うろ覚えのため矛盾点が生じる可能性があります。
許して(´;ω;`)
2002/1/1 1:00
地雷原が起爆し始める。津波のように押し寄せるBETAは逃げることなく地雷原に引っ掛かる。
先頭を高速で突っ込んでくるのは突撃級。前進しかまともに動けない奴らは、見事に地雷原の餌食になった。しかし、地雷の量が想定より不足していた。
さらに、BETAは仲間の死など気にしない。川底には徐々にBETAの死骸で埋め尽くされていき、次第に土手までその山が積み重なった。
死骸による橋の形成だ。
「くっ、電磁投射砲が使える前提の戦術だってのに!」
「ぼやいてる暇があったら銃を撃て、宗像!」
速瀬も宗像も必死に抵抗するが、砲弾投射量が足りていない。後ろにいる砲撃部隊ですら残弾が心もとなくなっている。
米軍の戦術機に至っては、短刀で近接戦をせざるを得ない状況にまで追い詰められていた。
「全軍、30秒ごとに100m後退。後退射撃でBETAを迎え撃つ!」
ウォーケンがそう叫ぶ。現在の戦況では、戦線を維持しつつ徐々に下がるほかない。ジェームズも後退射撃を開始しようとした。だが、トリガーを引いても弾は出なかった。
「さっきのエラーが悪さしたか?!」
射撃戦ができないことを悟り、すぐに長刀を抜刀する。格闘戦はあまり好みではないが、この際はしかたない。
「…かかってこいやクソ野郎ども!」
電磁投射砲故障から30分ほどだろうか。状況は相も変わらず最悪だ。ジェームズたち増援組はとっくに限界を迎えている。推進剤はとっくに尽きている。本体電力もあと少ししかない。せめて補給さえできるチャンスがあればまだ戦える。だが、コンテナは破壊もしくわ遠方のため回収は不可能だ。
米軍の方も限界一歩前だった。格闘戦が厳禁なYF-22Xでさえ近接短刀を振り回しており、F-15Eに至っては追加装甲でシールドバッシュをする始末だった。最初の威勢のいい弾幕はすでに消えており、後退せずに最期まで残り続けた砲兵は全滅した。
「少佐!我々米軍もすでに限界だが、君たちの損傷はそれ以上だ!だから、今すぐに横浜に戻り再補給をしてきてくれ!その間は、何としても食い止めて見せる!」
「しかしそれでは米軍が――」
「我々を気にしている場合か!…早く行け!」
戻れば彼らは全滅間違いなし、かといって戻って補給できる保証も実際はない。究極の2択だ。速瀬たちもジェームズの決断を待っている。
決めるのは、現部隊長の俺だけだ。
「…ウォーケン少佐、我々国連軍はこれより横浜に一時撤退し補給する。在日米軍の奮戦に期待する、以上」
「貴様らの帰還までは持たせて見せる、安心して跳べ!」
わずかばかりの非常用燃料にシフトし、横浜へ戻った。
横浜基地
帰路についてしばらくし、基地周辺に到達すると無数のサーチライトに照らされた。さらに、管制ユニット内にロックオン警告が鳴り響く。それを無視して着陸を強行しようとした。すると、スピーカーで警告される。
「警告する。貴様らは戦術機の無許可持ち出しが確認されている。速やかにこちらの指示する場所に着陸せよ。警告に従わない場合、貴様らの生命の安全は保障できない」
地面には対空兵器がずらりと並んで待機している。もう燃料もない。抵抗するのは些か厳しいものがある。
「了解した、警告に従う」
誘導灯に従えとのことだった。そこに着陸すると、大量の武器弾薬が置かれていた。さらに、整備員もスタンバイしていた。
「少佐、早く補給と整備を済ませてください!」
「こっちもだいぶハッタリかましちまってんでね、さっさと出てってくださいよ!?」
先ほどの警告と、誘導灯は実は別の人間が誘導していた。本来なら地下まで誘導され、拘束されるはずだった。だが、A-01お抱えの専属整備員たちは反逆し、誘導灯を変更し整備と補給を強行するつもりだったのだ。
無論、そのようなことをすれば軍法会議待ったなしだ。だが、彼らもそれなりの覚悟をもってやっているのだ。
