高専に帰る間、俺達は情報を交換する。
まず虎杖だが、虎杖の祖父が死んだタイミングで病院にいた時に呪霊が発生。
何故か視認できた虎杖、戦ったが死にかける。
そんなタイミングで謎の男が現れて、助けてくれたらしい。
だが男は虎杖を助ける際に身体の下半身を食われてしまい、まだ病院にいると呪霊の情報を残して一本の指を渡してきた。
それは俺が回収した指と同じ、両面宿儺の指。
これを飲めば力を得る代わりに呪われる、それでも私の代わりに戦ってくれるか。
そして虎杖は指を飲み、結果として身体を奪われて、奪い返して呪霊を倒したらしい。
身体の中に両面宿儺が封印されて、溶け込んでるんだってさ。
「絶対それ、仕込みでしょ」
「だよね、恵があったのも傷があったんでしょ?僕が来た頃には死体もないし」
俺を襲撃して勝手に染みになった奴と病院にいた奴が同一人物っぽい。
術式だろうか、憑依する術式とかありそう。
縛りは見分けがつく、それこそ額の傷かな?
自分が傷付けたとか、意識を奪っておくとか、時間が必要とか、いろいろな制約はありそうだけどありえない話じゃない。
「まぁ、僕が防ぐけどさ。十中八九、乙骨みたいに秘匿死刑案件だよね」
「ははーん、さてはコイツってナルト的なね。九尾の小僧みたいな」
「あぁ、うん、恵の中ではそうなんだろうね。恵の中では」
いやいや!普通は死ぬはずの呪物を飲めるってすごいことだぞ!
昔、結界術で封印しまくって人から呪物になった獄門彊ってのもあるしな、天元が持ってるやつ。
多分、虎杖は同じような奴だ。
「まぁ、若人の青春を守るのが教師の仕事ってね」
「夏油の仲間とかだったりする?」
「えっ……うーん、なんのために飲ませたか分からないな」
ほな違うのか、っていうかコイツの異常な身体能力からして何か腑に落ちないんだよな。
体質に目をつけられたのか、それともそうあるべきと作られたのか。
高専に帰るまで謎が深まるのだった。
高専では緊急の封印処置が行われた。
限られた人間しか入れない部屋、結界と呪符による拘束、そして五条は連行される。
俺はというと、みんな大好き天元ちゃんにスパチャを送っていた。
『めぐみんさん、赤スパありがとう!悩みを相談出来る相手がいないけどどうしたらいいか。まずは身近な人に頼るのがいいと思う、勇気がいるのは分かるけどスパチャできた時点で一歩目が踏み出せてる!頑張れ!天元ちゃんは応援してるぞ!』
等と申されており、配信が終わってから自室を出ると防音室のある配信部屋に繋がっていた。
「それで、相談とは何かね。恵」
「戻して……戻して……」
「私にとって姿形などは関係ないよ」
「おぉ……美少女になった」
化物で登場した天元がコスプレイヤーですかと言わんばかりのフリフリのドレスを着た美少女になった。
こいつの本体は地下にあるって知ってるからな、こっちのほうがいいよ。
そう幻だからやりたい放題である。
5万払ったんだ、頼むよ天元。
「額に傷のある呪術師について何か知ってるか?」
「あぁ……羂索という呪術師がいる。かつて加茂憲倫の身体を奪っていた呪詛師だ」
「ビンゴ!ソイツが俺の前に表れて自殺したんだが、やはり憑依の術式か?」
「肉体を奪う術式であるのは確かだが、詳しくは分からない」
加茂憲倫、呪胎九相図の作者で加茂家の汚点の人だ。
歴史で習ったが、ソイツの可能性がある。
「だが自殺と言ったかい?」
「あぁ、挽肉に……奴は重力の術式を使っていたぞ。乙骨パイセンのようなコピーか?」
「かつて、奴は赤血操術を扱えていた。複数の術式を扱えるのかもしれない」
「ほぉ、そういうのもあるのか」
つまり、敵は羂索。
羂索は重力と憑依の術式を持っている。
肉体を破棄したということは、端末みたいなものか?
