「よし!行くわよ」
「何処にだよ」
「えっ……どこって、京都に交流会って……」
朝、交流会前の集合場所に大荷物で釘崎が来た。
このバカは京都に行くと勘違いしてたらしい。
前回勝ったから、残念ながら今回はウチで交流会なのである。
なんか会話が最近、噛み合わねぇと思ってた。
「待たせたな!」
「待ってねぇよ」
五条を待ってたら、先に京都校の奴らが来た。
去年ぶりだな、懐かしい。
「久しぶりだね、伏黒くん」
「うっす」
「あれから私も随分と」
「御託はいい。乙骨はいないのか?」
「あの人は出禁だ」
相変わらずスルーされる加茂先輩。
可哀想加茂先輩である。
語呂がいいな。
「おうこら、菓子折り出せや!持ってんだろ、八ツ橋、葛切り、ニシン蕎麦」
「腹減ってんのか?」
「京都っぽいもん出せやー」
ダル絡みされて、胸倉掴まれてる加茂先輩。
不憫な……強く生きろ。
「あっ、伏黒くん。こちら、京ばあむです」
「これはご丁寧に、三輪さんこちら東京バナナです」
「おぉ、関東っぽいですね」
「うっす。日下部さんによろしく言っといて下さい」
最強の呪術師、日下部篤也。
術式無しで1級まで上り詰めた居合の達人。
的なことを五条が言ってて俺はまだ会えてない。
三輪さんと仲良くして紹介してもらうのだ。
ウルージさんや、東の海を最弱の海にしたヒグマ並みに強いらしい。
強いのかそれとか思ったが会ったら分かるやろ。
「あっ、ずるーい!寄越しなさいよ、伏黒!」
「えぇ……まぁいいけど」
「京都!京都!」
所でバカはいつになったら来るのか。
全然来ないんだが、てかそろそろ虎杖とか出す頃合いだろ。
「やーやー、京都校の皆さん、お待たせサマンサタバサ!」
「おせーよ、遅刻してんじゃねぇか」
「人生という名の道に迷ってね」
「カカシ先生かよ、目隠し外せやコラ」
とか思ってたら、デカい箱持って五条がやってきた。
まぁ、中に悠仁がいるのは分かってるんだけどな。
だって、アイツが死んでから五条からちょいちょい虎杖の匂いがしてたんだもん。
呪力を匂いで感じられるから、多分五条にこびり着いた呪力やろなぁ。
「はいこれ、とある部族の人形ね。あっ、歌姫にはないから」
「いら、ねぇー、よぉー!」
「そして、東京校のみんなにはこちらー!」
そして、五条の持ってきた箱がひとりでに開く。
「はい、おっぱっぴー!」
「…………」
「…………」
悠仁が、アホみたいなポーズで飛び出してきた。
「えぇぇえ!?喜んでない!京都の人達はお土産に夢中だし!?」
「はーい、移動しようねー。みんなー、宿儺の器だよー」
「宿儺の器じゃと!?」
アホなポーズのまま運ばれる悠仁。
俺以外はみんなびっくりと初対面だろうな。
「おい、なんか言う事あんだろ」
「ご……ごめん……」
「悠仁、お前船降りろ」
「ごべぇぇぇん」
「草」
俺の影から飛び出したグレイがメッチャ舐め回してる。
お前、そんなに仲良かったっけ?
「うぅ……玉犬が優しいよぉ……」
「美味そう……食べていい」
「待て!止まれ!俺を餌だと思ってるな!?」
マジかよ、お前しばらく会わないうちに美味しくなったのかよ。
ってことは呪力が増えたんだろうか、宿儺の指でも食ったの?
「取り敢えず、おかえり」
「おう……ただいま!」
別室で作戦タイムとなった。
なんか俺が知らん間に、悠仁は特級と2回もエンカウントして領域展開も2回も食らって生き残ったらしい。
お前、馬鹿じゃねぇの?あれ必殺何だけど、やっぱ主人公なの?
しかも死にかけたら術式使えたかもしれないという、パワーアップまでしてる。
「あーだこーだルールがあるが、間違いない事がある。敵はゲリラだ、特殊訓練を積んだゲリラだ」
「なんでだよ!どー言うことだよ」
「俺だったら、悠仁を殺す。あれ、あの、木ノ葉崩しの時の我愛羅みたいな」
「俺、人柱力じゃ……人柱力かもしれね!?」
そこに気付くとは天才か。
まぁ、冗談はさておき京都は上層部の総監部とズブズブなので絶対殺しに来ると思うんだよね……ちょっとLINEしてみっか。
「おっ、やっぱり殺す方針らしい」
「なんで分かんの!?」
「いや、三輪さんに聞いたら教えてくれた」
「教えちゃうんだ!?」
狙わないから許して欲しいらしい。
全部仕切ってる加茂先輩が悪いらしい、仲間に売られて可哀想な加茂先輩。
何もかも総監部って奴らが悪いんだ。
「よーし、作戦は私がバフってドカンと」
「いや、私が遠距離から釘でズドンと」
「いや、ここは俺の姉ちゃんがバコーンと」
なんでお前ら全員擬音系なんだよ、分かんねぇよ。
高度な柔軟性を持ちつつ臨機応変に的なのでいいだろ、つまりノープランで行こうぜ。
「囮は勿論、悠仁が行く。誘き寄せられた奴らを背後から狙う」
「なんて卑劣な作戦なんだ!伏黒、見損なったぞ」
「勝利を確信した瞬間が最も油断している。悠仁は犠牲になったのだ、勝利のための犠牲にな」
「まだ始まってすらいないよ!」
実際、誰も呪霊なんか追わないのだから囮にして個人戦に持ってたほうが生存率は実際上がるだろう。
寧ろ一人にして、集団に狙わせるほうがキツそう。
「まぁ、なんだ。何とかなるさ」
「特訓の成果見してやるかぁ」
ということで、俺達の姉妹校交流会が始まった。
位置についた俺達に、アナウンス越しにバカの声が聞こえた。
「それでは、歌姫先生からありがたーいお言葉です」
「えっ!?えっ、えーと、多少の怪我は」
「はい時間でーす、スタート!ほらどうした、本番じゃ呪霊は待ってくれないぞー」
「五条アンタね!ブッ殺してやる!」
何やってんだアイツら、仮にも教師だろ。
マイク切りなさいよ、丸聞こえよ。
「ヒロアカかよ」
「それより上見てみろ、冥冥さんのカラスがいるぞ」
「誰かに飼われてんの?」
ありゃ、監視か?