問題の発生したOSはすぐに直せるものではなかった。そのため、近接戦闘を強要されることになった。だが、それ以外の損傷は全て復旧し、前線に運ぶための補給コンテナも用意されていた。計2個の補給コンテナに燃料と武器弾薬が満載されている。
戦線に戻る準備は着々と進みつつある。だが、周りの音が慌ただしくなり始めて来た。偵察に出た一人が血相を変えて戻ってきた。
「少佐、装甲車と歩兵部隊がもうすぐそこまで迫っています!それと…」
「それとなんだ!」
「…別の方向から基地司令と副司令も来ています!」
どうやら本気で止めにかかってきているようだ。戦術機の発進までは最低3分はかかる。3分もしないで彼らは来るだろう。飛び立つ前にロケットランチャーを構えて待機すれば発進はできない。そして、考えている間に彼らは到着してしまった。もはやここまでだ。
ラダビノッド司令の後ろには、小銃を持った兵士が多数いた。ロケットランチャーの類は見当たらなかった。飛ばれる前に止めるつもりのようだ。
「基地司令は俺が何とかする。すぐに発進用意をしろ!」
だが、間に合うわけがなかった。すぐに基地司令の後ろにいる歩兵が散開する。その銃口はぴったりとジェームズたちに向けられていた。万事休す、そう思われたが歩兵は彼らを通り過ぎ、戦術機を守るように陣地を構築し始めた。
「これはいったい?」
「少佐、君の行動は褒められたものではない。だが、この状況においては君の行動は見逃されるものであると私自身は思っている」
そして、その隣にいた夕呼がデータメモリを渡してくる。
「アンタの不知火は確かFCSのエラーが発生したのよね。だったら、このデータメモリを使いなさい」
メモリには『XM1』と薄く刻印されていた。
「まったく、懐かしい名前なもんだ」
それを整備員に渡して取り付けに行かせた。しかし、そうなると別方向から近づいている装甲車はいったい何者なのだろうか。その疑問の答えを、ラダビノッドは語り始めた。
「…この有事に便乗して、オルタネイティブ5派閥が動き出してしまったのだ」
オルタネイティブ5、それはこの横浜基地の進めるオルタネイティブ4と対立する計画案だった。端的に言えば、地球を脱出して移住するというものだ。しかし、この計画案はA-01の働きによって無駄足に終わらせたはずだった。それがいまさらになって、というわけだ。
「連中は、前線にG弾を集中投下する手筈らしい。BETAとの戦闘をしながらの迎撃になるが、君にはこの任務をやり遂げてもらう。…いいな?」
断ることはできないようだ。最優先はBETAの殲滅、だがそれと同等の優先度でG弾迎撃もある。今までの中でもかなり過酷なものだ。だが、やり遂げるしかない。今のジェームズたちの任務は、トンカッチたちの帰ってくる場所を残しておくことなのだから。
「命令、確かに受領いたしました!…全機、発進用意急げよ!」
『了解!』
装甲車が戦術機を破壊する前に飛び去らなければならない。メモリを差し替えたことにより、再び射撃武装が使えるようになった。夕呼曰く「多少の小細工と前提があって作れた」と言っている当たり、普通のXM1とは異なっているのだろう。不知火を起動すると、XM1の文字が浮かんだ。だが、小さく日本語で『XM3概念実証試験OS』と書かれてあった。つまりほとんどXM3に近いものなのだろう。そして、起動準備が完了する。
「よし、俺は起動準備完了だ!」
「速瀬機も同じく!」
「宗像、いつでも出れます」
「了解した!…ヴァルキリーズ、全機発進!」
『了解!』
一気に跳躍ユニットを吹かし、空に飛び立った。そして、あの地獄へと再び進んだ。
30分後
「これで、ひとまずは殲滅完了というところか」
ウォーケンたち米軍は、防衛線を一時的ではあるが川まで戻すことに成功していた。運の良いことに、BETAの進撃も止まってしばらくは来ない見積もりだった。
「ウォーケン少佐、後方より戦術機接近!横浜の部隊が戻ってきてくれました!」
