事件は映画館で起きた。
変死体、およそ人間の犯行を逸脱した狂気の現場。
警察は鑑識の前に呪術高専に依頼し、呪術師の派遣を決定。
なお、現場は混乱を招く為、箝口令を敷くものとする。
「映画館?」
「そっ、呪術絡みのね。ってことで紹介します」
「あっ、ナナミン」
「脱サラ呪術師の……なんて?」
虎杖の前に、見知った顔があった。
伏黒経由で知り合い、一緒にゲームして、何回かオフ会であったことがある七海建人であった。
「その紹介は辞めてください。お久しぶりです、虎杖くん。やはり生きてたんですね」
「お久しぶりです。よろしくお願いしまーす」
「あぁ、うん、多分恵案件だな。まぁ、じゃあ細かい事はいいか」
どうやら今回はナナミンと任務らしい。
任務は遊びじゃない、引き締めていかないといけない。
事件は映画館で起きたらしい。
だいぶ古いタイプの映画館で昔の映画とかを扱ってたが、まぁ不良の溜まり場となっているらしい。
中で何が起きてるかも年寄りとバイトしかいないため分かっておらず、事件が起きてしまった。
「おい!ちょっと!一般の人は入らないで!」
「はぁ……私はこういう物です」
「はぁ?それが何なんですか」
「あっ、おい!すいません、まだ新人でして!どうぞ、お願いします!」
事件現場では刑事ドラマみたいなのを七海がやっていた。
警察の人が文句を言ってるが、上司らしき人が宥めてる。
すごい、ドラマみたいだ。
だが、気を引き締めないといけない。
クソな現実だから、リアリストになれと伏黒が教えてくれたからだ。
凝を怠ってはいけない、ここは既に戦場だ。
「七海、残穢があるね」
「教えようと思ってましたが、いい心掛けです」
「へへっ、凝は基礎だからな」
「……凝?何だそれ、知らない」
えっ?えっ?と互いに顔を見合わせる。
おっと、屋上に気配があるから、この話はやめようか。
「いいいい、せんざいいい」
「呪霊だ」
「ですね、戦えますか?」
「もち!任せてよ」
異形の化物が出てくる。
呪霊と戦うのは久し振りだな。
俺に割り振られた任務、それと呪力量、そこから見るに術式は持ってない。
「私の術式は――」
なんか聞かなきゃいけない流れだけど無視。
今は集中して打撃と呪力を同時に行う。
「破ァ!」
パンチが呪霊に入る。
黒い閃光、それは……発生しない。
遅れてやってくる呪力の打撃が呪霊に追加ダメージを与える。
ドッドッドッと、都合4回。
伏黒曰く遅れてくる呪力の打撃、それを意図的に増やすのは難しいはずなのに、何かできた釘パンチだ。
ちなみに二重の極み的なのをやれると、黒閃というのが出て強くなるらしい。
身体に穴が空いた呪霊、よしトドメを刺すか。
「待って下さい、虎杖くん」
「どうした七海」
「落ち着いて聞いて下さい、彼らは人間の可能性があります」
そうなんだ。
受肉体と言う奴だろうか。
その可能性、そういうのと戦うのは、想像していた。
「七海、コイツらって助けられるかな?」
「それは分かりません。反転術式を用いたら、あるいは」
「そっか……宿儺聞こえるか!コイツら、お前の力で直せないか」
「何を!?」
俺は俺の中にいる宿儺に聞く。
もしダメなら、覚悟を決めないといけない。
『どうしてそんな異形を助けようとする』
「だって、同じ人間じゃねぇか。出来そうか」
『……断る、どうせ無駄な事だ』
それ以降は声が聞こえなくなる。
やはり、反転術式でも、宿儺でも治せないレベルなのか。
実際、伏黒の姉ちゃんは呪われていて反転術式じゃ治せないって聞いた。
コイツらも呪われて、そんでここで生かしたらきっと死ぬより酷い目にあう。
「何を考えてるんですか!なんて危険なことを」
「悪い七海、俺……人を殺すよ」
「はぁ?まさか!待ちなさい!」
呪霊になってしまった、人間の成れ果ての頭を拳で潰す。
嫌な感触を覚えながら、七海の方のもきっちり殺す。
俺が、殺した。
殺すべきだと思ったからだ。
「あぁ、畜生……気持ち悪いな」
死体は解剖されるということで、高専預かりとなった。
警察の情報から監視カメラの映像を見る。
最優先で家入さんが解剖した結果、やはり人間だった。
術式による改造、それが怪しいとのこと。
犯人候補は監視カメラに写っている同級生。
「吉野順平」
「虎杖くんにはこちらの調査をお願いします」
「おっす!」
ナナミンは残穢のポイントから犯人を追うらしい。
何らかの情報を得られるだろうと、こっちは俺らが行くらしい。
翌日、車で吉野の姿を確認できた。
「私服だな」
「情報によると高校には行ってないようです」
「伏黒みたいなヤンキーって訳じゃ無さそうだし、イジメかな」
ここからは車を降りて尾行する。
作戦は蝿頭をけしかけて俺が助けるって奴だ。
マッチポンプみたいで気がのらないが、やるしかない。
「では行きますよ」
「待って、人が来た」
あっ、やばい呪霊が逃げた。
マジかよ、捕まえなきゃ。
うん?なんか指立ててるし、やばくね?
