「ハッ!?メス!」
「おや、おやおや?」
俺の眼の前に、ギラギラしたメスが見えた。
なん、どこ、おれ、あれ!?
「俺ってばフルチンじゃん!」
「ちょっと、残念」
「あの、恥ずかしいんですけど」
周りを見れば、窓の人と五条先生がいる。
ここ、手術室か?あぁ、そっか……俺、死んでんだった。
「悠仁、おかえり!」
「うっす、ただいま!」
嬉しそうな五条先生とハイタッチして、なんか肩を掴まれた。
「さて、覚えてること全部教えてもらおうか。縛りとか宿儺と結んでないよね、真理の扉で記憶飛ばしたアルフォンス状態じゃないよね?それか、クロロでもいい、ホビホビの実とかもあるか」
「あー、訳わかんねぇこの感じ、戻ってきたんだなぁ。それがさ」
俺の中にいた九相図のこと、宿儺の弱体化、全部洗い浚い話すハメになった。
えっ、ちゃんと報告しないで修行するの?なんか、ジャンプみたいじゃん!修行編かぁ、面白そう。
煙が上に登っていく、火のついた煙草の煙は吸い慣れた重い奴。
ピースなんてふざけた名前で、この世にそんな物はないと分かるくらいヤニが回るしんどい奴だ。
まぁ、吸った後に抜けてくのはバニラの香りでいい香水を嗅いでる気分に、頭クラクラしながら浸れるけど。
久しぶりに吸ったけど、こんなんだったけな。
18年ぶりだから仕方ねぇな、そんでストゼロですわ。
海外じゃ売ってねぇんだよな、あぁキタキタ身体に悪い未成年の知らないアルコールの味。
喉を通る熱い感覚、吸う空気がひんやりとして、鼻を抜けるアルコール臭さ。
レモンの味が口の中をさっぱりさせる、ストゼロだ、身体に悪そうな味してるけどこれがいい。
「うわぁ、不良じゃん」
「おぉ、釘崎か。吸う?飲む?」
「やんねーよ……アイツ、最後長生きしろって言ったんでしょ。自分の方が先に死んでちゃ、意味ねぇよ」
「反転術式で全身リフレッシュだわ」
ヤニクラとアルコールが回って、嫌なことが全部クリアになっていく。
津美紀も、反転術式で直せるかと思ったら呪いが肉体に溶け合って無理だって分かった。
硝子先生で無理でも、円鹿の高出力なら行けるかと思ったけどな。
透明な水に絵の具ぶちまけたみたいなもんらしいが、何とか濾過できればいいが、普通の呪いじゃないらしい。
「はぁ……あぁ、キタキタ、ヤニクラだぁ〜」
「夏服、まだかしらね……」
「おい、おいおい!何だ、その湿気た面ァ!お通夜ですか!」
俺が現実逃避していると、何やら真希おっぱい、略してマキパイがやってきた。
そうだよ、空気読めよ。
「誰あれ」
「マキマキ、おっぱい先輩だ」
「マキマキやめろ!あと、おっぱいが名前みてぇになってんだろ、殺すぞ!」
殺す、殺すねぇ……あまり強い言葉を吐くなよ、気持ち悪くなる。
ヤベ、吐きそう。
「オェェェェ」
「うわ、汚ッ!」
「真希!真希!マジで、死んでるの!」
『本当に通夜何だよなぁ、鬼畜かな』
「は、や、く、い、え、よ!私が気遣いできねぇーやつみてぇじゃねぇーか!」
何だ知らなかったのか、知らなきゃしょうがねぇのか。
あぁ、頭痛いなぁ……飲まなきゃ、3本目いっきまーす!あぁ、ヤニ!ヤニも2本同時に吸っちゃうぞぉ〜、フヘヘ。
「うわぁ、また飲み始めたし……見たことない状態になってる」
「おい、あれタバコだろ。遂にグレたか」
「悪い先輩とつるんでるから、アイツらめ……」
『明日にはパチンコしてそう』
あれか、京都姉妹校交流会の時期かぁ。
なるほどなぁ。
「っていうか他は誰よ、特になんかやべぇ呪力の人とか」
「呪言師、棘、喋ると言う事聞かせられるエロ同人みたいな術式、パンダ、ホムンクルスみたいなもんだ、人造の呪術師、影の薄いのはロリコンの乙骨パイセン、無限の呪力とコピーしてくるラスボス、あとスタイルだけが取り柄のマキ、術式がない代わりにゴリラ」
「説明しろって言ったけど一気に来すぎぃ!」
面倒な、お前が言えと言ったんだろうに。
