呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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黒歴史かもしれない

気付けば俺は保健室にいた。

周りには化物とかした人間がたくさんいる。

あの報告にあった特級呪霊の仕業だ。

とすると、俺は運ばれたと見ていいだろう。

 

「起きたの?」

「硝子先生……俺は何日寝てました」

「半日」

「思ったより短い」

 

数日こういうときは寝込む物じゃないんだろうか。

相変わらず、この人は寝てないしな。

 

「先生は寝てて下さいよ、もう解剖とかは終わったんでしょ」

「ひゅー、カッコいい。でも繁忙期ではなくても治療がね」

「やっときますから」

「でも書類作成とか事務手続きとか」

「面倒だけどやっときますから」

 

一人でやるより、一人と一匹でやったほうが効率はいいし。

でもでも、抵抗する硝子先生を無理矢理ベッドに押し倒して、布団をかける。

オラァ!寝込む前に寝るんだよ!

 

「わぁ、大胆。私、襲われちゃう?」

「茶化さないで下さい、この惨状は襲撃があったって事でしょ」

「上は隠蔽しようとしてるかもだけど、そうだね」

 

狙いは宿儺の指とか呪具だろうな。

俺だって一度は考えた。

だが場所はどうやって特定したのか、入口は色々変わるはずなんだけどな。

 

「また死んだよ。いっぱい……おい、人が感傷に浸ってるのにタバコ吸うな。禁煙してんだぞ」

「起き抜けが一番美味い気がする……あっ、日本酒ある」

「未成年が何してんだよ。少年誌にも載せられないよ」

「先生だって学生時代やってたでしょ」

「いや、あれだよ。お菓子だよ、タバコみたいな見た目の」

「甘いの嫌いでしょ」

 

保健室の冷蔵庫を開けたら、エナドリからウイスキー、ワイン、ビール、日本酒と酒だらけだった。

この人、禁煙してても禁酒はしてないもんな。

 

「あんまり勧めませんよ、反転で直しても細胞分裂とか考えたらガタ来そうだし」

「テロメアの話してるなら、それごと治せばいいんだよ。癌だって治せるんだし」

「治るんだ……」

「治すというか、そうあるように状態を元に戻してるんだよ」

 

だから、設計図でもある参照先の魂が滅茶苦茶な継ぎ接ぎの特級呪霊の被害者は治せないらしい。

じゃあ、俺の魂は伏黒恵なのか、それとも前世の……前世の……名前もないおじさんなのか。

本当に俺は前世があるんだろうか、記憶だけ手に入れた伏黒恵なのか。

酒が美味いことしか分からんぞ。

 

「おい、高いんだぞ。瓶ごと行くな、瓶ごと」

「入手難しいから久しぶりなんですよ、いい奴なだけあって米の味がする」

「うわぁ、なんでわかんだよ。それより交流会行きなさいよ」

「仕事手伝うって言ったでしょ。まだ時間あるんだし」

 

さて、やはりおじさんだったのかもと見慣れた海辺のデスクトップを見る。

旅行に行った社畜が、この場所知ってるってなるデスクトップである。

パソコンなんて触ってないのに見慣れてるの、やはり前世の記憶は確実にある。

魂は分からんけど。

 

「…………」

「寝たか」

 

横になるだけで、寝息が聞こえるくらいに寝付きが良かった。

津美紀の肉体が衰えないように定期的に反転掛けてくれてるし、少しくらいは休んでほしい。

そして、俺達が事務作業と治療に勤しんでいたら、何故かピザを持った悠仁と釘崎がやってきた。

 

 

 

交流会はやる事になったらしい。

なんか五条が持ってきた箱にマリカって書いてあったらしい。

アイツ、何考えてんだよ。

 

「もっと消化の良いもん持って来いよ」

「うっさいわね、取り行ったら1枚タダなのよ。虎杖が」

「4店舗行ったから、四枚タダだよ。俺が疲れたけど」

 

クワトロピザ頼めよ、なんでそんなに買い行ってんだよ。

 

「学長達知らなかったから、なんか無断らしい」

「五条先生なら、やりかねないよな」

「そもそも何回やるんだよ、てかチーム戦か?」

 

いやまぁ、怪我してるやつもいるだろうし、逆にいいかもしれないけどさ。

そして始まったマリカ大会は東堂が青甲羅で妨害されたり、メカ丸が異様に強かったり、真希がコントローラーぶっ壊したり、なんだかんだ俺と悠仁が圧倒的強さで死守して東京校の勝ちとなった。

マジで呪術関係ねぇ……ただの親睦会だろ。

 

「もっかいよ!ほらコントローラー作ったから!」

「いいや、やらないね!お前の負けだから!」

「全員まとめてかかってこい!俺のドンキーで倒してやる」

「なぁ、メモリーカードはないのか?通信ケーブルは?64というやつか、これ」

「オイ、誰かスマブラに変えただろ」

「これ、中古でいくらですかね……」

 

