おやおや、何かご入用ですか?(CV.森◯智之)   作:平和推し

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 雑に進みます。


おやおや、死に抗う力ですか…なんと素晴らしい。

 「さてと、とりあえず異世界に来たらまずは…周囲を探索しましょうか?道もない事ですし」

 

 そう1人ごちながら、私は歩き始めた。

 現在の所持金は金貨10枚。

 日本円で金貨1枚五万円相当。銀貨は15枚で金貨1枚、その下が青銅貨コレは20枚で1銀貨、最後は銅貨コレは25枚で青銅貨一枚。金貨より上の貨幣もあるらしいが多分お目にかかることは無いな。

 ちなみにこの世界では農民の一日の食事が銅貨5〜7枚分らしい。まぁ家の野菜とかで自給自足すらことが前提の値段らしいが。

 

 遠くに煙が登っているのが見えたので、そこに向かうことにすると、だんだんとその煙が濃く、森の端というところから上がっていたことが分かった。にしても酷いな。

 豊かそうな森の一部が遠目にもわかるレベルで焼けている。

 

 「おやおや?山火事でしょうか?」

 

 私がひょっこり覗くと、そこにいたのは…ドラゴンの死体を前に地に手をついて慟哭している鎧を着た青年で、彼の背後にはがっつり腹を大型動物の爪で引き裂かれた女性魔法使いの死体と、その側で泣いて崩れ落ちている女性回復魔法使い、悔しさに拳を握っている斥候役らしき耳が少し尖った男性が立っていた。

 神様?異世界転生の第一村人ポジションがあまりにも、ダークファンタジー全開ですよ?コレに話しかけるんですか?

 死ぬほど気が重い…。さっき死んでたけど。

 

 「ちくしょう…ミリー!俺なんか庇いやがって!くそがぁぁ!」

 「アレックス…俺もフレイムドラゴンの視覚を、この弓でもっと早くつぶせていれば…」

 「うわぁぁん!ミリーさぁん!」

 

 俺たち…Bランクの冒険者パーティ『炎の剣(ほむらのつるぎ)』は、近々Aランクへの昇格試験資格が与えられるという、まさに順調な成長をしているパーティだった。

 いわゆる天狗という状態だったんだろう。

 それが分かったのは、若いフレイムドラゴンの討伐依頼を受け、ある程度追い詰めた時だった。

 大分傷ついて動かせないと思っていた前脚で俺を引き裂こうとしてきたのだ。鎧を着ているとはいっても、致命の一撃。

 油断を悔やんでいた時に衝撃が走り…気づいた時には俺はミリーに庇われる形で地面に倒れ、ミリーはドラゴンの爪であっさりと死んだ。

 激情のままに剣を振いドラゴンは倒したが、それでミリーが生き返ることは無い。ヒーラーのメイは重傷を回復できる腕前だが、蘇生魔法。

 つまり、一部の聖職者やAランクの一部パーティと数少ないSランクの冒険者パーティのヒーラーぐらいが扱える奇跡と言われるそれを使うことはできない。

 蘇生の魔道具はその殆どが特権階級が独占している…という訳では無いが、希少品で高額だ。

 俺たちにそんな物を買う資金はない。つまりミリーはもう…

 

 神様。いやこの際誰でも構わないからミリーを生き返らせてください。

 

 「おやおや、酷い光景ですね」」

 「一体誰だ!?答えろ!」

 

 いきなり現れた男にパーティの耳であり目でもある優秀な斥候。ハーフエルフのダニエルが弓を向けた。

 普通の人間なら尻餅をついてしまうような殺気を帯びた目付きで、ダニエルが弓を引き絞って向けたというのに一切動じる事なく、貴族のような丁寧なお辞儀と共にその男は名乗った。

 

 「私はウラガ・アリソー、旅を楽しむ旅人で、商人です。」

 

 何故だか、その男の微笑みは仮面のようだった。覗き込んでも底を確認できない、まるで深淵の深穴のようだった。

 

 「どうやら皆様お困りのご様子。どうでしょう?少し話してもらえますか?」

 「あ、貴方みたいないかにも怪しいやつに、私たちが話すはずないでしょう!」

 「メイ!初対面でそれは…まぁ本当に怪しいが」

 「ダニエル…すいません。俺はこのパーティのリーダーやってるアレックスです。実は仲間がドラゴンに…」

 「なるほど、それは失礼いたしました。お悔やみ申し上げます」

 「いえ…そういえばなんですが貴方はどのような商品を?」

 「私ですか?そうですね…(笑みを深くして)如何なるお客様にもご満足頂ける多種多様な商品を…と言わせてもらいましょうか。」

 

