無垢な楪の願い事   作:天風 月夜

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いつもと違うような日

「……ん。あさ」

 

カーテンの隙間から差し込んだ日の光で目を覚ます。

気だるげにベッドから体を起こして、冷蔵庫をあさる。

……とりあえず、これで。

回らない頭を回しながらゼリー飲料を取り出して飲んでいく。

食費と住居の費用はしばらくは大丈夫だし……。

念のため別の隠れ家でも大丈夫なように稼ぎに行こう。

 

「わりぃなお嬢ちゃん。実入りのいい仕事はもう全部でっぱらっちまった」

「……わかった。また今度来る」

 

ブラックマーケットの依頼所を出て、当てもなくふらつく。

久々の連休とすればいいかな。

そう考えて持ち金を確認し、昨日よりもお金が少ないが同じカジノに向かうことにした。

遠くのほうで銃声が聞こえた。

 

「?……ブラックマーケットで銃声なんて珍しい」

 

ぐぅう

銃声に気をとられてその方向を見ていたら、私のお腹から音が鳴る。

そういえば、朝のゼリー飲料から何も食べてなかった。

……奪いに行こ。

そう思って、銃声のする方向に思いっきり駆け出す。

さほど遠くなかったのか、戦闘しているのが見えてきた。

付近の屋根の上に上がって、戦闘状況を俯瞰する。

向こうはスケバンが大量にいて、こっちには7人。あの人は、昨日夜にあった人だ。

あとは、あの制服はアビドスの人たちで、あの子はトリニティの制服。おおかた、身代金狙いで狙われたトリニティの子がアビドスの人たちに救援を求めたってところかな?

状況確認を終えた私は、ハンドガンの弾奏と残りのマガジンを確認して、屋根の上からスケバンを狙撃する。

最前線にいたショットガンを持った小柄な子は、目の前にいた相手が吹き飛んだことで驚いてこちらを見たが、すぐに前を向いて次の相手へ向かっていった。

 

ーーーーー

 

「これで終わりよ!」

「これで全部?」

「みたいですが、ここを早く離れましょう。マーケットガードが来てしまうと大変ですから」

「マーケットガード?」

「ここの治安維持組織の事です。なので早く動きましょう」

 

 

あらかたスケバンを倒し終えて、マーケットガードが来る前に退散していった先生たち。

私は倒れているスケバンに近寄って、体をまさぐる。

……財布はあったけど、中身は入ってない。この子もそんなに入ってない。この子は…時間切れかな。

少し離れたところにマーケットガードが見えたため、私はその場を離れた。

お腹すいた。とりあえず、ご飯にしよ。

そう思って屋台のあるエリアに行くと、さっきまで戦っていた人達がいる。

そのうち大人の人、シャーレの先生は私に気づいたようで手を振っている。

私も手を振り返しそちらへ向かう。

アビドスの人たちは私に対して「誰?」という顔を向けているが隣にいるトリニティの子に関しては何度かブラックマーケットで見たことがあるし、その子も私のことをぎょっとした顔で私のことを見ている。

 

「昨日ぶりだね。シャーレの先生」

”そうだね。昨日は無事に帰れたかい?”

「問題なし」

”それはよかった”

「えっと、あなたは誰でしょうか?」

「名乗ってなかった。そっちのトリニティの子は知ってるみたいだけど」

「そうなんですか、ヒフミちゃん?」

「は、はい。えっと、いいんですか?」

「?……あぁ。別にいいよ言っても。ぶっちゃけ、ピンクの子以外は相手にならないから」

 

私の言葉にアビドスの子たち、特に銀髪の狼の子が敵意をぶつけてくる。

 

「わかりました。この人は雪名ユズリハさんです。七囚人の一人で今は姿をくらましているといわれていましたが、ブラックマーケットにいたなんて」

「七囚人って犯罪者じゃない!」

「捕まえれば賞金が入るってこと」

「はぁ」

 

銃口を向けてくるケモ耳の二人の手に発砲し、銃を落とさせる。

 

「かなわないって言ったよね」

「えっ?」

 

その言葉の後に黒い猫の子の胸倉を掴んで投げ飛ばそうとすると

 

「それ以上はおじさん、感心しないかなぁ」

 

間に入ってきたピンクの髪の子に止められた。

 

「先に敵意を向けたのはそっち」

私は胸倉から手を放して、黒い猫の子をおろす。

 

「大丈夫ですか?セリカちゃん」

「は、はい。何とか」

「見えなかった。すごい早い」

 

セリカと呼ばれた子にお姉さんみたいな人が心配しているのを横目に話を続ける。

銀髪の狼の子が銃を拾って、参戦しようとする。

 

「ごめんねぇ、ここは許してくれないかい?」

「はぁ。拒否したらこの後がめんどくさいから、手は出さないよ」

 

そういうと、ピンクの髪の子の手から力が抜け、敵意がなくなる。

 

”えっと、大丈夫かい?”

