス展開スペースには物資の山がまとめてあった。

 ヒリューズの弾倉と弾丸、マニピュレータをはじめとした予備パーツと工具、ソイレントプレート一ヶ月分に医薬品、寝具や着替えやトイレットペーパーなどの生活用品もろもろ、売らずにとっておいた水玉も無論ある。

 昨日は結局、新装備用の訓練意外はほぼ買い物に費やした。ドラッグストアやホームセンターばかりでなく登山用品店や武器屋へも足を伸ばした。ソイレントプレートは家にあった分なので、新しくネットで大量注文しておいた。

 

 今俺はアイテムボックスのアタッシュケースを三つ所持している。一つはテクニカ入りの元から持っていたもので、二つはおやっさんのところにあった在庫分を購入したものだ。

 おやっさんは所持登録手続きを行いながら、

『お得意様をしていただけるのはいいですけれど、あんまり頻繁に買い足されますと、こちらも誤魔化しきれませんわよ』

 と忠告した。訝しむどころか早くも察しているらしい。

 新しい二つのアイテムボックスのうち一つには、おやっさんのところで追加購入したいくつかの予備武器が収まっている。これからテクニカを展開して、それを物資のほうにまとめなければならない。

「広い格納庫というのはこういうときに便利だな」

 三十分後には物資の山は片付き、俺の前には三つのアタッシュケースが並んでいた。

 それぞれの用途は決めてある。一つは機体運搬用、二つ目はドロップ品回収用、三つ目が備蓄用だ。一つ目と二つ目は普段持ち歩くが、三つ目は人前に出さない。闇収納の中にしまっておく。

 備蓄用アタッシュケースの側に、生身用の予備武装とちょっとしたキャンプ用品をまとめると、食卓フードを大型化したようなカバーでそれらを覆う。昨日登山用品店で購入した小型遮光テントを改造してでっち上げた闇収納用カバーである。強度はちょっと怪しいが、いざとなればデコイを使えば良い。普段使いにMPを節約するための小道具であった。使い終えたらコンパクトにまとめて背嚢に収納できる。

「いざというときの備えとしてはこんなものか」

 これで俺は機体を失い遭難しても一ヶ月は生き延びられる。

 それに加えて今回からは予備武器も大量に持ち込める。一昨日の戦闘では武器を使い果たしてしまった。蒼也さんの残した刀がなければ死んでいただろう。義経戦も似たようなものだ。それらの反省を活かしてかなりの数を用意した。とはいえ、おやっさんのところに真っ当かつ安価な武器の在庫は殆どなく、大半が鉄くず同然の失敗作だが、それでも武器は武器だろう。

 ダイブ一回目はまあいい。二回目は地形変動で、三回目は花沢さんと来れば、四回目は何が起こるかわかったものではない。

 しかし闇収納のおかげで俺の備えは万全だ。どんと来いダンジョンだ。

「行ってきます。父さん」

 そう告げると、アタッシュケースを二つ持って家を出た。

 

 

 協会に着く。一日空けたからか一昨日ほどの喧騒はなかった。

「私のゴルドバちゃん……どこ……」

「俺のサムライはさ、騎士仕様なんだ。ドイツ製の甲冑装甲を貯金をはたいて取り寄せた、サムライナイト様だったんだ……」

「ハイテクニカだぞ、ハイテクニカ。トミタの黒歴史は、もう売っちゃいないんだぞ」

「おそらきれい」

 あるいは三層から生還したはいいが機体を全損したのであろう探索者らが人避けになっているのかもしれない。

 傍らのごみ箱にはスタミナポーションの空きアンプルが大量に入っている。探索者は悪酔いして暴れるわけにはいかないので、飲み屋でぐだを巻いたりできない。警備員が彼らの居座り行為を大目に見ているのもそのためだろう。絶望した超人たちが歓楽街に繰り出して憂さ晴らしをしたらどうなるか、喧嘩騒ぎどころではない。

 