味方かもしれんが金に誠実だからな、金で簡単に寝返りそう。
取り敢えず、動かずに待ってることにした。
どうせ、バカがこっちに来るだろうからな。
木が倒れる音がしながら、砂煙が上がっている。
それが、ドンドン近づいてくる。
ドカンと目の前で木々が爆散し、そして東堂が現れた。
「よし!全員いるな、まとめてかかってこい!」
「行け虎杖、君に決めた!私達は後ろにいるから」
「ポケモン扱いなの!とりあえず、ドーモ東堂さん!虎杖悠仁です!」
「むっ、ドーモ虎杖さん。東堂葵です、好きな女は何かな?」
挨拶は大事、古事記にも書いてある。
互いに構えるアホ二人、これから戦いが始まる。
「えっ、好きなタイプ?」
「乗るんじゃないわよ虎杖!どうせボコされるだけよ!」
「黙れ、女子供は引っ込んでろ!」
「よく分かんねぇけど、ケツとタッパがデカい女かな。ジェニファー・ローレンスが好きです、よろしくお願いします」
待て虎杖、構えろ!
奴は……はぁ?
東堂は襲いかかる事はせず、両手を広げ天を仰ぐようにして立っていた。
そして、何故か泣いていた。
「素晴らしい。なんと素晴らしい」
「どういうこと!?伏黒、何なのあの頭ボンボルド」
「分からん、何がどうなってやがる」
何時もの東堂じゃない、なんか噛み締めてる。
気持ち悪い。
「どうやら俺達は、親友だったようだ」
「そうなのか!」
「今、名前聞いたよね!俺達はじめましてだよね!」
「そうなのか?」
どういうことなんだ、頭おかしいんじゃねぇのかコイツ。
強い奴はイカれてるって分かんだね。
「……来た!」
発砲音、銃弾が虎杖を襲ったのは俺が気づいた時と同時だった。
だが、それが虎杖が喰らうことはない。
「なっ!?」
「男の闘いに横槍は無粋ってもんだろ、えぇ?真依よ」
カランコロンと、手のひらから潰れた銃弾を落とす真希の姿がそこにある。
俺達に見えない速さで銃弾を全部握ったのだ。
やばすぎ、しかも今の状態じゃ真依先輩は呪力がないはず、勝ったな。
「シィィィィ……シン・影流抜刀!雷切!」
「転べ!」
「わっ、ぐべぇ!?」
物凄い速さで突っ込んでくる三輪ちゃんが悠仁の眼の前を転がっていく。
棘パイセンが、間一髪で足を狂わせたからだ。
「おのれぇぇぇ!」
「お前の相手は俺だ!」
ピチューンと彼方から飛んでくるビームを鎧を纏ったパンダが身体で受ける。
その身体は鋼で出来ていた。メカゴジラみたいな見た目だった。
「赤血操術、拡張術式!」
「加茂先輩か!」
「111式 十字型殲滅槍」
巨大な血の十字架が空から振ってくる。
よく分からんが、血界戦線だろ!見たことあるぞ!
エンバーミングもオススメだぞ!
「うぉぉぉぉ!」
俺の拳が十字架とぶつかり火花を散らす。
まるで本物の金属のような硬度だ、流石だぜ。
「みんな早すぎ、喰らえ!」
「銃じゃん!そんな箒があるか!魂の共鳴!」
空から奇襲として西宮先輩が銃身の付いた箒で飛んできた。
明らかにトリガー的なのを引いた瞬間、呪力のビームが発射される。
いや、メカ丸が出来るなら出来るかもだが、ズルだろそれ!
そんでもって、虎杖を狙うビームに対して、釘崎の持ってる金槌が巨大化して防ぎにくる。
原理は釘崎の魂の波長とハンマーの魂の波長を上手いこと調和させて反響と増幅させた結果、なんやかんやで疲れるけど呪力が通常よりも込められて、金槌の周りに呪力が溢れて集まって、巨大な金槌になるという事らしい。
「みんな!助けに来てくれたのか!」
「邪魔を、するなぁぁぁ!」
急に戦い始めた俺達の中心で、東堂が吠えた。
あーもう滅茶苦茶だよ。