呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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地雷かもしれない

超危険人物だと分かってない馬鹿のせいで空気が弛緩してしまったが今は五条の事である。

 

「で、話を纏めるとだ。俺に負けた癖に最強名乗ってた坊ちゃんが封印されたと、で特級呪霊が4体いると」

「なぁなぁ、伏黒パパは呪霊見えないんだろ、真希さんと同じでさ。あぁ、真希さんっていうのは同じフィジギフの先輩なんだけど」

「恵……俺が言うのもなんだが、お前もう少し距離感のある奴友達にしろよ。グイグイ来るぞ」

「うるせぇよ」

「何だお前反抗期か?」

 

やめろ、反抗期かとか言われるとブン殴りたくなる。

全然、殴れないけど。

 

「真希ってのは知らねぇが、シャツがあんだろ?あれに穴が空いて肌が見えてたら気付くだろ」

「そっか、見えない所に呪霊が……いや見えないから、その理屈はおかしい」

「全部見えてたら見えないとこに呪霊がいるんだ。考えんな、感じろ」

「押忍!」

 

なんでそれで納得できんだよ、さてはお前馬鹿だな。

 

「ハァ……じゃあ、俺はもう行くぜ」

「えっ、どこに?」

「そりゃ、なんか適当にするさ」

「親父、交渉だ」

 

立ち上がる親父に、この場から居なくなるのは察した。

そりゃ親父は一度死んでるし、呪詛師だし、呪術界なんか興味がない。

復讐したけりゃ、あのパワーで呪術界なんかぶっ壊せたはずだ。

それをしなかったのは、やる目的がなかったからだ。

なら、ここにいる目的がない時点で自分の欲望のままに好き勝手動く。

 

「へぇ……俺は高けぇぞ」

「成功報酬で1億出す、俺達に協力してくれ」

「金か、お前が持ってる保証はあるのか」

「マジであんだよ、株で稼いだから。じゃあ、呪術界から呪詛師認定外してもらって呪術師にして貰えるようにする」

「興味ないね」

 

頭をフル回転させる。

どうする、考えろ、もっと自由に、交渉の手札を考えるんだ。

味方に出来れば御の字、敵に回れば最悪、一番マシなのはこのまま本当に何処かに行かせることだ。

 

「あのさ、あのさ、伏黒が父ちゃんと飯食って仕事するのは置いといてさ。伏黒の父ちゃん、五条先生の次に強いんだろ?」

「あぁ?」

「やっぱり天与呪縛って強いし、伏黒と同じ御三家の血筋だもんな。呪詛師だったかもしれねぇけど、また呪術師としてやり直そうよ」

 

おい馬鹿!なんでお前は逆鱗タッチしてんだよ!地雷原でタップダンスするな!無自覚か、煽りなのか?マユリを怒らせる一護かよ!

 

「…………」

「俺、弱いからさ……伏黒のこと、頼むよ」

 

親父が、深い溜息を吐きながら頭を掻きむしった。

そんで、何処からかタバコを取り出して指の摩擦で火を付ける。

待て、それ俺のPIECEじゃねぇか。

いつの間に取りやがった。

 

「恵、さっきの話は守れよ。気が変わった、俺のような猿が救ってやるよ。そんでお前らは無能だって言ってやる」

「はぁ?」

「さてと……」

「おい、どういう」

 

気付けば、親父の姿が消えて何か物が壊れる音が街中に響く。

速すぎる、いや、というか手伝ってくれんのか?

 

「よし、なんか分かんねぇけど助かったな!」

「あぁ、うん、そうかな?そうかもな」

 

脳天気に笑ってる馬鹿に、俺も溜息を吐きたくなった。

 

 

 

消えた親父は置いといて、術師が入れない帳を形成する嘱託式の要石ともいうべき呪具を破壊した俺達は渋谷駅へと走る。

街中には大量の改造人間が溢れている。

走る悠仁とグレイに乗って移動していけば、戦闘音が聞こえてくる。

 

「見えた、渋谷駅だ」

『動くな!』

「あの声は!」

 

改造人間が攻撃する瞬間、呪言で動きを止めてから投げ技を使ってそのまま殴ってる、なんかストリートファイターみたいな事してる棘先輩がいた。

 

「来たか、ブラザー!」

「東堂!」

 

絶えず皮膚を叩く音、全身を楽器のように打ち鳴らしながら東堂の周りに非術師が瞬間移動してる。

コイツがちゃんと人助けしてる……嘘やん。

 

「話は後だ、行け!」

「おう!」

 

