呪術じゃねぇって!念能力だろ!   作:nyasu

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タイトル回収かもしれない

両面宿儺。

今や、阿修羅のような容姿となった宿儺。

その、最強たる所以は多くの要素からなる。

 

現代の異能と呼ばれる乙骨先輩の倍はあるんじゃないかという呪力量。

現代の最強と呼ばれる五条悟と肩を並べるほどの呪力効率。

戦国が終わって江戸幕府が開かれた頃に大砲と呼ばれた石流龍を超える呪力出力。

史上最悪の術師と呼ばれた羂索並みの知識。

呪術アイドルと呼ばれる天元程の結界術。

筋肉ゴリラの親父並みのフィジカル。

 

まぁ、要するに人が考える呪術師の理論値の塊みたいな存在。

それが両面宿儺という存在であり、相対する敵である。

そして、総力戦を仕掛けてもなお、勝てる気のしない相手だ。

奴の術式は料理に関するのではないかと考察されている。

 

不可視の飛ぶ斬撃によりバラバラにする、解。

直接触れた物を強度や呪力を無視して切断する、捌。

タイマンでしか確認されてない炎を出す技、フーガ。

 

なんで術式が複数あるんですかね、自分も人のことは言えないけどね。

 

「超血術式、染血!」

 

悠仁の身体から赤い霧が出ていく。

俺や宿儺、周囲へと広がっていく。

これは……血か?

 

「ッ!?」

 

付着した場所が、痛みと共に溶けていく。

すぐさま呪力を込めれば進行が遅れるが、それでも皮膚が爛れていく。

オーラではない、薄く広げられて、噴出された血だ。

それも、触れれば爛れさせる毒の血だ。

 

「面白い、味方諸共か!」

「宿儺!」

 

前に出る、悠仁。

その後ろを追う形で俺も前に出る。

ガコンと、左腕の法陣が回る。

 

濃い、背中以外見えなくなるほどの赤い濃霧。

宿儺、悠仁の背中、視線を外せば見えなくなるような濃霧。

そして、お互いに会敵して殴り合う瞬間。

 

「――――」

「……何!?」

 

赤い濃霧を、切り裂く白刃の輝き。

宿儺の腕が、二本飛ぶ。

飛んでいく腕、その下に振り下ろした形で斬馬刀のような巨大な刀を持った真希が、赤い濃霧の中から現れた。

 

「おのれ、目眩ましか!」

「いつから二人だと思ってた!」

 

悠仁の言葉への返答は、術式による応酬。

真希の全身が瞬時に切り裂かれる。

だが、それも一瞬で別人へと入れ替わる。

それは、東堂葵だった。

 

「つくづく面倒な奴め」

「待たせたな、マイブラザー!」

「おう!」

 

悠仁が視界を奪い、呪力感知を誤魔化す霧の中から呪力のない真希が不意打ち、反撃には呪力を纏った東堂が入れ替わる。

真希よりも元より呪力にて防御した東堂はダメージは軽減され、受けない。

 

「拍手とは、魂の喝采!」

「無駄だ!」

 

東堂の術式が発動する。

呪力のある物体と宿儺が入れ――

 

パンッ!

 

――変わらない。

 

「しまっ――」

「黒閃ッ!」

「舐めるなァ!」

 

宿儺の身体に悠仁の拳が入る。

迎撃しようとした意識の隙間を縫う攻撃、黒い火花が拳から迸る。

だが、次の瞬間攻撃は中断される。

宿儺もまた、悠仁の身体へと黒い火花と共に拳を叩き込んたからだ。

互いに放たれる黒い火花、それは互いにダメージを与える。

そして、悠仁の振り抜いた拳が、血飛沫を上げて粉微塵に切り裂かれた。

 

「ブラザー!」

「爆血!」

 

切り裂かれた腕を中心に、悠仁の身体が爆炎に包まれ後方へと吹き飛んでいく。

宿儺も同様に、悠仁から出た血液、それが膨れ燃え上がり、爆発したために吹き飛んでいく。

吹き飛ぶ宿儺と拍手する東堂。

 

「ナイスだ、東堂!」

「伏黒、恵ィ!」

 