秤パイセンとかは今度でいいか、いないし。
「おい、ボンクラ共が停学終わってないから数合わせで出ろよ」
「喪中にすまんなぁ、京都姉妹校交流会の話だ」
「何それ、解説!ほら、解説」
「昇級を掛けた個人戦と団体戦で、バトって給料上がるやつ」
「身も蓋もねぇ……あってるけど、人間社会は悲しいなぁ」
金いらずの笹だけ食ってりゃいいパンダに言われたら世も末ですよ。
政治家とか総監部とかブッ殺そうかなぁ、呪詛師になっちゃうか、ハァ……ダウナー入ってるな。
「ごめんね、僕出れないから」
「憂太は私とデートなのよ!」
『デェェトォォォ!』
「えっ、何したのこの人。ロリコンだから?」
「違うよ、特級だからだよ……慣れたけどね、それ言われるのも」
化物と幼女に前後から挟まれてる乙骨パイセン。
まぁ、強すぎるからだけどね。
総監部が手を付けられない奴から特級になってる気がする。
とはいえ特訓することになった。
言うて、みんなで授業と同じで頑張るだけ。
俺は円鹿の力を使いまくって、ひたすら感覚を掴む修行だ。
これで反転術式が使えるようになる。
そのために作られたような式神だな、まるで手本みたいな。
「そういえばさ、マキパイの実家に呪具とかあんじゃん」
「何だよ藪から棒に、実家の話はすんな。いけ好かない金髪思い出すだろ」
「呪い返しとか解呪とか縁切りの呪具とかねぇの」
「さぁな、あぁ、昔見た刀があったな。釈魂刀って、魂も裂けるって言われてんの、なくなったらしいけど……急に何だよ」
「いや、姉貴の解呪とか、あと双子って同一人物扱いらしいのよ。シロとクロとか、だからパイセンも中途半端に縛られてるなって」
詳しく聞かせろと前屈みになるマキパイ、うお、デッ!えっ、どっ!
おい隠すな、見えないでしょーが。
何でバレんだよ、はっず。
「お前は横目だが、感じるんだよ!心で!」
「うわぁ、最低」
「おい、俺が悪いみたいに言うなよ釘崎!お前にはなんねーよ」
「なれよ!魅力がないって言いたいんか!呪うぞ!」
「待てよ、釘崎のってどうなるんだ?」
例えば、マキパイを呪ったら、マイマイの方にもダメージ行くんだろうか。
双子は同一人物ってことらしいが、それはどうやって判断してるんだ。
いや、俺という例があるし魂か。
いや違うな、魂なら別々なはずだから同じ扱いはしないはず。
身体的特徴か、とあるの聖人みたいなものか。
それとも概念的な問題で肉体や魂は関係ないのか?
「試しにマキパイ、仮死状態になってみね?」
「はぁ?急にブツブツ言ったと思ったら何言ってんだ、アルコールにやられたか?」
「じゃあ、マイマイに術式と呪力を捨てる縛りとかさせるか。そしたら、もっと強くなれると思うんだよな」
「マイマイってお前……暗にアイツに死ねと?」
「おいおいアタマ禪院かよ!術式なくたって、呪力なくたって生きていけんだろうが」
多分、この可能性には勉強してれば到れるはずだし、あっちも知ってそう。
だから力尽くでやるしかねぇんだけどな。
「一時的に術式が使えなくなる代わりに、身体能力が上がるとして……その場合バフは半分になるんだろうか。ナナミン式ありだな」
後は天与呪縛を解除する方法があってもいいと思うが、本人すら意図しない縛りが生まれた時からって言うなら生まれる前から縛ってるんだろう。
魂とか前世とか、肉体のない時に縛ってる訳だから魂に干渉して弄ったりしないと難しそうだな。
魂に干渉する術式なんて、釘崎のしか今んとこ知らんけど。
呪術師のサンプルが少な過ぎる、やはり術式を捨てさせることが一番の近道か。
「本人の認識と関係ないのが面倒くさいな」
「まぁ、難しいこと考えんなよ。お前の親父レベルは流石に無理だろ」
「調べた限り、あれはバグだから。五条が術式と呪力捨てるレベル」
「やっぱお前の親父おかしいよ、腐っても禪院家だもんな」
「今は伏黒だけどね」