原宿までの車の中、俺は悠仁に苦言を呈していた。
「紙の漫画を読みなよ、電子書籍は味気ない」
「でも、今持って無いやつ読めないじゃん」
確かに、それに気付くとはコイツ天才か?
悠仁には昔のジャンプ作品を読ませている。
何、時間が足りない?だったら寝なきゃいいだろ。
取り敢えず、今のところはNARUTOしか見てない。
「これ、九尾って宿儺みたいな感じなのかな」
「おい、この俺様を畜生と同列に語るな。殺すぞ」
「いや、多分ぬ~べ~の鬼だな。オレ、ニンゲン、ミナゴロシみたいな」
「鬼如きと同列に語るな。殺すぞ」
「Botかよ」
まぁ、方法が無いわけじゃない。
領域を極めれば精神と時の部屋を作れるって天元が言ってたから、そこで漫画を読むって手もある。
「でも宿儺は封印されてる訳だし、何もできないんじゃ」
「馬鹿かよ、ジャンプの展開じゃ暴走は一回はするもんだぞ」
「宿儺が暴走したらヤバいじゃん」
「そうだよ。やるとしたら縛りだな、縛りを教えてやるよ。例えば、悠仁はこれから俺が言うことを一回聞くって縛り結ぶって誓え」
「嫌だけど分かった、結ぶ」
あぁ、だから君は馬鹿なんだよ。
ということで、こちら呪胎九相図でございます。
「待って、何そのホルマリン漬けのブヨブヨしたの」
「呪霊と人間の胎児の死体」
「ご、五条先生!助けて」
「アイツは寄り道するから車内にはいないよ。さて、縛りは守らないと死にます」
「えっ、そんなヤバいの!?」
「フハハ、そんな事も知らんのか小僧。他者と結んだ縛りこそ厄介な物はないぞ」
死ぬは言い過ぎだけどペナルティは食らう。
まぁ、言わなきゃマジで死ぬと思ってるだろうな。
「まぁ、指みたいなもんだから。全部食べるか死ぬか選んで」
「一択!実質、一択だよ!」
「良かったな、まだ優しくて。例えば宿儺と結んでたらもっと悪辣だったかもな。肉体を渡すとか」
「しねーよ!」
どうかな、俺ならあの手この手で縛りを結ぶけどな。
まぁ、これだけ警戒したら不用意に縛りを結ばないか。
五条とかそのへん教えてなさそうだしな。
「はい、丸呑みね」
「嫌すぎる……ええい、ままよ!」
「はい、あと8つあるよ」
「あ、あぁ……なんか、なんか悲鳴が聞こえる!?」
どうした悠仁、頭なんか抱えて。
えっ、頭の中で悲鳴が聞こえる?幻術か?幻聴だから気にするなよ。
「なるほど、実は生きていたか」
「ほーん、まぁ知らんけど」
「ちょ、まっ、ふがんごぉ!?」
逃げようとする悠仁を影で拘束して、無理矢理突っ込む。
ほら、生きてるなら兄弟一緒にしましょうねぇ。
「チッ、有象無象が」
「何すんだよ!なんか俺の中でバトル始まってんだけど!」
へぇ、面白いな。
なんで悠仁がそんな事が分かるか知らんけど、生得領域を共有してるのか?
呪力が増してるのも面白いな、コイツさてはトリコだな。
「に、兄ちゃん……どういうことだってばよ」
「どうした急に」
「分からない……俺は知らないのに、知ってる……なんだコレ」
悠仁は頭を抱えながら号泣していた。
お前の情緒どうなってんだよ。
なお、なんか宿儺の方から忌々しそうな舌打ちが聞こえる。
「やってくれたな、小僧!貴様の指を寄越せ!」
「どういう状況なの?ねぇ、お願いしますは?」
「……チッ、指2本とはいえ……ほぉ赤血操術か!面白い!」
「……チッ、説明しろよ」
よく分かんねぇけど気にしないほうがいいよ、だから泣くなよ。
あと多分あれだな、ちょっとさっき負けそうになってたんじゃねぇの?