 入場受付に行くと、受付窓口担当の一人が田中さんであった。俺は始め清楚そうなお姉さんのところに並ぼうとしたが彼と目が合ってしまい、そこへ向かわざるを得なくなった。

「こんにちは」

「おはようございます相葉さん。復帰は本日からですか? 良い腕のショップと専属契約しているようでなによりです」

 協会に届け出自体はしているが、花沢さんがしたように調べられたかもわからない。

「……あの人に何かをするつもりなら、俺もなんだってやってやりますよ」

 田中さんにだけ聞こえるよう調整した声ではっきり告げた。ステータスを行使しない隙を突くのは可能である。闇収納というテロの手段も手にしている。

「頼もしいですね。初日と違い貫禄が出ておいでだ。一皮剥けたというべきでしょうか」

 剥かせたのはあなたでしょう、とは言い返さない。二重の意味でよろしくない言葉選びになってしまう。

「……入場手続きをお願いします」

「はい、よろこんで」

 と田中さんは入場手続きを済ませた後、俺がしたように俺にだけ聞こえる声で、

「例の残骸ですがね、映像と現場を照らし合わせたところ、足りなかったそうですよ」

 一瞬何のことかと思ったが、一昨日回収しきれなかった触手の切れ端のことだと思い当たった。ロクヨンさんが百二十三郎さんらに現場の処理をさせていたはずだ。戦闘後から左程時間は経っていないので、ダンジョンに吸収されたとは考えにくい。つまり、あの肉片を猫ばばした何者かが存在するということである。

 とはいえここから先は財団の仕事であろう。ロクヨンさんからも連絡は無かったので、たかがルーキーに過ぎない俺の出る幕はない。

 田中さんもそれ以上に内緒話をすることなく、

「それでは今日のダンジョンダイブもお気を付けて。()()を」

 と見送りの言葉をかけた。

 意味深そうに付け足されたが、何はともあれダンジョンだ。

 

 

92

 岩壁のヒカリゴケの淡い光に上書きするように、舗装路に投じた人影を人工照明が色濃くする。喫煙所を横切ると煙草のにおいに撫でられた。耳を澄ませば係員の大声や、巡回する警備機の間接音と足音が聞こえて来る。

 ダンジョンよ俺は帰ってきたと大声で叫んでみたくもなるが自重する。ここが新卒ルーキーで賑わうまでにあと数日間ある。彼らに混ざってするならともかく、この小康期間におふざけをしでかしたら印象に残ってしまうだろう。ただでさえこれから変な機体に乗るのである。名物中卒探索者として有名になるのは俺にはまだ早かった。

 駐機場の受付小屋で番号札を貰い、その番号札の10メートル四角マスに向かうと、両手に持ったアタッシュケースの片方を目印の位置に下ろし、開いて起動スイッチを押す。展開ガイドの光のラインが投影される前に範囲外に出る。もはや慣れたものだ。エラーが出ないか見守りながら待ち続ける。

 

 空気の押し出しで髪が揺れると、強化改修を終えたテクニカの姿がそこにあった。

 無事であった部分の見た目は殆ど変わっていない。ユニコーンヘッドは爆風の中を切り抜けて生き残ったおかげか、表面には細かい傷が刻まれて、歴戦のような風格を帯びている。胴体の透過装甲キャノピーの損傷部分はパーツ交換されてそこだけ色が違っている。右腕右足はそのままだ。

 問題は左側である。かつてテクニカの左腕があった箇所が、異形の腕に置き換わっていた。赤い腕である。太い大きい腕でもある。明らかに軽探索機サイズではない。中探索機基準でも大型といえる。そしてその下腕の先にあるのは共通規格のマニピュレータではなく、巨大な爪であった。指に爪が生えているというよりも、爪自体を五本並べて指の体裁を整えているといった感じである。盾を思わせる亀甲形の巨大な手の甲の裏側に、五本とも同じ長さの爪が生やしてあった。

 

 複合兵装腕ディアブロロッソ――その名の通り悪魔を思わせる形をした紅の巨腕である。イタリア語で赤い悪魔となれば何だか不吉というか暴発しそうな気がしないでもないが、響き自体はお洒落といえる。

『複合兵装というわりにはギミックらしきものがありませんが』

『直にどつきあうのでしたら強度が必要でしょう? 変形機構はつけられませんわ』

『確かにそれはそうなんですが、だったらどこが複合なんです?』

『内部の空きスペースに魔法増幅発動体を仕込んでいますの。スキルを増幅して放つ。爪で切り裂く。分厚い装甲を盾として利用する。ぶっとい腕力でぶんなぐったり、でっかい手の握力で握りつぶすこともできますの。ほら、ちゃんと複合兵装でしょう?』

