呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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主人公かもしれない

周囲は帳を降ろされており、何らかの効果が付与されてると思われた。

関係者しかいないのだ、隠蔽する必要ないからな。

 

「おーい、大丈夫か!」

「お前の方が大丈夫かよ、パンダ……ちっさくなったな」

 

遠くから声が聞こえた。

声のした方向には、パスファインダーみたいなロボットの、操縦席に乗った小さいパンダがいた。

お前、通常時のぬいぐるみ体型から合体してロボになったと思ったら何で小さくなってんだよ。

 

「核の位置を動かしてんだよ、俺の核は1つだけになると小さくなる」

「よく分かんねぇけど、大変だったんだな」

「あぁ、ファンネルやビームサーベルには焦ったぜ」

「なんでお前だけガンダムみたいなことしてんだよ」

 

此方の負傷者は棘先輩とパンダか。

あっ、桃ちゃん先輩が空飛んでる。

 

「ちょっと、コイツあんたが預かりなさいよ!」

「おっと」

 

空から落とされる釘崎、白目向いてるやんけ。

コイツ、負けたようだな。

向こうは三輪さん沈んでる。

箒に乗った先輩は三輪さんを箒に乗せて運んでいた。

落ちないのとでも思う体勢でぶらんぶらんしてる三輪さん、釘崎は担がれて来たんか。

 

「桃ちゃん先輩」

「桃ちゃん言うな!何よ!」

「箒乗せて連れてって、あっちに特級呪霊が行ってんだわ」

「はぁ?普通に嫌だけど」

「真依先輩とか襲われたら可哀想じゃん、見捨てるんか?」

「近くまでよ!私は戦わないし、真依ちゃん見つけたら逃げるから」

 

ということで、戦えない釘崎と三輪さんを降ろして俺は後ろに飛び乗る。

それにしても箒というよりライフルだよな、アンチマテリアルライフルにしか見えない。

 

「私も行こう、西宮頼めるな」

「嫌だけど」

「……頼む」

「はぁ……」

 

何故か流れで一緒に行こうとした加茂先輩が拒否られる。

可哀想に、強く生きろ。

まぁ仕方なく乗せてくれるらしい。

桃ちゃん先輩、俺、加茂先輩で行くことになった。

 

「ちょっと……」

「なんすか?」

「結構、鍛えてんのね……」

 

はぁ?何当たり前のこと言ってんだ?呪術師なんて肉体鍛えてなんぼやろ。

何やら挙動不審なんだが、拙者にときめいてしまったか。

フッ、罪な男だぜ。

悪いなロリより俺は姉派なんだ。

ジャンプを読んでる俺は、女子の機敏にも気付けるんだよなぁ。

 

「痛て!何も叩かなくても」

「何ニヤついてんのよ、馬鹿」

「おい、いつになったら飛ぶんだ?」

「チッ、しっかり掴まりなさいよ!」

 

ブオン!と箒からジェット噴射が出てきた。

本当に箒かよ、別もんだろこれ。

なお、慣性で首がガン!っと後ろに引っ張られた加茂先輩。

可哀想な先輩だぜ。

俺はしっかり桃ちゃんと箒に捕まってたんで大丈夫だ。

 

どこまで真希が行ったのか、それはすぐさま分かった。

巨大な樹木が、いや樹海とも言うべきそれが、直立に山のように生えてきたからだ。

そんな樹木がいきなり折れる、絶対真希の仕業だ。

 

「これ程の木を、流石特級か」

「強いのだけが取り柄なんだから、アンタと東堂くんで何とかしなさいよ」

「へいへい……先輩、あっちの方に真依先輩の匂いがする」

「うわぁ……」

 

すげぇ顔とくぎゅうみたいなボイスでドン引きされた。

いや、呪力の匂いやって、引くなや。

真依先輩は言った方向にいた。

 

「埒が明かないわね、切り裂きなさい!」

 

雪崩のように背後から追い掛けてくる樹海を水銀を操って斬りながら走っていた。

多分狙ってる訳ではないが、全方向な成長してるんだろうな。

そんな樹海に巻き込まれたと考えるべきか。

 

「行きますよ、加茂先輩」

「はぁ?待て、西宮に降りてもらぁぁぁ!」

「ちょっと!?重心とか考えてくれる!」

 

加茂先輩の襟首を掴んで箒から飛び降りる。

いきなり俺達が降りたから、頭上でアクロバット飛行してる桃ちゃん先輩が落ちないようにしながら苦情を言ってきた。

体幹強いな、よく落ちないぜ。

 

「伏黒くん!?キャア!」

「桃ちゃん先輩、パス!」

「パスするな!アンタ達脳筋と違うのよ!が、頑張れ私!」

「えっ、あっ、ご、ごめんなさいね。大丈夫、桃?」

 

