「……」
車を降りてから、もう数分は経っていた。
『下江』の表札は目の前なのに、誰も最初の一歩を踏み出さない。
ここ下江家があるのは、閑静な住宅街の小さなアパート。
トリニティでは寮に住む生徒が大半だが、このように自宅から通学する者もいる。
理由としては、門限がないだとかよりプライベートな空間を確保できるだとか…そして一番は広い空間を使えるからだろう。
下江姉妹が自宅通学をしている理由としては、寮生活だと必然的に起きる『他人との交流』を避けれるからだ。
コハルは言わずもがなだが、昔のシオリも妹のような性格だったことを知る人間はほとんどいない。
「えっと……本当にここですよね?」
ヒフミが小声で確認するように聞くとコハルは何度も頷いた。
この時間帯はいつも静かだが…それにしても、今日は妙に静まり返っている。
人の気配がない…遠くの車の音さえ聞こえない。それが気味悪く感じられた。
「そうよ!……表札あるでしょうが!」
「あはは…」
「でもっ…!」
「でも?」
「なんかッ……なんか……怖いのっ!」
ドアノブに手を伸ばす。
けれど、途中で引っ込める。
また手を伸ばす。
やっぱり止める。
どうにも指先が落ち着かない。無意識に袖をきゅっと掴んでしまう。
「ここで足踏みしてても、埒が明かない気がしますけど…?」
そんな様子を見て、ハナコがやんわりと促した。
「知ってるっ…!」
半ばやけになったように、コハルはドアノブをぐっと回す。
ガチャリ。乾いた音が鳴る。
抵抗はなく、ぬるりと開いた。
「あら鍵が」
「まったく、セキュリティがなっていないな」
アズサが鼻から息を吐き、低く呟くと同時。ライフルを構えると、すかさずチャージングハンドルを引いた。その金属音が、玄関前にやけに大きく響く。
ハンドガードを親指とその他の指で上下に挟み込み、ぐっと握る。
いわゆるクランプ持ちだ。
「アズサちゃん……敵がいる訳じゃ…!」
ヒフミが慌てて言う。
「油断はできない」
アズサは表情を変えず、ヒフミの顔を見つめた。
「あのシオリの家だぞ? 何があるか分からない」
「私の家でもあるんだけど……」
「だから警戒してる」
アズサは当然のように答えた。
「どういう理屈よそれ……」
コハルは目を泳がせながら額を押さえる。
先生が、開いた隙間から玄関の中を覗き込んだ。
「……電気はついてないね」
コハルも先生の顎のしたから同じ方向に目線をやる。
薄暗い廊下が奥まで伸びている。
脇には、積み上げられた段ボール。
靴箱の上には生活雑貨がいくつか並び、使い込まれたサンダルが端に置かれている。
見慣れた玄関マット。
棚にひっかけられた傘。
鍵を入れるボウルの隣には、姉妹のツーショット写真。
昔、家族旅行をしたときのものだ。
全部、いつも通りだ。
合宿へ行く前日から、何一つ変わっていない――なのに。
どこか違う。
なによりコハルには、『帰ってきた』という実感がなかった。
そんな感想を胸に抱きながら、玄関に入る。
「お邪魔しまーす……」
ローファーを脱ぐコハルの背中を追うように、ヒフミから恐る恐る足を踏み入れる。
続いて先生、アズサ、最後にハナコ。
(ここが、お二人の家…お友達の家…)
新しくできた友人の家に行く…そんな行為がまさかこのようなシチュエーションになるとは思ってもいなかった。
もっとこう…不穏な空気をまったく感じない状況が良かったとハナコは眉をしかめるのだった。
ヒフミが靴を脱ごうと足元を見ると、乱雑に散らばった黒のスニーカーが目に入った。
「これって」
彼女がコハルに聞くと、無言で小さな頷きが返ってきた。
「…」
コハルの眉がわずかに動く。
