呪力しか練れない状態で周囲を警戒していたら、悠仁達が戻ってきた。
ボロボロだが、生きてはいる。
悠仁は上半身裸で、釘崎は右腕に裂傷がある。
「悪いな釘崎」
「何がよ」
「反転術式が使えないから、すぐには治せねぇ」
「そんなこと気にしてた訳?こんなの、かすり傷よ」
「いやでも、女が傷跡とか残ったら嫌だろ」
「……ねぇ、私口説かれてる?」
口説いてねぇよ。
頭湧いてんのか、恋愛脳がよ。
でもって何でお前はラオウスタイルなの?
「聞いてくれよ伏黒!俺の身体がファイアーして、平安時代から蘇ってたみたいで、邪眼は五寸釘で」
「おい、頭が痛いからアホな説明やめろ。どういう事だ」
よく分からない話を整理すると、悠仁の相手をした呪詛師はなんと、平安時代から蘇った過去の呪詛師らしい。
宿儺のように呪物となっていたのが受肉したらしい。
そういうのもあるのか、まぁ悠仁の体質が一般人とかなら肉体の主導権を奪われたりするもんな。
そして、邪視だか邪眼だかを使う呪詛師は夏油の部下らしい。
目的は、恐らくこの両面宿儺の指だろう。
「まぁ、それは後でやるとして。これ持っておけよ、少なくとも飲むなよ」
「俺のこと犬だと思ってる?あっ……」
「あっ……」
悠仁に手渡した瞬間、掌に口が発生してそこに飲み込まれた。
おいおい、デイダラじゃねぇんだから爆発粘土みたいに食べてるんじゃねぇぞ。
「うぐっ!?あ、あぶねぇ……今、変わるとこだった」
「油断大敵だぞ、小僧。フハハ、これで復活に近付いたな」
「お前……寿司とか食うとき手から食べるなよ」
「……貴様は、馬鹿なのか?」
俺もそう思う、心配するのはそこなのか?
てか、何本だ?4本くらい飲んでるのか?
「取り敢えず新田さんに、あっ」
『何処にいるんですか!もう分かってますけどね、下にいますよね!等級変わったのに命を投げ捨てるって北斗なんすか!馬鹿なんすか!』
「あー、山奥で電波がー」
「電話、切るなぁぁぁ!」
電話を繋げた瞬間、すぐに繋がったのだが、そこからマシンガンの如く文句が聞こえてきたので急いで切った。
頭痛いのに煩かったのである。
しかし、新田からは逃げられない。
あの人、橋の上にいた。
でもって俺達に叫んでた、深夜なのにだ。
「……帰るか」
「寿司食おう、寿司。虎杖が寿司の話するから」
「新幹線すごかったろ!また行こうぜ!」
「煩いわよ、右腕が疼くでしょ」
ちなみにチェーン店はやってなかったので、コンビニで買った。
そして、このあとめちゃくちゃ寿司食った。
任務を終えて数日後、回収した遺体から悠仁の言う通り呪物を取り込んだ受肉体というのが本当ということが分かった。
どこから来たのか分からないが、人為的な仕業であることは確かだ。
悠仁を受肉させたり、高専を襲撃させたり、恐らくだが平安時代の呪詛師を受肉させたり、多分羂索って奴の仕業だと思われる。
「恵の予想は当たったよ」
「そうか……」
そして、良くない予想も当たった。
津美紀のことである。
呪物の受肉と聞いて、今まで六眼でも分からなかった呪いは、もしやと考えたのだ。
五条の六眼を欺くような隠蔽、だがそれも呪力由来ならと俺の領域展開で隔離して全力フル稼働で脳を酷使してもらって六眼で解析してもらった。
五条が領域展開して調べる案もあったが、それよりそのリソースを解析に回して脳を酷使した方が調べやすいから、ということで俺が領域担当だった。
結果、やはり隠蔽されており、何かが混ざってるのではということまで分かった。
体内という一種の領域、そして不活性状態の呪物ということで本当に分かりづらくなっていたが、少なくとも津美紀と異なる呪力らしき物が見えたらしい。
「隠蔽している呪力は結界の応用だろうね。HUNTERXHUNTERで言うなら陰みたいな。マーキング、なんだろうね」
「何かをきっかけに起動して呪物が活性化して、受肉するってわけか。つまり、虎杖悠仁はその肉体の自我を残せるかの実験体、平安時代の呪詛師は乗っ取れるかの実験体、目的が相反してるな……いや、平安時代の呪詛師は失敗作なのか?」
「それなら無作為に呪物を取り込ませる必要はない。津美紀ちゃん以外にも調べたらいそうだし、尤も呪いで昏倒する人間の件数は多いから見つけられるか……」
平安時代の呪詛師も自我で押さえつけようとして、サスケに乗っ取られた大蛇丸みたいに、飲み込んだ呪物に支配されたパターンか。
いや、無作為という五条の話を踏まえたら呪詛師軍団を作るのが目的か?