着地と同時に真依先輩を回収、そしてリリース。

桃ちゃん先輩が呪力で腕力を強化して片手で真依先輩の腕を掴んだ。

よし、じゃあ俺らは戦うとするか。

桃ちゃん先輩が片手に吊るしながら離脱していった。

ファイト一発しててすげーな。

 

「ハッ!」

「なんて樹木だ」

 

伸びてくる樹海の枝葉に飛び乗り、巨大な樹木を俺と加茂先輩が駆けていく。

多分、中心部に真希がいるはずだ。

 

「伏黒!」

「悠仁、あと東堂」

 

別の方向から巨大な木を走る虎杖と東堂が合流してくる。

無事だったか、実力はあるから今はありがたい。

 

「状況は分かっている、敵襲だろ」

「なんで分かんだよ、敵は呪霊だ」

「柱間かよ、木遁じゃんこれ!」

 

悠仁の言葉に確かにと思う。

木のない場所でこれほどの樹木を、いや木はあったけど。

 

「木龍の術みたいに相手の呪力や体力から成長するかもしれん、刺されるのに注意しろ」

「挿し木の術か!やりそうだな」

「雑談は終わりにしろ、見えたぞ」

 

巨大に人型の樹木、まるでウィッカーマンのようなそれが殴ったような動作をする。

そして、次の瞬間には後ろへ倒れるように弾かれる。

腕の先で、拳を振り抜いた状態の真希がいた。

いや、大きさ違うのにすげーな。

 

「遅せぇ!選手交代だ」

「どういうこと」

「感覚的に、そろそろバフが切れる。体内時計が確かならな」

「良いだろう、後ろにいろ」

 

パンッ!という音と共に後方で宙を飛んでる真希。

東堂が石か何かを投げて入れ替えたんだろ。

便利だな。

 

『宿儺の器ですか』

「ちょ、直接声が……聞こえてる音と違う」

「喰らえ赤血操術!」

 

パンッ!という音と共に加茂先輩が空にいた。

 

「はぁ?何やってんだ東堂!」

「分かるだろ伏黒、生死を分けた戦い、これはマイベストフレンドの成長の機会だと言うことを」

「テメェ、時と場合を考えろ!」

 

戦う前から何処かに飛ばされた加茂先輩。

頭湧いてるゴリラが次は俺を飛ばさないか警戒する。

コイツ、成長出来るなら殺してもいいと思ってやがる。

自分ならまだしも人に強制するんじゃねぇ。

 

「お前も邪魔するか?」

「ったりめぇだろ!反転術式だ、お前の効果は効かねぇよ!ッ!?」

 

反転術式を体表に纏った瞬間、俺の立っていた樹木が溶けていく。

この樹木、呪力による生成物。

元からある植物の操作と成長をさせて生み出した物じゃない。

 

「ほぉ、いきなり足場を消すことも可能か」

『その通り、大地の偉大さを知りなさい』

 

タネがバレたからか、いきなり俺達の足元が消え去る。

呪霊は……木の塊に立って浮いていた。

クソ、ズルすぎるだろ。

しかもそこから枝を伸ばして刺しにくる、やはり挿し木の術みたいなことはしてくるよな!

 

「行くぞマイベストフレンド!」

「オッケー!ベストフレンド!」

 

東堂と悠仁の姿が消える。

アイツ、地面の何かと入れ替えたのか。

いなくなった2人に空振りした樹木は、方向を変えて俺を刺しに来る。

まぁ、無駄だがな。

 

『手応えがない?』

 

俺の身体を貫通するはずだった樹木は、俺の身体を突き刺し、そのまま刺し続ける。

影の空間へと、ただ伸びただけである。

許容限界で身体が重くなる前に俺は俺を刺す樹木を掴んだ。

 

「痺れな!」

『なっ、ぐっ、ぐぁぁぁ!?』

 

呪力を電気の性質に変換。

瞬間、木を伝って足場にした木の塊と上に乗る呪霊を感電させる。

落ちていく呪霊、地上では悠仁と東堂が待ち構えてる。

あぁ、そうかよ、本人がやる気なら仕方ねぇか。

 

「乗ってやるよ東堂、気張れよ悠仁!」

「…………」

 

悠仁からの返事はない。

だが、俺は纏う空気の変化を感じた。

痺れて動けない人型呪霊、目を見開く東堂、踏み込む悠仁、空から落ちる俺。

 

「今だ、放て!」

『下にいたか、くっ!』

「……黒――」

 

東堂の言葉と同時に、拳が呪霊を捉える。

瞬間、黒い光が迸る。

 

「――閃ッ!」

「ハハ、マジかよ……ホントに主人公じゃん」

 

呪霊をブン殴りながら、全身から呪力を溢れ出す虎杖悠仁の姿があった。

 

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