姉は、おちゃらけていて緩そうにに見えるが根は妙に真面目な人だ。
特に外に出るとその性格が顕著に表れる。
『コハル~靴は揃えないとダメだよ~。焼肉とかのお座敷席とかで見られるからね~』
とかなんとかちっちゃいの頃から何度も言われた。
そのせいで、自分自身も靴を揃える癖がついたくらいだ。まぁ雑よりかは綺麗な方がいいのは分かるから感謝している。
そんな床に転がる姉のスニーカーは、脱ぎ捨てたように散らばっている。
早く帰ってゲームがしたい小学生かってぐらいの汚さだ。
イチカ先輩の家で何があったかは分からないけれど…姉がこんな事をするなんて今までなかった。
「……」
床板が、ミシ、と鳴った。
全員の肩が一瞬跳ねる。
「お化け屋敷じゃないんですから……」
ハナコが小さく笑う。
しかし歩きながら、ふとある扉の前で足を止めた。
「あら? ここは……」
ドアノブに手をかけようとした――その瞬間、コハルが覆いかぶさるように前に出た。
「……ぜっ……たいに入らせないから」
「……あら」
ハナコが目を丸くする。
「もしかしてコハルちゃんの部屋ですか? 私、すごく興味が――」
「ハナコ」
先生が、静かに名前を呼ぶ。
それだけで、ハナコは観念したように手を離した。
それを確認してからコハルは顔を赤くさせ、額の汗を拭う。
「ふぅ……お姉ちゃん……?」
小さく呼びかける。
だが、返事はない。
静寂だけが、家の奥に広がっている。
その時――カタッ…と奥の部屋から、小さな物音がした。
アズサのライフルが、一瞬でその方向を向く。
コハルは息を呑んだ。
音がしたのは……姉の部屋の方だったからだ。
「……シオリお姉ちゃん?」
次は先ほどより声量を上げ、名を呼ぶ。
声が、少しだけ震えていた。
「ここがシオリの部屋なんだね?」
先生がコハルに確認する。
「う、うん」
「…シオリのほうから顔を見せてくれるのが一番なんだけれどね」
先生が静かに言う。
その言葉には、無理に踏み込むことへのためらいが滲んでいた。
玄関と同じように、扉の前で足が止まる。
きっと今のシオリは、気が滅入っている。
そんな状態の相手に、土足で踏み込むような真似は――
「よし、いこう」
「ちょっ、アズサちゃん!?」
ためらいを断ち切るように、アズサが扉を押し開けた。
先生の考えを真正面から叩き壊すような、躊躇のない突入だった。
ドン、と板が軋む音。
同時に、部屋の中から甲高い悲鳴が弾ける。
「ひゃうッ!?」
ベッドの上で毛布にくるまっていたシオリが、驚きのあまり大きくのけぞった。そのまま勢いよく後頭部を壁に叩く。
ゴッ、と鈍い音が響く。
「おう゛ッ……!」
鈍い苦鳴が漏れた。
「お姉ちゃん!?」
コハルが思わず駆け寄る。
シオリは頭を押さえ、ベッドの上でもがくように身をよじった。
その拍子に、毛布の隙間から何かが転がり落ちる。
コロン、と軽い音を立てて床に落ちたそれは――金色に鈍く光る、小さな金属片。
薬莢だ。
彼女が愛してやまない.45口径。しかし――弾頭が、
その存在を認識した瞬間、鼻をつんざく火薬の匂いがした。そしてコハルは姉の手元にホールドオープンした黒の拳銃を見た。
「お姉……ちゃん」
コハルの声が、掠れる。
瞳孔が震えている。
「コハル……」
シオリがゆっくりと顔を上げた。
その瞬間、コハルは息を呑んだ。
目が――真っ赤に腫れているではないか。
流石に姉の泣き顔は何度も見ているが、今までで一番…酷い。
涙をこらえきれなかった跡が、そのまま残っていた。
人前に出るには、あまりにも無防備な顔だ。
「先生に…みんなも……」
「シオリちゃん…その拳銃は…」
ヒフミがカーディガンの裾をぐっと握りながら聞いた。