「ストップ!あぁ!」
眼の前に電柱が……あっ、やべ呪霊潰しちゃった汚ねぇ。
てか、引かれてるよ。
やっぱ見えてるなコイツ、困惑してるおじさんは見えてなさそう。
取り敢えず拭くか……おじさんで。
「わっ、何だ君は」
「…………」
「な、何だよ……」
伏黒が言うには、無言で顔を見続けると大抵の人間は勝手にいなくなるらしい。
特に呪力を滾らせると、霊感の強い人間は……ダメそう。
「大事な用があるんですけどいいっすか?」
「何なんだ君は、そもそも失礼ではないか。他校の生徒だな、ははーん分かったぞ!」
「ソイッ!」
ごちゃごちゃうるさいのでズボンを奪ってボッシュート!超エキサイティング!
そんでもってコイツを掴んで!
「よし、逃げるぞ!」
「えっ?えっ?」
「俺、虎杖!よろしくな!」
「えっ、あっ、吉野」
こういう時は逃げるんだよ!
唐突な出会いってジャンプにも描いてあるからな!
そして俺達はよくわかんないオッサンから逃げた。
久しぶりのゲーセンに来た。
初対面なんて会話出来るわけもないし、しなくていいようなのが一番だ。
「吉野!何のゲーム得意?」
「そもそも、ゲーセン来ないし……帰っていい?」
「えー、いいじゃん。ゲームしながら話そうぜ」
取り敢えず、マリカやろう。
家でのならやったことあるしな。
「吉野、吉野も見えるよな?化物みたいなの」
「えっ、あっ……まぁ、でも最近見えて」
「へー、術式とかは?って言っても分かんねぇか」
「分かんないね」
あまり動揺してないのを見るに術式のことは聞いたことがあるのかな。
何の話って俺の時はなったし、術式に関して質問ないもんな。
さて、ここでスターだ!
「おい、コーナリングうますぎだろ!待てって」
「いや、そんな大差ないし!あっ、甲羅!」
「おい、報復はズルじゃん!待て待て、あっ!」
俺達はどっちもCPUに負けた。
クソぉ……悔しすぎる。
「次、太鼓やろうぜ!音楽とか何聞くの?」
「あ、あんま……聞かない」
「アニメは?あっ、映画とか?」
「まぁ、映画くらいは……」
逃げないように吉野の肩を抱き寄せながら話をする。
映画かぁ、最近見てるし何見てんだろ。
「タイトル何よ」
「言っても分かんないよ」
「最終絶叫計画とか?」
「フッ、なんでそんなの知ってんだよ」
おっ、お前も知ってんのか。
ムカデ人間もミミズ人間も知ってんのかな。
俺、映画詳しくなったからな。
「バンプあんじゃん!流石にバンプは知ってんだろ」
「あっ、ゲームの」
「そうそう!俺貧乏だから、友達の家でやらしてもらってさー」
「へぇ……えっ、鬼なの?行けるの?」
「俺、動体視力には自信あるから見てろよー」
呪詛師かもと思ったけど、なんだかんだ同じ人間じゃん。
「なぁ、吉野」
「何……かな……」
「強引に連れ出したけどよ、今楽しいか?俺は久しぶりに友達と遊べて楽しいぜ!」
「えっ、まぁまぁかな……友達……」
「まぁまぁってなんだよ、始まるぞ!よーし、見てろよー!」
この後、ボーリングとダーツとカラオケもして気付いたら夕方だった。
なんか忘れてる気がするけど、まっいっか……
「ひぃぃぃ!叱られる!虎杖くん!なんで電話出ないんですか!あぁ、終わった七海さんから電話きた!いい年して泣きたくないだろ!頑張れ!あぁでも電話出たくないぃぃぃ」