修学旅行並にうるせぇ……コイツらゲーム普段やらないから飢えてやがる。

 

 

 

交流会を終えた俺達は学生生活と夏休みを挟んで久し振りの仕事に行くことになった。

行く場所は俺の地元、埼玉である。

 

「お、お疲れ様です!」

「あ、はい」

 

元ヤンの新田さんが今回の送迎であった。

その畏まった様子に、釘崎達が怪訝そうな顔をする。

 

「何、アンタ知り合いなの?」

「昔、ヤンチャしてたからな」

「うわぁ、イタタタ……そういう年頃なのね」

「ちげーよ、ほっとけ」

 

昔の事だが、俺は喧嘩ばかりしてる日々を送っていた。

本格的に荒れていた中学時代は、何を思ったのかチームを作って埼玉一帯を支配していたりした。

個人の暴力でどこまで行けるか、呪力とか普通に使って色々やらかしてたので、深堀りされると呪術規定的にアウトである。

 

「被害者のリストッス!移動中に確認お願いします」

「エントランス?マンションのドアが開けっ放しって呪霊の仕業ね」

「時間も場所もバラバラッスけど、共通点は同じ中学出身ってことッス!なんで今回はその中学に行きます、伏黒さんの母校ッス!」

「えぇー!?何だよ、伏黒言えよー!」

 

嫌だよ、うるせぇもんお前ら。

 

「ははーん、ヤンチャしてたから母校のこと隠してたのね」

「伏黒さんは伝説なんすよ!」

「伝説って?」

「僅か3年で東京卍會ってチームを作って、一帯の不良や半グレ暴走族をまとめ上げたんッス!本人は飽きたとか言ってあっさり後輩に譲って、そっから内部抗争が起きてチームは解散したんですけど、逆に中坊がまとめ上げてたって事が伝説になってるッス!」

「伏黒……お前……」

「見んなよ、ちょうど読んでてやってみたくなったんだよ」

 

元ネタを知ってる悠仁からの視線が鬱陶しい。

良いだろ、犯罪とかしたらちゃんと粛清と称してぶん殴ってたんだから。

俺がいた頃は治安は良かった筈だぞ。

 

「よし、そのチーム使って黒い噂とか調べましょう」

「解散したんだろ、知らんけど」

「逆になんで知らないんだよ。お前の始めたチームだろ」

「内部抗争とかあったの知らないし、ライン友達でもないし」

 

てか、被害者とか俺って面識あるんだろうか。

残穢からは分からなかったらしいけど、どういうことか。

 

「取り敢えず、まずは中学に行く事にするッス!」

 

と言うことで釘崎達には中学に聞き取りに行かせて、俺は俺で地元の知り合いの元に訪ねることにした。

大体、この辺のゲーセンで屯してるもんだからな。

 

「相変わらず、ヤンキーしかいねぇな」

 

昔懐かしのアーケードしかないゲーセン。

最新式はないが、店内には人が一応いる。

と言ってもタバコ吸ったり酒飲んだり、女連れ込んだりする不良の溜まり場ではある。

個人経営してるが、筐体さえ壊さなければ基本的に無関心な店主の店だ。

 

「あぁ?何だテメェ、挨拶もねぇのかよ!」

「誰に話し掛けてんだよ、新入りか?」

 

なんか絡まれてるが、しばらく離れてたとはいえ俺の事知らん奴がいるとか思わなかった。

どうしよ、殴ろうかな?殴ってもいいだろ。

 

「おい、何の……」

「兄貴!なんかシャバ僧が入って来やがって、今すぐボコしますんで」

「俺がいねぇ間に変わったな……悲しいよ、また指折り数えるか?」

「何言ってんだお前?兄貴、知り合いっすか?」

 

取り敢えず、絡んできていた奴の顎を拳で撃ち抜いて、倒れる所を肘と膝で挟むようにして攻撃を加える。

どよめく不良達の前で優しく手を握ってやって、指の一本を反対方向に思い切り曲げた。

 

「あぁぁぁ!?兄貴、兄貴ぃぃぃ!」

「テメェ!俺達に手出して覚悟出来てんのか!」

「おい、俺は今お前と話してたか?俺はコイツの兄貴と話してたぞ」

「ッ……な、何だお前」

「俺の顔も知らねぇ三下どもは黙ってろ」

 

ジタバタ暴れる不良を殴り倒して、そのまま背中に座った状態で2本目の指を曲げる。

大丈夫、多分筋とか関節が可笑しくなるだけだから。

反転術式は呪術規定で使ってやれないけどな。

 

「人間って200個くらい骨があるんだってよ、試すか?」 

「それくらいにしてください、総長。まだ高1で何も知らなかったんです」

「総長は辞めた、今はただの伏黒だ」

 

兄貴と呼ばれてる俺の知り合いが土下座し始めたので、絡んできたやつは解放してやる事にした。

よーし、昔の奴ら集めようぜ。

お前らに聞きたいことがあるからな。

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