 正直言ってこの男を、今すぐ衛兵に突き出したい気分になった。

 なんだよ、どう見ても闇の商人だろ、違法のモノとか金次第で笑顔で提供してくる奴だ。

 

 「なるほど…では蘇生魔法のアイテムやそれに近い物はあったりします?」

 「リーダー、それは流石に…」

 「ありますよ?どのようなモノをお求めで?」

 「嘘でしょ!?リーダー!もしかしたらミリーさんを生き返らせることができるんじゃ。」

 

 しかし、リーダーは冷静だった。

 

 「2人共、ちょっとこっちに」

 「「分かった」」コソコソ…

 「あの男が用意したアイテムで、ミリーが生き返らない時は…その時はヤツを倒すぞ。流石にこの状況で詐欺をしてくる奴は本気で碌でもない野郎だ。躊躇するなよ。」

 「「了解リーダー」」

 

 私は彼らが相談している中、カタログで蘇生アイテムの欄を見ていた。

 コレらのアイテムは、効果や形状など様々なカテゴリ分けされてあるが、どれも交換レートが金貨4枚。

 使い捨ての指輪や、何回も発動できる杖などがどれも金貨4枚。現在の所持金を考えると、コスパを考えたら使い捨ては論外だが、致し方無い。

 手持ちから金貨4枚消費して【蘇生の指輪】と交換。

 

 「すまない。アンタのいうアイテムを買いたい。どんなアイテムなんだ?教えてくれ。」

 「商品は蘇生の指輪というアイテムで、死人の人差し指に嵌めて、『死に抗う指輪よ。汝の力を用いて死人を復活させよ!』と唱えれば、復活します。」

 「(冒険者達の噂に聞いた指輪の蘇生アイテムの説明と変わらないな。)なるほど…で?その指輪はいくらするんだ?」

 「金貨にして28枚でいかがでしょう?」

 「「「はぁ!?」」」

 「ご納得いきませんでしたか?では特別割引で…」

 「ちょっと待って下さい!*1なあリーダー!俺の知る限り確か普通そういう蘇生アイテムって…」

 「ああ、最低でも金貨200枚だ。というかあの値段設定はあり得んだろ。今の俺の財布の中身で足りるぞ?」

 「とにかく、購入して確かめましょう。」

 

 私が指輪を手の上でコロコロしながら、彼らの相談が終わるのを待っていたら、覚悟を決めたような顔つきのアレックスさんが、小さな革袋を差し出してきた。

 

 「ここに丁度28枚ある。確かめてくれ」

 「拝見します。…確かに丁度です。ではどうぞ。」

 

 私が指輪を渡すと、魔法使い…ミリーさん?でいいのか?の亡骸に素早く近づいて、ミリーさんに指輪を嵌めると『死に抗う指輪よ。汝の力を用いて死人を復活させよ!』と唱えてミリーさんの顔を覗き込んだ。

 すると彼女は目を薄く開き…

 

 「ん…あ、れ」

 「ミリー!大丈夫か!?」

 「ち、…い…」

 「なんだ?よく聞こえ…」

 「顔が近いのよ!バカァ!」バチン! 「ギャァ!?何すんだ!いきなり!」

 「アンタのほうこそ何するのよ!寝込みを襲おうなんて!」

 「はぁ!?なんだと!せっかく蘇生させたのに!?」

 「は?あ…そういえば私ドラゴンからアンタを庇って…ドラゴンは!?まさか、みんな死んでここはあの世!?」

 「違う!俺らみんな生きてるよ!」

 「ミリーざぁん!!よがっだぁ!!」

 「うご!?メイ!?腹に頭突きはやめて?」

 

 どうやら上手くお客様第一号達の要望が果たせたようだ。

 それにしても、死者の蘇生。今までの常識では考えられない、死に対するアプローチ…実に興味深い。

 

 「で?あそこにいる詐欺師は誰?」

 「「「違う!あの人は商人だ!」」」

 「初めまして、こんにちはお嬢さん…私はウラガ・アリソー。旅の商人で、貴女を死の国から引き上げた指輪を売った者です。」

*1
小声で相談開始。




 多分続きます。
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