見れば、空からはレーザーを放つ魔女っ子がいるし、水銀で周りを切り払う魔術師みたいな奴もいる。

なんか身体から血液の銃弾を打ちまくってる平安貴族もいれば、サイドカーの付いたバイクを運転する男とサイドカーの上で居合斬りしてる侍もいる。

京都校の奴らだった。

 

「行くのだ虎杖悠仁、まず手始めに」

「ブラザー、ここは任せろ!」

 

なんか加茂先輩が叫んでたけど、東堂にインターセプトされてた。

可哀想に、いつものことだけど。

渋谷駅、構内へと突入する。

目標は処理落ちして身動きが取れないと聞いている羂索から五条の馬鹿を救出する事だ。

 

構内に侵入した瞬間、ゾワッと全身が粟立つ。

エスカレーターを飛び降りた着地の瞬間、見えた。

それはこちらに指を向ける人影、あれは……どうしてここにいる。

 

「夏油傑ッ!」

「疑似赤血操術、百斂!」

「伏黒!」

 

グレイと合体していない俺を、悠仁が蹴り飛ばして攻撃から回避させる。

俺と悠仁の間を、血液の弾丸が貫いた。

 

「っぶねぇ」

「久し振りだね、宿儺の器。虎杖悠仁と伏黒恵」

「大丈夫か、伏黒」

「あぁ、変身!」

 

グレイを身に纏い、戦闘態勢に入る。

全身を影が覆い、一瞬で霧散したと思ったら、影の繭の中から犬の顔を模した鎧を纏った俺が現れた。

 

「さぁ!お前の罪を数えろ!」

「ニチアサかな」

「ガハッ!?」

「伏黒!どうした急に!」

 

胸が熱くなる。

焼けるように痛みが走る。

口から血が溜まって出てくるということは肺が爛れたか、内臓をズタズタにされたと見ていい。

通常の反転術式でも窒息すると思われるが、体内の影を操り血液を排出する。

よく分からないが円鹿の能力を使えば痛みは消えた。

呪術による攻撃、遠隔から呪うタイプか?

 

「毒だよ、私の血液は特別性でね。君は、耐性があるのか」

「うわ、汚ねぇ!毒とか卑怯だろ!」

「勝てばいいのさ、勝てば」

 

夏油の両腕から刃が現れる。

骨で出来た刃、カーズみたいなことしやがってよ。

畜生、だが反転術式さえぶつければ勝機はある。

 

「さて、私の目的は君だよ虎杖悠仁。君を両面宿儺にする、その目的が私が羂索に協力する理由でね。大義のためだ、死んでもらう」

「伏黒、先に行ってくれ」

「何言ってんだ、相手は特級だぞ。それに反転術式があれば」

「いや、ここで呪力を消費するのは得策じゃないことくらい俺だって分かる。俺、毒は効かないからさ」

 

それは、いや、だが二人で戦ったほうが確実。

一人置いていく事のほうが選択肢としては下策。

 

「行かせる訳無いだろ。呪霊になった十種影法術も是非とも取り込みたいね」

「ゲトーさんよぉ!アンタ、何してぇんだよ!」

「私には私の計画がある、ただそれだけだよ。じゃあ、始めようか!」

 

奴の体がバラバラに分裂する。

独りでに、独立して動く、バラバラの実みたいなことしやがって!

 

「肉体の応用は私の方が上さ」

「肉片から再生して分身しやがった!」

 

夏油傑の肉片が再生し、複数の夏油傑が現れる。

しかも、濃度を増した血液の毒に肺が爛れる。

 

「伏黒!行けって!他に特級がいるし、最悪逃げるからさ!」

「悠仁……くそ!どけやぁぁぁ!」

 

悠仁の言葉に、呪力を電気に変えて殴り掛かってくる夏油達を痺れさせながら抜けていく。

 

「逃さないよ!」

「いいや、行かせる!お兄ちゃんに任せろ、赤血操術!」

「はぁ?」

 

逃げている間ではあったが、悠仁の言葉に釣られて振り返る。

 

「穿血!」

 

悠仁が両手を叩くように閉じた瞬間、その先から血液が射出され夏油達を斬殺していく。

 

「くっ、だが斬られたくらいで」

「蝕爛腐術・朽!」

「身体が、分解され!いかん!」

 

分身達が一気に血液となって、一人の夏油に集まっていく。

その夏油も自分の腕を片腕で切り落としていた。

見れば、分身達の一部はぐじゅぐじゅに溶け始めていた。

 

「何してんだよ、早く行けって!」

「死んだらお前を殺すからな!」

 

なんで悠仁が術式を使えたとか、複数持ってるとか疑問は尽きなかったが、しかし悠仁の行動を無駄にしないべく俺は駆け出した。

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