ヒトヒトの実モデル“決闘者”withふわんだりぃず   作:月日は花客

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☆9:ふわんだりぃず×ろじゃー

 

 争いは三日三晩の時間を経てようやく終わった。

 もうその時には船長以外の船員達は一緒に朝ごはんを食べたり、お互いの自慢の武器を見せ合ったりと和気藹々といった雰囲気になっていた。

 どちらにも属していない僕は相変わらず白ひげ海賊団の客人の立ち位置で、少し気まずかったけど。

 まぁ幸運だったのは、意外とふわんだりぃずメンバーの見た目が海賊達にウケた事だろうか。

 デフォルメされた鳥達はグランドラインでも見た事がない──そりゃ僕しか持っていないからね──珍しい鳥達で、人に慣れている。敵ではないと判断されたら手や肩に乗ったり手ずから餌を食べてくれたりと、まるで鳥獣園の動物のように可愛がられた。

 僕は朝のオレンジジュースを飲みながら、ようやく落ち着いたらしい船長達を見る。

 薙刀と剣を置き、大声で笑い合っている姿はさっきまで本気の殺し合いをしていた二人とは思えない。

 

「がはははは!! いやぁ楽しかった! あ、ほらこれが言ってた良い酒だよ、飲もう飲もう!」

「グラララララ……お前がそう言うからには相当なモンなんだろうな。野郎ども、コイツに邪魔されたが宴の準備を再開しろ!!」

「はい!!」

 

 戦いが終わればどんちゃん騒ぎ、敵味方関係なく酒を飲む……。これは海賊の習性なんだろうか? それともこの二人が特別なだけ?

 わからぬまま、クルクルと宴の準備を始める船員たちを手伝おうとしたら、また「客人なので!」と断られてしまった。手持ち無沙汰だ。

 

「なんか見慣れねぇ奴がいるな! 新入りか?」

「いや、客だ。うちのマルコに雛鳥を渡してきた」

「あの鳥に雛鳥ぃ!? がっはっは、おもしれぇじゃねぇか!! ちょっとこっち来い!」

 

 やばい、目をつけられた。

 僕としてはあんまり関わりたく無いのだけれど、呼ばれたので恐る恐るそちらに向かう。砂浜に直に座って酒を飲んでいる大男二人は普通に怖い。

 僕はせめてのお守りに、《ふわんだりぃず×えんぺん》を召喚して抱き上げた。あ、思ったより軽い。

 

「子どもじゃねぇか!」

「これでも21歳なんですがね……」

「嘘だろ、こんな小さくて童顔なのに。抱いてる鳥がぬいぐるみに見えるぜ!」

「うぐっ……」

 

 ぼ、僕だってもっと伸びると思ってたんですー! 160超えると思ってたんですー! なんか伸びなかったんですー!

 でも武藤遊戯こと決闘王もそんな身長無かったから……決闘者に身長なんて関係ないんですよ!!

 不満げに鳴くえんぺんを抱きつつ、僕が反論しようとしたところで、後方から大きな声で名前を呼ばれた。この声はマルコさんだ。

 

「遊鳥ー! こいつ、いったい何を食べるんだよい!?」

「え、普通に人間と同じものでいいと思いますー! 鳥じゃなくてモンスターなのでー!」

「了解だよい」

 

 マルコさんは僕の返答を聞いて、頭にフランスパンが乗っかったみたいな人に話しかけに行った。ちゃんと雛神鳥の分のご飯も作ってくれるんだ、優しいなぁ。

 

「悪魔の実の能力者か」

「ああ、こいつらは遊鳥の出したモンスターらしい」

「あ、すいません自己紹介が遅れて。遊鳥旅途です。流れの旅人をしています」

「鳥使いか! 面白いな!! この抱いてる鳥はなんて言うんだ?」

「えんぺんって言います! とっても寒い寒冷地帯にいる鳥なんです。強いので頼りにしてます」

「へぇ、こんなちっこいのが強いのか」

 

 まぁそのおかげで害鳥呼ばわりされたりしてますけどね。チクショウ。

 そんなこんなで船長のお二人と話していたら宴の準備が整ったようで、船長の二人が乾杯の音頭を取るために立ち上がった。

 さっきまで散々飲んでいたのに、まるで水みたいに酒樽を飲み干してから、だ。

 この世界は酒に強くないと生きていけないのだろうか。

 

「俺たちの戦いと新しい仲間を祝して……かんぱーい!!」

「なぁなぁ、お前珍しい鳥を出せるんだろ、見せてくれよ!」

 

 手に並々と注がれた酒をどうしようか見つめていたら、どう見ても未成年の赤毛の少年が声をかけてきた。

 さっきまでは船の修繕やら医療班の手伝いをしていた気がする。緋色の髪は船の中で一等目立っていた。

 

「馬鹿、白ひげの客人だぞ! 下手なことしたら怒られる!」

 

 後ろから、赤い鼻に青い髪をした少年……おそらく赤髪くんと同い年だろう……が顔を出す。二人ともジョッキには酒が注がれているが、この世界の成人年齢って幾つなんだろう?

