グラウンドが爆発する。
巨大なリカが俺達を殴りつけ、背後からは俺の術式をコピーした無限の呪力を持つ里香が式神を大量に出す。
それに紛れて馬鹿みたいな呪力とセンスで乙骨先輩が、たまに不意打ちしてくる。
メインアタッカーのリカ、タンクのリカ、バッファーの乙骨だろうか。
「うぉぉぉ!第二解放!」
「ロ、ロボだ、すげぇぇぇ!」
いつの間にかぬいぐるみからジョブチェンジしたパンダが、空からやってきた金属系のパーツと合体していく。
大きさは普通にトラックレベル、すごい背丈も同じくらいデカくなった。
なお、ドッキングしてる本体はすっごくちっちゃい。
学長、ついに呪骸をぬいぐるみ以外でも作るようになったのか。
「今の俺は、かーなーりー強いぞ」
『うぅぅぅ!コイツぅぅぅ!』
殴打してくるリカを、巨大な同じくらいとなったロボで戦うパンダ。
お前、胸に本体がいて手足がデカいだけだから弱点丸出しじゃねぇーか。
大量のウサギと犬と鳥と蛇とカエルと鹿と虎と象と牛が来る。
「えい!やぁ!それいけ!」
「えぇい!可愛くない攻撃ばかり」
『駆けろ!強くあれ!動くな!弱くあれ!』
対象を選択した棘先輩、棘が俺を抱えて爆速で駆ける。
目眩ましにいた大量の兎が止まる。
しかし、その中からすげー速さの牛が突っ込んできたと思ったら、空中からは雷と鵺が飛んできた。
グレイを纏ってる俺や呪言で防ごうとする棘が動けば、大蛇が円鹿を頭でフルスイングしてふっ飛ばして、円鹿は円鹿で光りながらぶつかってくる。
しかもその光は呪言を無効化し、照らした所から俺の術式を無効化して剥がしてきた。
「しまった!?」
体勢が崩れたら蝦蟇の舌が棘と俺を掴んで地面に叩きつけてきた。
「パオォォォ!」
「飛んだぁぁ!?」
倒れた俺達の頭上に万象が空から降ってくる。
自分の鼻を地面に向けてそこから大量の水を出して、背中から飛んできやがった。
あの重さは、普通に死ねる、マジで殺しに来てる。
あの人反転術式のアウトプット出来るから腕の一本くらいとか考えてそう、頭湧いてんのか!呪力も練れないんだぞ、円鹿邪魔すぎる!
『呪力を捨てろ!強くあれ!』
「吹っ飛びな」
そのピンチを棘の呪言を聞いた真希が救う。
そう、呪言で真希の天与呪縛が強化されるのだ。
何でかは分からんし、もしかしたら一時的とはいえ新しい呪いは真依の方も呪ってるかもだけど、いないから知らない。
でもって目にも止まらぬ早さで、殴った体勢で空中に浮かんでる真希。
そして吹っ飛び地面に落ちる万象。
メインアタッカー来た!これで勝てる!よし、ついでに一般人に強制的にしてくる円鹿も倒してくれ!
「カハッ……乙骨、テメェ」
「真希さんなら、このタイミングで来ると思ってました」
そんな真希の身体に刀が突き出てくる。
背中から腹に向かって、乙骨パイセンが不意打ちで刺したのだ。
馬鹿な、早すぎる!
「痛てぇだろうが!」
「今の僕は無敵だから」
「はぁ?」
いつの間にか裏拳を叩き込んだ真希、そのパンチを受けながら平然としたまま刀を捻る乙骨パイセン。
頭上には何か金属のハンドルみたいなのが浮いている。
「あたしの拳に無傷だと!?」
「もう、その拳は覚えたよ」
吹っ飛ぶ真希、そのままゆっくり降りてくる乙骨パイセン。
何が起きてるんだ、俺達の奥の手が、どうなってやがる。
「時間を稼ぐわ!行け!」
「あぁ、タイミングを合わせろ!」
「芻霊呪法、共鳴り!」
「ぐっ……」
突撃する俺を迎え撃とうとした乙骨パイセンが膝を着く、その隙を俺は狙い撃ちする。
「効いたな……それも覚えたけどね」
「マズイ!効いてないわ!」
隙を狙って突っ込む俺の攻撃は、俺の前に来た虎の式神によって妨害される。
虎の式神、虎葬の身体から光の壁が出てきて俺の進行を防ぐのだ。
殴っても壊れない光の壁、ATフィールドである。
そして、その向こうでガコンとハンドルのような物が回る。
瞬間、理解した、まさか、そういうことか。
『恵、あれは』
「クソ!硬い!だが、時間が!」
俺は知ってる、だって、あれは!