『武器っていうよりほとんど腕の機能じゃないですか』

 ようは発動体を仕込んだだけのばかでかい腕である。

『スラスター射出と巻き取り機構を備えたバージョンも開発中ですが、そちらのほうがよろしくて?』

 ディアブロロッソ改と書かれた設計図を見ると、構造が複雑化しているうえに大型化している。マナ消費も相当なのでノーセンキューと手の平を向けた。

『最後にものを言うのは腕力ですの。力こそパワーですわ。何はともあれパワーですわ。軽探索機で中探索機並みのパワーを出せる。それこそがディアブロロッソの真価ですの』

 おやっさんとのやりとりを回想しながら、力が欲しいとの願いに応えてポン付けされた(アーム)を見る。

「……カニじゃん」

 悪魔のようなデザインではあるが、赤いこともあって甲殻類にも見える。左右のバランスの悪さからしてシオマネキともいえる。

 カニテクニカ、テクニカシオマネキ、ユニコーンならぬカニコーン、機体名をつけるとしたら、どうにも間抜けな名前ばかりが思い浮かぶ。

「大丈夫だ。動くとかっこいいはずだ。きっと」

 新作ロボットアニメの奇抜なデザインを見た視聴者のようなことを呟きながら、俺は機体に、テクニカリペア――ひとまずはそう名付けた――に向けて歩き出した。

 

 レベル16の身体能力だ。アイテムボックスで両手がふさがっていようと、脚力だけであっさりとコックピットハッチにたどり着く。

 モニターを点け、アイテムボックスを収納し、シートに身体を固定すると、レバーとペダルを押し込んでマナエンジンを起動した。

 瞬時に広がり鼓動するマナの血流に違和感はない。左脚の膝下はガンヘッドのそれに置き換わっているが、バランスはともかくマッチングに問題はない。

 透過装甲キャノピーが機能した。視界に歪みは見当たらない。立ち上がってステータスチェックを始める前に、ポーションケースをはじめとした内装を確認する。

「エムポよし、エチポよし、スタポよし。いざってときのエチケットタンクよし」

 最後のは胃袋に限界が訪れたときのための追加装備である。『がぼがぼ君小サイズ』と商品名の書かれたこれのおかげで、長期戦であろうと清潔なまま戦える。

「ステータスチェック開始」

 機体を立ち上がらせる。左側にずっしりと重みを感じる。バランスが悪いが、これは仕方の無いことだ。

 腕を振る。腰を回す。屈伸する。爪をがしょがしょ開閉する。

「ひでぇ機体バランスだ」

 左膝下をわざわざガンヘッドのものにしたのは左寄りの重心を支えるためだ。足首の柔軟性は劣るもののガンヘッドの足はテクニカや小鬼子(テクニカのコピー品)より頑丈である。

 

 ステータスチェックが完了してモニターに数値が表示される。

 

フレームHP 2100/2100

機体MP 1283/1300

同調率 128.9

力  245(+50)

防御 216(+100)

魔攻 223(+60)

魔防 118(+120)

早さ 12

 

 括弧内の数値はディアブロロッソ使用時の推定スペックで、ようは左腕だけパワーアックしていますよという意味だ。

 フレームHPと機体MPが上昇しているのは、サブフレームとマナエンジンを二層向けのものに換装したからである。

 

 ちなみにノーマルテクニカと強化改修テクニカの機体ステータスは以下の通りである。

■テクニカ

最大フレームHP 1500

最大機体MP 720

力  150

防御 180

魔攻 140

魔防 80

早さ ‐

ステータス係数

力  0.8

防御 0.8

魔攻 0.7

魔防 0.8

早さ 0.8

 

■テクニカリペア(仮)

最大フレームHP 2100

最大機体MP 1300

力  150

防御 180

魔攻 140

魔防 80

早さ ‐

ステータス係数

力  0.8

防御 0.8

魔攻 0.7

魔防 0.8

早さ 0.7

 

 おわかりいただけただろうか。HPMP以外、ステータスが変わっていない。それどころか無茶な改造のせいで早さのステータス係数が低下している。数値だけで見るなら、なんちゃって強化改修といわれても仕方ないだろう。 

 マナエンジンを換装したにもかかわらず力と魔攻の数値が上昇していないのは、燃費とマナ容量(最大MP)に特化したマナエンジンを選んだからである。

 おやっさん曰く、クソ高同調率とレベル16のパイロットステータスのおかげで、三層に挑むならまだしも、二層攻略だけならば出力強化は必要ないとのことだった。

 

 

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