呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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マジックかもしれない

前回のあらすじ、宿儺の指という超弩級のヤバい呪物を回収しようとしたら何も知らない学生が持ち出していた件。

回収に来た呪物マスター伏黒恵は呪術規定に引っ掛からない程度に回収しようとしているのだった。

なお、学生とのことで授業が終わるまで空き教室の部室でジャンプを読むものとする。

アイツら真面目だね……サボらないのか。

 

「この世にオカルトは実在するのか?」

「ノーコメントだ」

「えー、伏黒良いじゃんかよ!教えてくれよー」

「待って虎杖、もしかしたら守秘義務って奴かもしれないわ!」

「いい着眼点だな。言わないんじゃなくて、言えない。これがギリギリだ」

 

やっと来た虎杖の開口一番の質問は確信に迫っていた。

言えないわ、引っかかるからね。

えっ、お前って心臓に鎖でも付いてるのと、虎杖が言ってくる。

コイツ、ヤンキーか陽キャだと思ったら……出来る!

 

「お前、HUNTERXHUNTERを知ってるのか」

「いや、読まないけど。あのクラピカって奴がヒロインだろ」

「俺は悲しいよ虎杖……俺はお前を殺さないといけない」

「なんで!?」

 

このファッションニワカがよ!お前の知ってるは知ってるんじゃねぇよ。

話を合わせるだけの陽キャがよぉ……フロムゲー全部やってるとか言う女子高生と一緒やぞ!

 

「でもさぁ、今の伏黒ってタダの学生じゃん。あげてもいいけど、俺らも廃部の危機だからさ」

「なんでラノベの冒頭みたいな状況になってんだよ……虎杖千円あるか?」

「えっ、あるけど」

 

虎杖が取り出した千円札に手を出す。

虎杖は首を傾げて躊躇しながら俺の掌にそれを乗せた。

俺はギュッと握り影の空間に入れる。

そして掌を広げて何もない手を広げた。

 

「これが呪術だ、分かったか?」

「いや、マジックじゃん!俺の千円札は!」

「消えるんだから、あるわけないじゃん」

「聞いてないよ!えっ、返せよ!」

 

えー、じゃあそっちの指と交換ね。

指を手と手で挟んでしまい込む。

おい、やめろ!服とか叩いても袖とかに入れてねぇよ!

マジックじゃねぇって、ほら千円札はお前のポケットにあるだろ。

だから、マジックじゃねぇって!

 

「まぁ、俺も任務完了だ」

「えー、せっかく会えたのに」

「でも虎杖予定があるんじゃないの?」

「あっ、やべ!爺ちゃんのお見舞い行かなきゃ、じゃあな伏黒!先輩!」

 

そう言って窓から飛び出す虎杖。

いや待て、二階やぞ。

すげーなパルクールしながら出ていった、いや俺も出来るけど素の肉体じゃ無理やぞ。

 

「あーあ、せっかくオカルトあったと思ったのに」

「分かる。憧れたりとかするよな」

「私も呪術師になれたり」

「無理だな、才能の世界だから」

 

だから才能なんか知るか、筋肉だと鍛えまくって暴れまくったのが俺の親父なんですよねぇ。

記録を見るとエゲツない悪人っていうか、バトルジャンキーだからな。

よくそんな悪い男に引っ掛かったよな、俺の母親。

 

「じゃ、俺もこれで」

 

そう言って任務達成の連絡をして、五条と待ち合わせまでの時間に仙台観光をするのであった。

 

 

 

観光後、ホテルのラウンジでコーヒーを飲んでいた。

五条との待ち合わせ、ちょっと遅れるといつもの遅刻癖を披露させる。

あの野郎、クロ……お前の毛皮が俺の唯一の癒やしだよ。

 

「すみません、席は空いてますか?」

「……いや、周りも空いてますけど」

「フフッ、ナンパって奴です。やるのは初めてですけど」

 

俺の前にショートカットの女が座る。

顔立ちは綺麗だが、特徴的な物がある。

それは額の大きな傷跡、女としては目を引く箇所として致命的かもしれない。

だから、逆ナンなんかしてるのだろうか。

 

「恵」

「あぁ、分かっている。凝は怠ってない」

 

クロの指摘と同時に女の目線が俺の足元に注がれる。

クロが見えている、十中八九は呪術関係者。

高専所属はすべて頭に入ってる、数が少ないのもあるが雑魚以外は情報があるからだ。

つまり、相当な雑魚か呪詛師。

 

「何のようだ」

「興味深くてね、十種影法術をそういう風に使う人間は初めてだからね」

「何のようだと俺は言った」

「君は結論を急ぎすぎる」

 

コイツ、サム八を知っている!?

