呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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寝たきりかもしれない

早いことで、数日のようなあっという間の数年間だった。

中学を卒業してもうすぐ俺も高専に入学することができる。

どういうことかというと、ずっと学校で遊べる訳だ。

修行したり組手したり、天元とゲームしたり任務したり好きな時に色々出来るのだ。

平日が使えることはデカい。

 

「まんがタイムパイセン、痛って」

「綺羅羅が男の名前で何が悪い」

「秤パイセンどこおんの?」

「知らなーい」

 

ぶつなよ、カミーユかよ。

秤パイセンと出会ってから半年以上が経過した。

途中から出会った綺羅羅と名乗る女、まぁ本当は男なんだが、3人でよく遊んでた。

そういえば猪野って3年生が卒業するらしいのだが任務で忙しくて会ったことは数回で全然知らない。

いつも俺達は3人で遊んでた。

で、珍しく今日は二人セットの状態ではなかった。

 

「喧嘩したん?」

「浮気だよ浮気、アイツ彼女いたんだよ。信じられないよ、こんなに金ちゃんの事好きなのにさー」

「えー、良いじゃん。彼女枠と彼氏枠は別だろ?」

「馬鹿だなぁ、彼女枠がいいんですー」

 

2人きりだったので恋バナなんかしちゃったりする。

綺羅羅パイセンは未来に生きてるからなぁ、LGBTはまだ早いよ。

 

「伏黒は好きな子いないの」

「硝子先生、それか義理の姉」

「うわぁ……うわぁ……」

「あーあ、人の好きなもの馬鹿にしちゃいけないんだ。秤パイセンはいいねしてたのになぁ」

「うんうん、いいよね。年上の女って、私は絶対無理だけど」

 

ですよねー、津美紀に至っては家族愛だろうから結婚とか考えられないし、それはそれとしてクズでも優しくする所が治ってないからダメな男と付き合わないか心配である。

 

「硝子ちゃんは無理でしょ、同業者はヤダって言ってたし」

「そんなの聞きとうなかった!18になったら31だから結婚してくれるはず!早く来い2020年!」

「来ねーよ。あっ、そうだ。今度いつプラネタリウム行く?」

「こないだ行ったばっかじゃん」

 

ケラケラ笑う綺羅羅パイセンとプラネタリウム巡りの計画を建てる。

というのも、パイセンの星間飛行というマクロスかよとツッコミたくなる術式の拡張のためである。

対象を星に見立て、星と星の距離を基準とし、特定手順でないと接近や離反出来ない術式。

でもそれって南十字星じゃないといけないのか?ということから他の星で試したところ出来たので、二人でよくプラネタリウムを見に行ったりする。

なお、秤パイセンは来ても寝るから連れてかない。

相手が知識を知らなくても発動することから、パイセン自身の知識を参照していると思われる。

やっぱり、生まれながらに決められてるとか言ってるけど術式は個人の影響受けまくりだから念能力だと思うんだよなぁ。

同じ術式あるのは……なんか、こう、念能力で説明できないから分からんけど。

 

「伏黒はさぁ、なんかいいよね」

「あっ、俺はノーマルなんでホモォはちょっと」

「違ぇーよ、気持ち悪がったりしないの良いよねってこと」

「いや、人種差別扱いされるじゃん。いつかの話だけど」

 

てか、男の娘って別に珍しくもないし、術式で男と女に入れ替わるみたいな、らんま2分の1みたいな体質の奴とかいてもおかしくないだろ。

多様性って大事だよね、まだ多様性とか意識されてないけど。

 

「普通はそんなんじゃないよ。特に、ほら、呪術界って前時代的だしさ。保守派の奴らは男らしくしろとか言うしさ」

「はえー、何か言われたことあったけど気にしたことなかったわ」

 

呪詛師云々抜かしたから、呪詛師認定したら真っ先にお前を殺すし、俺の式神を呪霊にして世に放つって言った記憶があるわ。

権力はな、権力の信奉者にしか使えんのだ。

どうせ、あーだこーだ言う四十六室みたいな奴らだろ、俺のほうが絶対強いもん、知らねぇよ。

 