目の前には両腕から出血し、全身を焼き焦がし、それでもなお残る4本の腕で迎え撃とうとする宿儺。

入れ替わった瞬間に、意識を切り替え驚異の速度で対応してくる。

 

だが、乙骨先輩が戦いにより呪力量を削った。

悠仁の術式が毒の解析を強いることで呪力を消費する集中力を削り、呪力効率を悪化させた。

ゴリラみたいな真希が一撃を食らわせて腕を奪ったことで、出血により、いくらか身体能力は低下した。

度重なる連戦は術式を焼き切り、類稀な結界術である領域を封じた。

故に、この攻撃は通る。

 

「オラァ!」

「ぐッ!?」

 

魂を捉えた一撃。

転生したからこそ掴む、魂の輪郭。

宿儺の腹部、口のような胴体、その口腔内に左腕を叩き込む。

 

「これは、ゲホッ!?」

「喰らえ!」

 

宿儺の口から溶けかけた指が一本出てくる。

時間はあった。

だが、元は異物。

やはり、完全には取り込まれてなかったか。

 

すぐさま回収され、再び取り込まれたが、俺の一撃は肉体の同期のようなものを乱したと思われる。

また、再び同期出来るまで、呪力出力は十全に真人の身体をコントロール出来ないことから落ちるだろう。

 

「退魔の剣!」

「術式順転!」

「なっ!?」

「微塵」

 

右腕が、焼失した。

焼けるような痛み、振り下ろす程に焼けるように痛みが走り、腕が削れる。

 

「あぁぁぁ!?」

「医療班、行くよ!」

 

気付けば知らない天井、反転術式を掛ける俺の横で硝子先生がいる。

ここは……戦場じゃない?

 

「大丈夫か、恵」

「日下部さん……」

「取り乱すとは相当じゃねぇか、宿儺のアレは相当効いたか」

 

アレとは、何なのか。

何をされたか分からない俺に日下部さんが教えてくれる。

 

「奴さん、咄嗟に術式を作りやがった。元々の見えない斬撃を縛り、範囲を絞ることで、射程は短いが速度を得た。そして、焼ききれて困難なのに簡易的な領域生成、領域へと付与するオート迎撃のシステム。仏教用語から微塵ときたか」

「あの一瞬で……」

「侵入した全てを切り刻む、切断術式の結界……そんなところだな」

 

えっ、それって。

俺の心の声を代弁するように、横のパンダが叫んだ。

 

「うぉぉぉ!キタコレ、拾壱ノ型だ!凪だろ、凪!」

「呪術キッズがよぉ……」

「何の、話をしてるんだ?とにかく恵は早く腕を直せ」

 

そうだよな!アイツ、自分の周りを切り刻みまくるってパクリだろ。

俺の代わりに戦線に出ているのは、どうやら真希だった。

但し、その腕には来栖華が抱えられている。

 

「恵の仇だ、気張れよ」

「光よ!全てを浄化し給う光よ!罪・咎・憂いを消し去り!彼の者を導きたまえ!」

「チッ、判断が早い」

「邪去侮の梯子!」

 

宿儺が逃げる、その頭上からレーザーのように光が放たれる。

手を向け、術式よる迎撃を試みているのは分かるが、先に真希が動き、その影を追うように斬撃が地面を刻む。

まさに移動砲台!なお、運ばれる方は溜まったものじゃない。

 

「おい!しっかりしろ!」

「…………」

「何故……気絶してる……」

『お前のGに耐えれれなかったのだ!』

 

術式による絶対防御を貫通する特攻攻撃に、流石の宿儺も膝を着く。

だが、その顔に焦りはない。

むしろ、笑みすら浮かべている。

 

「俺はまだ立っているぞ!貴様らが、祓いたい呪いはここだ!どうする、どうする気だ!」

「強がっちゃって、そんな身体で戦えるとでも?」

 

宿儺を見下ろすように、頭上から、まるで階段を降りるように下りながら現れる男がいる。

現代の最強、五条悟。

 

「たかが、腕が2本欠けただけだ。さぁ、かかってこい!」

「言われなくてもそのつもりさ。行くよ、リカちゃん」

 