「あぁ…えっと」
シオリは弱々しく拳銃を拾い上げ、しずかにスライドストップを解除した。そしてその漆黒を見つめながらこう言い放った。
「なんか…痛みが欲しくって…つい」
「つい…って!何してるのよお姉ちゃん!」
「……ごめんね。コハル…」
シオリの手がコハルの頬をなでる。
いつもの柔らかみなのに冷たかった。
「お姉ちゃん、逃げちゃった…」
「落ち着け、ハスミ」
ツルギは紅茶を一口すすりながら、目の前に座る友人をなだめた。
しかし、その声とは裏腹に――カップを持つ手はわずかに震えている。
対するハスミは、すぐさま言い返した。
「人の事は言えませんよ、ツルギ。貧乏揺すりをやめてください」
机の下で小刻みに揺れる脚を、視線だけで指摘する。
「……見逃せ」
「もちろん」
正義実現委員会本部、委員長室。普段は仕事場ではなく若干、休憩室として機能してるこの空間だが、今は重苦しい空気が、部屋全体に沈澱していた。
中央のテーブルを挟んで向かい合いソファに腰を下ろしているのは、正実の№1――剣先ツルギと、№2――羽川ハスミだった。
「……シオリと連絡はついているのか?」
ツルギが低く言った。
「いえ…しかし今、コハル……と補習授業部、それに先生が、本人に直接会いに行っているらしいっす」
それに返したのは壁にもたれかかるイチカだった。
ブラインドの隙間から差し込む鋭い日差しが、彼女の横顔を斜めに照らす。
腕を組みながら、指先で自分の腕をトントンと叩き、さらに壁をかかとで小刻みに蹴る。
「……補習授業部……」
ツルギは一瞬、言葉を切る。
「…………今は、適任か」
自分に言い聞かせるように呟く。
「今のシオリのメンタルだと…最愛の妹さえも受け入れるコトができるかどうか…」
「お姉ちゃんに拒絶された場合のコハルの精神面も心配っすよ」
「拒絶されなくても、コハルにとっては苦しいだろうな、いろいろと」
ツルギの言葉にハスミが目を伏せる。
そしてその指先は、机上の紙の端を無意識に強くつまみ、それをわずかに歪ませていた。
「あの夜…あそこまで荒れた戦い方をしたのは、戦闘による高揚と被弾の痛みで現実から目を逸らしたかったからだったのですね……」
「まぁ…らしいやり方っていうか」
沈黙。
空気が、さらに重く沈む。
次の瞬間――
「気が付かなかった私がバカでした……!」
ハスミが、感情を押し殺しきれずに吐き出した。
「ここまで抱え込んでいたなんて…先輩として、」
拳がテーブルに落ちる。
叩きつける寸前で力を殺したのか、鈍い音だけが響いた。
「ハスミ先輩は悪くないっすよ」
イチカが短く言う。
その声はいつも通り軽い調子に聞こえるが、目は笑っていない。
「あの時、私があんな切り出し方をしなければシオリは…」
「自分を責めるなイチカ。そのまま抱え込ませておくよりかは…いくらかマシなはずだ」
「っすけど…」
「今のシオリは、コハルにまかせるしかない」
「…っす」
どうにも納得がいかない様子で、イチカが腕をほどいた。
壁から身体を離し、ゆっくりとテーブルへ歩み寄る。
ローファーによる一歩一歩が、やけにうるさく感じる。普段なら誰も気にしないのに。
やがて、一枚の紙へと手を伸ばす。
指先に、わずかに力がこもる。
紙を持ち上げるとき、乾いた音が小さく鳴った。
「んで…これは本当になんなんすかねぇ」
低く、抑えた声。
だが、その奥には明らかな棘があった。
「何って、手紙だろう」
ツルギが短く返す。
「ははっ……えぇ、クソみたいな手紙っすよ」
イチカは乾ききった、声を出した。
半端に開いた目は、まったく笑っていない。
