ヒトヒトの実モデル“決闘者”withふわんだりぃず 作:月日は花客
「あ、ポニクスが破壊された」
サカズキさんと雀姉妹で麻雀を囲んでいる時、僕はふとルフィくんに預けたポニクスの破壊を感知した。
「またか」
「あの子も過酷な修行をしているんでしょうねぇ……再召喚しておきます」
「そうか」
「あ、それロンです」
字一色なりー。
僕は悪魔の実の能力を鍛えたことにより、主人を変更したモンスターの位置も感知できるようになっていた。破壊されても遠隔で再召喚が可能だ。
サカズキさんにはルフィ君のことは地元の武者修行をしている子としか言っていない。海賊を目指しているなんて海軍の人の前ではとても言えないことだ。
地元の子が強くなりたいって言うから、保護者がわりにモンスターを預けていると説明した。
「大丈夫なんか、その子どもは」
「うーん、ポニクスが破壊されたってことはポニクスがあの子を守ったって証なので、無事だと思います。最近は頻度が減ってきてますし」
少し前までは数時間に一回破壊されてたのが、最近は一週間に一回破壊されるかされないかになってきた。
ポニクス本人からは嫌な気配や不満を感じないので、本人なりに真剣に修行をして、ポニクスのケアもしているのだろう。
こんな深夜まで修行を頑張っているルフィくんの存在を感じつつ、僕とサカズキさんは麻雀にて覇気を鍛えていた。
「次の親はサカズキさんですね」
「……こんなんでほんとに覇気が鍛えられちょるんか」
「でも実際、感情とか意識が読み取れるようにはなってきましたよ?」
もともとガープさん曰く才能があったらしいので、あとは感覚さえ掴めれば急成長。未来予知なんかはできないけど、実践訓練でのサカズキさんの動きや動揺を察知できるようになってきた。
僕はあくまでも人を殺さない訓練なので、避けることや意識を落とすことに集中して鍛えている。
合気道や関節技なんかがそれに当てはまる。
「武装色の色が薄いのが惜しいな」
「武装色が無いと、ろぎあ? に攻撃を当てられないんでしたっけ」
「ああ、わしもロギアの能力者じゃ」
「え!? サカズキさんって、能力者だったんですか!?」
聞いてないですよ!? と立直棒を置こうとして手から落とす。
あとは三筒がくれば
いや、サカズキさんも見聞色は持っている。ここで動揺して狙っている牌を勘付かれてはいけない。
「マグマグの実のマグマ人間……ただの人に使うには危ない能力じゃけぇ、今まで抑えとった」
「はえー、じゃあほんとは今までの関節技とか、全部効かなかったんですね」
「手を抜いていたわけではない、おんしは強くなっちょる」
「ありがとうございます!」
笑って見せれば、サカズキさんもニヤリとその強面を崩して、牌を見せた。
和了、大三元。役満。
「三筒みちょったじゃろ。バレバレじゃ」
「うあーバレてた……。気配を消すことも覚えないとですね」
「厄介ごとに巻き込まれないのは気づかれないことも大事じゃけぇ、気張りや」
「はい!」
やっぱり麻雀は見聞色の良い訓練になる。こんなこと思い付かなかった。ガープさんはすごいや。
「しっかし、そろそろわしもここには居られん。あとは自分で足りない部分を補う訓練をするとええ。わしにも実りが多い日々じゃった」
「サカズキさん……! はい、僕の方こそ、すごくお世話になりました! あ、そうだ、お礼に……」
僕はカードを一枚取り出す。最初にサカズキさんに見せた、《炎獣王 ガルドニクス》だ。
「よかったら、ガルドニクスを連れていってやってください。貴方の盾となり、時には連絡役として働いてくれるでしょう。人殺しは無理ですが……」
「……おんしの大事な仲間じゃろう、ええんか」
「はい、サカズキさんが良ければ、ですけど……」
ガープさんの無茶振りに付き合ってくれたお礼でもある。どうやら細かい事情など一切説明されず連れてこられたらしいから、まぁ迷惑はかかっただろう。