「そうか…ん?1機足りていないのではないか?」
レーダーと目視で再確認するが、やはり1機足りていなかった。
「そこの不知火、確か3機で戻ったはずだが1機はどこに行った!」
通信を試みるも、応答がまるでなかった。そして、バイザーなどから発する光が全て消えた。墜落したのではないかと思い、不用意に部下のF-15Eが接近する。その直後に、そのF-15Eは爆発四散した。爆発の炎に照らされるように、不知火が映った。
「…この期に及んで、まだクーデターを企んでいたか日本人!全機、目の前の不知火を敵勢力として設定し攻撃を開始!」
『Rager that!』
補給もままならないまま、米軍は謎の敵勢力との交戦に移行した。相手が不知火なら、米軍のF-22系統の方が圧倒的に優勢であると言える。だが、推進剤も弾薬も尽きかけている状態ではそうとも言い切れない。推進剤節約のために、主脚走行になる始末だった。軽い足取りで、うまく射撃を避けるがカバーしきれない。次々に被弾していき、しばらくして1機のF-22が撃墜された。
「少佐ぁ!これ以上戦闘していては、燃料はおろか電力が――」
「馬鹿野郎、足を止めるんじゃない!」
ウォーケンの横にいたF-15Eが被弾し、爆発した。跳躍ユニットの誘爆だった。たった2機相手にこれほどまでに苦戦するとは、ウォーケンには思ってもいないことだった。だが、戦闘中にいくつかの違和感を覚えていた。
それは、彼らの戦闘パターンだった。
「少佐、あの動き方はやはり…」
「ああ、こいつらは…合衆国軍人だ」
徹底した射撃戦、面制圧による戦術、戦術機に搭載された計4つの突撃砲。米軍の戦術パターンと酷似している。それに、彼らの不知火の肩には本来ある日の丸が描かれていなかった。一気に距離を詰め、短刀で鍔迫り合いをする。
「貴様は合衆国軍人か!?でなければ、何をしようとしている!」
しばらく無言だったが、返答が返ってくる。
「確かに私は合衆国軍人だ。だが、ペンタゴンからの命令を受けていてな。貴様らと、日本人には我々のための悪役になってもらう!」
「なにっ!」
突撃砲がピタリとYF-22Xの胸部に突き付けられていた。引き金を引かれる直前、不知火の背後に別の影が現れた。引き金に手をかけていたマニピュレータは動きを止め、ついには突撃砲を地面に落とした。そして、力なく地面に倒れた。
「危ないところだったな、ラプターの衛士。こちらは、帝都第1守備連隊第1大隊所属の沙霧尚哉大尉だ。偽旗作戦の予兆ありとの密告を霞が関より受けたため、緊急でここまで飛んできた」
次々と、帝国軍の不知火が着陸してきた。彼らは補給品を大量に所持しており、次のBETAの侵攻フェーズに備えていた。彼らの担当エリアは完全にBETAの攻撃を防ぎ切り、補充戦力で事足りたためこれ程の増援を回すことができたのだ。
「沙霧大尉、君の名前はよく耳にしている。厚木でも有名になっていたからな。それで、偽旗作戦というのはどういうことだ?」
沙霧は帝国軍総司令部からの命令を詳細に話し始めた。内容は、ジェームズの聞いていた話と同じだった。その内容を聞き、ウォーケンも迎撃態勢を整え始めた。5分ほどたって、3機の戦術機が彼らの機体レーダーに映った。
「ウォーケン少佐、遅れてすまん!」
ジェームズたちだった。彼らたちは厚木基地に一度立ち寄り、詳細な情報を聞いていた。敵のG弾搭載戦術機は、通常の機体ではなかった。戦術機のA-10を改装している独自仕様だった。ただでさえ重装甲のA-10にさらに増加装甲を配置し、専用のG弾発射機を有している。最悪なことに、その重装甲にステルス塗料を塗布しているため疑似的なステルス機でもある。YF-22Xの性能なら、それくらいのステルス機は看破できる。
問題は護衛に電子戦機のEA-18Gが付いていることだ。近づけばジャミングでレーダーはお釈迦になる。こうなると、迎撃方法は一つしかない。
