【悲報】下江姉、エッチを知らない   作:スラバヤサトゥ

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お疲れ様です。

ジュリ好きの先生方…おめでとうございます。
あれ完全にドイツの民族衣装ですよね。


セイなる手榴弾

ここは大型ショッピングモール『トリニティ・ソレイユ・ポート』

自治区では一二を争う規模を誇る有名な商業施設であり、学生・住民両方の憩いの場として親しまれている。

今日は平日だがそんなのお構いなしに賑わっている様子。

 

学生は学生でもリッチなお嬢様から、銀行口座と格闘する人まで何でもござれだ。

食品はもちろん、ブランド品に限定グッズ…各種弾薬にマガジン、その他周辺機器…挙句の果てにはドンガメの重戦車も買える。

大体の物がここにある。もしなかった場合はネットかD.Uに行くことをオススメしょう。

 

そんな施設内のとあるスーパーマーケット…そのお菓子コーナーに彼女はいた。

 

「てれってれってれ~てれっ」

 

陽気なリズムを口ずさみながらカラフルな棚の商品を指でなぞっていくシオリ。

もう一方の手には可愛らしい丸い文字で必要な物の名が並んでいるメモが。

だがよく見ると筆跡がバラバラであり寄せ書きのようだ。

 

これは所謂「おつかい」だ。

隠しカメラも無ければお涙頂戴のシーンもない普通のおつかい。

 

「えーと…これかな?」

 

派手なパッケージを手に取る。

ちらっと後ろの説明を読み、カートに放る。自分が欲しいものではないので詳細は良く分からない。

ポケットからマーカーを取り出し歯でキャップを開ける。

 

「よふぃ、おっけ~」

 

メモに書かれた『チョコミント風味の塩キャラメルポップコーン』の文字を上から塗りつぶす。

……欲しいモノ全部入れました!みたいなお菓子だ…ほんと人の好みって分からない。

 

「お姉ちゃん!」

 

カゴの中が一段と賑やかになった所、後ろから元気な声で呼ばれ慌ててくわえていたマーカーのキャップをもとに戻す。

 

妹に雑ではしたない姿を見せてはいけない!…と思ったがそもそも他のお客さんがいるこの場でそんな事しなければよかった…と後悔する。

癖と言うものは無意識の内に出てしまうものだ、私が昔使っていた鉛筆は歯型だらけ…鉛筆の芯は毒らしい…やったね私は生き残ってるよ。

 

ライフルを肩にかけ、腕一杯に商品を抱えたコハルがトテトテとシオリの元へ駆け寄る。

 

「コハル~良かったぁ、迷子にならなくて」

 

「もう!子供扱いしないでよ!」

 

「ゴメンゴメン、拗ねないでよ~」

 

「むぅ…コレであってる?」

 

「どれどれ…えーと」

 

一つずつ、確認しカゴに入れていく。

汗ふきシートにオレンジの香りがする食器用洗剤…そしてスポーツドリンクの粉が3箱。

 

「よし!コンプリート」

 

「やった!………ってあの、思ったんだけど…」

 

「ん~?」

 

メモに書き込みながらコハルの疑問に耳を傾ける。

 

「これって本当に委員会の仕事なの…?」

 

「え?うん、そうだけど」

 

「か、買い物が…?」

 

「まぁ…言いたい事は分かるよ」

 

シオリは目をつむり、苦い顔をした。

確かに今している事はただのショッピング…逆立ちしたとしても正義実現委員会の職務には見えないだろう。

 

「こういうのって備品で倉庫にあったり、まとめて注文するんじゃ…?」

 

『うーん』と唸った後、溢れかけたカゴを漁る。

そして一つ、お菓子の袋を取り出し妹に見せた。

 

「コハル、正実の倉庫に『バーベキューソース風味のポテトチップス』があると思う?」

 

「ない…かも」

 

「そういう事。我々下江姉妹は正実の特殊部隊…『買い出し部隊』として任務を遂行中…いいね!」

 

「う、うん」

 

変なテンションの姉に圧倒され微妙な反応しかできないコハル。

上と下に挟まれ多忙な通常業務から離れられてハメが外れているのかもしれない。もしくは久々の姉妹そろっての買い物に興奮しているかだろう。

 

 

「必要な物はそれで全部なの?」

 

「そうだね~」

 

カートを転がしながらもう一度メモに目を通す…カゴに入れるたび線を引いていたのでまだな物は一目瞭然のハズなんだけど…

 

「どれだ?」

 

「ねぇお姉ちゃん」

 

コハルに『ちょっと見せて』と言われたのでメモを手渡す…そうしたらほんの数秒で見逃していたとある商品を発見してくれた。

やるぅ。

 

「この…『ペロロのペロペロチョコレート』?がまだみたいだけど…」

 

「あぁ!そう言えばあったねそんなの」

 