 

「えー、でも、せっかく同じくらいの歳のやつなんだからさ、仲良くしよーぜ!」

「さっきこの人が21って言ってたの聞こえなかったのかよ!? これでもおれたちより歳上なんだよ!!」

 

 その言葉が同時に僕の心に刺さる。そんなに僕は未成年に見えますか。確かにコンビニで酒を買う時確定で年確されるし、補導されかけたことも何回もあるけども。

 

「なーなー、鳥見せてくれよ!」

「わかったわかった、どんな鳥がいい?」

「えー、おれは鳥より美人なねーちゃんの方が良いなぁ」

 

 キラキラした目で鳥をねだる赤髪くんと、ませたことを言う青髪くん。ふむ、ただの鳥はさっきからろびーな達が可愛がられているし、綺麗どころでも出してみますか。

 

「それじゃあ二人の願いを同時に叶えよう、《ハーピィ・ダンサー》!」

 

 現れるのは、白い翼にセクシーな黒いビキニを纏った鳥獣族モンスター、ハーピィ・ダンサー。

 ふわりと翼を広げ、踊りながら現れた美女に船のみんなの視線は釘付けだ。

 

「えええええ!? お前、女の子も出せんの!?」

「いや、彼女はハーピィで鳥獣族だからデッキに入れてたんだ。見ての通り翼があるし、脚も鳥でしょ?」

「いや、でもこれを鳥と言うには無理があるんじゃ……」

 

 遊戯王の種族は自己申告制。いいね?

 

「はえー別嬪さんだ……ダンサーってことは踊れるのか?」

「たぶん? ダンサー、どうせならこの宴を盛り上げてくれると嬉しいな」

 

 そう言うと、ハーピィ・ダンサーはニコリと笑って、その翼を広げ優雅な舞を踊り始めた。

 アップテンポのBGMがどこからか聞こえてくる。それは船に乗っている音楽家のバイオリンの音で、そこに手拍子や瓶を叩く音がセッションしていく。

 みんなハーピィ・ダンサーの踊りに夢中だった。

 しまいには歌までついて、数曲踊り終わる頃には音楽家たちは汗だくになっていた。

 

「あー、楽しー! っていうか、お前全然酒飲んでねーじゃん! 飲めよ、ほら!」

「え、ちょっ待っガボボボボ」

 

 頬を赤らめ始めた赤髪君が、無遠慮に僕の口に酒を注ぎ込んだ。

 この前も言ったけど、僕は酒に強くない。どっちかっていうと下戸である。

 そんな僕に多量のアルコール……しかも度数が高いもの。を摂取させたとなると……泥酔するのは当然のことだった。

 

 一瞬で顔を真っ赤に染め上げ、意識が混濁してふわふわとした感覚がする。そしてとても気分が良い。

 

「……あは」

「馬鹿っ! 飲ませすぎだ!」

「えっこの程度水みたいなもんだろ」

「顔真っ赤になってるだろ! どう考えても酔って──「闘いたい」えっ」

 

 ムクムクと湧き上がる高揚感、興奮、意欲。

 これは……決闘したくてたまらない。

 カードを構えて、どうせなら立体で、この力をもっと試したい!

 

「あは、あはははは、ねぇ、誰か僕と決闘してくれませんか? ろびーなも、えんぺんも、シムルグも、そう思うよね? 闘いたいよね? あはははは」

「これって……」

「かんっぜんに酒でハイになってるよい。シャンクス、お前反省しろ」

「イッデェ!? ご、ごめんなさい……」

 

 マルコさんが赤髪君にゲンコツを落とした。

 やっぱそう言うことだよね? 決闘だよね? お互いにライフを削り合う、戦いの始まりのゴングだよね?

 

「はぁ……ここはおれが始末をつけるよい。お前の実力も見てみたかったしな」

「ヒック、あははは、マルコさんがお相手ですかぁ? ふふ、じゃあ行きますよ……決闘!!」

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