脅威度が跳ね上がる。

もし呪詛師の場合、拡張術式の構成具合、強化の方向性が、通常よりも跳ね上がるからだ。俺はそう思ってる。

 

「私のことを説明するには、今の呪術界の状況を理解する必要がある。少し長くなるぞ」

「つまり、どういうことだ。お前は呪詛師なのか?」

「私は呪術師ではあるが高専ではない。呪詛師だよ」

「説明はどうした」

「いや、説明はものすごく長くなるんだ」

 

話が進まない。でも呪詛師なら殺してもいいか、よし影に落として尋問しよう。

何、なんで落ちない。

 

「なぜ……バグか?」

「そうとも言えるし、そうでないとも言える」

「お前は何がしたいんだ?」

「私はね、君の中に面白さを見つけたんだ」

 

呪詛師の厄介な所は呪術規定を無視できるところだ。

ここで暴れられたら、まぁ仕方ないこととして処理出来るだろ。

その結論に至るまで色々と言われたり手続きだったり調整が必要になってくるけど、弱みになるから総監部がハッスルする。

 

「いずれ君にも分かる時が来るだろう」

「何となく話が見えてきたよ。続きは高専で聞こう」

「逃げられるのに?無駄だよ」

「無駄かどうかは俺が決めるよ」

 

立ち上がろうとした瞬間、身体が沈む。

それも垂直に、圧力!だが、五条の斥力とは違う。

これは引力!引き寄せられる感覚!

 

「無下限!?」

「君には心眼が足りないね、これは重力だ」

「重力!?」

 

ミシリと椅子から音がする。

重力使い、ならばと俺は身体を影に沈めようとして……沈まない!?

身体が浮き始めていた。

 

「術式反転か!」

 

テーブルがホテルのラウンジの天井に向かって飛んでいく。

周りから悲鳴が上がり、パニックになって逃げる奴らがいる。

クロを身体に纏わりつけて、万象の力で身体から水を放つ。

推進力による移動だ。

 

「死ね!」

「ハハッ、体術は苦手なんだ」

 

俺の攻撃を一歩下がり、下から敵は蹴り上げてくる。

クソ顎に一撃……何が苦手だ。

身体が地面に叩きつけられる、衝撃、すぐさま影に沈む。

 

「硬いね、影を固くする。それが君の世界観か」

「しゃオラァ!」

 

腕だけだし、奴の足を掴んで沈めて、影に戻す。

沈んでいた奴の足首から下だけを手に持った状態で俺は影空間にいた。

このまま嬲って削って、達磨にしてやる。

 

「術式反転が使えるなら、反転術式も使えるさ」

「だが、それよりも早く」

「君が思うより、私は早い!」

 

その速度、秤パイセンレベル!

そんなに早く治せる物じゃないはずなのに、警戒度が跳ね上がる。

 

「悪いが五条悟に気付かれた」

「はぁ?」

 

そう言って、女は俺の眼の前で地面に倒れ込む。

コイツ、自分自身に重力を使ってるのか?

 

「何して……」

「まだ私を見られる訳にはいかないからね、いずれまた会おう伏黒恵」

 

重力が増していく、床が沈み女が潰れていく。

自滅して、何がしたいんだ!?

 

「術式を見られる訳にはいかないだと」

「アハッ」

 

グシャっと一際重力が強くなった瞬間。

血飛沫と一緒に挽肉になった。

 

「恵!」

「……五条か」

 

そんなタイミングで、ヤツの言っていた五条悟が飛んでくる。

なんか片手に見知った学生を掴んだ状態で、文字通り窓をブチ破って空から飛んできた。

それは半裸の虎杖であった、なんで上半身裸なの?

 

「どういう状況」

「こっちのセリフだわ」

 

謎の女のことを説明する前に、なんでお前が虎杖を掴んで持ってるのとか、意味分からねぇ残穢がこびりついてる虎杖の状況とか教えてほしい。

 

「取り敢えず、帰るか」

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