電子戦機がジャミングを発動させる前に、YF-22XがA-10を見つけるしかない。これを逃せば、ジャミングの中を目視で探すほかなくなるというわけだ。
「ウォーケン少佐、聞いてのとおりだがアンタが肝心だ。よろしく頼む」
「了解した!」
しばらくすると、一瞬だけレーダーに機影が映る。
「レーダーに捕捉した!EA-18Gも両脇にいる、コイツが目標の戦術機だ!」
「了解した少佐!速瀬と宗像もついてこい!」
地面を蹴り上げ、一気に空中に飛び立つ。最大望遠でギリギリ視認できる距離にいた。通常のレーダーロックでは、EA-18Gのせいで妨害されるのがオチだ。すぐにIRロックを試みる。だが、距離が離れすぎていてロックできない。こうなったら、距離を一気に詰めて接近戦に持ち込むほかない。だが、音響センサーが急に反応しだした。
「ちっ!タイミングよくBETAどもが湧きやがったぜ!?」
「この波形、デカブツ勢揃いだぜクソッタレが!」
センサーが振り切れた瞬間、川の対岸3キロ後方の地面から突撃級が湧きだした。
「来やがった、最悪のタイミングでこいつら来やがった!」
「これじゃあG弾お披露目会の御膳立てみたいな状況じゃないか!?」
「こうなれば仕方ない…ハロルド中尉、君が臨時で指揮を取れ!私は、あのA-10を墜とす!」
ウォーケンもジェームズたちに続いて飛翔した。沙霧たち帝国軍も慌てていた。補給は完全とはいえ奇襲を受けたのだ。慣れっこではあるが、今回は数が厳しい。
「行ってください隊長!…二度とG弾なんて使わせないでやってください!」
「…後は任せる」
沙霧も後を追うように飛んだ。5機は空中で合流し、軽いフォーメーションを組む。相手は重装甲で大火力のA-10だ。迎撃用の装備としてGAU-8は強力すぎる。正面にうかつに飛び出せばひとたまりもない。だから、接近機動戦を仕掛ける。また、G弾を撃たせないように阻止限界ラインを設定した。この予想ラインは、過去のG弾の威力を基に算出したものである。ほぼ確実なものであることは間違いない。
「宗像と速瀬はEA-18Gを、A-10には俺たちが3人がかりで相手してやる!」
一気に5人は襲い掛かった。正面に陽動としてジェームズが出る。
「かかってきな
砲身が回転し、毎分約4000発の弾丸の雨がジェームズを襲う。いつもの機体の感覚で回避機動を取った、それのせいで軽く弾をかすめた。
「ちっ、いつもより反応速度が鈍いぜこの野郎!」
そうは言いつつ、陽動は完璧だった。現にA-10の後ろには沙霧とウォーケンが攻撃態勢を取っていた。
「これ以上、わが祖国の名誉を傷つかせるわけにはいかん!行くぞ大尉!」
「承知!…偽旗作戦をしてまでこの国を汚すか、この下衆どもがぁ!」
36㎜の援護を受けながら、沙霧はゼロ距離まで詰めて長刀の間合いに入る。
「覚悟ぉぉ!」
長刀を勢いよく振り下ろす。だが、ひらりとそれを回避した。だが、沙霧はそれを見越している。長刀を翻し、燕返しを仕掛ける。確実にその一撃は胸部を捉えていた。勝ちを確信した沙霧に重い衝撃が加わる。
「くっ!」
沙霧の太刀は増加装甲に阻まれていた。いや、確かに攻撃は通っていた。だが、本来の威力を出し切るまえに、A-10は機体を近づけて振る速度を減殺したのだ。勢いそのままタックルを受け、沙霧は態勢を崩した。すぐに姿勢を戻そうとするも、GAU-8の容赦のない弾幕から逃げるのが限界だった。
「大尉もっと距離を取るんだ!でないと、こちらの射撃が貴官に当たる!」
「分かっている!だが、こいつこの不知火に食いついてくるというのか!?」
A-10とは思えないほどの推進力だった。旋回戦を仕掛けても食らいつく。機動性と防御力、そして火力も備えているとなると害悪極まりない。だが、ありがたいことにジェームズたちを殲滅してからG弾の発射をするつもりらしい。つまり死ななければ一生撃たれないということだろう。とはいえ、BETAの殲滅もしなければならない。早く決着を付けなければ。ウォーケンは危険な賭けをすることになった。