ペイン六道的な呪術師の可能性がある。
術式を複数扱える。
あと、虎杖に両面宿儺の指を食わせたい。
「謎が深まるな……あっ、忌庫に繋げてよ」
「何をする気だい?」
「虎杖って呪物飲んでも平気ならさ、残してても仕方ない呪胎九相図飲ませようかなって」
「なんでまた……」
「いや、夏油とか残してたら悪用しそうな奴がいる訳だし、残す意味もよく分かんねぇよ。悪用されないためなら食べさせちゃおうぜ」
なんで保管してるのかは多分、両面宿儺の指のような壊せない強度、あれは確かそれ自体が害を与えない縛りで保たれてるからだったはず。
副次効果として今回みたいに被害を出すけどな。
だからいつか壊せるまで悪用されないまで保管しようってのが高専の方針なんだろう。
だったら、虎杖に食わせようぜ。
多分、制作者が一緒なら相性良いだろうしな。
「しかしね、あれは呪術的文化財であって」
「美術品としてなら安全なものにしなよ、毒物とか最初に出来た奴だからすご~いって褒めてるようなもんやぞ」
「ふむ、しかしだね。後で何を言われるか分かったものでは、悪戯ではすまないんだが」
「でぇじょうぶだ、五条がなんとかする」
てか総監部が何だよ、俺の命を奪いに来るなら来いよ。
ウチの魔虚羅になれるかもしれない、シロとクロが黙っちゃいないぞ。
まさに、他力本願!
如何に残しておく事と保存することが問題かプレゼンし、呪胎九相図以外は持ち出さない縛りを結ばされた。
コイツ、俺が呪具を盗むのを予想してやがる、チッ。
とはいえ、門番をスルーして忌庫にダイレクトエントリーした俺は服で覆っては影の世界に取り込んだ。
でっかい風呂敷があれば、不思議で便利な大風呂敷ごっこできるで。
さて、沙汰が決まったのか五条が虎杖の所に入ったという話を聞いて翌日、俺の住んでる学生寮の隣に虎杖が来た。
「おっ、伏黒じゃん!元気かよ!」
「元気だよ馬鹿、お前何してんだよ」
「痛てっ!おい、もっと馬鹿になったらどうすんだよ」
呪物を飲み込むなんて相当な馬鹿だろ、それも不審者から渡されてだぞ。
てか、なんか顔に瞼があんだけど。
「ケヒッ、コイツが伏黒か」
「キモっ、これが宿儺か……デイダラかよ」
「なんか勝手に出てくんだよな」
「味とか分かんのかな、じゃがりこ食わせてみるか」
試しに近付けたら、やはり食べれるのかバリバリ食ってやがった。
おもろ、なんだコイツ。
「油っこいだけで芋の風味に欠けるな。素材を殺して塩味で誤魔化す、子供騙しだな」
「滅茶苦茶、語るやん。てか味分かるのかよ」
「料理漫画のキャラかよ、チョコ食わせようぜ。平安時代にはないぞ」
「面白い、俺を楽しませてみろ」
オラァ!トッポやぞ、最後までチョコたっぷり喰らえ!
「両面宿儺で遊ぶのは恵くらいだよ」
「どうせ復活出来ないからヘーキヘーキ」
「復活したら貴様も殺してやろう」
「あぁ?ジョロキア飲ませんぞ」
あっ、口消しやがった。
物は知らなくてもヤバいって分かったのか、勘のいい奴め。
「はいはい、遊んでないで任務行くよ。あと、紅一点の生徒迎えに行くから」
「紅一点ってなんだ」
「女子の事だよ、勉強しような虎杖。後で差し入れやるから」
「マジかよ……どこでそんな知識を」
「馬鹿お前、ジャンプに書いてあんだろ。さてはオメー漫画読んでないな」
「あぁ、ウチ貧乏だからなぁ……爺ちゃんの年金で買う訳にいかねーし」
ふむふむ、後でBLEACHやNARUTOを見せてやろう。
あれって身体の中に何かいるやつらだからな、うしおととらでも良いかもな。
それはそれとして差し入れとして呪胎九相図あるからな。
「あっ、虎杖指やるよ」
「さっさと寄越せ、小僧」
「おぉ出てきた、よしよし卑しん坊め」
噛みついてるけど噛み切れなくて、掌の口がパクパクしてんのオモロ。
ハハハ、罵倒しても全部は飲ませないぜ。
「ええい、半端に突っ込みやがって」
「お願いします、伏黒様って言ってみろよ」
「うわぁ、性格悪いな伏黒」
「恵でいいぞ、姉貴と分かんなくなるし」
「じゃあ、悠仁でいいよ」
「おけ、把握した」
宿儺をおちょくりながら任務に向かうのだった。
原宿かぁ、クレープ食べたい。