「ティーパーティーが我々に黙って、このような手紙を送っていたこと自体、未だに信じられませんが……」
ハスミが静かに続ける。
「内容が内容なのも……問題です」
視線は、紙から離れない。
その指先は、知らず知らずのうちに強く組まれていた。
「しかも、茶会さんが重要な連絡に使う“特別仕様”の紙だ」
ツルギが言う。
「私も……ハスミも、受け取ったことがあるだろう?」
「ええ…大概、重い内容なので貰う時はビクっとしますよ」
ハスミが小さく頷く。
「この滑らかな手触り……繊維の質感からしても、偽造の可能性は低いでしょうね」
ざらつきのない、異様なまでに整った感触。
それが、逆に現実味を帯びていた。
「仮に偽物だとしても、意図が読めない」
ツルギが腕を組む。
「ウチと茶会を混乱させたい勢力か個人…フッドか…いやないな」
「……まさか、ゲヘナっ!?」
ハスミが顔を上げる。
「こんな情勢でそれは危険すぎるっすよ」
イチカが即座に否定する。
「自分の首をしめるだなんて行為、ツノ付きでもしないっす」
言葉は軽い調子を保っているが、声は硬い。
「では……やはり、学園内部。ティーパーティーからの可能性が濃厚……」
「濃厚ってか――」
イチカが、手紙の端に視線を落とした。
「これっすよ」
そこに押された印。
ティーカップに翼が生えたような意匠。
ティーパーティーを象徴するマーク。
公式書類に使われる印はいくつか存在するが――この印は、その中でも最上位。押せる人間は、ほんの一握りに限られるシロモノだ。
「……」
沈黙が落ちる。
誰もが、その意味を理解していた。
「先輩方」
イチカが口を開く。
「ん?」
「どうしましたか、イチカ」
二人の視線が集まる。
イチカは、紙をテーブルに戻す?その動作は妙に丁寧だった。
「これ」
一拍、置く。
「正義のために――茶会のクソアマ共、しばいていいんすよね」
空気が、凍る。
「……気持ちは、わからないでもありませんが……」
ハスミが唇を噛みながら言葉を選ぶ。
だが、その声には迷いが滲んでいた。
「お前は……内戦を起こすつもりなのか?」
ツルギが低く問う。
視線は鋭く、射抜くように。
「あー……」
イチカは頭をかく。その足先は床を小さく叩き続けている。
止まらない。
「……」
誰も、軽口だとは思っていなかった。
「まぁ、あれっすよね」
イチカの声が、少しだけ低くなる。
「ティーパーティーのトップか、それに近い役職の人間の仕業」
視線が、紙のスタンプへと落ちる。
「だったら、話は簡単っす」
指先で、印をトン、と叩く。
「そいつらを片っ端からシバキ回して…そうっすねぇ、シオリとコハルに土下座させる」
「イチカ……!」
ハスミが思わず声を強めた。
「それはあまりにも短絡的です……!まだ、確証は――」
「でも」
イチカが遮る。
「ハスミ先輩もどっか片隅で思ってるんすよね」
視線が刺さる。
「あいつじゃないかって」
一瞬の、沈黙。
(いえ、そんなことは…)
ハスミの脳裏に、名前が浮かぶ。
「沈黙は肯定、ってやつっすね。よくいったモンすよ」
小さく笑う。
「イチカ。本気か?」
ツルギが問う。
その視線は、先ほどまでとは比べ物にならないほど鋭い。
「こちとら、相棒やられてるんで」
短く、吐き捨てる。
それだけ言うと、イチカは踵を返した。
ドアへ向かう足取りに、迷いはない。
ガチャリと扉を開け、振り返ることなく、そのまま委員長室を後にした。
蝶番がきしみ、重い音が響く。
先ほどまで張り詰めていた空気が、今度は別の重さで沈み込んだ。
その中で、ハスミが顔を上げる、立った。
「……イチカを、止めなければ!」
押し殺していた焦りが、ついに言葉となって溢れた。