「大尉、3カウントしたら急減速をしろ!巻き込まれても、恨んでくれるなよ!?」
「…了解した少佐、貴官に託す!」
3カウントが終わると同時に、沙霧は急減速をした。体に一気にGがかかる。一瞬気絶しそうになるが、必死に耐える。すると、自機前方に押し出される形でA-10が出現する。
「全機攻撃開始!」
36㎜の一点集中射撃、沙霧の背後からの攻撃。同時だった。それを回避するために全速力で退避しようとする。その正面にジェームズが躍り出る。
「日米英3色コンボ、逃げられんぜ?」
ジェームズが36㎜を胸部にありったけ叩き込む。だが、増加装甲があまりにも硬すぎた。ほぼノーダメージだった。そして、距離を取られる。十分に離れるとみるや、ガトリングの猛襲だ。
「アイツ、バケモノかBETAの類じゃないのか?」
「仮にもBETAならもっと大勢で来る!」
「少佐はジョークってのが分かんねえのか?こうでも言わなきゃやってられねえよ!」
すぐに距離を詰めるが、回避するのが精一杯になってきた。時折隙を見つけては攻撃を仕掛けるが、装甲に阻まれる。
「ジェームズ少佐、装甲には必ず隙間がある!その隙間に近接攻撃を入れ込むしかダメージを与える方法はない!」
「簡単に言ってくれるぜ大尉さんよぉ!」
速瀬たちを増援として回したかったが、彼女たちも苦戦しているらしい。当分は援護には来れないだろう。BETAの迎撃部隊を回してもいいが、彼らではこの機体の餌食になるのがオチだ。
「一撃で粉砕する方法なんてねえよ…いや、一つだけあるのか?」
「まさか少佐、貴様自爆する気か!?」
「安心しろウォーケン少佐、自爆よりもっと酷い博打さ」
ジェームズは機体を下降させ、戦線を離脱した。
「なっ、戦線を離脱するのか!?」
「いや、彼の考えが私の予想通りなら…アレを使うんだな!」
それに答えるようにジェームズは座標を指定してきた。
「沙霧大尉、ジェームズ少佐の指定した位置まで誘導する!援護頼む!」
「承知ぃ!」
日米エース級衛士の2人が鮮やかな連携を見せつけながら、徐々に追い詰めていく。何度か攻撃が彼らの胸部をかすめたが、気にせずに攻撃を繰り返す。そして、目標地点に到達した。
「冷却装置緊急稼動、安全弁全閉鎖、射撃装置セットアップ完了、薬室内温度規定値到達、弾薬装填確認、機体固定装置展開、全システムオールグリーン……Target Insights」
ジェームズの不知火には、電磁投射砲が握られていた。その巨砲の引き金を、ジェームズはためらうことなく引き絞った。
「
青白く細長い閃光は、黒い大砲鳥の翼を毟り取るがごとく貫いた。翼を失った鳥は、力なく地面に墜ちていった。
酷い博打、それは電磁投射砲による狙撃だった。圧倒的貫通力と火力、これの直撃ならあの大砲鳥も墜とせる可能性が高かった。だが、先ほどの事例から電磁投射砲を使うとエラーが発生して発砲できなくなる。しかし、ジェームズには謎の自信があったのだ。確実に一撃を加えることができるという自信が。
「全く、さすがは横浜製。何を仕込んでるか分からんものだねぇ」
無論ノーダメージでは済まなかった。ジェームズの不知火の管制ユニット内では警報音であふれていた。先ほどのエラーが再発し、再び射撃系装備の使用が不可能になった。だが、もとよりその覚悟だった。近接武器を構え、再びBETAとの交戦を再開した。
この時2002年1月1日午前3時21分、英雄の凱旋まで後3時間だった。
これでジェームズたち居残り組の話は終わりです。久しぶりに描いたものですからよくわかんなくなりましたが、何とか書き終わりました。
というわけで、これにて外伝は終わりとなります(気が向いたら更新するかも)
この作品に協力していただいた皆様、ありがとうございました!
謝辞
名前と設定を快く貸し続けてくれた我が友人、ジェームズ・スミス氏に対し最大限の感謝をこの話までをもってお返しします。