「何よこれ、ぺとロが多すぎでしょ!というかこのメモほぼお菓子の名前しか載っていない気が…

 

「そっか知らないのか、ペロロって言うのはねぇ」

 

シオリはスマホを取り出し、検索バーにそのワードを打ち込む。

白く、丸っこい鳥のようなマスコット…ここまで聞けば可愛らしいが、その目の焦点は合っておらず、くちばしからは舌が名前の通りぺろんとこぼれている。

言葉を選ぶが中々攻めたデザイン…とは言っておこう。

出てきた画像をコハルに見せるが…その反応は芳しくないモノだった。

 

「なんか見てて不安になる…」

 

「そう?私は結構好きだけど…まぁ確かに人を選ぶデザインだとはおもうねぇ」

 

「じゃあ…私が探してくるね!」

 

「OK。じゃあ私はセール品のコーナーにいるから任せるね」

 

「うん…!」

 

 

コハルがチョコレートを探しに行ったあと、シオリはセール品コーナーを物色していた。

ジャンルを問わず様々な品が中々お得な金額で購入できるこの場は人類の味方だ…安いに越したことはないからね。

え?『安かろう悪かろう』って?それ100円ショップの前で言ってみなよ、即刻私が死刑にするからさ。

 

「あ、これって…」

 

火器類が並んでいる棚からとある物を手に取る。

 

「聖なる手榴弾が半額!?わーお…大安売りじゃん」

 

『聖なる手榴弾』まぁ正式な名前は『トリニティ式聖水』だが正直分かりずらい為、皆前者で呼んでいる。

聞いた話だと本当に水だと思って購入し、ピンを蓋だと思い自爆してしまった人もいるらしい…

特殊な儀式だか加工を施しているらしくそこら辺の手榴弾(パイナップル)とは威力がまるで違う…がまぁ何しろ高いんで普段使いするなら通常の品でいいだろう。

 

が今は半額!買うしかないでしょうよ。

流石にコレは自腹だよ自腹…流石に個人で使う消耗品に領収書を切る気はない。

 

「…私用に一個とコハルに一個…これ箱買いできないのかな…店員さんに聞いてみよ」

 

先にこれだけは確実に確保するべく近くのレジへと向かった。

 

 

 

「お姉ちゃん、チョコあったよー!」

 

「お疲れ様~」

 

「やっぱこれ気味悪いよ…」

 

パッケージを見て眉をひそめ、カゴに放り込む。

どれだけ熱く語られてもこの鳥を好きにはならないと言う謎の自信がコハルにはあった。

 

「はぁ……もう、早く買い物終わらせて帰ろ!」

 

「そうだね、じゃあレジに――」

 

その時だった。

 

『きゃあああああ!!!!!』

 

突如、フードコートの方から悲鳴が響いた。

 

「……」

 

「……え?」

 

「……どうやら、トラブルだね」

 

肩にかけていた愛銃を構え、マガジンを突き刺し、セーフティーを解除した。

コハルはカバーを急いで外した、黒を基調とした旧型のライフル…最新式のような突飛な性能はないが信頼性は高い。

2人は静かに目を合わせ、フードコートへと駆け出す。

 

 

フードコートには、パニックに陥った客たちが右往左往していた。

そして、その中央にいたのは――

 

『暴走ドローン』 だった。

 

「……またかぁ…ふぁっ危ない危ない

 

「また?」

 

「以前、学園でも食べ物を強奪するドローンが問題になったことがあってね…今回は……」

 

シオリはドローンの動きを冷静に分析する。

それは客のトレイから食べ物を次々とさらい、空中を逃げ回っていた。

 

「……やっぱり、これは自律型窃盗ドローンだね」

 

「いやいや、ドローンが食べ物を奪って何になるの!?」

 

「さぁ?どっかに腹ペコさんがいるんじゃない」

 

ドローンはハンバーガーやポテトを次々と掠め取っていく。

逃げ惑う客たち、怒る店員たち――フードコートはまさに戦場と化していた。

警備員が発砲するが、ドローンの機関砲に反撃され中々有効打がでない。

食べ物の恨みは恐ろしいと良く聞くが…まさか盗られる方だけではなく盗る方も強いとは…

 

スプレーで塗りつぶすかのように弾をばらまきながら移動するドローン。

攻撃を逃れるため、二人は柱の陰に身を潜めた。

 

「お姉ちゃん、アレどうするの!? 」

 

「……破壊して、データを引き抜く」

 

「!…分かった!」

 

先ほどの買い物の時とは一転、完全に仕事モードの姉を見て気を引き締めるコハル。

まぁ買い物も仕事の内だったが…それは置いておこう。

シオリは、静かにポシェットの中から例の「手榴弾」を取り出した。

 

「えっ!? ちょ、お姉ちゃん…それって高い奴じゃん!」

 