「魔虚羅を、魔虚羅を調伏したのか!」
「簡単だったよ……召喚中に呪力砲で焼き尽くしたからね」
「なんてヒデェ事を、人でなし!」
クソチートで攻略しやがった、でもって俺みたいに式神を纏ってやがる。
ぼくのかんがえたさいきょうのフィジカルギフテッド作成が、普通にチートで防がれた。
「そんなん、ずるやん!チートや!チーターや!」
「君の術式なんだよなぁ」
「待たせたな!殴らせろ乙骨!」
リベンジに燃える真希が飛んでくる。
それを虎葬の光の壁が防ぎに来る。
「殴れんなら、壊せんだろ!」
「そんな!?さっきより強い!」
壁が崩壊して、虎葬が引き裂かれる。
何か衝撃波でウサギ達が吹き飛ばされては煙になる。
敵討ちに来た大蛇が飲み込むも内側から引き裂かれ、突っ込んできた貫牛はパンチで頭部が爆散した。
蝦蟇は舌を千切られ、円鹿は角を折られ、鵺は羽根を折られ、玉犬はいつの間にか二体とも生首になってた。
しかも、それが数秒で行われた。
「えぇ……」
「よし、慣れてきた」
ドン引きだよ。
思ったよりやべぇよ。
何がって全ての行動が速すぎて見えないんだよ。
あと二度と召喚できないのと、乙骨パイセンがクソ強化されてる件。
何やってんだよ量はないけど、質は上がってるぞ。
しかも、こっちは棘の呪言が切れたら負けだぞ。
「頑張れ憂太ぁぁぁ!」
「行け、真希ぃぃぃ!」
幼女とパンダの声援が聞こえる。
パンダ、生きてたんかワレェ!リカちゃんは……なんか旗振ってる。
「……シャケ」
「ステゴロ始めたぞ、あの人達」
手を伸ばせば触れられるような距離、そこでお互いに殴り合っている。
なんか腕がたくさん見えるし、身体がブレブレの映像みたいに残像を残して動いてる。
一般人視点じゃ何が起きてるか分かんないよ。
あっ、真希が吹っ飛んだ。
「チッ、最後手加減したろ」
「いや、適応したパンチ力を超えてくるの意味わからないよ」
「効かないくらい硬いなら、効くくらい強くなるしかないだろ」
見えてなかったけど、防がれる度にそれより強い威力でパンチしてたんだろうか。
適応間に合わないくらい強くなってくの何だよ、ノイトラ戦の更木剣八かよ。
っていうか物理無効とかに……無効ってどうやるかイメージ出来ないから出来なかったのかな?
そして、俺達の戦闘訓練、午前の部が終わった。
疲れた、試しに俺の術式コピーしてもらったら意味分からんくらい強かった。
つーか、調伏の儀式の時間は設けたけど1時間そこらで全部調伏は普通にすげぇな。
「はぁ、疲れた。もう腹の傷治ってるし、お前の親父やべぇな」
「やべぇのは同じ天与呪縛のお前だよ、あと乙骨パイセン」
「言えてる、無限の呪力とコピーって、敵側だろ」
ワンチャン、五条の無下限も適応してしまえば乙骨パイセン勝てるのでは?
一方通行に対する木原神拳みたいにさ。
「部下を倒したら強くなるとかラスボスかよ」
「やめてよ、僕の術式じゃないんだよ」
「あー、なんか恵とやったゲームにそんなのあったな」
「パンダの言う通り、ラスボスだろ」
おつかれラスボス、流石ラスボス、強かったなラスボスと乙骨パイセンの渾名がまたしても増えた。
「恵、荷物持ちで飲み物買ってこいよ。影に入れたら楽だろ」
「えー」
「ほら、金やるから。1年で買ってこいよ」
「行くわよ伏黒、何飲もうかなー」
改めて俺の術式のヤバさについて認識したのに、使い道が影に収納ってそれでええんか。
仕方ないから釘崎と自販機に向かう事にした。
で、嫌な奴に会う羽目になった。
「なんでいんだよ、東堂!」
「久しいな、伏黒!」
「さぁ、楽しませろ!」
「ハッ、今の俺は機嫌が悪いぞ!」