「俺達、法で縛られないような世界の住人だぞ。無法の世界は無法に生きていいんだよ」

「呪術界を何だと思ってんだよ」

「オカルトヤクザだろ、日本国憲法ガン無視して生きてんだから」

 

手のつけられない謎の武力を持った集団、非術師から見たら訳わからんけど怖いから仲良くしとこ、それはそれとして言う事聞かせられないから邪魔だな、とか思ってんだろ。

日本国憲法使おうにも、法で裁けない方法で対抗するが、とか言ってくる組織だ。

あと、勝手に私刑とか財産没収とかやったりする。

業界のルールが日本国憲法より優先される時点でヤクザだろ。

 

「まぁ、なんかあったら殴っちゃえよ。死ななきゃ安いって言葉もあるから。どうせ呪詛師認定されないよ、五条が止めてくれるから」

「他力本願過ぎて草、まぁ死ぬわけないもんねぇ。あの人化物だし」

 

五条が死ぬような状況は、それこそ化け物染みた呪霊が出るようなもんだ。

どんな化物だよ、五条より呪力が多かったり、センスがあったりするんだろうか?

そんなヤベェ呪霊がいるわけねぇわ。

 

「何だお前ら、来てたんか」

「つーん」

「おい綺羅羅機嫌直せよ。今日も勝ったぞ、景品の菓子食うか?」

「食べる、俺じゃがりこがいい」

「いや、お前が食べんのかよ。ったくよぉ、化物語良かったぞ」

「マジでか、術式で再現出来んかな?」

 

どっかのパチ屋から帰ってきた秤パイセンと御機嫌斜めな綺羅羅パイセン。

クソみたいな世界だけど楽しんで生活していた。

でも忘れていたのだ、クソな世界はどう取り繕ってもクソだってな。

津美紀がぶっ倒れて寝たきりになった。

 

 

 

近くの病院に運ばれた津美紀の元に、五条を連れて俺はやってきていた。

津美紀の奴はベットでスヤスヤ寝てやがる。

今まで健康で、病院の検査では異常は見つからないのに津美紀が寝たきりになったのだ。

理由分からない物は、と五条に診察させたら案の定であった。

 

「これは……よく見ると残穢があるね。ただ、何かされた形跡はあっても健康体だ。何らかの呪いによって昏倒してるのは間違いない……少なくとも微かな残穢から何をされたかまでは分からないな」

「そうか……」

「微弱だけど呪力が見えるから、継続的に呪われてるのは確かだよ」

 

六眼で呪われ続けてるのは分かるが、弱すぎて何も分からないらしい。

なら話は簡単だ。

掛けられた念があるなら外す念もある。

除念師……除念の術式を見つけるしかない。

 

「そこまで分かったなら津美紀は高専に移す。何らかの干渉をされたら困るからな」

「結界に囲めば、もしかしたら追加の呪いをどうにか出来るかもね。ただ確かなことは、これは何らかのマーキングってこと。そこまでしか、僕には分からないよ」

 

原因療法としては、呪いを無くすためには掛けてるやつを殺すか除念が必要だ。

対症療法としては、何かされないように結界とかで遮断するとかだ。

ただこれも、完全に防ぎ切れるか分からない。

呪われてるという縁があるのは確かだかららしい、因果とか縛りとも言う。

繋がりを断ち切れるとは言い切れないそうだ。

 

「僕の方でも助ける方法探してあげるからさ」

「うっす」

 

そうして、しばらくして、気付けば五条はいなかった。

ボーっとしてたんだろう。

 

「何やってんだよ、悪役令嬢物の主人公かよ」

 

異世界とか前世の記憶とか思い出して別人になる前触れかよ、とか冗談交じりに思ったりして、津美紀のその頭を撫でる。

お前に対しては娘みたいに思ってんのに、心配させんなよ。

お前に彼氏が出来たらとか、嫁に行くときの事とかまで考えてたのによ。

 

「恵……」

「大丈夫よ、きっと」

 

いつの間にか2体の玉犬まで出ていた。

夕方になってたのかよ。

 

「悪い、今は何も言わないでくれ」

 

心が折れそうだ。

 

 

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