「ガルドニクスは炎属性。マグマだってへっちゃらですし、辛いものも大好物です!」
「そりゃあまた……気が合いそうじゃな」
ガルドニクスはそこそこ大きな鳥なので、サカズキさんの肩に乗る。その姿は様になっていて、任侠映画のような雰囲気を感じさせた。
「……明日の昼、出航する。こやつを破壊するようなヘマは犯さん。安心しちょれ」
「いえ、サカズキさん本人が危なかったら容赦なく盾にしてください。本人もそれを望んでいます」
「──!!」
ガルドニクスは高らかに鳴いてみせた。「任せろ」と言っている。
「ふん、こげな小鳥に守られるような甘い訓練はしちょらんわい」
「ガルドニクスを小鳥扱い……? いえ、まぁ万が一ですよ万が一。ガルドニクス、サカズキさんをよろしくね。万が一の時はすぐ再召喚するから」
「────」
ガルドニクスは自信満々に頷いて見せた。
サカズキさんと仲良くやってくれると良いな。
「もしガルドニクス本体を隠したかったら、本人にリリースと言えばカードになります。ガルドニクス、リリース」
「────!」
肩に乗っていたガルドニクスがカード状になってサカズキさんの手に収まる。これも僕が能力を鍛えて得た効果だ。
「なにか隠密行動が必要な時はカードに戻してください。もう一度名前を呼べばリリースなら元に戻せます。破壊されたら戻りませんが」
「わかった。ガルドニクス……ガルド、よろしく頼むぞ」
「────!!」
鳥の姿に戻ったガルドは、サカズキさんにマスター権限を移した。僕との繋がりが薄くなる。
見聞色は僕のモンスターには特に強く発揮されるようで、その勇ましい思いや興奮がマスター権限外された僕にもしっかりと伝わってくる。
「今までありがとうございました、サカズキさん」
「ああ、おんしの旅の無事をいのっちょる。……じゃあな」
次の日、出航していく軍艦を眺めながら、僕もそろそろ旅立とうと思った。
まだ力を鍛えるため、比較的平和な東の海からは出ないことにする。
さて、次はどこへ行こうね? すのーるたち?
*
「えー!? 遊鳥、この島を出ちまうのかよー!?」
ルフィくんに島から旅立つことを伝えると、それはもう大反対の嵐を喰らった。
ポニクスがいなくなるわけじゃないよ、と伝えても、そうじゃないと泣くばかり。
「遊鳥ー、おれの海賊団の仲間になれよ!」
「ごめん、海賊にはなれない」
「なんでだよ、仲間になってくれよー!」
「ワガママ言うなールフィ。泣くなって遊鳥さん困ってるだろ」
「遊鳥の料理が食えなくなるのは惜しいけどな!」
修行の途中で義兄弟になったらしいサボ君とエース君が宥めてくれる。
エース君とサボ君は、たまーに僕が三人に料理を振る舞う日があったのだ。山賊に預けられたと聞いた時は肝が冷えたが、なんだかんだいい人そうで安心した。僕の料理も褒めてくれたし。
「仲間にはなれないけど、またどこかで会えるから。ポニクスがいる限り、僕とルフィくんは繋がってるよ」
「うう……」
「ポニクスをよろしくね? あんまり破壊されると僕も疲れちゃうんだから、無茶はしないこと」
「うん……」
「よし! それじゃあバイバイだ、ルフィくん。サボ君とエース君も、またね」
「ああ、ルフィのことは任せてくれ!」
そう言葉を残して、僕は飛び立つ。
始祖神鳥シムルグはルフィくんが託された麦わらのように翼の色を反射していた。
東の海をしばらくは巡ろう。
そして見聞色や、戦略を鍛えよう。
「でも、なるべく穏やかに行こうね、始祖」
そう頭を撫でると、始祖はゆっくりと頷いた。
総合ポイントが1000を超えました。
まだまだ続きますが、お付き合いいただけると幸いです。
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