呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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化物かもしれない

順平と仲良くなった俺は河原で石を投げてた。

なんでそんな事になったんだっけな、なんか昔何してたって話になって、やってみようってなったはず。

そしたら自称、ネギの似合わない女目指してる順平ママとバッタリあって何故か夕食を食わせてもらえた。

なんか忘れてる気がするけど、腹減ってたしいいかな。

 

そんで昔の話とか映画の話とかジャンプとか一発芸とか、順平ママは酒の飲み過ぎで寝ちまうくらいいてしまった。

ヤベ深夜じゃん、伊地知さんから電話来まくってた。

 

「わりぃ、こんな遅くまで」

「いいよ別に、今ニートしてるからさ」

「俺も休学中だから同じだな、よぉ不登校仲間」

「なにそれ、不名誉すぎ」

 

順平とそれから少し話したが、見えるだけで本当に事件とは関係なかった。

何なら伊地知さんから犯人と七海が交戦、特定したという報告まであった。

つまり、順平は何も関係がない。

 

「俺の友達紹介するからさ、ウチ来いよ」

「えっ?ウチって呪術師になるってこと?」

「見えるだけでも仕事あるからさ」

「でも、呪霊と戦うんだろ……それに、人を殺したりとか」

 

ズキン、と胸に痛みが走ったような気がした。

脳裏には化け物となった人間の姿が過ぎる。

 

「虎杖は……」

「あるよ、俺が人を殺した」

「…………」

「仕方ないとか言わない、俺が俺の意思で決めて殺したこと、あるよ」

 

どの面で生きてるんだと言われても仕方ない。

順平はそんな俺をどんな風に見てるだろうか。

普通に信じられないかもしれない、少なくともさっきまで笑っていた人間が選択肢の1つに手段として殺人を持ってるなんて、普通は想像できない。

 

「……虎杖が殺したのには理由はあると思うよ」

「ありがとな、でも、窓はそういうのないからさ。考えといてよ」

「あっ……うん……」

 

気まずい沈黙が互いの間に発生する。

あーあ、仕事の話なんか振るんじゃなかったな。

あまり長居すると、あの楽しい時間が嫌な思い出になる気がして、俺は早々と玄関を出る。

今は、居なくなりたい気分だったから。

 

「虎杖!あ、あのさ……また、来いよ」

「えっ……」

「僕達、その、と、友達だろ!」

 

だから、その言葉が思いの外嬉しかった。

 

「あぁ、そうだな!」

 

俺達は友達だ。

 

 

 

高校に帳が降ろされた。

順平の通ってた高校だ。

 

「桜里高校……」

 

どうして、何故と色々と疑問が湧く。

だが1つ分かってることは、順平が巻き込まれている事だけだ。

恐らく、七海が会敵した呪霊の仕業だ。

携帯には連絡したが繋がらない。

不登校のはずなのに連絡がつかないなら、もしかしたら何か起きたのかもしれない。

そして、そのタイミングでの帳だ。

 

「俺、行くよ」

「ダメです!私達の仕事は人を助けること、その中には学生である貴方も含まれます」

「ごめん、伊地知さん」

 

制止しようとする伊地知さんの横を通り過ぎて、俺は高校に向かう。

もしかしたら、順平が巻き込まれてるかもしれないから。

そして、何やら呪力を感じる体育館の扉を開けたら順平がいた。

海月のような物を従えて、生徒を吊し上げてる順平がいた。

 

「何やってんだよ順平!」

「引っ込んでろよ、呪術師!」

 

なぁ、見えるだけっての嘘だったのかよ。

 

「チッ……」

「おい、待てよ!」

 

投げ捨てるように、生徒が此方に投げられる。

順平は、逃走を選択。

生徒は顔を殴られた後があり、皮膚の一部が黒い。

残穢、何かされたようだ。

 

「毒か」

 

クラゲの毒か、式神の能力は毒の生成、種類や大きさ数から見た目まで決めれたりするのか?

なら伏兵や接触も気にしないといけないか。

生徒のワイシャツを千切って口元を覆う。

目に凝をして周囲の残穢も見逃さない。

武器は……体育館にあるパイプ椅子でいいか。

 

順平の呪力から位置を割り出し向かっていく。

なんか嫌な呪力も感じるが帳を降ろしたやつだろ。

そこかしこにあって分からない、感覚的な物だから勘になるけど。

 

「いた!順平!」

「邪魔をするなぁ!」

 

怒りだ。

順平から怒りが伝わってくる。

呼応するように、式神のクラゲの腕が伸びる。

距離を取るように廊下を後退すれば一定距離で触手が止まる。

畜生、接近するのが難しい。

触れたら一発、麻痺毒や出血毒の可能性も考えないといけない。

 

『聞こえるか、悠仁』

 

そ、その声は兄ちゃん!?