「大丈夫。いつもやってることだから」

”それって”

「私は先生が思うほどきれいな子供じゃないよ」

 

そういって離れようとして、

くぅううぅ

何も食べてなくて、お腹減っていたの忘れてた。

 

ーーー

 

「ふぅ。少しだけどお腹は満たされた」

「おいしかったですね、たい焼き」

 

お互いに自己紹介を済ませ、たい焼きを食べながらアビドスの子たちがここに来た理由を聞いた。

 

「おごってもらっちゃってよかったんですか?」

「別にいい。お金ならまた増やせるから」

「うらやましいねぇ、そんな簡単に言えるのは」

「そう?ただ、読みあいで勝つだけなのに」

 

カジノなら一瞬で何百万と増えるから。

 

”それ、どこで稼いでるの?”

「?カジノだけど」

”アウト――――”

「ユズリハ先輩!?未成年はだめですよ!」

「ばれなければ問題ない。それに、もともと犯罪者だからいくら罪状が増えても変わらないし」

 

そういうと先生は真面目な顔になった

 

”ユズリハ、そういうのは”

「知ってる。成人、大人になってから。だけど、やっちゃいけない理由なんてそれだけだから」

”わかってるなら!”

「この程度で目くじら立ててたら、キヴォトスの大半は犯罪者になるよ。例を挙げるならゲヘナの温泉開発部と美食研究会、ミレニアムのハッカー集団ヴェリタスの一部の子。それにここは無法地帯のブラックマーケット。通常の法なんて意味をなさないよ」

「じゃあ、ブラックマーケットをなくせば」

「そうもいかないよ、セリカ。ここには各自治区から追放や迫害された生徒がいる。学籍がないということはほかの自治区では身分を証明できるものがないということになる。だから、ここに流れ着く」

「ここを無くすということは、その人たちが路頭に迷うわけなんだねぇ」

 

ピンクの髪の子、ホシノが理解したようで答えを出してくれる。

 

「だから一概にここをつぶせば全部が解決するわけじゃない」

”なるほどね。ユズリハ、それでもやっちゃいけない”

「……善処はする。ただ、稼ぎがそれと依頼ぐらいしかないから、生活するには必要」

”その時はシャーレにおいで、部屋くらいは用意しておくから”

「その時があればね」

「そろそろ本題に戻りませんか?」

「そうだね~、結構脱線しちゃったし」

 

本題。それはこの子たちが借金を返す中でヘルメット団が持っていた部品がブラックマーケットで流通しているものと発覚したから、それを探るために来たらしい。

 

「みなさん、隠れてください!マーケットガードです」

「……あの車!」

シロコが見た先には一台の車があった。

「あの車、今日集金に来た車」

「ほんとに!?」

「確認します。……ナンバーが一致しました、本日集金に来たカイザーの車です」

 

ーーーーー

 

そこから話はすぐにまとまった。

集金に使っていた書類を手に入れればそれが発覚するのではないか?と、銀行強盗を仕掛けることになった。

それはいいんだけど、先生まで乗り気になっちゃダメじゃない?カジノに行ってる私が言うのもなんだけど。

そのあとは銀行強盗は成功して書類だけを手に入れるはずが、大金まで持ってきちゃって処遇をどうするかになったけど、私が持ち帰ることで話は落ち着いた。

便利屋68の子たちが後からきて何かしら聞いていたけど、カヨコ先輩に聞いてみたらいつものことと聞いてそのままにしておいた。

便利屋の子たちとは依頼で共闘したり、戦ったりした関係だったけど、みんなそこそこ強い。

 

アビドスの子たちとは別れて、夜になった。

今日は一人のご飯じゃなくて便利屋の子たちとご飯を食べて、明日のお昼まで一緒に行動することにした。

どうやらおいしいラーメン屋さんがアビドスにあるらしいので、一緒に向かうことにした。

 

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