呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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アイツ一人でいいかもしれない

「はぁ?」

 

気付けば俺は空の上にいた。

見れば、色んなところに他の奴らがいる。

東堂か!アイツ、何かと入れ替えやがったな!

 

「へへへ、入れ食いだぜ」

「可愛くねぇんだよ、やってることが!」

 

飛んできた呪力砲とも呼べるビームを影と影空間を繋げて身体で受ける。

 

「お返しだ!」

「うぇ!?」

 

俺の身体からビームが発射される。

原理は単純、呪力砲は直進し続けていたが入り口と出口が反転したのだ。

投げ道具は俺には効かないぜ。

しかし、箒を巧みに操り攻撃は避けられる。

チッ、空飛べるのズルいだろ。

 

「うぉぉぉ!みんなぁぁぁ!」

「シャケ!」

「野郎、石と入れ替えやがって」

 

見れば、なんか足からジェットを出してるパンダが棘先輩と釘崎をキャッチしていた。

待て、両手塞がってるじゃねぇか。

 

「伏黒!真希!悪いな、二人乗りなんだ」

「自力でどうにかしろってか!」

 

真希は、何か宙を走っていた。

何を言ってるのか分からないと思う、俺も分からない。

なんか地面に向かって凄い勢いで斜めに落ちていった。

あれ、あの、なんか、空気的なのを蹴ったのか?

 

「いや、俺も何とかなるけど」

 

ドボン!と自分の影に沈む。

影空間の中で上へと泳げば、プールから上がるかのように影の世界から出てこれる。

東堂の野郎、石投げて入れ替えるだけで対策ないやつは墜落死するぞ。

身内に対して厳しくないか?

 

「ひゃあ!」

「動くな、落ちるぞ」

「だ、だって、怖いし」

「俺は絶対手放さない」

 

なんかアイアンマンごっこしてる奴らいるし、ラブコメの波動を感じる。

加茂先輩はスパイダーマンみたいに血液伸ばして移動してるな。

そうなると、真依とかヤバいんじゃ……いや、待て!?何だあれ!

それは銀色の球体だった。

地面に鎮座するそれは、水面のように揺らいでいる。

見覚えのあるそれ、それは水銀から出来た魔術礼装、月霊髄液だ!

 

「水銀ちゃん!水銀ちゃん何で!?」

「奥の手を切らされるなんて!面倒な人!」

 

水銀の中から、真依が現れる。

お前、呪力が使えないはずじゃ……どうなってやがる。

 

「余所見とは随分と油断しているな」

「油断?違うな、これは余裕というのだ」

 

俺の身体を血液が貫いてくる。

だが、その血液は影空間へと収納される。

俺の下に来たのは加茂先輩だった。

なるほど、各個撃破に切り替えたか。

撃ち返した血液は加茂先輩の眼の前で静止する。

血を操る術式、厄介だな。

 

「加茂先輩、そんなに血液使ってていいんすか?」

「問題ない、真依の道具があるからな」

「はぁ?」

 

加茂先輩はそう言って、脈動する心臓のような物を取り出す。

はぁ?なんで動いてるんですかね?

 

「呪具、血種。排出量が10分の1になる代わり血液の貯蔵が出来る」

「そんな都合のいい呪具」

「そうだ、都合のいい呪具だ。元々体積より少しだけ大きい物を収納出来る呪具や血液を生み出す呪具、それを再構成し、縛りを設けて性能を上げているのだ」

「再構成……だと!?」

「呪力を用いて無から有は困難だが、既にあるものを作り変え、縛りを呪具自体に付ける。脱帽だよ、真依の作品には」

 

そうか、構築術式か!しかも拡張術式というわけだな、まるでハガレンじゃないか!すごいな!

 

「なら、あの水銀は」

「アレは真依の命令のみを聞く縛りをつけて生み出した呪具だ。私からの報酬で水銀を購入してね」

「仲間の情報ペラペラ喋っていいんですか?」

「………こ、交流会だから」

 

冷や汗をかく加茂先輩、何だこの人うっかりの呪いでも掛かっているのかな?

ということは、あの銃みたいな箒も作ったりしたのか?

 

「他にも何か作ってるんじゃないんですか?」

「他のは言えない!」

「他のもあるんすね」

「お、おのれ!図ったな!喰らえ!」

 

加茂先輩の身体から血液の針のようなものが大量に射出される。

鬼太郎の毛針かよ、こんなの俺の身体を貫けやしないのに……何!?