そうか!忌庫から両面宿儺の指を盗んだ事や悠仁の事を考えたら分かったぞ。
「天元から聞いた羂索の目的は、両面宿儺の復活だと思う」
「平安時代の呪詛師は何のために?」
「多分、両面宿儺の部下にするために集めた過去の術師だ」
「アイツは部下を従える器とは思えないんだけど。バラガンみたいに配下同士で争わせていそう。それに、傑が協力してることもおかしい」
そうなのである。
今回、平安時代の復活した呪詛師と言うことで羂索の手下がいたのに加え、夏油の手下もいたのである。
アイツらが手を組む理由は片方は分かるけど、片方は分からない。
非術師を減らす事で利害は一致してるけどそれだけは弱過ぎる。
「復活した両面宿儺と部下のタイムスリップした術師による非術師の支配、つまり世界征服が目的なんだと思う」
「傑の目的は?」
「国取りだ。世界征服に協力する代わりに、呪術師だけの国を作るつもりだ」
「なるほど、あり得るかもしれない。まだ非術師を皆殺しより現実的だ」
発生した呪霊は夏油が取り込み、呪術師だけで国を運営する。
初めは村からでもいいだろ、呪力と術式というテクノロジーを使えば発展も難しくない。
やってることは国バージョンの禪院家だけど、生まれてきた非術師は間引いたりするんだろうか。
「一先ず、謎の呪詛師羂索については調べるとして、恵に頼みたいことがあるんだ」
「頼み?」
「以前から内通者は疑ってたんだけどね。上層部の金の流れを追ったらビンゴ!何してたと思う?」
「何してたんだよ」
「兵器の購入、運搬、何かをダムで作ってんだよね」
ダムに秘密基地でも作ってんのか?
つうか、上層部って総監部って事だよな。
四十六室に裏切り者がいる訳だ。
そこに羂索がいるんじゃねぇの?身体とか奪えるらしいしさ。
「お前が行ったら良いじゃん」
「僕は僕で加茂家に行くつもりなんだ。そこにも電気代がさ、跳ね上がっててね」
「えぇ……内通者ってもしかして加茂先輩?」
「いや、恐らく無関係だと思う。アレでも難しい立場だしね……歌姫はメカ丸を疑ってるんだ。そっちはさ、悠仁達に行かせるとして」
「敵の本拠地かもしれない可能性が高いダムは俺と、まぁアイツらよりは戦闘できるけどさ」
五条は加茂家、悠仁達はメカ丸捕縛、俺は敵の拠点の調査。
逃げに徹したら一番逃げれるし、特級がいたら近付くだけで分かるだろう。
キメラアントの時のノブみたいな立ち回りなら俺が最適だ。
「呪術的な隠蔽はしても、資金の流れに関しては疎かな所がさ、頭固いっていうかロートルって感じだよね。血液とか医療関係の装置関連の購入は家柄から理由が立つけど、稼働してるのか電気代が上がってるのがね」
「ロード・エルメロイみたいなことしてんなお前、あとトロールでは?」
「まぁ、魔術と呪術って似たようなもんだしね。トロールって、ジェネギャを感じる」
てか、ロートルって何?はーん、年寄って意味なんだ。
あと、昔羂索が乗っ取ってた加茂家が悪の巣窟かもしれねぇんだな。
「呪霊は飲食なんかしないからね、恐らく特級呪霊はダムの方に居る、無理せず気を付けてね。加茂家は逆に過去の呪詛師や研究とかの施設かもね、飲食を考えたら最適だし、電気代の増加はマンパワーが増えたから何かやってそう」
「尚更お前がダム行けよ」
「特級1体くらいと、複数人、多分サシの方が向いてるでしょ?」
まぁ、加茂家全部と呪詛師軍団が敵に回ったら逃げ切れんかもしれんが、特級なら数も少ないしな。
領域展開だけ気を付ければ、向いてるのか?
「まぁ、任せろよ」
そして数日後、俺達の黒幕を捕まえる作戦が始まるのだった。