五条に連れられて東京都立呪術高等専門学校とやらに来た。
何やら仕事の斡旋をしてくれる学校ってことらしい。
宗教法人だから税金とか色々と融通が利くらしい。
なんか怪しいな、裏金とかに色々使われてそう。
っていうか一般の人もびっくりの名前だし、敷地が広すぎる。
天元とか言うすげー結界術師が見えにくくしたり、登録してない呪力の奴が来たらアラートを鳴らす役割をしてるらしい。
つまり、滅茶苦茶な円で警戒してるんだ。
お前達の中では呪力なんだろな、お前達の中では……念だもん。
「ちなみに天元がいる場所は
「その天元様ってのはよぉ、金髪ドリルロリでババアなんだろ。それで精霊だったりするんだろ?」
「恵は何を言ってるんだ?まぁ、ノヴの四次元マンション(ハイドアンドシーク)みたいなもんだね」
なるほど、同じ具現化系能力者なんだろうか?
扉、全部開けたら入れるんやろ。
「で、何しに来たの」
「一応仕事をする上で、恵には入学面接してもらわないといけないからね」
「はぁ?俺、小学生だぞ」
「入学は高校生になってからだけど、別に面接なら行けるから」
そうなのか、と思って案内された場所は道場みたいな建物だった。
そんな建物の奥、なんか両サイドに篝火が焚かれた場所で、グラサンのおじさんがぬいぐるみを縫っていた。
「オッサンが可愛いを作ってる!」
「悟、その子がお前の初めての教え子か」
「教え子?」
なにそれと五条を見たら、ニヤニヤしながらダブルピースしてくる姿があった。
「驚いた?僕さ、教育実習生なんだよね。これから教師になるよ」
「ハッ、すぐバレるような嘘つくなよ。どうせ実家の金とか使って偽造書類で教員免許手に入れたんだろ」
「生意気なガキめ、HUNTERXHUNTERの休載並みにイラッと来たぜ」
お前知らないけど、アリ編は来年まで連載しないからな。
1年くらいの休載はさておいて、コイツが教師とか世も末だな。
何を教えんだよ、体育の先生か。
「フッ、将来有望だな。さて、面接といこうか」
「いや、お先真っ暗だろ。こんなん先生って人手不足すぎだろ」
「こんなんでも、呪術師としては上澄みなんだ」
「サラッと僕のこと、こんなん扱いしないでくれるかな」
お前、うち来たらジャンプ読むかゲームするかで、飯とか飲み物とか全部姉ちゃんに用意させてるし、やってることクソだって自覚したほうがいいぞ。
「伏黒恵くん。君はどうして呪術師になりたい」
「金のためだけど」
「……本当に小1か?」
あと、念能力者な。
よしんば呪術師とか言われても、俺は念能力者であることを譲らないからな。
そんなよく分かんないのより、念能力者のほうが昔からなりたかったもん。
「ふぅ……君と同じことを言う奴を数人しか知らない。だが、呪術師に悔いのない死はない。自分が死んだ時、そんな物のために死んだと納得出来るか?」
「出来る訳ねぇじゃん、誰だって死にたくないだろ。でも大義とか正義とか友達やら家族やらのために、好き好んで呪霊とか言う化物とか呪詛師とか言う奴らやらと戦うんだろ。そういう理由が大事なもんだとは思うけどよぉ」
「思うがなんだ」
「別にそういうのって戦わなくたって何とかなるんじゃねぇの?つうか戦うことに意味なんか必要ねぇよ、そう考えたら二束三文の金で戦う意味は十分だろ」
「ならばその覚悟、見せてみろ!」
ぬいぐるみ達に黒いエネルギーが宿る。
ぬいぐるみが動いただと、操作系能力者か。
なら、本体を叩く!
「玉犬!」
クロとシロの同時召喚、そのままグラサンに突っ込む。
横からすごい勢いでぬいぐるみが来る。
早い、パンチ、ガード!
「くっ!?」
吹き飛ばされる身体、ぬいぐるみのパンチが思ったよりも固くて重い。
そうか、念による強化。
「
「この子は何を言ってるんだ?」
「思い込みが激しい子なんだよ」
俺の懐に、下からアッパーをしようとするぬいぐるみが現れる。
だが、それはちと悪手だぞ、ぬいぐるみ。
「
俺の影から、半物体化したドロドロのクロが現れる。
そして傘のように体積を広げて、懐にいたぬいぐるみにのしかかった。
クロの広がった体積は、床に大きな影を生み出し、影の中にいるぬいぐるみはそのまま落ちる。
それはまるで底なし沼のように、影の世界に沈んだのだ。
「ほぉ、十種影法術か。初めて見るが、そんな使い方も出来るのか」
「余裕も今だけだ。
「なるほど、技に名前をつけることでイメージを強くし術式の解像度を上げているのか」
いや、単にカッコイイからだけど。
念能力だったら技名あるだろ。
二人に増えた俺に対してぬいぐるみが囲むように展開する。
片方にはシロ、片方にはクロが周囲を侍る。
俺は強化系でダブルを使うようなメモリの無駄遣いはしないぜ。
「敵の注意を逸らすなら及第点だな。ガッデム!対人戦が足らない、そっちだ!」
「馬鹿な!?
警戒は一瞬、すぐさまぬいぐるみが何故か本体の俺の方に殺到する。
俺はそれを、俺の足元の影に繋がってるクロに乗って、影を伸ばして流れるようにスライド移動することで回避する。
俺から伸びた影は、俺が乗ってるクロの一部、物体化するために離れた先の影にくっつこうとするが、俺自体が動くから連動して伸びていく、スケートのように延々と移動できる寸法だ。
「その影分身、一切動かず、維持するのに白い式神の影が必要だな」
「そんな弱点があっただなんて」
確かに特質系の隣である操作系だから、具現化した俺の分身は細かい動きは出来ないし、媒体はシロの影だ。
俺の影から出せはするが、そうすると俺から離れられないから、カストロの虎咬拳ごっこにしか出来ない。
あと、影が殴ったら溶けて元の影になるから身代わりにしか使えない。
「手数は多いようだが、戦いは数だ。呪霊は徒党を組んで来ることもあるぞ、さぁどうする」
「俺の手役を見たあとで勝負するか考えて貰おうか。棘のように射抜く、
移動の
あとは、部分召喚とか完全召喚とか不完全召喚と名付けた式神の状態とかな。
「戦う力は十分、だが心構えの問題だ。今一度問う、君はなんのためにここに来た」
「金だよ、金!ウチは貧乏だからな、普通の暮らしが出来りゃいいんだよ!俺の邪魔するなら死ね!」
「俗物的だがイカれてるな」
部屋中を飛び跳ねるように、ぬいぐるみが縦横無尽に駆け巡る。
隙あらばパンチを叩き込んでくるが、当たる瞬間に念を集めて堅でガードする。
「俺の狂気を保証してくれるならよ、あんたの正気は誰が保証してくれるんだ?少佐の言葉を知らないようだな、自称健常者!俗物じゃねぇなら、好き好んで化物退治に明け暮れてる聖人君子のアンタらの方がイカれてんだろ」
「なるほど、道理だな」
俺を攻め立てていた、ぬいぐるみ達が動くのをやめていく。
なんだ、まだ始まったばっかりだぞ。
「そこまで迷いのないのなら、少なくとも簡単には死なないだろ。伏黒恵君、君の入学を認めよう」
「まっ、高校生まで仮だけどね」
「全く。最近の小学生は揃いも揃って癖が強いな」