それは突然起こった、俺に触れた血液が俺の影の鎧を覆うように凍結し始めたのだ。

 

「拡張術式、エスメラルダ流血凍道、濃度を高めた血液は凝固点降下により、0度でも固まらない。過冷却状態の血液を接触した瞬間、分子レベルの操作により凍結させる」

「術式開示か!うお、凍結スピードが早い!」

 

というか、まんま漫画の技じゃないか!

技名言えよ、技名!流石、加茂家!汚い!呪術界の汚点なだけある!

 

「分子を操れるということは、止めるだけではない!」

「まさか!」

「斗流血法・七獄!」

「ぐぁぁぁぁ!?」

 

全身を覆っていた血液が自然発火する。

影を物質化しているとはいえ、その装甲は硬度はあっても薄い。

それこそ影なので表面をなぞる程度だ。

偶然か狙ってか分からないが、熱がダイレクトに伝わってくる。

身を焼かれる痛みに襲われる。

術式を、術式を無効化しなければ!

 

「ぐぁぁぁ!熱い!熱すぎる!」

「何!?そうか、術式を中和したのか」

「ゼェ……ハァ……反転術式がなければ死んでたぜ」

 

まるでエース戦の黒ひげのように地面を転がるハメになった。

エゲつない技を使いやがる、だが俺の闇(影)は悪魔の実の能力(術式効果)を引きずり込んで無効化する(反転術式)のだ!

 

「なんで光ってるんだ!?」

「知らないのか、偉大な者は輝いて見えるんだ」

「だが、拡張術式ブレングリード流血闘術」

「これが光の力だぁぁぁ!」

 

円鹿の力を纏って全身から反転術式の効果を発する。

体表に触れた瞬間から術式を中和するのだ。

 

「何!?術式が言うことを聞かない、十字架が崩れる!?」

「喰らいやがれ!」

「ぐふぅ!?」

 

強烈な腹パンが炸裂して、加茂先輩が腹を抑えて崩れ落ちる。

術式に頼った術師の命は短い。

 

「よし、次に……何だ?」

 

空が、どんどん暗くなっていく。

これは、帳だろうか?

京都校の奴ら、ここまでやろうとするのか。

 

「帳だと!?」

 

どうやら違うらしい、えっ、じゃあ誰の仕業だよ。

その時、空から何かが落ちてきてヒーロー着地した。

な、なんだお!?

 

「人……ではない?」

「特級呪霊か!」

「何、人の形をした呪霊だと!」

 

そこにいたのは目から木が生えた人間だった。

肌は青白く、ゴツゴツして、樹木を想起させる。

歯茎剥き出しの化物だ。

スマートな形のエイリアンでもいい、見た目はグロい。

先手必勝とばかりに、反転術式を纏った状態で殴りつける。

触れた瞬間、人形呪霊の表面が割れる。

 

『やめなさい、愚かな人の子よ』

「こいつ、直接脳内に……ファミチキ下さい!」

「今、そんなこと言ってる場合か!」

 

地面から大量の樹木が発生し、俺達は後退を余儀なくされた。

呪霊は佇み、その周りには樹木が蠢く。

肩で息する加茂先輩が謎の道具から大量の血液を取り出して頭上に掲げている。

 

「喰らえ!」

「避けろ!後ろだ!」

 

目を離した瞬間、人型呪霊が背後に回っており、加茂先輩がマジで殴られる五秒前になっていた。

しかし、その間に入る影があった。

 

『動くなぁぁぁ!』

『くっ、これは呪言!?』

 

バキッと呪霊の目から生える樹木に飛び蹴りする棘先輩がやってきたのだ。

だが、口から血を吐いてしまったところを見るに実力差がありすぎる。

もう使えて、数回だろ。

 

「大丈夫か!」

『真希、呪力を捨てろ』

 

ぐったりと、しかし最後の仕事を終えた棘先輩が呪霊に腹パンされる。

だが、追撃は出来なかった。

何故なら、呪霊の腕を片手で抑える真希がいたからだ。

 

「寝てろ、後は任せな」

『馬鹿な、呪力もない純粋な腕力だけで……ぐぅ!?』

 

すごい速さで蹴飛ばされ、飛んでいく呪霊。

それを追い掛ける真希。

なんというか、もうアイツだけで良くね?

 

「大丈夫か!すまない、俺のせいで」

「ツナマヨ」

「あぁ、変なこと言ってる……」

 

あっ、先輩。

棘先輩が変なのはデフォルトですよ。

 

「気にすんなって言ってます」

「分かるのか!?」

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