ツルギは、ソファに腰掛けたまま、静かに問う。
「止めるのか? あいつの“正義”を」
「……っ」
一瞬、言葉に詰まる。
だが――
「止めなければ、トリニティは……!」
ハスミは強く言い切った。
「シオリとコハルが平和を願い、その秩序維持の一端を担った母校が親友、先輩の手で壊されるだなんて、あってはなりません…!」
握りしめた拳が震える。
「そしてイチカを、内戦の火種としてその名を歴史に刻ませてはいけない……!絶対にですッ!!!」
静まり返った部屋に、その声だけが響いた。
「……そうか」
ツルギは短く応じる。
その視線は、まっすぐにハスミへと向けられていた。
試すように。
見極めるように。
やがてハスミは、ゆっくりと息を吐いた。
「……これの送り主がティーパーティー関係者である可能性は、高いでしょう」
視線を、あの紙へと落とす。
「ですが……書いたのがナギサ様だとは、私は思えません」
「なんでだ」
即座に返る問い。
「ふふ……信じたいのです」
わずかな間。
それでも、ハスミは続けた。
「あの時のあの方は……確かに動揺していました。声は震え、汗を滲ませ、どこかやつれてもいた。相変わらずの紅茶の消費量でもありましたね」
記憶を辿るように、言葉を紡ぐ。
「ですが――目だけは、違った」
ゆっくりと顔を上げる。
「曇っていなかった。あの人は……あの場で嘘をつく目ではありませんでした」
ツルギは、わずかに目を細める。
「……一度、こちらに砲門を向けた相手だぞ。それに…政治屋だ」
「えぇ」
ハスミは頷く。
「人を疑うのは、正しく…良いことでしょう」
一拍。
「ですが…人を信じることは、もっと良いことだと……私は思います。この様な状況なら尚更です」
静かだが、確かな声音だった。
「……そう」
ツルギは小さく息を吐く。
「なら――イチカは止めるしかないな」
視線が、扉の方へと向く。
「あいつの標的は、おそらくナギサだろう」
淡々と、だが重く言い切る。
「この手紙の正体をホストに聞くためには、ホストを守る必要がある。パーティーガードは役に立たないだろうしな」
そして。
「――後輩を本気で撃つ覚悟も必要だな」
言葉が、重く落ちた。
「……えぇ」
ハスミは迷わなかった。
「先輩として。そして、副委員長として……やり遂げます」
その瞳には、もう揺らぎはない。
「わかった」
ツルギは短く頷く。
「それで――イチカを止められるのは…私だけでは…悔しいですが困難を極めるでしょうし」
「シオリに期待し、二人を組ませた理由を忘れたか?」
「そう…でしたね。イチカが暴走した場合の
「あいつと同等かそれ以上があの時はシオリしかいなかった…
ハスミは頷く。
「シオリを正実に引きこんだのは、穴埋めが理由…」
「否定はしませんが…それだけではありませんよ」
「それぐらいわかる。言い方が悪かった」
ごめんと目をそらし、頬をかくツルギ。
そんな姿にハスミはふふっと微笑む。
「他には……三年の誰か、あるいは二年の選抜射手……マシロも呼ぶべきでしょうか」
顎に手を当て、頭の中にある名簿をひたすらめくっていく。
委員会の人員が、次々と浮かんでは消えていく。
だが――
「いや」
ツルギが、それを遮った。
「いる」
静かな声。
だが、確信に満ちている。
「シオリがいたとしても……それ以上に、確実にイチカを止められる人材が」
「誰で――」
言いかけたハスミが、息を呑む。どうやら気がついたらしい。
ツルギが、ゆっくりと立ち上り
そして歯を見せ、キヒッと笑って見せ……言った。
「私だ」
空いちゃってすみません、続きます。
あ、コハル誕生日おめでとう!早いけど!