呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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最強かもしれない

黒閃、それは所謂ゾーンと呼ばれるものに近い。

出そうと思って出るものではないが、出そうと思わないと出ないのも事実。

誰が言ったか知らんが威力は2.5乗されるらしい、理系志望の俺からしたら1は何乗しようが1なのにどういう事となる奴だ。

 

「掴んだな呪力の核心、ブラザーは呪力の味を知った」

「つまり、どういうこと……」

「今まで漠然と煮込まれていたスープの味を知ったシェフは3秒前と格が違う。コングラチュレーション、マイブラザー」

「なるほど、分かんねぇ」

 

安心しろ、何を言ってるのか俺も分からない。

 

『くくく、真人……貴方の言っていた事が私にも分かりましたよ』

 

呪霊が左肩の袋に手を伸ばす。

破かれた袋からは、真っ黒な手が出てきた。

なるほど、縛りプレイを辞めるか。

何か呪術的な制約でもあったのかな?

 

「術式効果の説明する暇はない!俺からお前に言えることは2つ」

「オッケー!」

「俺を信じろ!止まるな!」

「分かった!」

 

そんなアホみたいな会話が聞こえたと思ったら、二人が駆け出していた。

あっ、東堂の足に木の枝が絡んでる。

 

「あっ」

「何してんだよ、東堂!」

 

飛んでいく東堂、その先には地面から木杭が生えてくる。

呪霊は、悠仁を襲っている。

まぁ、何とかなるやろ。

 

「よっ、と……」

「伏黒」

 

呪霊に飛び乗り、両目から生えている枝を折りにかかった。

驚く悠仁の声、その時視界が変わった。

 

『ぐぁぁぁ!?』

「アイツ、入れ替えたか」

 

なんか俺の下で串刺しになる呪霊。

可哀想に、じゃ折るね。

 

『ぐぁぁぁ!離れなさい!』

「離れる訳ねぇだろ!全力放電だ!」

 

全身から呪力を放出して、電気の性質で感電させる。

おいおい、暴れんなよ!再生するなら、もう一回目の枝は折ってやるからよ。

見るからに弱点で痛覚あるのかよ!

 

「はぁ?」

『呪力が仇となりましたね』

 

突如、俺の全身は植物に拘束されていた。

足元から急速な成長、植物が延々と伸びているのだ。

俺の身体から力が抜け掛ける。

 

『恵!コイツから私達の匂いが!』

「呪力を喰ってるのか!?反転!」

 

グレイの声に反応して円鹿の能力を使う、一瞬で枯れる植物。

呪霊から後退し、離れた場所に跳んで逃げる。

距離を空け、構える俺の前で呪霊は穴だらけの状態で木杭から抜け出してきた。

 

『反転術式、燃費が悪そうですね』

「さてね」

 

円鹿の能力をグレイが使ってるだけで、正の呪力は別に自前じゃないからそこまでじゃない。

ただ、吸収されるのは厄介だ。

 

「余所見、したな?」

『なッ、いつの間に!?そうか、さっきの入れ替え』

 

呪霊の後ろに東堂が現れる。

だが、俺の目には呪霊の前に落ちている呪力の籠もった石が見えている。

本命は、そっち。

 

『しまった!誘導!?』

「黒閃!」

 

瞬間、現れた虎杖悠仁の姿があった。

その拳からの殴打、2回目の黒閃が発動する。

嘘だろ、と思う間もなく蹴りが入る。

3回目の黒い火花、蹴りでも黒い閃光が走った。

 

「甘い!」

『ぐっ、なっ、くっ!?』

 

体勢を崩す呪霊、呪霊は空を見上げ片足を上げ、片手で自分の身体を抱きしめる。

滅茶苦茶な動き、そのまま東堂と悠仁に殴られる。

 

『身体が言うことを聞かない、感覚の入れ替え』

「ほぉ、気付くか」

『ならば入れ替えられた感覚で動くまでのこと』

 

呪霊は、各部の動かし方を確認するかのように軽く手足を動かしたら先程のように元のとおりに動き始めた。

馬鹿な!NARUTOのカブトみたいな攻略法をしてきただと!?