崩壊した都心を幼女を抱え、歩いてくる男。

現代の異能、乙骨憂太

 

「そうだ!それでこそだ!来い呪術師共!」

「お前は罪を重ね過ぎた、ここで死んでもらうぞ」

 

木槌と光る剣を携えて、ネクタイを緩めながら最後の一人が現れる。

僅か数日で術式を解明し、センスだけで反転術式や領域を習得した男。

現代の天才、日車寛見。

 

「呪いは此処にいるぞ!さぁ、祓ってみせろ!領域――」

「ッ!領域展――」

「領域――」

「領――」

 

印を各々が結ぶ。

しかし、それは、余りにも遅すぎた。

全員の想定を覆し、不意打ちに放たれた、想定外の一撃。

宿儺の術式が復活していた。

 

「――展開、伏魔羅生門!」

 

王の領域は黒い火花と共に、呪いの王へと回帰した。

三者を囲む、三つの門。

閉じない領域、外殻のない領域は奇跡的な組み合わせで、三つの領域の共存を成し遂げた。

それは同じ術式だからか、或いは同じ術師の物だからか。

 

骨と血肉で作られた門。

絶え間なく放たれる斬撃は三方向から注がれる。

中心には阿修羅の如き宿儺。

全員が簡易領域を用いて防ぐも、中和しきれずダメージを食らう。

全員が切り刻まれ、血達磨になりながら、反転術式で辛うじで立っている。

 

そして、もう一つの特性である領域展開によるバフ。

それは、通常の3倍の重ね掛け、数字にして170%の実力を引き出させる。

その領域展開は、見守る全ての術師の心を折った。

馬鹿な、最高戦力だぞ……呆気なさ過ぎる。

 

「――いいや、まだだ!」

 

否、ただ1人だけ折れぬ者がいる。

 

「……小僧、貴様が俺の前に立つか」

 

それはいつの間にか、領域の中にいた。

赤黒い人の形をしたそれが、前に出る。

大量の血を垂れ流しながら、前に出る。

宿儺以外を切り刻む斬撃の、前に出る。

 

前に、前に、前に、前に!

 

「まだ分からぬか、俺と貴様には千年の開きがあるというのに」

「だからなんだよ、実力差があるからってなんで諦める!」

「畏れ敬う、それこそが弱者の在り方だからだ」

「だからなんだ!弱いからって何故戦わない!」

 

それは、虎杖悠仁。

宿儺の器となり、誰よりも宿儺の事を知っていて、宿儺の実力を感じていた男。

 

「なんと度し難い、凡愚が」

「決着をつけよう宿儺。この廻る呪いの戦いに」

 

虎杖悠仁の傷が、斬撃によるダメージを上回る速度で再生されていく。

垂れ流した血が、他の人間を包むようにして斬撃を守るシェルターとなる。

虎杖悠仁を中心に、血が雨飛沫のように周囲を旋回する。

血の竜巻の中で、三つの門前には斬撃が放たれており、相対する二人。

 

「何故、俺の攻撃が効かぬ」

『自らを対象としないように術式を運用したからだ』

「そうか、搾り滓が……」

『人でいられなかった呪いは、人によって祓わねばならん』

 

血の嵐は宿儺の領域を飲み込んでいる。

それは擬似的に言えば、虎杖悠仁と宿儺の関係。

 

虎杖悠仁の象徴とも捉えられる血の嵐は、両面宿儺の象徴とも捉えられる閉じない領域の門、その外側にあった。

 

「行こうぜ宿儺、過去のお前を祓ってやるよ!」

 

ならば、檻として生み出された虎杖悠仁が、ずっと体内に両面宿儺を押さえ込んでいた存在が、領域として自らのイメージで現実を塗り替えるのは容易い。

 

『さらばだ、呪いでしかあれなかった俺よ』

「舐めるなァ!呪いでいられなかった搾り滓が!」

「領域展開!」

 

悠仁の呪力に反応して、周囲の血液、嵐のように旋回していたそれらが赤く光る。

 

外郭として、結界の外側として、それは完結していた。

 

そして、俺達の前で言葉を残して光に包まれていく。

 

領域が完成したのだ。

 

「呪術廻戦」

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