13回、俺とクロが犬型呪霊を叩き潰した回数だ。
どうやら等級の方をミスったらしく能力持ちの呪霊だった。
能力はネタがあるんだろうが不死身、潰しても別の地点に現れる。
更に不可逆の傷、いや呪いだろうか?
サイズ差から引っ掻き傷ぐらいのものになってるが、その傷が治らない。
人間サイズなら油断して一撃でも食らったら治らない致命傷の出来上がりである、エグいな。
「クソ、訳わかんねぇ」
倒し方を工夫しても、相手は死なない。
地上でも空中でも、斬撃でも殴打でも、嬲り殺しにしても、死んだらリセットする。
死に戻り能力でもあるのだろうか、だとしても奴の念は弱まったりしない。
何を消費して生き返るんだ、それすらも分からない。
長期戦になればなるほど、癒えない傷でこっちが不利になる。
どうにかして不死身の正体を暴かないといけない。
「クロ、バラバラにするぞ。今度はダルマだ」
『任せて』
クロの爪が犬型呪霊を引き裂く。
これで14回、死にかける様子を観察する。
致命傷ではあるが、死ぬ様子はない。
血を流して五体バラバラだが、攻撃性を滲ませて、怯まず戦おうとしてる。
そして、それが黒い砂のようになって風化して全部なくなったら別地点にリスポーン。
うーん、このパターンだと本体は別にいて復活してると見た。
「となると、山の中の何処かだろうな」
『もう、面倒くさい』
「ちょ、えっ?」
クロがイライラしてたのかストレスをぶつけるようにそこら辺の木を攻撃する。
拉げて折れる森林、環境破壊である。
まぁ、うん、木が本体の可能性はあるし全部ぶっ壊すか。
犬型呪霊を見つけては体当たりで地面と木ごと根こそぎぶっ壊す。
流石にマズイと思ったのか犬型呪霊も逃げる。
なんで今度は逃げるんだよ、正解引いたのか?
どのくらい経ったろうか、数時間が経過したと思われる俺達の戦場は木々のない禿山となっていた。
呪霊の野郎、許せねぇな!俺は悪くねぇ!
しかし、以前変わりなく、この犬型呪霊は無傷!
八方塞がりである。
「影に沈んでも出てくるし、何なんだよ、まるで幽霊じゃねぇか」
やはり幻影か?
不死身の絡繰りは、幻術ってことか?
それなら、本体は別にいて幻術を影の世界に落としてもリスポーンする理由が分かる。
でもなぁ、木じゃないんだよな。
あと、あるとしたら山くらいで……えっ、マジ?
「この山が呪霊の本体?」
『ないわ、デカ過ぎ』
そうだよね、俺達が駆け回れるようなデカさな訳が無い。
ならもう、地中かな。
「クロ、匂いで分からない?」
『そこら中で匂う、無理』
まぁ、でも、多分本体からそんな離れた場所にいないはずだ。
パワーがあるからな、ってことは遠距離操作型スタンドではない。
なので、抉り続けたら見つけられるはず。
「おっと、そっちも本気ってことね」
犬型呪霊が、一体、二体、三体と数え切れないほど増えていく。
最初からやりゃいいじゃんと思ったけど、出来ないのはコスパが悪いとかかな?
「数と質の勝負だぜ」
どっちがスタミナ切れになるか勝負だぜ!
帳がなくなっていく、消えてく帳、朝日が見え始める。
うーん、なかなか苦戦したぜ。
結局、本体は地面の中にいた。
というか、途中で気づいたけど影のある個体とない個体がいて、ある個体が呪霊の正体だった。
そう、影自体が本体というね……エヴァで見たのに気付けなかった。
道理で抉るような攻撃に初めて逃げたわけだ、一緒に食らうもんな。
影のついた個体ごと攻撃したら、黒いオタマジャクシみたいなの出てきたぜ。
美味しくクロが食べたけど。
「おぉ、斎藤さんどしたの」
「よかった……」
フッ、女を泣かせるとは罪な男だぜ。
おっと、おっぱいが俺を挟みやがる。
「不潔」
「クロ、お前ニンニク食ったろ」
「グルァ!」
背後でシロとクロが喧嘩始めてるけど、仲良くしなさいよ君ら、お互いにダメージ共有してるんだからさ。
「実は……」
俺がおっぱいを堪能してたら、なんか斎藤さん自分語り始めてて草。
今回の呪霊、犬は犬でも犬神らしい。
なんぞやと思ったけど普通に準一級の呪霊、癒えない傷と不死身っていう。
壊刃サブラクかよ、そっちだったかぁー!