俺ですら出来ないのに、なんてやつだ。

 

『数が不利ですね。仕方ない』

「ぬっ、後ろだ伏黒!」

 

俺の背後から強烈な匂いが発生する。

それに対して、俺は振り向きながら拳を振り抜く。

振り抜いた先、そこには人型呪霊の姿があった。

 

『何故……バレた……』

「生憎、鼻が良くてな」

 

俺の後ろに現れたもう一体の人型呪霊を殴り飛ばした。

ふと、見れば東堂たちの方は2体に増えている。

なるほど、分身か。

 

『力を等分することで分裂する拡張術式、木遁分身。羂索から聞いて実際に使うとは思いませんでしたよ』

「術式開示か」

『説明すると分身が多少強くなりますのでね』

 

戦いは数とは言ったものだが厄介な。

例え弱体化しても特級、対して変わらん。

特級が実質3体になるようなもんだ。

 

「だが、俺との相性が良くなかったな」

『負け惜しみを、死になさい!』

 

地面から大量の樹木が鋭い槍となって四方八方に伸びていく。

そして、それは2体の人型呪霊を貫いた。

 

『『ガハッ!?』』

『どういうことです!?』

「術式開示には術式開示をしなければ無作法というもの、教えてやろう」

 

パンッ!と叩かれる音と共に人型呪霊が1箇所に集められる。

何でもありだな、アイツ。

 

「拡張術式、受乱発乱(ウラハラ)効果は認識のすり替え、味方を敵に、敵を味方に、自分を他者に、他者を自分に、精神への催眠を行う」

『シンプル、故に、厄介。ならば!』

 

呪霊達を中心に全方位へと樹海が発生する。

それは突き刺し、穿ち、貫く、凶器の波だ。

 

「なにかしようとしたな?」

『何故!?』

 

しかし、樹海は動きを止めて急激に枯れ始める。

 

「動作は停止し、成長は衰退する。伸ばそうと思った瞬間、動かず枯れる。終わりだよ、これはそういう物だ」

『だが、これ程の効果!長くは持たないはず!』

「その通り、今だ!マイ、ブラザー!誰かのためじゃない、自分自身のために!」

 

困惑する呪霊達の前に瞬間移動する悠仁、中腰で拳を構えた状態だ。

なんか、アイツの拳が真っ赤に燃えてるんだがどういうことだ。

 

「黒閃!」

『そう何度も、なッ!?』

 

拳が入った瞬間、黒い火花と同時に拳が爆発する。

爆炎が発生し、窓ガラスを引っ掻いたような高音が響く。

 

「はぁ?どういうことだブラザー……」

「なんか出た!」

「馬鹿野郎、お前ら油断するな!」

 

爆炎の中から人型呪霊が飛び出してくる。

他の2体が、腕を掴んで空に飛ばしたからだ。

何をするのか、人型呪霊が黒い腕を掲げた瞬間だった。

焼かれていた呪霊が、森が、地面が、急激に枯れていく。

そして、肩にある蕾が光輝いた。

何かが、来る!

 

『領域展開!』

 

領域だと、まずい!

 

「東堂!」

 

パンッ!という音と共に焼かれていた呪霊と入れ替わり、俺と東堂と悠仁が一箇所に集まる。

影の空間に二人を入れて、全力で反転術式を広げる。

 

『朶頤光海(だいこうかい)』

 

世界が、花畑と青空に変わった。

そして、周囲から飛んでくるとんでもない呪力量。

……必殺ではない、必中効果!全方向から飛んできやがる!

全力で反転した正の呪力を使い中和するが、それすら超えて全身が焼けていく。

焼けるそばから再生されるが、破壊と再生が常に行われる。

痛みが走って意識を失いそうになるが、失ったら最後、俺は死ぬ。

死が、俺に迫ってくる。

 

「ハハハ、クソッタレ!領域展開!」

『馬鹿な、土壇場で!』

 

死を意識した瞬間、頭が晴れるようにインスピレーションが湧いてくる。

結界の構築は苦手だが、今、全身で俺は領域を感じている。

有ると無い、領域の中と外では全く違う。

影だ、影を広げろ!形はない、自由にもっと簡単に、雑に力を解放する。

俺の身体から影が溢れ出して黒い球体に包まれる。

その球体は絶えず崩れるが、領域内の異物。

俺の領域、必中効果のない呪力が放たれない空間。

今にも崩れそうだが、崩れそうになるたびに呪力を使って影が広がる。

 

「これが……領域の押し合い」

 

まるで、外から見たら卵だろう。

その外殻に絶えず光のような呪力砲が当たるような物だ。

ヒビが入るように崩れた場所は薄くなり、亀裂が走る。

そこに呪力を集中すれば亀裂はなくなるが、また別の場所に亀裂が走る。

呪力をコントロールして、崩れそうになる場所の厚みを戻す作業を続ける。

まだか……まだか……来た!

 

「恵!」

 

世界が崩壊する音が聞こえた。

ガラスが割れるような音、そして空が景色の一部を象ったまま割れて落ちてくる。

空の絵を描いたガラス片が落ちるように崩れていき、その中央に見知った姿がある。

 

「遅せぇよ……」

「虚式・茈」

 

そして、紫色の太陽が落ちて人型呪霊を飲み込んだ。

一撃かよ、やっぱすげーな。

 

「おい!伏黒!」

「呪力切れか」

「うるさい……少し、寝る」

「死ぬな!」

「寝たら死ぬぞ!」

 

マジでうるさい、お前ら。

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