「大丈夫…半額だったし、これは消耗品…使ってなんぼだよ!」

 

「それはそうだけど!飛んでいる相手に手榴弾になんて…」

 

好き放題やってくれている相手をちらっと見る。

機体中心部にはカメラらしきレンズ、機関砲…その周りにはボルトで止められた手作り感マシマシの鉄板。

 

「装甲が施してある…そりゃあ何発か当てただけじゃ落ちない訳だ…火力が必要って訳」

 

「でも…」

 

「うん、このままじゃ無理…だから力を合わせよう」

 

目を真っすぐ見てそういう。

 

「コハルが狙撃でドローンを怯ませて、そうしたら私が確実に仕留めるから」

 

「む、無理だよ!あんな早いの!」

 

「大丈夫!」

 

ぎゅっとコハルの手を握る。

 

「相手は食べ物をつかもうとする時、何秒かホバリングする…その静止しているタイミング、あのプロペラを撃って」

 

装甲はあるけど、その分重量が増している訳だ…いくらモーターの出力を増そうがサイズ的には限界がある…一つでもペラを破壊してしまえばこっちのもんだろう。

 

「…」

 

「コハルならいけるよ」

 

「……わかった… 頑張る!」

 

ごくりと唾を呑む。

姉の期待に応えてやる…初の共同作戦…絶対に成功させてやる。

その思いを一発の.303トリニティッシュ弾に込め、ボルトを戻し薬室に送り込む。

 

撃てる準備を終わらせた後、こっそりと移動し倒れているテーブルの上にライフルを置き構える。

 

(小さいし、結構俊敏……でも、射撃場で似たような的を撃ち抜いたもん)

 

(狙い方はハスミ先輩に教えてもらった…後はタイミングだけ…!)

 

コハルは冷静に呼吸を整え、照準を合わせる。

うるさい自分の鼓動を無視しアイアンサイトを覗く。

ストックを握る力が気づかぬ間に強くなっていった。

そして――

 

パンッ!!

 

鋭い銃声が響いた。

 

カコン

 

弾丸はドローンの右側のプロペラをかすめた…が十分な威力、砕けたプロペラが暴れ、異音が鳴り響く。

 

「バランスが崩れた……今だよ、お姉ちゃん!」

 

無言で頷きシオリは、スッと十字架型のピンを抜いた。

 

主の意志に従い、まずは封を解くべし。

 

次に、しかるべき時を測るのだ。その数は三。

二では短すぎ、四では遅すぎる。五や六などは論外である。

三こそ全てなのだ。

 

時が満ちたなら、しかと握りしめ、敵へと投げ放て。

さすれば、邪悪なる者どもは跡形もなく消え去るであろう。

 

かくして主は祝福された。「余計な者どもを吹き飛ばせ」と。

アーメン。

 

これが公式な使用方法。

こんな説明文書いた人に私は言いたいね『くどい』って。

 

「Fire in the hole!」

 

そう叫び放り投げる。

天井のLEDに照らされ輝く手榴弾…確かに神々しく『聖なる』と言われるのも分かる…が中身はただの危険物。

手榴弾は美しい放物線を描き、ドローンの真下 に落ちた。

 

そして――

 

カッ!!!!

 

閃光が炸裂する。

 

「ぎゃっ!! 眩しっ!!」

 

「……っ!」

 

空間全体を照らす純白の閃光。

衝撃波による揺れと閃光により視界を奪われたドローンは、バランスを完全に失い――

 

ドカッ!!!

 

盛大に床へ墜落した。

 

ブブブ…とまるで虫のような音を出し始めるドローン…ひっくり返り床で暴れる。

すかさず警備員が死にかけの害虫にむかってピストルを発砲。

腹の弱い部分に弾が突き刺さる。

パンパンパンと三回音が響き…停止した。

 

フードコートには、静寂が訪れた。

そして次の瞬間――大歓声が…!なんてことはなく、その場の全員がほっと胸をなでおろしただけだった。

やがてガヤガヤと騒がしくなっていくフードコート。

 

「…」

 

「…」

 

無言で向き合う下江姉妹。

シオリはニヤリと笑いサムズアップをコハルに送った後、無線を取り出し委員会に報告し始めた。

事後処理…イヤな響きだ。

 

コハルはしばらくポカーンとしていたが、手元の愛銃に視線を落とし…ほほを赤らめ口角を上げる。

どくどくと胸が鳴る。狙撃タイミングをうかがっている先ほどより心臓が動いている気がする…何だか恥ずかしいのでこぼれてくる笑みを必死にこらえ冷静を装う。

だがコレだけは言いたい。

 

「やった…!」

 

そう噛みしめボルトを引くと空薬莢が飛び出す。

カランコロンと金属音が響いた。

 






殺人ウサギは出ません!残念!

アレの名前がでたらどっかの小隊の話になってしまうんでね…



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