犬神の作り方的に、なんか犬埋めて死にかけたら首を刎ねたりするらしく、その来歴が本体は地中にいる由来となったのではとのこと。
そんで、その等級詐欺的なやつは家族を人質に取られて縛り云々でわざとやったらしい、黒幕はウチの親戚禪院家と保守派とやら、許せねぇなぁ!
馬鹿だから分かんねぇけど、最も邪悪なゲス野郎ってことだけは分かるぜ。
「何でもしますから」
「んっ、今なんでもって?」
「はい、その、エッチなことでも……」
ふむふむなるほど、俺の好みの黒髪ロングでダウナー入ってる女だ。
しかも巨乳で、弱みも握られてる、なるほど。
すげぇ、策謀の匂いがする。
ハニートラップって初めて食らった、ウケる。
「小学生に終わってんな、でも人を呪わば穴二つだよ」
「えっ?」
「来世とかあるから、頑張ってな」
多分トカゲの尻尾切りよろしく殺されるんだろうけど、転生出来るから今だけだよ。
苦しい現世からバイバイ、来世は楽しく生きてな。
そんな、こちとら殺しに来てる奴を助けるほどお人好しじゃないよ。
まぁ、次があるって知らないと怖いよね。
「食べていい?」
「ダメだよ、事故死でも不審じゃん。運転手さんも殺したくないし」
「えっ、あの……」
「じゃ、帰ろうか。せっかくだし、温泉行きたいな」
その後は観光してお土産買って帰った。
帰ったら五条が慌てて、マジで草。
竹中の腰は別に異常はなかった。
後日談、窓の人に聞いてみたら斎藤さんは窓を辞めたらしい。
本当かなと思ったけど、そういうことにしたんだろうな。
やっぱり知り合いの担当じゃないとね、俺は賢いから学んだ。
「なぁ、竹中」
「はい……」
「やっぱ童貞卒業したほうが良かったかな」
「どどど、童貞!?」
斎藤さんとの下りを説明してやる。
軽い禪院家への嫌がらせだが、窓から噂話になっても汚名だらけの家だし今更だろうか。
マジでゲロカスな親戚で嫌になるぜ。
五条に家とか聞いたから、ゴミの不法投棄で許してやったけどな。
近くのゴミ捨て場からボッシュート、そのまま家の影からドーン、騒ぎになったら影に逃げる、簡単である。
「いや、あの、そういうのは」
「銃とか欲しいよね、本物の」
「そっちの童貞!?」
いや、武器とか呪具関係でもいいけどね。
でも銃とかどこにあるんだろ、今度米軍基地に連れてってもらおうかな。
なくなっても困るの管理の人で俺じゃないし、ヤクザの事務所とかねぇのかな。
調べたら分かりそう、窓ってスピードワゴン財団みたいなもんだしな。
やはり結界術をできるようになるのはマストかもな。
となると、天元ってのが一番らしいから聞きに行くしかねぇのかな。
「えっと、私、お恥ずかしながら40にもなって」
「竹中、知り合いの窓の人って何人集められる?日給一万で」
「えぇ!?急だな、無茶振りが五条さんみたいだ」
何、10人くらい?今いる人だとそれくらい?
よし集めてくれ、任務は簡単だ!高専の扉を全部開ける。
「な、なんのために!」
「天元って奴を見つけるんだよ」
全部ドア開けたら、多分繋がる奴を見つけられると思うんだよね。
リゼロで見たから間違いない、アニメ化してないけどなろうで原作は読んだ。まだ始まったばっかりだけど。
そして集まって貰ったスーツの中に、和服の爺さんが混じってる。
誰だよ、偉い人か。
「お前が伏黒恵か」
「爺ちゃん誰だよ、酒クセェな」
「何、詫びの品だ」
ポンと渡される進撃の巨人の最新刊までの全巻。
なんだあの爺ちゃん……何者なんだ。
「よく分かんねぇけど、みんなよろしく!」
「えぇ……知らないんですか?」
「五条さんは何を教えてるんだ」
「関わらないほうがよくないですか?」
謎の爺とのエンカウントはあったものの、天元攻略法を試すのだった。
「やぁ、禪院の子」
「俺は伏黒だ」
美少女じゃなくて、化物だった。