 

『毒を警戒しているようだが気にするな。毒に関しては呪力が元になっていると思われるが、お前は俺達を受け入れてる』

 

そうか、宿儺の指!あれ程の毒物はないと言われてるから、それに耐えられる俺は毒耐性が……俺の身体ヤバくないか?

とはいえ、毒は警戒しなくても良さそうだな。

 

「順平、何があったんだよ。なんで、なんでこんな呪詛師みたいなことを」

「そこで黙っててくれよ、僕はやるべきことがある」

「それが、アイツらを呪う事なのかよ!それが、お前のやるべき事なのかよ!」

「そうだよ!」

 

順平は泣いていた。

海月は周囲を浮遊しているたけで攻撃の意志はない。

寧ろ、順平を守っているようにも思える。

 

「だったら!なんで泣いてんだよ!」

「ッ!人の心はまやかしなんだ、だから……そんな言葉で僕を縛るなよ!頼むよ、虎杖……僕はお前と戦いたくない……」

「戦わなきゃ良いだろ!あの生活を捨ててまで、お前のやりたい事なのかよ!」

「じゃあ、僕は誰を呪えば良いんだよ!母さんを、呪って奪った奴に復讐すら許されないのかよ!」

 

海月が揺らぐ、まるで感情の揺れ動きのようにして。

でもって触手が伸びてくる、触手には棘があり毒が滴る。

パイプ椅子を投げるも、弾力のある身体は凹んで戻って無傷で防ぐ。

以前、伸びてくる触手が俺を包む。

打撃が効かない、だったら!

 

『あ、あれは!?』

『知ってるのか、兄ちゃん!』

『赤血操術……かもしれない』

 

俺の二の腕から血液が皮膚を突き破るようにして飛び出してくる。

まるで刃物、鎌のようなそれが乱雑に生えてくる。

よく分からないが、それで海月を切り裂く。

 

「術式か!澱月!」

「何があったのか知らねぇけど、もうやめよう!」

「今更もう遅い!どの面下げて辞めろってんだよ!止まれるかよ!」

 

海月が千切れた状態から丸くなって再生する。

4体ほどサイズダウンした状態で再生、分裂と言ったほうがいいか。

クソ、手数が増えた。

なんとか説得できないか。

 

「なぁ!誰かを呪うんじゃなくて、一緒に人を助けよう!」

「無理だ!僕は許せない!僕はアイツらを呪わずにはいられない!」

「一緒に考えよう!もう一度、やり直そう!」

「……悠仁、僕は――」

 

順平の式神が俺の周りから離れて、順平の近くに集まる。

分かってくれたのか、順平。

 

「ダメじゃないか、ヴィランはヴィランのまんま、改心とかしちゃ」

「えっ?」

「無為転変」

 

そんな声と共に、順平の首が掴まれる。

その首は驚愕に包まれていて、式神が溶けるようにして消えていく。

そして、俺の眼の前でドロドロに膨れ上がって、カバのような化け物に姿が変わった。

 

「こんにちは、宿儺の器。僕から君へのプレゼントだよ」

「何してんだよ!」

 

順平が!順平だった物が襲ってくる!

順平という者から、化けた物、化物になって襲ってくる。

 

「等価交換だ宿儺!俺の全部をやる、縛りでもいい!だから順平を助けてくれ」

『……断る。貴様が矜持や未来を捨てて縋ったとしても、俺は救わん。惨めだな、小僧』

 

あぁ、やはり駄目なのかと、どこか冷静な自分が判断する。

化物はだんだん殴る力もなくなって、今じゃ足元で呼吸をするだけしかできない。

他の化物と違う、無茶な作りによる衰弱死だろう。

 

「ごめん……ごめん、俺と宿儺に力があれば」

「ゆう……じ……」

「順平」

「…………」

 

動かなくなった順平だった物。

なんだよ、死体が冷たいなんて嘘じゃねぇか。

まだ、だってこんなに温かい。

 

「あーあ、適当に作りすぎたか」

「テメェ、ブッ殺してやるよ」

「祓うの間違いだろ、呪術師!」

 

今なら分かるよ、こんなの呪わずにはいられない。

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