そりゃ10%くらいしか力ないもんな。
「う、うるせぇ……」
「でも生得領域だろ、聞こえないと思えば心の在りよう的に何とかなるだろ」
「待って、生得領域とか専門用語やめてくれよ、分かんねぇよ」
「あぁ、そうだよな。まだ数日も経ってないもんな」
その辺とか五条は多分教えないよね。
悲鳴が聞こえるとかグロッキーな悠仁に色々と教えながら原宿に向かった。
原宿、クレープが美味いって悠仁が言うので買い食いしながら五条を待つ。
何やら数の暴力で疲れてきている宿儺に寄越せとか言われたのでポップコーンをあげたけど、不味いとか言いながらペッてされた。
クレープは美味かったらしい、もっと寄越せと言われた。
コイツ、さては甘い物が好きだな。
「あっ、いたいた。おぉ、制服届いたんだね。なんか顔色悪いね、悠仁。どうしたの?」
「先生、伏黒が呪物飲ませてきて何か脳内で兄弟が出来て宿儺とバトってる」
「なんて?」
悠仁の説明に目隠しを外してちゃんと見たら悠仁の中に呪胎九相図が溶け込んでるらしい。
やったね悠仁、宿儺とか九相図の術式が宿るらしいよ。
羂索ってのもそうやって手に入れたのだろうか、あっ羂索のこと報告してねぇや。
まぁ、言ったらどこから聞いたか聞かれるから黙っておくか。
「はぁ……やってくれたね恵。他に隠してる事は?」
「ないよ」
「本当はあるでしょ、呪具とか盗んでないよね?縛り結べる?」
「…………」
「すごい、伏黒が今まで見たことない顔してる」
うるさいぞ、畜生。
勘の良い教師は嫌いだよ。
そのまま隠そうと思ってたのに羂索のことを言わざる得なくなった。
「はぁ……天元も困ったものだ」
「てか、なんで原宿なんだよ」
「そうだよ先生、クレープしかねぇよ」
クレープ以外もあんだろ、おいROCKってサングラスどこで買ったんだお前。
よくそんなの売ってたな。
「まぁ、本人の希望だし……あの娘だね」
「あの娘か……てか、生徒3人って少なくね?」
「そうかぁ?呪いなんか見えるやつ少ないし、そんなもんだろ」
五条の指差す先には、オッサンの胸倉を掴む女がいた。
えっ、ヤンキー?カツアゲ?
「ハッキリ言えよ、私はどうなんだよ」
「すいません、許してください」
そんな女に五条が話し掛けるから、女がこっちに来た。
すげぇ、ツンツンしてる。
アスカ・ラングレーかよ。
式波か惣流かで話が変わるけどな。
「釘崎野薔薇よ、喜べ男子、紅一点よ」
「紅一点だろ、習った!俺、虎杖悠仁な!コイツ、伏黒よろしくな!」
「伏黒恵だ。お前、好きな漫画は?」
「…………ハァ、私って環境に恵まれないのね」
あっ、コイツのこと俺嫌いだわ。
何だこのナチュラルに見下してくるの、田舎者はこれだからよぉ。
「じゃあ仲良くなったところで、行くでしょ東京観光」
「東京!?」
「観光!?」
「お前ら、五条だぞ。絶対騙されてるぞ」
シュタっと膝をつき、拝命しますと恭しくしている二人に五条がこれまた威厳たっぷりに六本木などという。
はい、絶対嘘だぞ。何年生徒やってると思ってんだ。
「騙したな!まだ伏黒にしか騙されてないのに!」
「誰のお陰で米食えると思ってんだ、謝れ!」
案の定、やってきましたは廃ビル。
五条に騙されてご立腹な二人がいた。
まぁ、東京って田舎なところもあるから嘘は……いや、郊外だし嘘やん。
「じゃあ、二人の実力みたいから……あっ、悠仁はこれね」
「何これ、あっそうか呪いは呪いでしか祓えないって……武器か」
「それ、すっげー高いから壊すなよ。呪具って物によっては一億くらいだから」
「あぁ、うん。呪詛師の呪具、横流しして稼いだ恵が言うと説得力あるね」
ヤクザとかのお金とかマネロンするの大変だからね。
呪具の金とかも冥冥さん経由で手数料掛かるけど洗浄しないと使えないし、呪術関係の収入と日本社会が合わなすぎるんだよ。
「じゃあ、僕と恵は待機してるから頑張って」
「はぁ?何でそいつだけ」
「お前が俺より弱いからだよ、釘崎」
「後で覚えておきなさいよ、ぜってーボコす」
「俺に何かしたら影に入れてやった買った物がどうなっても知らんぞ」
「出た、伏黒の卑劣な術式だ。物質に取るなんて、卑怯だ」
「もっと言ってやりなさい、虎杖!」
なんでお前ら急に仲良くなってんだよ、早く行けよ。